平成23年度 第二種電気工事士 下期 筆記試験 解答と解説

2020年9月25日作成,2023年5月13日更新

本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$

平成23年度 下期
No. 問い 答え
1

ビニル絶縁電線(単心)の導体の直径を $D$,長さを $L$ とするとき,この電線の抵抗と許容電流に関する記述として,誤っているものは。

  1. 電線の抵抗は,$L$ に比例する。
  2. 電線の抵抗は,$D^2$ に反比例する。
  3. 許容電流は,周囲の温度が上昇すると,大きくなる。
  4. 許容電流は,$D$ が大きくなると,大きくなる。

電線の抵抗 $R$ [Ω] は抵抗率 $\rho$ [Ω・mm2/m],電線の長さ $L$ [m] を用いて次式で表される。

\[ R=\rho\frac{4L}{\pi D^{2}} \]

上式によると,a.,b.,d. は正しい。

よって,答えは c. である。ビニル絶縁電線の許容電流は,温度上昇によって決まっており(被覆の絶縁物を損傷,劣化させてしまう),周囲の温度が上昇すると,許容電流は低くなる。

2

図のような交流回路で,リアクタンス 8 [Ω] の両端の電圧 $V$ [V] は。

  1. 43
  2. 57
  3. 60
  4. 80

回路に流れる電流は,次式で求められる。

\[ \frac{100}{\sqrt{6^2+8^2}}=10 \]

リアクタンス 8 [Ω] 両端の電圧 $V_\text{L}$ [V] は,$V_\text{L}=8\times10=80$ [V] である。よって,答えは d. である。

3

単相 200 [V] の回路に,消費電力 2.0 [kW],力率 80 [%] の負荷を接続した場合,回路に流れる電流 [A] は。

  1. 5.8
  2. 8.0
  3. 10.0
  4. 12.5

回路に流れる電流は,次式で求められる。

\[ I=\frac{P}{V\cos\theta}=\frac{2000}{200\times0.8}=12.5 \]

よって,答えはd.である。

4

図のように,遅れ力率の負荷に対してコンデンサ $C$ を設置して,力率を 100 [%] に改善した。このときの負荷両端の電圧 $V$ は。

ただし,$r$ は電線の抵抗である。

  1. コンデンサ設置前と比べて高くなる。
  2. コンデンサ設置前と比べて低くなる。
  3. コンデンサ設置前と比べて変化しない。
  4. 零になる。

答えは a. である。

5

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に 15 [A] の電流が流れた。線間電圧 $E$ [V] は。

  1. 120
  2. 169
  3. 208
  4. 240

線間電圧は,次式で求められる。

\[ \sqrt{3}\times15\times8=207.6 \]

よって,答えは c. である。

6

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に 2.0 [mm] の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)5 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。

ただし,周囲温度は 30 [°C] 以下,電流減少係数は 0.56 とする。

  1. 10
  2. 15
  3. 19
  4. 27

2.0 [mm] の絶縁電線(単線)の許容電流は 35 [A] であり,これに電流減少係数をかけると,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は,次式で求められる。

\[ 35\times0.56=19.6 \text{ [A]} \]

よって,答えはc.である。

7

図のような単相 3 線式回路で,電線1線当たりの抵抗が 0.1 [Ω],負荷に流れる電流がいずれも 10 [A] のとき,この電線路の電力損失 [W] は。

ただし,負荷は抵抗負荷とする。

  1. 30
  2. 80
  3. 120
  4. 160

答えは b. である。

8

図のような三相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が $r$ [Ω],線電流が $I$ [A] であるとき,電圧降下 $(V_1-V_2)$ [V] を示す式は。

  1. $\sqrt{3}I^{2}r$
  2. $\sqrt{3}Ir$
  3. $2Ir$
  4. $2\sqrt{3}Ir$

答えは b. である。

9

図のように,三相電動機と三相電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値 [A] は。

ただし,需要率は 100 [%] とする。

  1. 90
  2. 96
  3. 105
  4. 112

答えは b. である。

10

定格電流 30 [A] の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)

答えはイ.である。

11

金属管工事において使用されるリングレジューサの使用目的は。

  1. 両方とも回すことのできない金属管相互を接続するときに使用する。
  2. 金属管相互を直角に接続するときに使用する。
  3. 金属管の管端に取り付け,引き出す伝染の被覆を保護するときに使用する。
  4. アウトレットボックスのノックアウト(打ち抜き穴)の径が,それに接続する金属管の外径より大きいときに使用する。

答えは d. である。

12

電気工事の作業と,その作業で使用する工具の組合せとして誤っているものは。

  1. 金属製キャビネットに穴をあける作業とノックアウトパンチャ
  2. 薄鋼電線管を切断する作業とプリカナイフ
  3. 木造天井板に電線管を通す穴をあける作業と羽根ぎり
  4. 電線,メッセンジャワイヤ等のたるみを取る作業と張線器

答えは b. である。

プリカナイフは,2 種金属製可とう電線管(プリカチューブ)を切断するのに用いる。

13

低圧の地中電線路を直接埋設式により施設する場合に,使用できる電線は。

  1. 屋外用ビニル絶縁電線(OW)
  2. 600 V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)
  3. 引込用ビニル絶縁電線(DV)
  4. 600 V ビニル絶縁電線(IV)

答えは b. である。

電気設備に関する技術基準 第21条2【架空電線及び地中電線の感電の防止】地中電線(地中電線路の電線をいう。)には,感電のおそれがないよう,使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。

14

水銀灯に用いる安定器の使用目的は。

  1. 放電を安定させる。
  2. 力率を改善する。
  3. 雑音(電波障害)を防止する。
  4. 光束を増やす。

答えは a. である。

水銀灯は,放電を利用した照明器具である。放電は,放電電流が増えるほど,放電抵抗を小さくする。そのため,放電が不安定になるので,放電を安定させるために安定期を取り付ける。

15

写真に示す工具の用途は。

ホルソ
写真 ホルソ
  1. 金属管切り口の面取りに使用する。
  2. 木柱の穴あけに使用する。
  3. 鉄板,各種合金板の穴あけに使用する。
  4. コンクリート壁の穴あけに使用する。

答えは c. である。

工具の名称はホルソで,ドリルの先に付けて鋼板等に穴を空ける。

16

写真に示す材料の名称は。

合成樹脂製可とう電線管
  1. 合成樹脂線ぴ
  2. 硬質演歌ビニル電線管
  3. 合成樹脂製可とう電線管
  4. 金属製可とう電線管

答えは c. である。

曲がりの必要な場所に使用する。

17

写真に示す器具の名称は。

線付防水ソケット
  1. キーソケット
  2. ランプレセプタクル
  3. プルソケット
  4. 線付防水ソケット

答えは d. である。

工事現場や祭りの縁日など雨のかかる場所に仮設照明灯で使用するソケットである。

18

写真に示す器具の名称は。

タイムスイッチ
  1. タイムスイッチ
  2. 調光器
  3. 電力量計
  4. 自動点滅器

答えは a. である。

タイムスイッチとは,所定の時間が到来すれば接点をオンまたはオフする制御機器である。

19

単相 100 [V] の屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは。

  1. 絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した。
  2. 電線の引張強さが 15 [%] 減少した。
  3. 終端部を圧着接続するのにリングスリーブE形を使用した。
  4. 電線の電気抵抗が 10 [%] 増加した。

答えは d. である。

電気設備の技術基準の解釈 第12条【電線の接続法】電線を接続する場合は,第224条,第237条又は第238条の規定により施設する場合を除き,電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか,次の各号によること。

20

D 種接地工事を省略できないものは。

ただし,電路には定格感度電流 30 [mA],動作時間 0.1 [秒] の漏電遮断器が取り付けられているものとする。

  1. 乾燥した場所に施設する三相 200 [V] 動力配線を収めた長さ 4 [m] の金属管。
  2. 乾燥したコンクリートの床に施設する三相 200 [V] のルームエアコンの金属製外箱部分。
  3. 乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相 200 [V] 誘導電動機の鉄台。
  4. 乾燥した場所に施設する単相 3 線式 100/200 V 配線を収めた長さ 8 [m] の金属管。

答えは b. である。

電気設備の技術基準の解釈 第29条【機械器具の鉄台及び外箱の接地】参照

21

使用電圧 100 [V] の屋内配線の施設場所による工事の種類として,適切なものは。

  1. 点検できない隠ぺい場所であって,乾燥した場所の金属線ぴ工事
  2. 点検できる隠ぺい場所であって,乾燥した場所のライティングダクト工事
  3. 点検できる隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の金属ダクト工事
  4. 点検できる隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の平形保護層工事

答えは b. である。

電気設備の技術基準の解釈 第174条【低圧屋内配線の施設場所による工事の種類】174-1表 参照

22

単相 3 線式 100/200 [V] の屋内配線工事で漏電遮断器を省略できないものは。

  1. 人が容易に触れるおそれのある場所に施設するライティングダクト工事
  2. 小勢力回路の配線工事
  3. 乾燥した場所の天井に取り付ける照明器具に電気を供給する工事
  4. 乾燥した場所に施設した,金属製外箱を有する使用電圧 200 [V] の電動機に電気を供給する工事

答えは a. である。

電気設備に関する技術基準 第15条【地絡に対する保護装置】電路には,地絡が生じた場合に,電線若しくは電気機械器具の損傷,感電又は火災のおそれがないよう,地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし,電気機械器具を乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合は,この限りでない。

電気設備の技術基準の解釈 第40条【地絡遮断装置等の施設】参照

23

ケーブル工事による低圧屋内配線で,ケーブルがガス管と接近する場合の工事方法として,「電気設備の技術基準の解釈」にはどのように記述されているか。

  1. ガス管と接触しないように施設すること。
  2. ガス管と接触してもよい。
  3. ガス管との離隔距離を 10 [cm] 以上とすること。
  4. ガス管との離隔距離を 30 [cm] 以上とすること。

答えは a. である。

電気設備に関する技術基準 第62条【配線によるほかの配線等又は工作物への危険防止】2項 配線は,水道管,ガス管又はこれらに類するものと接近し,又は交さする場合は,放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく,かつ,漏電又は放電によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

電気設備の技術基準の解釈 第189条【低圧屋内配線と弱電流電線等又は管との接近又は交さ】低圧屋内配線が弱電流電線等又は水管,ガス管若しくはこれらに類するものと接近し,又は交さする場合において,低圧屋内配線をがいし引き工事により施設するときは,低圧屋内配線と弱電流電線等又は水管,ガス管若しくはこれらに類するものとの離隔距離は,10cm(電線が裸電線である場合は,30cm)以上とすること。

24

直読式接地抵抗計を用いて,接地抵抗を測定する場合,被測定接地極 E に対する,2 つの補助接地極 P(電圧用)及び C(電流用)の配置として,適切なものは。

答えはハ.である。

25

一般用電気工作物の低圧屋内配線のしゅん工検査をする場合,一般に行われていないものは。

  1. 目視点検
  2. 絶縁抵抗測定
  3. 接地抵抗測定
  4. 屋内配線の導体抵抗測定

答えは d. である。

26

絶縁抵抗計を用いて,低圧三相誘導電動機と大地間の絶縁抵抗を測定する方法として,適切なものは。

ただし,絶縁抵抗計の L は線路端子(ライン),E は接地端子(アース)を示す。

答えはハ.である。

27

絶縁被覆の色が赤色,白色,黒色の3種類の電線を使用した単相 3 線式 100/200 V 屋内配線で,電線相互間及び電線と大地間の電圧を測定した。その結果として,電圧の組合せで,適切なものは。

ただし,中性点は白色とする。

  1. 赤色線と大地間 200 [V],白色線と大地間 100 [V],黒色線と大地間 0 [V]
  2. 赤色線と黒色線間 200 [V],白色線と大地間 0 [V],黒色線と大地間 100 [V]
  3. 赤色線と白色線間 200 [V],赤色線と大地間 0 [V],黒色線と大地間 100 [V]
  4. 赤色線と黒色線間 100 [V],赤色線と大地間 0 [V],黒色線と大地間 200 [V]

答えは b. である。

28

電気工事士法に違反しているものは。

  1. 電気工事士試験に合格したが,電気工事の作業に従事しないので都道府県知事に免状の交付申請をしなかった。
  2. 電気工事士が経済産業大臣に届け出をしないで,複数の都道府県で電気工事の作業に従事した。
  3. 電気工事士が住所を変更したが,30 日以内に都道府県知事にこれを届け出なかった。
  4. 電気工事士が電気工事士免状を紛失しないよう,これを営業所に保管したまま電気工事の作業に従事した。

答えは d. である。

電気工事士法 第5条【電気工事士等の義務】2項 電気工事士,特種電気工事資格者又は認定電気工事従事者は,前項の電気工事の作業に従事するときは,電気工事士免状,特種電気工事資格者認定証又は認定電気工事従事者認定証を携帯していなければならない。

29

電気用品安全法において,特定電気用品の適用を受けるものは。

  1. 消費電力 40 [W] の蛍光ランプ
  2. 外径 19 [mm] の金属製電線管
  3. 定格電流 20 [A] の配線用遮断器
  4. 消費電力 30 [W] の換気扇

答えは c. である。

30

一般用電気工作物に関する記述として,正しいものは。

  1. 低圧で受電するものは,出力 25 [kW] の非常用予備発電装置を同一構内に施設しても一般用電気工作物となる。
  2. 低圧で受電するものは,小出力発電設備を同一構内に施設しても,一般用電気工作物となる。
  3. 高圧で受電するものであっても,需要場所の業種によっては,一般用電気工作物になる場合がある。
  4. 高圧で受電するものは,受電電力の容量,需要場所の業種にかかわらず,すべて一般用電気工作物となる。

答えは b. である。

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