平成22年度 第二種電気工事士 筆記試験 解答と解説

2020年9月26日作成,2023年5月13日更新

本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$

平成22年度 第二種電気工事士 筆記試験
No. 問い 答え
1

図のような回路で,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω] は。

  1. 1.5
  2. 1.8
  3. 2.4
  4. 3.0

合成抵抗は,

\[ \frac{(\frac{3\times3}{3+3}+3)\times3}{(\frac{3\times3}{3+3}+3)+3}=1.8 \]

よって,答えは b. である。

2

実効値が 105 [V] の正弦波交流電圧の最大値 [V] は。

  1. 105
  2. 148
  3. 182
  4. 210

正弦波交流電圧の最大値 [V] は,$\sqrt{2}\times105=148.05$ [V] である。

よって,答えは b. である。

3

抵抗率 $\rho$ [Ω·m],直径 $D$ [mm],長さ $L$ [m]の導線の電気抵抗 [Ω] を表す式は。

  1. $\displaystyle \frac{4\rho L}{\pi D}\times10^3$
  2. $\displaystyle \frac{4\rho L^2}{\pi D}\times10^3$
  3. $\displaystyle \frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6$
  4. $\displaystyle \frac{\rho L^2}{\pi D^2}\times10^6$

答えは c. である。

直径の単位が [mm] であることに注意する。

4

図のような回路で,抵抗に流れる電流が 6 [A],リアクタンスに流れる電流が 8 [A] であるとき,回路の力率 [%] は。

  1. 43
  2. 60
  3. 75
  4. 80

回路の力率 [%] は,

\[ \cos\theta=\frac{I_{R}}{I}\times100=\frac{6}{10}\times100=60 \]

よって,答えは b. である。

5

図のような三相 3 線式回路の全消費電力 [kW] は。

  1. 2.4
  2. 4.8
  3. 9.6
  4. 19.2

相電流 $I_p$ [A]は,

\[ I_{p}=\frac{V}{Z}=\frac{200}{\sqrt{8^2%2B6^2}}=20 \]

1 相当たりの消費電力 $W_p$ [kW] は,

\[ W_{p}=V_{p}I_{p}\cos\theta=200\times20\times\frac{8}{\sqrt{8^2+6^2}}/1000=3.2 \]

全消費電力 $W$ [kW] は,

\[ W=3W_{p}=3\times3.2=9.6 \]

よって,答えは c. である。

6

図のような単相 3 線式回路で電流計の指示値が最も小さいものは。

  1. スイッチ a,b を閉じた場合。
  2. スイッチ a,c を閉じた場合。
  3. スイッチ b,c を閉じた場合。
  4. スイッチ a,b,c を閉じた場合。

答えは d. である。

7

図のように,電線のこう長 8 [m] の配線により,消費電力 2 000 [W] の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 [V] であった。配線における電圧降下 [V] は。

ただし,電線の電気抵抗の長さ 1 000 [m] 当たり 3.2 [Ω] とする。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4

回路に流れる電流 $I$ [A]は,

\[ I=2000/100=2 \]

配線による電圧降下は,

\[ 2rI=2\times3.2\times\frac{8}{1000}\times20=1.024 \]

よって,答えは a. である。

8

定格電流 30 [A] の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと接続できるコンセントの記号の組合せとして,適切なものは。

ただし,電流減少係数は無視するものとする。

答えはハ.である。

電気設備の技術基準の解釈 第171条【分岐回路の施設】からの出題。

9

低圧屋内配線で,スイッチ S の操作によってシーリングライトが点灯すると確認表示灯が点灯し,シーリングライトが消灯すると確認表示灯も消灯する回路は。

答えはロ.である。

10

低圧の機器を人が容易に触れるおそれのある場所に施設する場合,それに電気を供給する電路に漏電遮断器の取り付けが省略できないものは。

  1. 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の庭園灯を施設した。
  2. 工場で 200 [V] の三相かご形誘導電動機を湿気のある場所に施設し,その鉄台の接地抵抗値が 80 [Ω] であった。
  3. 100 [V] ルームエアコンの屋外樹を水気のある場所に施設し,その金属製外箱の接地抵抗値が 80 [Ω] であった。
  4. 100 [V] の電気食器洗機を水気のある場所に施設し,その金属製外箱の接地抵抗値が 100 [Ω] であった。

答えは a. である。

11

コンセントの使用電圧と刃受の極配置との組合せとして,誤っているものは。

ただし,コンセントの定格電流は 15 [A] とする。

答えはイ.である。

イ.は OA 機器・白物家電等の設置箇所に使われるアース端子付コンセント(JIS C 8303 2 極接地極付コンセント 15 A 125 V)

ハ.は一般的な家庭用 100 V コンセント(JIS C 8303 2 極コンセント 15 A 125 V)

12

一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する記述で,誤っているものは。

  1. じか入れ(全電圧)での始動電流は全負荷電流の4~8倍程度である。
  2. 電源の周波数が 60 [Hz] から 50 [Hz] に変わると回転速度が増加する。
  3. 負荷が増加すると回転速度はやや低下する。
  4. 3 本の結線のうちいずれか 2 本を入れ替えると逆回転する。

同期回転速度 $N_s$ の式は,

\[ N_{s}=\frac{120f}{p} \]

であり,電源の周波数が 60 [Hz] から 50 [Hz] に変わると,回転速度は 50/60 倍となる。

よって,答えは b. である。

13

鋼製電線管の切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして,適切なものは。

  1. やすり,パイプレンチ,パイプベンダ
  2. リーマ,パイプレンチ,トーチランプ
  3. リーマ,金切りのこ,トーチランプ
  4. やすり,金切りのこ,パイプベンダ

答えは d. である。

金切りのこは,金属を切断するのこぎり。

パイプベンダは,金属管を曲げるのに用いる。

14

金属管工事において,絶縁ブッシングを使用する主な目的は。

  1. 金属管を造営材に固定するため。
  2. 金属管相互を接続するため。
  3. 電線の被覆を損傷させないため。
  4. 電線の接続を容易にするため。

答えは c. である。

15

写真に示す器具の名称は。

低圧進相コンデンサ
  1. 蛍光灯用安定器
  2. 低圧進相コンデンサ
  3. ネオン変圧器
  4. 水銀灯用安定器

答えは b. である。

低圧進相コンデンサとは,低圧回路に使う力率改善用のコンデンサ。遅れ電圧を進ませることで,力率を改善させる。

16

写真に示す工具の用途は。

合成樹脂管用カッタ
  1. 金属管の切断に使用する。
  2. ライティングダクトの切断に使用する。
  3. 硬質塩化ビニル管の切断に使用する。
  4. 金属線ぴの切断に使用する。

答えは c. である。

合成樹脂管用カッタで,塩ビカッタともいう。

17

写真に示す器具の名称は。

電磁接触器
  1. 電磁接触器
  2. 漏電遮断器
  3. 熱動継電器
  4. 漏電警報器

答えは a. である。

回路の開閉を電磁的に行う。

18

写真に示す材料の用途は。

ユニバーサル
  1. 金属管工事で直角に曲がる箇所に用いる。
  2. 屋外の金属管の端に取り付けて雨水の侵入を防ぐのに用いる。
  3. 金属管をボックスに接続するのに用いる。
  4. 金属管を鉄骨等に固定するのに用いる。

答えは a. である。

名称はユニバーサルである。

19

機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で,不適切なものは。

電気設備の技術基準の解釈 第29条【機械器具の鉄台及び外箱の接地】からの出題。

  1. 三相 200 [V] 電動機外箱の接地線に直径 1.6 [mm] の IV 電線を使用した。
  2. 単相 100 [V] 移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線として多心コードの断面積 0.75 [mm²] の 1 心を使用した。
  3. 一次側 200 [V],二次側 100 [V],3 [kV·A] の絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。
  4. 単相 100 [V] の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度 15 [mA],動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。

答えは d. である。

20

金属管工事による低圧屋内配線の施工方法として,不適切なものは。

  1. 太さ 25 [mm] の薄鋼電線管に断面積 8 [mm²] の 600 V ビニル絶縁電線 3 本を引き入れた。
  2. ボックス間の配管でノーマルベンドを使った屈曲箇所を 2 箇所設けた。
  3. 薄鋼電線管とアウトレットボックスとの接続部にロックナットを使用した。
  4. 太さ 25 [mm] の薄鋼電線管相互の接続にコンビネーションカップリングを使用した。

答えは d. である。

コンビネーションカップリングは,金属管と可とう電線管を接続するものであり,金属管相互の接続は,不適切である。

21

100 [V] の低圧屋内配線に,ビニル平形コード(断面積 0.75 [mm²])を絶縁性のある造営材に適当な留め具で取り付けて施設することができる場所又は箇所は。

  1. 乾燥した場所に施設し,かつ,内部を乾燥状態で使用するショウウインドウ内の外部から見えやすい場所
  2. 木造住宅の人の触れるおそれのない点検できる押し入れの壁面
  3. 木造住宅の人の触れるおそれのない点検できる天井裏
  4. 乾燥状態で使用する台所の床下収納庫

答えは a. である。

コードは,電球線か移動電線として使用することが限定されており,固定配線として敷設しないことと規定されている。ただし,ショーウィンドウやショーケースの内部配線だけは,固定することが可能。

22

住宅の屋内に三相 200 [V] のルームエアコンを施設した。工事方法として,適切なものは。

ただし,三相電源の対地電圧は 200 [V] で,ルームエアコン及び配線は人が容易に触れるおそれがないように施設するものとする。

  1. 定格消費電力が 1.5 [kW] のルームエアコンに供給する電路に,専用の配線用遮断器を取り付け,合成樹脂管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
  2. 定格消費電力が 1.5 [kW] のルームエアコンに供給する電路に,専用の漏電遮断器を取り付け,合成樹脂管工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。
  3. 定格消費電力が 2.5 [kW] のルームエアコンに供給する電路に,専用の配線用遮断器を取り付け,金属管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
  4. 定格消費電力が 2.5 [kW] のルームエアコンに供給する電路に,専用の配線用遮断器と漏電遮断器を取り付け,ケーブル工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。

答えは d. である。

23

低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せとして,正しいものは。

答えはロ.である。

  • E19・・・ねじなし電線管
  • PF19・・・合成樹脂製可とう電線管
  • VE16・・・硬質塩化ビニル電線管
  • 19・・・薄鋼電線管
24

図の交流回路は,負荷の電圧,電流,電力を測定する回路である。図中に a,b,c で示す計器の組合せとして,正しいものは。

  1. a : 電流計,b : 電圧計,c : 電力計
  2. a : 電力計,b : 電流計,c : 電圧計
  3. a : 電力計,b : 電圧計,c : 電流計
  4. a : 電圧計,b : 電流計,c : 電力計

答えは d. である。

電圧計は負荷に並列に,電流計は負荷に直列に接続する。

25

単相 3 線式 100/200 V の屋内配線において,開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの絶縁抵抗の最小値として,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に規定されている値 [MΩ] の組合せで,正しいものは。

  1. 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.1
  2. 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.2
  3. 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.2
  4. 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.4

答えは a. である。

26

三相かご形誘導電動機の回転方向を決定するため,三相交流の相順(相回転)を調べる測定器は。

  1. 回路計
  2. 回転計
  3. 検相器
  4. 検電器

答えは c. である。

27

分岐開閉器を開放して負荷を電源から完全に分離し,その負荷側の低圧屋内電路と大地間の絶縁抵抗を一括測定する方法として,適切なものは。

  1. 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
  2. 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。
  3. 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
  4. 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。

答えは a. である。

28

電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは。

電気工事士法 第4条【電気工事士免状】
第7項 電気工事士免状の交付,再交付,書換え及び返納に関し必要な事項は,政令で定める。

  1. 電気工事士は,電気工事の作業に電気用品安全法に定められた電気用品を使用する場合は,同法に定める適正な表示が付されたものを使用しなければならない。
  2. 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業を行うときは,電気工事士免状を携帯しなければならない。
  3. 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業を行うときは,電気設備に関する技術基準を定める省令に適合するよう作業を行わなければならない。
  4. 電気工事士は,住所を変更したときは,免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書き換えをしてもらわなければならない。

答えは d. である。

29

電気事業法の規定において,一般用電気工作物に関する記述として,正しいものは。

ただし,煙火以外の火薬類を製造する事業場等の需要設備を除く。

  1. 低圧で受電する需要設備は,出力25[kW]の内燃力を原動力とする火力発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
  2. 低圧で受電する需要設備は,小出力発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
  3. 高圧で受電する需要設備であっても,需要場所の業種によっては,一般用電気工作物になる場合がある。
  4. 高圧で受電する需要設備は,受電電力の容量,需要場所の業種にかかわらず,すべて一般用電気工作物となる。

答えは b. である。

30

電気工事士法において,第二種電気工事士免状の交付を受けている者であってもできない工事は。

電気工事士法 第3条【電気工事士等】
第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ,自家用電気工作物に係る電気工事(第三項に規定する電気工事を除く。第四項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて,経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。

  1. 一般用電気工作物のネオン工事
  2. 一般用電気工作物の接地工事
  3. 自家用電気工作物(500 [kW] 未満の需要設備)の地中電線用の管の設置工事
  4. 自家用電気工作物(500 [kW] 未満の需要設備)の非常用予備発電装置の工事

答えは d. である。

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