電気設備に関する技術基準を定める省令(重要条文抜粋)

2022年6月6日更新

電気設備に関する技術基準を定める省令のうち,第二種電気工事士の学科試験で出題される重要条文を抜粋したものです。全文を確認したい場合は,電気設備に関する技術基準を定める省令を直接ご確認ください。

第一章 総則

第一節 定義

第一条 用語の定義

この省令において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

電路
通常の使用状態で電気が通じているところをいう。
電気機械器具
電路を構成する機械器具をいう。
配線
電気使用場所において施設する電線(電気機械器具内の電線及び電線路の電線を除く。)をいう。
第二条 電圧の種別

電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の三種とする。

低圧
直流にあっては 750 V 以下、交流にあっては 600 V 以下のもの
高圧
直流にあっては 750 V を、交流にあっては 600 V を超え、7 000 V 以下のもの
特別高圧
7 000 V を超えるもの

第三節 保安原則

第一款 感電,火災等の防止

第四条 電気設備における感電,火災等の防止

電気設備は、感電火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。

第五条 電路の絶縁

電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。

2 前項の場合にあっては、その絶縁性能は、第二十二条及び第五十八条の規定を除き、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。

3 変成器内の巻線と当該変成器内の他の巻線との間の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。

第六条 電線等の断線の防止

電線、支線、架空地線、弱電流電線等(弱電流電線及び光ファイバケーブルをいう。以下同じ。)その他の電気設備の保安のために施設する線は、通常の使用状態において断線のおそれがないよう断線のおそれがないように施設しなければならない。

第七条 電線の接続

電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか、絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線のおそれがないようにしなければならない。

第八条 電気機械器具の熱的強度

電路に施設する電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生するに耐えるものでなければならない。

第九条 高圧又は特別高圧電気機械器具の危険の防止

高圧又は特別高圧の電気機械器具は、取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。ただし、接触による危険のおそれがない場合は、この限りでない。

2 高圧又は特別高圧の開閉器、遮断器、避雷器その他これらに類する器具であって、動作時にアークを生ずるものは、火災のおそれがないよう、木製の壁又は天井その他の可燃性の物から離して施設しなければならない。ただし、耐火性の物で両者の間を隔離した場合は、この限りでない。

第十条 電気設備の接地

電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第五条第一項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。

第十一条 電気設備の接地の方法

電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。

第二款 異常の予防及び保護対策

第十四条 過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策

電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。

第十五条 地絡に対する保護対策

電路には、地絡が生じた場合に、電線若しくは電気機械器具の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電気機械器具を乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合は、この限りでない。

第三款 電気的、磁気的障害の防止

第十六条 電気設備の電気的,磁気的障害の防止

電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない。

第十七条 高周波利用設備への障害の防止

高周波利用設備(電路を高周波電流の伝送路として利用するものに限る。以下この条において同じ。)は、他の高周波利用設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

第四款 供給支障の防止

第十八条 電気設備による供給支障の防止

高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。

2 高圧又は特別高圧の電気設備は、その電気設備が一般送配電事業の用に供される場合にあっては、その電気設備の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないように施設しなければならない。

第二章 電気の供給のための電気設備の施設

第一節 感電、火災等の防止

第二十条 電線路等の感電又は火災の防止

電線路又は電車線路は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

第二十一条 架空電線及び地中電線の感電の防止

低圧又は高圧の架空電線には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線又はケーブルを使用しなければならない。ただし、通常予見される使用形態を考慮し、感電のおそれがない場合は、この限りでない。

2 地中電線(地中電線路の電線をいう。以下同じ。)には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。

第二十二条 低圧電線路の絶縁性能

低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の 2 000 分の 1 を超えないようにしなければならない。

第三章 電気使用場所の施設

第一節 感電、火災等の防止

第五十六条 配線の感電又は火災の防止

配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

第五十七条 配線の使用電線

配線の使用電線(裸電線及び特別高圧で使用する接触電線を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。

2 配線には、裸電線を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。

第五十八条 低圧の電路の絶縁性能

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の上欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。

低圧の電路の絶縁性能
電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300 V 以下 対地電圧(※)が 150 V 以下の場合 0.1 MΩ 以上
その他の場合 0.2 MΩ 以上
300 V を超えるもの 0.4 MΩ 以上
※ 対地電圧とは,接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧をいう。
第五十九条 電気使用場所に施設する電気機械器具の感電、火災等の防止

電気使用場所に施設する電気機械器具は、充電部の露出がなく、かつ、人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがある発熱がないように施設しなければならない。ただし、電気機械器具を使用するために充電部の露出又は発熱体の施設が必要不可欠である場合であって、感電その他人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがないように施設する場合は、この限りでない。

第二節 他の配線、他の工作物等への危険の防止

第六十二条 配線による他の配線等又は工作物への危険の防止

配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は交さする場合は、混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

2 配線は、水道管、ガス管又はこれらに類するものと接近し、又は交さする場合は、放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、かつ、漏電又は放電によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

第三節 異常時の保護対策

第六十三条 過電流からの低圧幹線等の保護措置

低圧の幹線、低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路及び引込口から低圧の幹線を経ないで電気機械器具に至る低圧の電路(以下この条において「幹線等」という。)には、適切な箇所に開閉器を施設するとともに、過電流が生じた場合に当該幹線等を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。ただし、当該幹線等における短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。

第六十四条 地絡に対する保護措置

ロードヒーティング等の電熱装置、プール用水中照明灯その他の一般公衆の立ち入るおそれがある場所又は絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。

第六十五条 電動機の過負荷保護

屋内に施設する電動機(出力が 0.2 kW 以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。

第五節 特殊場所における施設制限

第六十八条 粉じんにより絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設

粉じんの多い場所に施設する電気設備は、粉じんによる当該電気設備の絶縁性能又は導電性能が劣化することに伴う感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

第六十九条 可燃性のガス等により爆発する危険のある場所における施設の禁止

次の各号に掲げる場所に施設する電気設備は、通常の使用状態において、当該電気設備が点火源となる爆発又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

  1. 可燃性のガス又は引火性物質の蒸気が存在し,点火源の存在により爆発するおそれがある場所
  2. 粉じんが存在し,点火源の存在により爆発するおそれがある場所
  3. 火薬類が存在する場所
  4. セルロイド,マッチ,石油類その他の燃えやすい危険な物質を製造し,又は貯蔵する場所
第七十条 腐食性のガス等により絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設

腐食性のガス又は溶液の発散する場所(酸類、アルカリ類、塩素酸カリ、さらし粉、染料若しくは人造肥料の製造工場、銅、亜鉛等の製錬所、電気分銅所、電気めっき工場、開放形蓄電池を設置した蓄電池室又はこれらに類する場所をいう。)に施設する電気設備には、腐食性のガス又は溶液による当該電気設備の絶縁性能又は導電性能が劣化することに伴う感電又は火災のおそれがないよう、予防措置を講じなければならない。

第七十一条 火薬庫内における電気設備の施設の禁止

照明のための電気設備(開閉器及び過電流遮断器を除く。)以外の電気設備は、第六十九条の規定にかかわらず、火薬庫内には、施設してはならない。ただし、容易に着火しないような措置が講じられている火薬類を保管する場所にあって、特別の事情がある場合は、この限りでない。

第六節 特殊機器の施設

第七十四条 電気さくの施設の禁止

電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。)は、施設してはならない。ただし、田畑、牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって、絶縁性がないことを考慮し、感電又は火災のおそれがないように施設するときは、この限りでない。

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