平成24年度 第二種電気工事士 下期 筆記試験 解答と解説

2020年9月23日作成,2023年5月13日更新

本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$

平成24年度 下期
No. 問い 答え
1

図のような回路で,電流計 は 10 [A] を示している。抵抗 $R$ で消費する電力 [W] は。

合成抵抗
  1. 160
  2. 200
  3. 800
  4. 1000

並列回路の合成抵抗は,

\[ \frac{10\times40}{10+40}=8 \]

抵抗 $R$ は,

\[ (R+8)\times10=100 \]

$R=2$ であり,抵抗 $R$ で消費する電力 $P$ は,

\[ P=RI^2=2\times10^2=200 \]

よって,答えは b. である。

2

図のような交流回路において,抵抗 8 [Ω] の両端の電圧 $V$ [V] は。

交流回路
  1. 43
  2. 57
  3. 60
  4. 80

回路に流れる電流は,

\[ I=\frac{V}{Z}=\frac{100}{\sqrt{8^2+6^2}}=10 \]

抵抗 8 [Ω] の両端の電圧は,

\[ V_\text{R}=8\times10=80 \]

よって,答えは d. である。

3

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が 0.5 [Ω] となった。この電線に 20 [A] の電流が流れると,接続点から 1 時間に発生する熱量 [kJ] は。

ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

  1. 12
  2. 36
  3. 180
  4. 720
\[ \frac{0.5\times20^2}{60\times60\times1000}=720 \text{ [kJ]} \]

よって,答えは d. である。

4

単相 200 [V] の回路に,消費電力 2.0 [kW],力率 80 [%] の負荷を接続した場合,回路に流れる電流 [A] は。

  1. 5.8
  2. 8.0
  3. 10.0
  4. 12.5
\[ I=\frac{P}{V\cos{\theta}}=\frac{2.0\times1000}{200\times0.8}=12.5 \text{ [A]} \]

よって,答えは d. である。

5

図のような三相 3 線式回路に流れる電流 $I$ [A] は。

三相 3 線式回路
  1. 5.0
  2. 5.8
  3. 8.7
  4. 10.0
\[ I=\frac{200}{\sqrt{3}\times20}=5.8 \]

よって,答えはb.である。

6

低圧屋内配線工事に使用する 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(銅導体),導体の直径 2.0 [mm],3 心の許容電流 [A] は。

ただし,周囲温度は 30 [°C] 以下,電流減少係数は 0.70 とする。

  1. 19
  2. 24
  3. 33
  4. 35

絶縁電線(単線)の許容電流は直径 2.0 [mm] で 35 [A] であり,これに電流減少係数を乗じると 24.5 [A] となる。

よって,答えは b. である。

7

図のように,電線のこう長 $L$ [m] の配線により,消費電力 1 000 [W] の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 [V] であった。配線における電圧降下 [V] を表す式として,正しいものは。

ただし,電線の電気抵抗は 1 [m] 当たり $r$ [Ω] とする。

配線による電圧降下
  1. $2rL$
  2. $rL$
  3. $10rL$
  4. $20rL$

回路に流れる電流は,

\[ I=\frac{1000}{100}=10 \text{ [A]} \]

配線の抵抗は $2rL$ であり,回路に流れる電流 10 [A] と配線の抵抗 $2rL$ を乗じたものが,配線における電圧降下 $20rL$ [V]となる。

よって,答えは d. である。

8

図のような単相 3 線式回路において,消費電力 125 [W],500 [W] の 2 つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合,a-b 間の電圧 [V] は。

ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

単相 3 線式回路における断線
  1. 40
  2. 100
  3. 160
  4. 200

a-b 間の電圧 [V] は,

\[ 200 \times \frac{80}{80+20}=160 \]

よって,答えは c. である。

9

定格電流 10 [A] の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する電流の最小値 [A] は。

ただし,需要率は 80 [%] とする。

  1. 40
  2. 44
  3. 50
  4. 63

電気設備の技術基準の解釈 第148条【低圧幹線の施設】によると,「電線の許容電流は,低圧幹線の各部分ごとに,その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。ただし,当該低圧幹線に接続する負荷のうち,電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具の定格電流の合計が,他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は,他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。」「電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下の場合は、その定格電流の合計の 1.25 倍」「需要率,力率等が明らかな場合には,これらによって修正した値とすることができる。」とあり,定格電流は,次式で求められる

\[ 10\times5\times0.8\times1.25=50 \]

よって,答えは c. である。

10

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せとして,不適切なものは

配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せ

分岐回路が 30 A の場合,コンセントは 20 A 以上 30 A 以下のものを使用するので,a. は不適切である。

よって,答えは a. である。

11

プルボックスの主な使用目的は。

  1. 多数の金属管が集合する場所で,電線の引き入れを容易にするために用いる。
  2. 多数の開閉器類を集合して設置するために用いる。
  3. 埋込みの金属管工事で,スイッチやコンセントを取り付けるために用いる。
  4. 天井に比較的重い照明器具を取り付けるために用いる。

答えは a. である。

12

低圧電路に使用する定格電流 20 [A] の配線用遮断器に 25 [A] の電流が継続して流れたとき,この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間 [分] の限度(最大の時間)は。

  1. 20
  2. 30
  3. 60
  4. 120

定格電流は 30 A 以下で,定格電流の 1.25 倍の電流が流れているので,配電用遮断器の動作時間は 60 分となる。

よって,答えはc.である。

13

使用電圧が 300 [V] 以下の屋内に施設する器具であって,付属する移動電線にビニルコードが使用できるものは。

  1. 電気こたつ
  2. 電気こんろ
  3. 電気扇風機
  4. 電気トースター

電気設備の技術基準の解釈 第171条【移動電線の施設】によるとビニルコードは,「差込み接続器を介さないで直接接続される放電灯,扇風機、電気スタンドその他の電気を熱として利用しない電気機械器具に付属する移動電線として使用する場合に使用することができる。」とある。

よって,答えは c. である。

14

三相誘導電動機を逆回転させるための方法は。

  1. 三相電源の 3 本の結線を 3 本とも入れ替える。
  2. 三相電源の 3 本の結線のうち,いずれか 2 本を入れ替える。
  3. コンデンサを取り付ける。
  4. スターデルタ始動器を取り付ける。

答えは b. である。

15

写真に示す工具の用途は。

面取器
写真 面取器
  1. 各種金属板の穴あけに使用する。
  2. 金属管のねじを切るのに用いる。
  3. 硬質塩化ビニル電線管の管端部の面取りに使用する。
  4. 木材の穴あけに用いる。

答えは c. である。

16

写真に示す材料の名称は。

ノーマルベンド
写真 ノーマルベンド
  1. ベンダ
  2. ユニバーサル
  3. ノーマルベンド
  4. カップリング

答えは c. である。

17

写真に示す器具の用途は。

漏電火災警報器
写真 漏電火災警報器
  1. 地絡電流を検出し,回路を遮断するのに用いる。
  2. 過電圧を検出し,回路を遮断するのに用いる。
  3. 地絡電流を検出し,警報を発するのに用いる。
  4. 過電流を検出し,警報を発するのに用いる。

答えは c. である。

附属品の写真は零相変流器である。

18

写真に示す機器の名称は。

低圧進相コンデンサ
写真 低圧進相コンデンサ
  1. 低圧進相コンデンサ
  2. 変流器
  3. ネオン変圧器
  4. 水銀灯安定器

答えは a. である。

19

低圧屋内配線の金属可とう電線管(2 種金属製可とう電線管)工事で,不適切なものは

  1. 管とボックスとの接続にストレートボックスコネクタを使用した。
  2. 管の内側の曲げ半径を管の内径の6倍以上とした。
  3. 管内に屋外用ビニル絶縁電線(OW)を収めた。
  4. 管と金属管(鋼製電線管)との接続にコンビネーションカップリングを使用した。

答えは c. である。

20

D 種接地工事を省略できないものは

ただし,電路には定格感度電流 15 [mA],動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型の漏電遮断器が取り付けられているものとする。

  1. 乾燥した場所に施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])の動力配線の電線を収めた長さ 3 [m] の金属管。
  2. 水気のある場所のコンクリートの床に施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])誘導電流機の鉄台。
  3. 乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])空気圧縮機の金属製外箱部分。
  4. 乾燥した場所に施設する単相 3 線式 100/200 V(対地電圧 100 [V])の配線の電源を収めた長さ 7 [m] の金属管。

答えは b. である。

21

金属管工事で,ねじなし電線管の切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして,適切なものは。

  1. やすり,パイプレンチ,パイプベンダ
  2. リーマ,パイプレンチ,ジャンピング
  3. リーマ,金切りのこ,リード型ねじ切り器
  4. やすり,金切りのこ,パイプベンダ

答えは d. である。

22

低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せとして,正しいものは

低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せ

答えはd.である。

23

使用電圧 100 [V] の屋内配線の施設場所により工事の種類として,適切なものは

  1. 点検できない隠ぺい場所であって,乾燥した場所の金属線ぴ工事
  2. 点検できる隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の平形保護層工事
  3. 点検できる隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の金属ダクト工事
  4. 点検できる隠ぺい場所であって,乾燥した場所のライティングダクト工事

答えは d. である。

24

導通試験の目的として,誤っているものは

  1. 充電の有無を確認する。
  2. 器具への結線の未接続を発見する。
  3. 回路の接続の正誤を判断する。
  4. 電線の断線を発見する。

答えは a. である。充電の有無を確認するのは,検電である。

25

分岐開閉器を開放して負荷を電源から完全に分離し,その負荷側の低圧屋内電路と大地間の絶縁抵抗を一括測定する方法として,適切なものは

  1. 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
  2. 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
  3. 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。
  4. 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。

答えは b. である。

26

計器の目盛板に図のような表示記号があった。この計器の動作原理を示す種類と測定できる回路で,正しいものは

誘導形
  1. 誘導形で交流回路に用いる。
  2. 電流力計形で交流回路に用いる。
  3. 整流形で直流回路に用いる。
  4. 熱電形で直流回路に用いる。

答えは a. である。

27

単相交流電源から負荷に至る回路において,電圧計,電流計,電力計の結線方法として,正しいものは

電圧計,電流計,電力計の結線方法

答えは a. である。

28

電気工事士法において,一般用電気工作物の作業で,電気工事士でなければ従事できない作業は。

  1. 電動機の端子にキャプタイヤケーブルをねじ止めする作業
  2. 金属管に電線を収める作業
  3. 火災報知器の施設に使用する小型変圧器(二次電圧 36 [V] 以下)の二次側配線工事の作業
  4. ソケットにコードを接続する作業

答えは b. である。

29

電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは

  1. 電気工事士は,電気工作物の工事に特定電気用品を使用するときは,電気用品安全法に定められた適正な表示が付されたものでなければ使用してはならない。
  2. 電気工事士は,一般用電気工作物の電気工事の作業に従事するときは,電気工事士免状を携帯していなければならない。
  3. 電気工事士は,一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事するときは,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に適合するようにその作業をしなければならない。
  4. 電気工事士は,住所を変更したときは,免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書換えをしてもらわなければならない。

答えは d. である。

30

「電気設備に関する技術基準を定める省令」で定められている交流の電圧区分で,正しいものは

  1. 低圧は 600 [V] 以下,高圧は 600 [V] を超え 10 000 [V] 以下
  2. 低圧は 600 [V] 以下,高圧は 600 [V] を超え 7 000 [V] 以下
  3. 低圧は 750 [V] 以下,高圧は 750 [V] を超え 10 000 [V] 以下
  4. 低圧は 750 [V] 以下,高圧は 750 [V] を超え 7 000 [V] 以下

答えはb.である。

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