平成24年度 下期 第二種電気工事士 筆記試験 解答と解説
平成24年度 下期 第二種電気工事士 筆記試験の解答と解説です。
次の各問いには4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてあるので,その中から一つを選択し,解答と解説を表示 をクリックしてください。
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本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No. 1
図のような回路で,電流計 は 10 [A] を示している。抵抗 $R$ で消費する電力 [W] は。
【答え】ロ.200
10 Ω と 40 Ω との抵抗の並列接続の合成抵抗は,
\[ \frac{10\times40}{10+40}=8 \]抵抗 $R$ は,
\[ (R+8)\times10=100 \]$R=2$ であり,抵抗 $R$ で消費する電力 $P$ は,
\[ P=RI^2=2\times10^2=200 \]No. 2
図のような交流回路において,抵抗 8 [Ω] の両端の電圧 $V$ [V] は。
【答え】ニ.80
回路に流れる電流は,
\[ I=\frac{V}{Z}=\frac{100}{\sqrt{8^2+6^2}}=10 \]抵抗 8 [Ω] の両端の電圧は,
\[ V_\text{R}=8\times10=80 \]No. 3
電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が 0.5 [Ω] となった。この電線に 20 [A] の電流が流れると,接続点から 1 時間に発生する熱量 [kJ] は。
ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。
【答え】ニ.720
接続点から 1 時間に発生する熱量 [kJ] は,次式で求められる。
\[ \frac{0.5\times20^2}{60\times60\times1000}=720 \text{ [kJ]} \]No. 4
単相 200 [V] の回路に,消費電力 2.0 [kW],力率 80 [%] の負荷を接続した場合,回路に流れる電流 [A] は。
【答え】ニ.12.5
回路に流れる電流 [A] は,次式で求められる。
\[ I=\frac{P}{V\cos{\theta}}=\frac{2.0\times1000}{200\times0.8}=12.5 \text{ [A]} \]No. 5
図のような三相 3 線式回路に流れる電流 $I$ [A] は。
【答え】ロ.5.8
三相 3 線式回路に流れる電流 $I$ [A] は,次式で求められる。
\[ I=\frac{200}{\sqrt{3}\times20}=5.8 \]No. 6
低圧屋内配線工事に使用する 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(銅導体),導体の直径 2.0 [mm],3 心の許容電流 [A] は。
ただし,周囲温度は 30 [°C] 以下,電流減少係数は 0.70 とする。
【答え】ロ.24
絶縁電線(単線)の許容電流は直径 2.0 [mm] で 35 [A] であり,これに電流減少係数を乗じると 24.5 [A] となる。
No. 7
図のように,電線のこう長 $L$ [m] の配線により,消費電力 1 000 [W] の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 [V] であった。配線における電圧降下 [V] を表す式として,正しいものは。
ただし,電線の電気抵抗は 1 [m] 当たり $r$ [Ω] とする。
【答え】ニ.$20rL$
回路に流れる電流は,
\[ I=\frac{1000}{100}=10 \text{ [A]} \]配線の抵抗は $2rL$ であり,回路に流れる電流 10 [A] と配線の抵抗 $2rL$ を乗じたものが,配線における電圧降下 $20rL$ [V]となる。
No. 8
図のような単相 3 線式回路において,消費電力 125 [W],500 [W] の 2 つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合,a-b 間の電圧 [V] は。
ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
【答え】ハ.160
a-b 間の電圧 [V] は,
\[ 200 \times \frac{80}{80+20}=160 \]No. 9
定格電流 10 [A] の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する電流の最小値 [A] は。
ただし,需要率は 80 [%] とする。
【答え】ハ.50
電気設備の技術基準の解釈 第148条【低圧幹線の施設】によると,「電線の許容電流は,低圧幹線の各部分ごとに,その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。ただし,当該低圧幹線に接続する負荷のうち,電動機又はこれに類する起動電流が大きい電気機械器具の定格電流の合計が,他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は,他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。」「電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下の場合は、その定格電流の合計の 1.25 倍」「需要率,力率等が明らかな場合には,これらによって修正した値とすることができる。」とあり,定格電流は,次式で求められる
\[ 10\times5\times0.8\times1.25=50 \]No. 10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せとして,不適切なものは。
【答え】イ.
分岐回路が 30 A の場合,コンセントは 20 A 以上 30 A 以下のものを使用するので,イは不適切である。
No. 11
プルボックスの主な使用目的は。
【答え】イ.多数の金属管が集合する場所で,電線の引き入れを容易にするために用いる。
プルボックスは,金属製の箱で,多数の金属管が集合する場所で使用し,電線の接続や電線の引き入れを容易にする。
No. 12
低圧電路に使用する定格電流 20 [A] の配線用遮断器に 25 [A] の電流が継続して流れたとき,この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間 [分] の限度(最大の時間)は。
【答え】ハ.60
定格電流は 30 A 以下で,定格電流の 1.25 倍の電流が流れているので,配電用遮断器の動作時間は 60 分となる。
定格電流の区分 | 時間 | |
---|---|---|
定格電流の 1.25 倍の電流を通じた場合 | 定格電流の 2 倍の電流を通じた場合 | |
30 A 以下 | 60 分 | 2 分 |
30 A を超え 50 A 以下 | 60 分 | 4 分 |
50 A を超え 100 A 以下 | 120 分 | 6 分 |
100 A を超え 225 A 以下 | 120 分 | 8 分 |
225 A を超え 400 A 以下 | 120 分 | 10 分 |
400 A を超え 600 A 以下 | 120 分 | 12 分 |
No. 13
使用電圧が 300 [V] 以下の屋内に施設する器具であって,付属する移動電線にビニルコードが使用できるものは。
【答え】ハ.電気扇風機
電気設備の技術基準の解釈【移動電線の施設】によるとビニルコードは,「差込み接続器を介さないで直接接続される放電灯,扇風機、電気スタンドその他の電気を熱として利用しない電気機械器具に付属する移動電線として使用する場合に使用することができる。」とある。
No. 14
三相誘導電動機を逆回転させるための方法は。
【答え】ロ.三相電源の 3 本の結線のうち,いずれか 2 本を入れ替える。
No. 15
写真に示す工具の用途は。
【答え】ハ.硬質塩化ビニル電線管の管端部の面取りに使用する。
写真に示す工具の名称は面取器である。
No. 16
写真に示す材料の名称は。
【答え】ハ.ノーマルベンド
ノーマルベンドは,金属管が直角に曲がる箇所に使用する。
No. 17
写真に示す器具の用途は。
【答え】ハ.地絡電流を検出し,警報を発するのに用いる。
写真に示す器具の本体は漏電火災警報器,付属品は零相変流器である。
漏電火災警報器は,漏れ電流を検出して,警報を発するのに用いる。左側は零相変流器(Zero-phase-sequence Current Transformer)で,漏れ電流を検出する。なお,零相変流器とは,貫通形 CT のひとつで,環状鉄心に三相ごとケーブルを貫通させて地絡故障時に流れる零相電流を検出する変流器である。
No. 18
写真に示す機器の名称は。
【答え】イ.低圧進相コンデンサ
低圧進相コンデンサは,力率を改善するのに使用する。
進相コンデンサ(Static Capcitor)は,無効電力の制御を行うことにより力率を改善させる設備。設備容量の有効利用,配電損失の低減,電圧降下の抑制および電気料金低減などを目的に設定する。一般に負荷機器の多くは遅れ力率なので,遅れ電流に応じた進相コンデンサを設置して力率改善を行う。
(電気工学ハンドブック 一部改変)
No. 19
低圧屋内配線の金属可とう電線管(2 種金属製可とう電線管)工事で,不適切なものは。
【答え】ハ.管内に屋外用ビニル絶縁電線(OW)を収めた。
電技解釈【可とう電線管工事】により,2 種金属製可とう電線管工事で使用できる電線は,屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除いた絶縁電線である。
No. 20
D 種接地工事を省略できないものは。
ただし,電路には定格感度電流 15 [mA],動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型の漏電遮断器が取り付けられているものとする。
【答え】ロ.水気のある場所のコンクリートの床に施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])誘導電流機の鉄台。
D 種接地工事を省略できる場合の条件は,以下のとおり。
- 交流の対地電圧が 150 V 以下又は直流の使用電圧が 300 V 以下の機械器具を,乾燥した場所に施設する場合
- 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床やその他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
- 電気用品安全法の適用を受ける 2 重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
- 水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流 15 mA 以下,動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合
No. 21
金属管工事で,ねじなし電線管の切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして,適切なものは。
【答え】ニ.やすり,金切りのこ,パイプベンダ
金属管工事で,ねじなし電線管の切断には金切りのこを使用し,切断面はやすりをかける。曲げ作業はパイプベンダを用いる。
No. 22
低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せとして,正しいものは。
【答え】ニ.
No. 23
使用電圧 100 [V] の屋内配線の施設場所により工事の種類として,適切なものは。
【答え】ニ.点検できる隠ぺい場所であって,乾燥した場所のライティングダクト工事
工事の種類 | 露出場所 点検できる隠ぺい場所 |
点検できない隠ぺい場所 | ||
---|---|---|---|---|
乾燥した場所 | その他の場所 | 乾燥した場所 | その他の場所 | |
金属ダクト工事 | ◎ | |||
金属線ぴ工事 | ○ | |||
ライディングダクト工事 | ○ | |||
平形保護層工事 | ○ |
No. 24
導通試験の目的として,誤っているものは。
【答え】イ.充電の有無を確認する。
充電の有無を確認するのは,検電である。
No. 25
分岐開閉器を開放して負荷を電源から完全に分離し,その負荷側の低圧屋内電路と大地間の絶縁抵抗を一括測定する方法として,適切なものは。
【答え】ロ.負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
絶縁抵抗の測定方法は,内線規程 1345-2(低圧電路の絶縁性能)による。「低圧電路の電線と大地との絶縁抵抗」の測定は,電球や器具類は接続したままで,点滅器は閉じておいて,電気使用機械器具を使用状態にしたまま電路と大地間の絶縁抵抗を測定する。
電路と大地との間の絶縁抵抗測定は,分岐開閉器をオフにして,スイッチ類をすべてオン,負荷を使用している状態にして,絶縁抵抗計(メガー)から電路に直流電圧をかけることで測定することができる。
- 分岐開閉器はオフ
- スイッチ類はすべてオン
- 負荷(電灯その他の家電製品など)はすべて接続し,使用している状態にする
No. 26
計器の目盛板に図のような表示記号があった。この計器の動作原理を示す種類と測定できる回路で,正しいものは。
【答え】イ.誘導形で交流回路に用いる。
No. 27
単相交流電源から負荷に至る回路において,電圧計,電流計,電力計の結線方法として,正しいものは。
【答え】イ.
電力量測定の基本は,電流または電圧の測定である。
- 電圧計は測定するものと並列に接続する。
- 電流計は直列に接続する。
- 電力計は,電流コイルを負荷と直列に,電圧コイルを負荷と並列に接続する。
No. 28
電気工事士法において,一般用電気工作物の作業で,電気工事士でなければ従事できない作業は。
【答え】ロ.金属管に電線を収める作業
電気工事士法に紐づく電気工事士施行規則には,電気工事士ではないとできない作業が規定されている。ただし,電気工事士を補助する場合は電気工事士の資格は不要である。
- 電線相互を接続する作業
- がいしに電線を取り付ける作業
- 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く)に取り付ける作業
- 電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
- 配線器具を造営材その他の物件に固定し,又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く)
- 電線管を曲げ,若しくはねじ切りし,又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
- ボックスを造営材その他の物件に取り付ける作業
- 電線,電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に防護装置を取り付ける作業
- 金属製の電線管,線ぴ,ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を,建造物のメタルラス張り,ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付ける作業
- 配電盤を造営材に取り付ける作業
- 接地線を一般用電気工作物に取り付け,接地線相互若しくは接地線と接地極を接続し,又は接地線を地面に埋設する作業
No. 29
電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは。
【答え】ニ.電気工事士は,住所を変更したときは,免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書換えをしてもらわなければならない。
電気工事士の免状には,次に掲げる事項が記載されている。(電気工事法施行令 第四条)
- 免状の種類
- 免状の交付番号及び交付年月日
- 氏名及び生年月日
電気工事士の免状には,住所は記載されていないため,住所を変更したときの免状の書換えは不要である。
No. 30
「電気設備に関する技術基準を定める省令」で定められている交流の電圧区分で,正しいものは。
【答え】
「電気設備に関する技術基準を定める省令」には,以下のように定められている。
第二条 電圧の種別
電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の三種とする。
- 低圧
- 直流にあっては 750 V 以下、交流にあっては 600 V 以下のもの
- 高圧
- 直流にあっては 750 V を、交流にあっては 600 V を超え、7 000 V 以下のもの
- 特別高圧
- 7 000 V を超えるもの