電気設備技術基準の解釈(重要条文抜粋)
はじめに
電気設備技術基準の解釈(改正 20180824保局第2号 平成30年10月1日付け)のうち,第二種電気工事士の筆記試験で出題される重要条文を抜粋したものです。
この電気設備の技術基準の解釈(以下「解釈」という。)は、電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号。以下「省令」という。)に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容をできるだけ具体的に示したものである。なお、省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容はこの解釈に限定されるものではなく、省令に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、省令に適合するものと判断するものである。
この解釈において、性能を規定しているものと規格を規定しているものとを併記して記載しているものは、いずれかの要件を満たすことにより、省令を満足することを示したものである。
第1章 総則
第1節 通則
第1条 用語の定義
- 屋内配線
- 屋内の電気使用場所において,固定して施設する電線
- 屋側配線
- 屋内の電気使用場所において,当該電気使用場所における電気の使用を目的として,造営物に固定して施設する電線
- 管灯回路
- 放電灯用安定器又は放電灯用変圧器からの放電管までの電路
- 弱電流電線
- 弱電流電気の伝送に使用する電気導体,絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体
- 工作物
- 人により加工された全ての物体
- 造営物
- 工作物のうち,土地に定着するものであって,屋根及び柱又は壁を有するもの
- 建造物
- 造営物のうち,人が居住若しくは勤務し,又は頻繁に出入り若しくは来集するもの
- 水気のある場所
- 水を扱う場所若しくは雨露にさららされる場所その他水滴が飛散する場所,又は常時水が漏出し若しくは結露する場所
- 湿気の多い場所
- 水蒸気が充満する場所又は湿度が著しく高い場所
- 乾燥した場所
- 湿度が多い場所及び水気のある場所以外の場所
- 点検できない隠ぺい場所
- 天井ふところ,壁内又はコンクリート床内等,工作物を破壊しなければ電気設備に接近し,又は電気設備を点検できない場所
- 点検できる隠ぺい場所
- 点検口がある天井裏,戸棚又は押入れ等,容易に電気設備に接近し,又は電気設備を点検できる隠ぺい場所
- 展開した場所
- 点検できない隠ぺい場所及び点検できる隠ぺい場所以外の場所
- 難燃性
- 炎を当てても燃え広がらない性質
- 自消性のある難燃性
- 難燃性であって,炎を除くと自然に消える性質
- 不燃性
- 難燃性のうち,炎を当てても燃えない性質
- 耐火性
- 不燃性のうち,炎により加熱された状態においても著しく変形又は破壊しない性質
- 接触防護措置
- 次のいずれかに適合するように施設することをいう。
- 設備を,屋内にあっては床上 2.3 m 以上,屋外にあっては地表上 2.5 m 以上の高さに,かつ,人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に施設すること。
- 設備に人が接近又は接触しないよう,さく,へい等を設け,又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
- 簡易接触防護措置
- 次のいずれかに適合するように施設することをいう。
- 設備を,屋内にあっては床上 1.8 m 以上,屋外にあっては地表上 2 m 以上の高さに,かつ,人が通る場所から容易に触れることのない範囲に施設すること。
- 設備に人が接近又は接触しないよう,さく,へい等を設け,又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
第2節 電線
第12条 電線の接続法
電線を接続する場合は,電線の電気抵抗を増加させないように接続するとともに,次の各号によること。
- 裸電線相互,又は裸電線と絶縁電線,キャプタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は,次によること。
- 電線の引張強さを 20 % 以上減少させないこと。
- 接続部分には,接続管とその他の器具を使用し,又はろう付けすること。
- 絶縁電線相互又は絶縁電線とコード,キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は,前号の規定に準じるほか,次のいずれかによること。
- 接続部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用すること。
- 接続部分をその部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆すること。
第3節 電路の絶縁及び接地
第13条 電路の絶縁
電路は,次の各号に掲げる部分を除き大地から絶縁すること。
- この解釈の規定により接地工事を施す場合の接地点
- 絶縁できないことがやむを得ない部分
第14条 低圧電路の絶縁性能
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路は,【低圧屋内電路の引込口における開閉器の施設】【低圧幹線の施設】【低圧分岐回路等の施設】の規定により施設する開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第58条 【低圧の電路の絶縁性能】によること。
- 絶縁抵抗測定が困難な場合においては,当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が, 1 mA 以下であること。
第17条 接地工事の種類及び施設方法
C 種接地工事は,次の各号によること。
- 接地抵抗値は, 10 Ω(低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは, 500 Ω)以下であること。
- 接地線は,次に適合するものであること。
- 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
- 引張強さ 0.39 kN 以上の容易に腐食し難い金属線又は直径 1.6 mm 以上の軟銅線であること。
D 種接地工事は,次の各号によること。
- 接地抵抗値は, 100 Ω(低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは, 500 Ω)以下であること。
- 接地線は,C 種接地工事の規定に準じること。
C 種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が 10 Ω 以下である場合は,C 種接地工事を施したものとみなす。
D 種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100 Ω以下である場合は,D 種接地工事を施したものとみなす。
第4節 電気機械器具の保安原則
第 29 条 機械器具の金属製外箱等の接地
電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱(以下この条において「金属製外箱等」という。)(外箱のない変圧器又は計器用変成器にあっては,鉄心)には,使用電圧の区分に応じ,29-1表に規定する接地工事を施すこと。ただし,外箱を充電して使用する機械器具に人が触れるおそれがないようにさくなどを設けて施設する場合又は絶縁台を設けて施設する場合は,この限りでない。
機械器具の使用電圧の区分 | 接地工事 | |
---|---|---|
低圧 | 300 V 以下 | D種接地工事 |
300 V 超過 | C種接地工事 | |
高圧 又は 特別高圧 | A種接地工事 |
機械器具が小出力発電設備である燃料電池発電設備である場合を除き,次の各号のいずれかに該当する場合は,第 1 項の規定によらないことができる。
- 交流の対地電圧が150 V 以下又は直流の使用電圧が300 V 以下の機械器具を,乾燥した場所に施設する場合
- 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
- 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
- 低圧用の機械器具に電気を供給する電路の電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧が 300 V 以下であって,容量が 3 kVA 以下のものに限る。)を施設し,かつ,当該絶縁変圧器の負荷側の電路を接地しない場合
- 水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流が 15 mA 以下,動作時間が 0.1 秒 以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合
- 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける場合
- 外箱のない計器用変成器がゴム,合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合
第5節 過電流,地絡及び異常電圧に対する保護対策
第33条 低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等
低圧電路に施設する過電流遮断器は,これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものであること。
過電流遮断器として低圧電路に施設するヒューズは,水平に取り付けた場合において,次の各号に適合するものであること。
- 定格電流の 1.1 倍の電流に耐えること。
- 33-1表の左欄に掲げる定格電流の区分に応じ,定格電流の 1.6 倍及び 2 倍の電流を通じた場合において,それぞれ同表の右欄に掲げる時間内に溶断すること。
定格電流の区分 | 時間 | |
---|---|---|
定格電流の 1.6 倍の電流を通じた場合 | 定格電流の 2 倍の電流を通じた場合 | |
30 A 以下 | 60 分 | 2 分 |
30 A を超え 60 A 以下 | 60 分 | 4 分 |
60 A を超え 100 A 以下 | 120 分 | 6 分 |
100 A を超え 200 A 以下 | 120 分 | 8 分 |
200 A を超え 400 A 以下 | 180 分 | 10 分 |
400 A を超え 600 A 以下 | 240 分 | 12 分 |
600 A 超過 | 240 分 | 20 分 |
過電流遮断器として低圧電路に施設する配線用遮断器は,次の各号に適合するものであること。
- 定格電流の 1 倍の電流で自動的に動作しないこと。
- 33-2表の左欄に掲げる定格電流の区分に応じ,定格電流の 1.25 倍及び 2 倍の電流を通じた場合において,それぞれ同表の右欄に掲げる時間内に自動的に動作すること。
定格電流の区分 | 時間 | |
---|---|---|
定格電流の 1.25 倍の電流を通じた場合 | 定格電流の 2 倍の電流を通じた場合 | |
30 A 以下 | 60 分 | 2 分 |
30 A を超え 50 A 以下 | 60 分 | 4 分 |
50 A を超え 100 A 以下 | 120 分 | 6 分 |
100 A を超え 225 A 以下 | 120 分 | 8 分 |
225 A を超え 400 A 以下 | 120 分 | 10 分 |
400 A を超え 600 A 以下 | 120 分 | 12 分 |
第36条 地絡遮断装置の施設
金属製外箱を有する使用電圧 60 V を超える低圧の機械器具に接続する電路には,電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
- 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
- 機械器具が次のいずれかの場所に施設する場合
- 発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所
- 乾燥した場所
- 機械器具の対地電圧が 150 V 以下の場合においては,水気のある場所以外の場所
- 機械器具が,次のいずれかに該当するものである場合
- 電気用品安全法の適用を受ける 2 重絶縁構造のもの
- ゴム,合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの
- 誘導電動機の 2 次側電路に接続されるもの
- 機械器具に施された C 種接地工事 又は D 種接地工事の接地抵抗が 3 Ω以下の場合
- 電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が 300 V 以下のものに限る。)を施設するとともに,当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合
- 機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け,かつ,電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
- 機械器具を太陽電池モジュールに接続する直流電路に施設し,かつ,当該電路が次に適合する場合
- 直流電路は,非接地であること。
- 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設すること。
- 直流電路の対地電圧は,450 V 以下であること。
- 電路が,管灯回路である場合
第5章 電気使用場所の施設及び小出力発電設備
第1節 電気使用場所の施設及び小出力発電設備の通則
第142条 電気使用場所の施設及び小出力発電設備に係る用語の定義
- 低圧幹線
- 第147条【低圧屋内電路の引込口における開閉器の施設】の規定により施設した開閉器又は変電所に準ずる場所に施設した低圧開閉器を起点とする,電気使用場所に施設する低圧の電路であって,当該電路に,電気機械器具(配線器具を除く。以下この条において同じ。)に至る低圧電路であって過電流遮断器を施設するものを接続するもの
- 低圧分岐回路
- 低圧幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧電路
- 低圧配線
- 低圧の屋内配線,屋側配線及び屋外配線
- 屋内配線
- 屋内に施設する電線路の電線及び屋内配線
- 移動電線
- 電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しないものをいい、電球線及び電気機械器具内の電線を除く。
- 配線器具
- 開閉器、遮断器、接続器その他これらに類する器具
第143条 電路の対地電圧の制限
住宅の屋内配線(電気機械器具内の電路を除く。)の対地電圧は,150 V 以下であること。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
- 定格消費電力が 2 kW 以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合
- 屋内配線は,当該電気機械器具のみに電気を供給するものであること。
- 電気機械器具の使用電圧及びこれに電気を供給する屋内配線の対地電圧は,300 V 以下であること。
- 屋内配線には,簡易接触防護措置を施すこと。
- 電気機械器具には,簡易接触防護措置を施すこと。
- 電気機械器具は,屋内配線と直接接続して施設すること。
- 電気機械器具に電気を供給する電路には,専用の開閉器及び過電流遮断器を施設すること。ただし,過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は,過電流遮断器のみとすることができる。
- 電気機械器具に電気を供給する電路には,電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
- 当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線を次により施設する場合
- 屋内配線の対地電圧は,300 V 以下であること。
- 人が触れるおそれがない隠ぺい場所に合成樹脂管工事,金属管工事又はケーブル工事により施設すること。
第146条 低圧配線に使用する電線
低圧配線は,直径 1.6 mm の軟銅線若しくはこれと同等以上の強さ及び太さのもの又は断面積が 1 mm² 以上の MI ケーブルであること。
低圧配線に使用する,600 V ビニル絶縁電線,600 V ポリエチレン絶縁電線,600 V ふっ素樹脂絶縁電線及び 600 V ゴム絶縁電線の許容電流は,次の各号によること。ただし,短時間の許容電流については,この限りでない。
- 単線(solid wire)にあっては,146-1表に,成形単線又はより線(stranded wire)にあっては146-2表にそれぞれ規定する許容電流に,第二号に規定する係数を乗じた値であること。
- 第一号の規定における係数は,次によること。
- 146-3表(掲載略)に規定する許容電流補正係数の計算式により計算した値であること。
- 絶縁電線を,合成樹脂管,金属管,金属可とう電線管又は金属線ぴに収めて使用する場合は,イの規定により計算した値に,更に146-4表に規定する電流減少係数を乗じた値であること。
導体の直径 [mm] | 許容電流 [A] |
---|---|
軟銅線又は硬銅線 | |
1.0 以上 1.2 未満 | 16 |
1.2 以上 1.6 未満 | 19 |
1.6 以上 2.0 未満 | 27 |
2.0 以上 2.6 未満 | 35 |
2.6 以上 3.2 未満 | 48 |
3.2 以上 4.0 未満 | 62 |
4.0 以上 5.0 未満 | 81 |
5.0 | 107 |
導体の公称断面積 [mm²] | 許容電流 [A] |
---|---|
軟銅線又は硬銅線 | |
0.9 以上 1.25 未満 | 17 |
1.25 以上 2 未満 | 19 |
2 以上 3.5 未満 | 27 |
3.5 以上 5.5 未満 | 37 |
5.5 以上 8 未満 | 49 |
8 以上 14 未満 | 61 |
14 以上 22 未満 | 88 |
22 以上 30 未満 | 115 |
30 以上 38 未満 | 139 |
38 以上 50 未満 | 162 |
同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
---|---|
3 以下 | 0.7 |
4 | 0.63 |
5 又は 6 | 0.56 |
7 以上 15以下 | 0.49 |
16 以上 40以下 | 0.43 |
41 以上 60 以下 | 0.39 |
61 以上 | 0.34 |
第147条 低圧屋内電路の引込口における開閉器の施設
低圧屋内電路には,引込口に近い箇所であって,容易に開閉することができる箇所に開閉器を施設すること。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
- 低圧屋内電路の使用電圧が 300 V 以下であって,他の屋内電路(定格電流が 15 A 以下の過電流遮断器又は定格電流が 15 A を超え 20 A 以下の配線用遮断器で保護されているものに限る。)に接続する長さ 15 m 以下の電路から電気の供給を受ける場合
- 低圧屋内電路に接続する電源側の電路(当該電路に架空部分又は屋上部分がある場合は,その架空部分又は屋上部分より負荷側にある部分に限る。)に,当該低圧屋内電路に専用の開閉器を,これと同一の構内であって容易に開閉することができる箇所に施設する場合
第148条 低圧幹線の施設
低圧幹線は,次の各号によること。
- 損傷を受けるおそれがない場所に施設すること。
- 電線の許容電流は,低圧幹線の各部分ごとに,その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計以上であること。ただし,当該低圧幹線に接続する負荷のうち,電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(以下,「電動機等」という。)の定格電流の合計が,他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は,他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。
- 電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下の場合は,その定格電流の合計の 1.25 倍
- 電動機等の定格電流の合計が 50 A を超える場合は,その定格電流の合計の 1.1 倍
- 前号の規定における電流値は,需要率,力率等が明らかな場合には,これらによって適当に修正した値とすることができる。
- 低圧幹線の電源側電路には,当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
- 低圧幹線の許容電流が,当該低圧幹線の電源側に接続するほかの低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 55 % 以上である場合
- 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイに掲げる低圧幹線に接続する長さ 8 m 以下の低圧幹線であって,当該低圧幹線の許容電流が,当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 35 % 以上である場合
- 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又はイ若しくはロに掲げる低圧幹線に接続する長さ 3 m 以下の低圧幹線であって,当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合
- 低圧幹線に電気を供給する電源が太陽電池のみであって,当該低圧幹線の許容電流が,当該低圧幹線を通過する最大短絡電流以上である場合
- 前号の規定における「当該低圧幹線を保護する過電流遮断器」は,その定格電流が,当該低圧幹線の許容電流以下のものであること。ただし,低圧幹線に電動機等が接続される場合の定格電流は,次のいずれかによることができる。
- 電動機等の定格電流の合計の 3 倍に,他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。
- イの規定による値が当該低圧幹線の許容電流を 2.5 倍した値を超える場合は,その許容電流を 2.5 倍した値以下であること。
- 当該低圧幹線の許容電流が 100 A を超える場合であって,イ又はロの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは,イ又はロの規定による値の直近上位の標準定格であること。
第149条 低圧分岐回路等の施設
低圧分岐回路には,次の各号により過電流遮断器及び開閉器を施設すること。
- 低圧幹線との分岐点から電線の長さが 3 m 以下の箇所に,過電流遮断器を施設すること(下図 A)。ただし,分岐点から過電流遮断器までの電線が,次のいずれかに該当する場合は,分岐点から 3 m を超える箇所に施設することができる。
- 電線の許容電流が,その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 55 % 以上である場合(下図 B)
- 電線の長さが 8 m 以下であり,かつ,電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 35 % 以上であること。
第150条 配線器具の施設
低圧用の配線器具は,次の各号により施設すること。
- 充電部分が露出しないように施設すること。ただし,取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合は,この限りでない。
- 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は,防湿処置を施すこと。
- 配線器具に電線を接続する場合は,ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続するとともに,接続点に張力が加わらないようにすること。
- 屋外において電気機械器具に施設する開閉器,接続器,点滅器その他の器具は,損傷を受けるおそれがある場合には,これに堅ろうな防護措置を施すこと。
第153条 電動機の過負荷保護装置の施設
屋内に施設する電動機には,電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し,又はこれを警報する装置を設けること。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
- 電動機を運転中,常時,取扱者が監視できる位置に施設する場合
- 電動機の構造上又は負荷の性質上,その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
- 電動機が単相のものであって,その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が 15 A (配線用遮断器にあっては, 20 A )以下の場合
- 電動機の出力が 0.2 kW 以下の場合
第2節 配線等の施設
第156条 低圧屋内配線の施設場所による工事の種類
低圧屋内配線は,次の各号に掲げるものを除き,156-1表に規定する工事のいずれかにより施設すること。
- 【特殊な配線等の施設】(ショウウィンドー又はショウケース内の低圧屋内配線)の規定により施設するもの
- 【粉じんの多い場所の施設】【可燃性ガス等の存在する場所の施設】【危険物等の存在する場所の施設】【火薬庫の電気設備の施設】までに規定する場所に施設するもの
施設場所の区分 | 使用電圧の区分 | 工事の種類 | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
がいし引き工事 | 合成樹脂管工事 | 金属管工事 | 金属可とう電線管工事 | 金属線ぴ工事 | 金属ダクト工事 | バスダクト工事 | ケーブル工事 | フロアダクト工事 | セルラダクト工事 | ライティングダクト工事 | 平形保護層工事 | |||
展開した場所 | 乾燥した場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
湿気の多い場所又は水気のある場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
点検できる隠ぺい場所 | 乾燥した場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
湿気の多い場所又は水気のある場所 | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
点検できない隠ぺい場所 | 乾燥した場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
湿気の多い場所又は水気のある場所 | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
第158条 合成樹脂管工事
合成樹脂管工事による低圧屋内配線の電線は,次の各号によること。
- 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- より線又は直径 3.2 mm(アルミ線にあっては,4 mm)以下の単線であること。ただし,短小な合成樹脂管に収めるものは,この限りでない。
- 合成樹脂管内では,電線に接続点を設けないこと。
第159条 金属管工事
金属管工事による低圧屋内配線の電線は,次の各号によること。
- 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- より線又は直径 3.2 mm(アルミ線にあっては,4 mm)以下の単線であること。ただし,短小な金属管に収めるものは,この限りでない。
- 金属管内では,電線に接続点を設けないこと。
第160条 金属可とう電線管工事
金属可とう電線管工事による低圧屋内配線の電線は,次の各号によること。
- 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- より線又は直径 3.2 mm(アルミ線にあっては,4 mm)以下の単心のものであること。
- 電線管内では,電線に接続点を設けないこと。
第161条 金属線ぴ工事
金属線ぴ工事による低圧屋内配線の電線は,次の各号によること。
- 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- 線ぴ内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,次に適合する場合は,この限りでない。
- 電線を分岐する場合であること。
- 線ぴは,電気用品安全法の適用を受ける 2 種金属製線ぴであること。
- 接続点を容易に点検できるように施設すること。
- 線ぴには,D 種接地工事を施すこと。
- 線ぴ内の電線を外部に引き出す部分は,線ぴの貫通部分で電線が損傷するおそれがないように施設すること。
第162条 金属ダクト工事
金属ダクト工事による低圧屋内配線の電線は,次の各号によること。
- 絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- ダクトに収める電線の断面積(絶縁被覆の断面積を含む。)の総和は,ダクトの内部断面積の 20 % 以下であること。ただし,電光サイン装置,出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等(自動制御回路,遠方操作回路,遠方監視装置の信号回路その他これらに類する電気回路をいう。)の配線のみを収める場合は,50 % 以下とすることができる。
- ダクト内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,電線を分岐する場合において,その接続点が容易に点検できるときは,この限りでない。
- ダクト内の電線を外部に引き出す部分は,ダクトの貫通部分で電線が損傷するおそれがないように施設すること。
- ダクト内には,電線の被覆を損傷するおそれがあるものを収めないこと。
- ダクトを垂直に施設する場合は,電線をクリート等で堅固に支持すること。
第163条 バスダクト工事
バスダクト工事による低圧屋内配線は,次の各号によること。
- ダクト相互及び電線相互は,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続すること。
- ダクトを造営材に取り付ける場合は,ダクトの支持点間の距離を 3 m(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において,垂直に取り付ける場合は,6 m )以下とし,堅ろうに取り付けること。
- ダクト(換気型のものを除く。)の終端部は,閉そくすること。
- ダクト(換気型のものを除く。)の内部にじんあいが侵入し難いようにすること。
- 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は,屋外用バスダクトを使用し,バスダクト内部に水が浸入してたまらないようにすること。
- 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,ダクトには,D 種接地工事を施すこと。
- 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,ダクトには,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施すダクトと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は,D 種接地工事によることができる。
第164条 ケーブル工事
ケーブル工事による低圧屋内配線は,次項及び第3項に規定するものを除き,次の各号によること。
- 電線は,164-1 表に規定するものであること。
- 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には,適当な防護装置を設けること。
- 電線を造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合は,電線の支持点間の距離をケーブルにあっては 2 m (接触防護措置を施した場所において垂直に取り付ける場合は, 6 m )以下,キャブタイヤケーブルにあっては 1 m 以下とし,かつ,その被覆を損傷しないように取り付けること。
- 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,管その他の電線を収める防護装置の金属製部分,金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体には,D 種接地工事を施すこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,管その他の電線を収める防護装置の金属製部分については,この限りでない。
- 防護装置の金属製部分の長さが 4 m 以下のものを乾燥した場所に施設する場合
- 屋内配線の使用電圧が直流 300 V 又は交流対地電圧 150 V 以下の場合において,防護装置の金属製部分の長さが 8 m 以下のものに簡易接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき
- 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,管その他の電線を収める防護装置の金属製部分,金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体には,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は,D 種接地工事によることができる。
第165条 特殊な低圧屋内配線工事
フロアダクト工事による低圧屋内配線は,次の各号によること。
- 電線は,絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- 電線は,より線又は直径 3.2 mm (アルミ線にあっては,4 mm )以下の単線であること。
- フロアダクト内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,電線を分岐する場合において,その接続点が容易に点検できるときは,この限りでない。
- 略
- フロアダクト工事に使用するフロアダクト及びボックスその他の附属品は、次により施設すること。
- ダクト相互並びにダクトとボックス及び引出口とは、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続すること。
- ダクト及びボックスその他の附属品は、水のたまるような低い部分を設けないように施設すること。
- ボックス及び引出口は、床面から突出しないように施設し、かつ、水が浸入しないように密封すること。
- ダクトの終端部は、閉そくすること。
- ダクトには、D種接地工事を施すこと。(関連省令第10条、第11条)
2 セルラダクト工事による低圧屋内配線は,次の各号によること。
- 電線は,絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
- 電線は,より線又は直径 3.2 mm (アルミ線にあっては,4 mm )以下の単線であること。
- セルラダクト内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,電線を分岐する場合において,その接続点が容易に点検できるときは,この限りでない。
- セルラダクト内の電線を外部に引き出す場合は,当該セルラダクトの貫通部分で電線が損傷するおそれがないように施設すること。
- 略
3 ライティングダクト工事による低圧屋内配線は,次の各号によること。
- ダクト及び附属品は,電気用品安全法の適用を受けるものであること。
- ダクト相互及び電線相互は,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続すること。
- ダクトは,造営材に堅ろうに取り付けること。
- ダクトの支持点間の距離は, 2 m 以下とすること。
- ダクトの終端部は,閉そくすること。
- ダクトの開口部は,下に向けて施設すること。
- ダクトは,造営材を貫通しないこと。
- ダクトには,D 種接地工事を施すこと。
- ダクトの導体に電気を供給する電路には,当該電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし,ダクトに簡易接触防護措置(金属製のものであって,ダクトの金属製部分と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は,この限りでない。
過去問題
第166条 低圧の屋側配線又は屋外配線の施設
施設場所の区分 | 使用電圧の区分 | 工事の種類 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
がいし引き工事 | 合成樹脂管工事 | 金属管工事 | 金属可とう電線管工事 | バスダクト工事 | ケーブル工事 | ||
展開した場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
点検できる隠ぺい場所 | 300 V 以下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
300 V 超過 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
点検できない隠ぺい場所 | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
第171条 移動電線の施設
低圧の移動電線は,第181条第1項第七号(第182条第五号において準用する場合を含む。)に規定するものを除き,次の各号によること。
- 電線の断面積は,0.75 mm2 以上であること。
- 電線は,171-1表に規定するものであること。
電線の種類 | 区分 | |||
---|---|---|---|---|
使用電圧が 300 V 以下のもの | 使用電圧が 300 V を超えるもの | |||
屋内に施設する場合 | 屋側又は屋外に施設する場合 | |||
ビニルコード | △ ※1 | |||
ビニルキャプタイヤコード | △ ※1 | △ ※2 |
(備考)
- ○は,使用できることを示す。
- △は,次に掲げるものに附属する移動電線として使用する場合に限り使用できることを示す。
- 差込み接続器を介さないで直接接続される放電灯,扇風機,電気スタンドその他の電気を熱として利用しない電気機械器具(配線器具を除く。以下この条において同じ。)
- 電気温水器その他の高温部が露出せず,かつ,これに電線が触れるおそれがない構造の電熱器であって,電熱器と移動電線との接続部の温度が80℃以下であり,かつ,電熱器の外面の温度が100℃を超えるおそれがないもの
- 移動点滅器
- ▲は,電気を熱として利用しない電気機械器具に附属する移動電線に限り使用できることを示す。
過去問題
第4節 特殊機器等の施設
第186条 ネオン放電灯の施設
管灯回路の使用電圧が1,000V以下のネオン放電灯(放電管にネオン放電管を使用する放電灯をいう。以下,この条において同じ。)は,次の各号によること。
- 簡易接触防護措置を施すこと。
- 管灯回路の配線は,次によること。
- 電線は,けい光灯電線又はネオン電線であること。
- 電線は,看板枠内の側面又は下面に取り付け,かつ,電線と看板枠とは直接接触しないように施設すること。
- 電線の支持点間の距離は,1 m 以下であること。
- 略
- 放電灯用変圧器の外箱及び金属製の看板枠には,D種接地工事を施すこと。
- 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設するネオン放電灯には適当な防湿装置を施すこと。
2 管灯回路の使用電圧が1,000Vを超えるネオン放電灯は,次の各号によること。
- 簡易接触防護措置を施すとともに,危険のおそれがないように施設すること。
- 放電灯用変圧器は,電気用品安全法の適用を受けるネオン変圧器であること。
- 管灯回路の配線は,次によること。
- 展開した場所又は点検できる隠ぺい場所に施設すること。
- がいし引き工事により,次に適合するように施設すること。
- 電線は,ネオン電線であること。
- 電線は,造営材の側面又は下面に取り付けること。
- 電線の支持点間の距離は,1 m 以下であること。
- 電線相互の間隔は,6 cm 以上であること。
- 管灯回路の配線又は放電管の管極部分が造営材を貫通する場合は,その部分を難燃性及び耐水性のある堅ろうな絶縁管に収めること。
- ネオン変圧器の外箱には,D種接地工事を施すこと。
- ネオン変圧器の2次側電路を接地する場合は,次によること。
- 2次側電路に地絡が生じたときに自動的に当該電路を遮断する装置を施設すること。
- 接地線には,引張強さ 0.39 kN 以上の容易に腐食し難い金属線又は直径 1.6 mm 以上の軟銅線であって,故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものを使用すること。
- 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設するネオン放電灯には適当な防湿装置を施すこと。