平成21年度 第二種電気工事士 筆記試験 解答と解説

2020年9月27日作成,2023年5月13日更新

本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$

平成21年度 第二種電気工事士 筆記試験
No. 問い 答え
1

図のような直流回路で,a-b 間の電圧 [V] は。

  1. 10
  2. 20
  3. 30
  4. 40

回路に流れる電流は,

\[ \frac{100-(-100)}{20+30}=4 \]

a-b 間の電圧 [V] は,

100 - 20 × 4 = 20 [V]

よって,答えは b. である。

2

コイルに 100 [V],50 [Hz] の交流電圧を加えたら 6 [A] の電流が流れた。このコイルに 100 [V],60 [Hz] の交流電圧を加えたときに流れる電流 [A] は。

ただし,コイルの抵抗は無視できるものとする。

  1. 2
  2. 3
  3. 4
  4. 5

100 [V],60 [Hz] の交流電圧を加えると,電流は 50/60 となる。

よって,答えは d. である。

3

照度の単位は。

  1. F
  2. lm
  3. H
  4. lx

答えは d. である。

ルクス(lux,略記号:lx)は,国際単位系(SI)における照度の単位である。SI 組立単位「ルーメン毎平方メートル」(lm/m²)に与えられた固有の名称であり,日本の計量単位令では「1 平方メートルの面が 1 ルーメンの光束で照らされるときの照度」と定義されている。

4

直径 2.6 [mm],長さ 10 [m] の銅導線と抵抗値が最も近い銅導線は。

  1. 直径 1.6 [mm],長さ 20 [m]
  2. 断面積 5.5 [mm²],長さ 10 [m]
  3. 直径 3.2 [mm],長さ 5 [m]
  4. 断面積 8 [mm²],長さ 10 [m]

電線の抵抗 $R$ [Ω] は抵抗率 $\rho$ [Ω·mm2/m],電線の長さ $l$ [m],電線の断面積 $\displaystyle A=\frac{\pi D^{2}}{4}$ [mm2]を用いて次式で表される。

\[ R=\rho\frac{l}{A}=\rho\frac{4l}{\pi D^{2}} \]

答えは b. である。

5

図のような交流回路で,負荷に対してコンデンサ C を設置して,力率を 100 [%] に改善した。このときの電流計の指示値は。

  1. 零になる。
  2. コンデンサ設置前と比べて増加する。
  3. コンデンサ設置前と比べて減少する。
  4. コンデンサ設置前と比べて変化しない。

答えは c. である。

6

図のような単相 2 線式回路において,c-c' 間の電圧が 100 [V] のとき,a-a' 間の電圧 [V] は。

ただし,$r$ は電線の電気抵抗 [Ω] とする。

  1. 102
  2. 103
  3. 104
  4. 105

a-a' 間の電圧は,

100 + 2 × (10 × 0.1 + 15 × 0.1) = 105 [V]

よって,答えは d. である。

7

図のような負荷が接続されている単相 3 線式回路において,図中の×印点で断線した場合,b-c 間の電圧 [V] は。

ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

  1. 60
  2. 80
  3. 120
  4. 160

断線後,回路に流れる電流は,

200 ÷ (10+40) = 4 [A]

b-c 間の電圧は,

40 × 4 = 160 [V]

よって,答えは d. である。

8

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 1.6 [mm] の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)5 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。

ただし,周囲の温度は 30 [°C] 以下,電流減少係数は 0.56 とする。

  1. 10
  2. 15
  3. 19
  4. 27

直径 1.6 [mm] の軟銅線の許容電流は 27 [A] であるので,管内に 5 本を収めて施設した場合の許容電流は,

27 × 0.56 = 15.12 [A]

よって,答えは b. である。

9

図のように定格電流 125 [A] の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 [m] の位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は。

  1. 44
  2. 57
  3. 69
  4. 89

電技解釈第171条より,分岐回路の許容電流は,

125 × 0.55 = 68.75 [A]

よって,答えは c. である。

10

定格電流 10 [A] の電動機 10 台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する電流の最小値 [A] は。

ただし,需要率は 80 [%] とする。

  1. 88
  2. 100
  3. 110
  4. 138

電動機の定格電流の合計は,需要率が 80 [%] であることを考慮して,

10 × 10 × 0.80 = 80 [A]

電技解釈第170条より,電動機の定格電流の合計が,その他の負荷電流の合計よりも大きく,電動機の定格電流が 50 [A] よりも大きいので,幹線の許容電流は,

1.1 × 80 = 88 [A]

よって,答えは a. である。

11

電気工事の種類と,その工事に使用する工具との組合せで,適切なものは。

  1. 合成樹脂管工事とパイプベンダ
  2. 合成樹脂線ぴ工事とリード型ねじ切り器
  3. 金属管工事と金切りのこ
  4. 金属線ぴ工事とボルトクリッパ

答えは c. である。

12

蛍光灯を,同じ消費電力の白熱電灯と比べた場合,正しいものは。

  1. 発光効率が高い。
  2. 雑音(電磁雑音)が少ない。
  3. 寿命が短い。
  4. 力率が良い。

答えは a. である。

13

アウトレットボックス(金属製)の使用方法として,不適切なものは。

  1. 金属管工事で管が屈曲する場所等で電線の引き入れを容易にするのに用いる。
  2. 配線用遮断器を集合して設置するのに用いる。
  3. 金属管工事で電線相互を接続する部分に用いる。
  4. 照明器具などを取り付ける部分で電線を引き出す場合に用いる。

答えは b. である。

14

三相誘導電動機を逆回転させるための方法は。

  1. 三相電源の 3 本の結線を 3 本とも入れ替える。
  2. 三相電源の 3 本の結線のうち,いずれか 2 本を入れ替える。
  3. コンデンサを取り付ける。
  4. スターデルタ始動器を取り付ける。

答えは b. である。

15

写真に示す器具の名称は。

配線用遮断器
  1. 漏電遮断器
  2. リモコンリレー
  3. 配線用遮断器
  4. 電磁接触器

答えは c. である。

配線用遮断器とは,配線に大きな電流が流れたときに,配線が熱くなるのを防止するために,電流を遮断するもの。

16

写真に示す材料の名称は。

銅線用裸圧着端子
  1. 銅線用裸圧着端子
  2. 銅管端子
  3. 銅線用裸圧着スリーブ
  4. ねじ込みコネクタ

答えは a. である。

圧着端子は,より線や単線の端末に圧着器で取り付けて,電気機器,開閉器などの接続部に接続するときに使う。

17

写真に示す物の用途は。

呼び線挿入器
  1. アウトレットボックス(金属製)と,そのノックアウトの径より外径の小さい金属管とを接続するために用いる。
  2. 電線やメッセンジャワイヤのたるみを取るのに用いる。
  3. 電線管に電線を通線するのに用いる。
  4. 金属管やボックスコネクタの端に取り付けて,電線の絶縁被覆を保護するために用いる。

答えは c. である。

呼び線挿入器という。

18

写真に示す器具の用途は。

防雨型コンセント
  1. 粉じんの多発する場所のコンセントとして用いる。
  2. 屋外のコードコネクタとして用いる。
  3. 爆発の危険性のある場所のコンセントとして用いる。
  4. 雨水のかかる場所のコンセントとして用いる。

答えはd.である。

防雨型コンセントという。

19

単相 3 線式 100/200 [V] 屋内配線の住宅用分電盤の工事を施工した。不適切なものは。

  1. ルームエアコン(単相 200 [V])の分岐回路に 2 極 1 素子の配線用遮断器を取り付けた。
  2. 電熱器(単相 100 [V])の分岐回路に 2 極 2 素子の配線用遮断器を取り付けた。
  3. 主開閉器の中性極に銅バーを取り付けた。
  4. 電灯専用(単相 100 [V])の分岐回路に 2 極 1 素子の配線用遮断器を用い,素子のない極に中性線を結線した。

答えは a. である。

20

木造住宅の金属板張り(金属系サイディング)の壁を貫通する部分の低圧屋内配線工事として,適切なものは。

ただし,金属管工事,可とう電線管工事に使用する電線は,600 V ビニル絶縁電線とする。

  1. 金属管工事とし,壁の金属板張りと電気的に完全に接続された金属管に D 種接地工事を施し,貫通施工した。
  2. 金属管工事とし,壁に小径の穴を開け,金属板張りと金属管とを接触させ,金属管を貫通施工した。
  3. ケーブル工事とし,壁の金属板張りを十分に切り開き,600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブルを合成樹脂管に収めて電気的に絶縁し,貫通施工した。
  4. 可とう電線管工事とし,壁の金属板張りを十分に切り開き,金属製可とう電線管を壁と電気的に接続し,貫通施工した。

答えは c. である。

21

三相誘導電動機回路の力率を改善するために使用する低圧進相コンデンサの取り付け場所で,最も適切なものは。

  1. 主開閉器の電源側に各台数分をまとめて電動機と並列に接続する。
  2. 手元開閉器の負荷側に電動機と並列に接続する。
  3. 手元開閉器の負荷側に電動機と直列に接続する。
  4. 手元開閉器の電源側に電動機と並列に接続する。

答えは b. である。

22

工事場所と低圧屋内配線工事との組合せで,不適切なものは。

  1. プロパンガスを他の小さな容器に小分けする場所・・・合成樹脂管工事
  2. 小麦粉をふるい分けする粉じんのある場所・・・厚鋼電線管を使用した金属管工事
  3. 石油を貯蔵する場所・・・厚鋼電線管で保護した600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルを用いたケーブル工事
  4. 自動車修理工場の吹き付け塗装作業を行う場所・・・厚鋼電線管を使用した金属管工事

答えは a. である。

23

硬質塩化ビニル電線管を切断し,その切断箇所にTSカップリングを使用して管相互を接続する場合,工具及び材料の使用順序として,最も適切なものは。

  1. 金切りのこ → ウエス(布) → 接着剤 → TS カップリング(挿入)
  2. 金切りのこ → 接着剤 → TS カップリング(挿入) → ウエス(布)
  3. 金切りのこ → 面取器 → TS カップリング(挿入) → 接着剤 → ウエス(布)
  4. 金切りのこ → 面取器 → ウエス(布) → 接着剤 → TS カップリング(挿入)

答えは d. である。

24

導通試験の目的として,誤っているものは。

  1. 電線の断線を発見する。
  2. 回路の接続の正誤を判別する。
  3. 器具への結線の未接続を発見する。
  4. 充電の有無を確認する。

答えは d. である。

充電の有無は検電によって確認する。

25

単相 3 線式回路の漏れ電流の有無を,クランプ形漏れ電流計を用いて測定する場合の測定方法として,正しいものは。

ただし,斜線で描かれた線は中性線を示す。

答えはイ.である。

26

工場の 400 [V] 三相誘導電動機への配線の絶縁抵抗値 [MΩ] 及びこの電動機の鉄台の接地抵抗値 [Ω] を測定した。

電気設備技術基準等に適合する測定値の組合せとして,適切なものは。

ただし,400 [V] 電路に施設された漏電遮断器の動作時間は 0.1 秒とする。

  1. 4.0 [MΩ],600 [Ω]
  2. 0.2 [MΩ],10 [Ω]
  3. 0.4 [MΩ],600 [Ω]
  4. 0.6 [MΩ],50 [Ω]

答えは d. である。

27

交流回路で単相負荷の力率を求める場合,必要な測定器の組合せとして,正しいものは。

  1. 電圧計,電流計,絶縁抵抗計
  2. 電圧計,電流計,電力計
  3. 電流計,電力計,接地抵抗計
  4. 電圧計,回路計,漏れ電流計

答えは b. である。

28

電気工事業の業務の適正化に関する法律に定める内容に,適合していないものは。

  1. 一般用電気工事の業務を行う登録電気工事業者は,第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の取得後電気工事に関し 3 年以上の実務経験を有する第二種電気工事士を,その業務を行う営業所ごとに,主任電気工事士として置かなければならない。
  2. 電気工事業者は,営業所ごとに帳簿を備え,経済産業省令で定める事項を記載し,5 年間保存しなければならない。
  3. 登録電気工事業者の登録の有効期限は 7 年であり,有効期間の満了後引き続き電気工事業を営もうとする者は,更新の登録を受けれなければならない。
  4. 一般用電気工事の業務を行う電気工事業者は,営業所ごとに,絶縁抵抗計,接地抵抗計並びに抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計を備えなければならない。

答えは c. である。

29

電気設備の技術基準を定める省令における電圧の低圧区分の組合せで,正しいものは。

  1. 直流 600 [V] 以下,交流 750 [V] 以下
  2. 直流 600 [V] 以下,交流 700 [V] 以下
  3. 直流 750 [V] 以下,交流 600 [V] 以下
  4. 直流 750 [V] 以下,交流 700 [V] 以下

答えは c. である。

30

電気用品安全法における電気用品に関する記述として,誤っているものは。

  1. 電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は,電気用品安全法に規定する義務を履行したときに,経済産業省令で定める方式による表示を付すことができる。
  2. 電気用品の製造,輸入又は販売の事業を行う者は,法令に定める表示のない電気用品を販売し,又は販売の目的で陳列してはならない。
  3. 電気用品を輸入して販売する事業を行う者は,輸入した電気用品に,JIS マークの表示をしなければならない。
  4. 電気工事士は,電気用品安全法に規定する表示の付されていない電気用品を電気工作物の設置又は変更の工事に使用してはならない。

答えは c. である。

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