平成25年度 第二種電気工事士 上期 筆記試験 解答と解説
本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No. 1 直流回路
図のような直流回路で,a - b 間の電圧 [V] は。

- 10
- 20
- 30
- 40
接地点と同電位であるので,a 点の電位は 0 [V] である。
回路に流れる電流は 4 [A] であり,b 点の電位は次式で求められる。
\[ -100 + 30 \times 4 = 100 - 20\times 4 = 20 \text{ [V]} \]よって,a - b 間の電位は 20 [V] である。

No. 2 銅導線の抵抗値
- 1
- 2
- 3
- 4
銅の抵抗率を $\rho$ [Ω·mm²/m] とすれば,A,B の抵抗 $R_A$,$R_B$ は次式で求められる。
\[ R_A=\rho\frac{4\times20}{\pi\times1.6^2}=31.25\frac{\rho}{\pi} \] \[ R_B=\rho\frac{4\times40}{\pi\times3.2^2}=15.625\frac{\rho}{\pi} \]よって,A の抵抗は B の抵抗の 2 倍である。
No. 3 $RL$ 直列回路の力率
図のような交流回路で,抵抗の両端の電圧が 80 [V],リアクタンスの両端の電圧が 60 [V] であるとき,負荷の力率 [%] は。

- 43
- 57
- 60
- 80
負荷の力率 $\cos\theta$ は,次式で求められる。
\[ \cos\theta = \frac{80}{\sqrt{80^2 + 60^2}} = 0.80 \]No. 4 コンデンサによる力率改善
図のような交流回路で,負荷に対してコンデンサ C を設置して,力率を 100 [%] に改善した。このときの電流計の指示値は。

- 零になる。
- コンデンサ設置前と比べて増加する。
- コンデンサ設置前と比べて減少する。
- コンデンサ設置前と比べて変化しない。
下図の $I_L$ はコンデンサ設置前の電流,$I_L'$ はコンデンサ設置後の電流である。

No. 5 三相 3 線式回路(Y 結線)の断線
図のような三相 3 線式 200 [V] の回路で c - o 間の抵抗が断線した。断線前と断線後の a - o 間の電圧 $V$ の値 [V] の組合せとして正しいものは。

- 断線前 116,断線後 100
- 断線前 116,断線後 116
- 断線前 100,断線後 116
- 断線前 100,断線後 100
断線前は $200/\sqrt{3}=116$ [V],断線後は $200/2 = 100$ [V] となる。
No. 6 単相 2 線式回路の電圧降下
図のような単相 2 線式回路で,c - c' 間の電圧が 100 [V] のとき,a - a' 間の電圧 [V] は。ただし,$r$ は電線の抵抗 [Ω] とする。

- 100
- 102
- 103
- 104
b - b' 間の電圧は,$100 + 0.1 \times 5 \times 2 = 101$ [V],a - a' 間の電圧は,$101 + 0.1 \times (10 + 5) \times 2 = 104$ [V] となる。
No. 7 単相 3 線式回路の中性線
図のような単相 3 線式回路で電流計(丸の中にA)の指示値が最も小さいものは。ただし,丸の中に H は定格電圧 100 [V] の電熱器である。

- スイッチa,bを閉じた場合。
- スイッチc,dを閉じた場合。
- スイッチa,dを閉じた場合。
- スイッチa,b,dを閉じた場合。
スイッチ a,d を閉じたとき負荷が平衡しており,中性線に電流は流れない。
No. 8 電線 1 本当たりの許容電流
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 1.6 [mm] の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線) 5 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。ただし,周囲温度は 30 [°C] 以下,電流現象係数は 0.56 とする。
- 15
- 17
- 19
- 27
周囲温度 30 °C 以下のとき絶縁電線(単線)の許容電流は 27 [A]。よって,求める許容電流は,次式で求められる。
\[ 27 \times 0.56 = 15.12 \text{ [A]} \]No. 9 漏電遮断器の省略
低圧の機械器具に簡易接触防護措置を施してない(人が容易に触れるおそれがある)場合,それに電気を供給する電路に漏電遮断器の取り付けが省略できるものは。
- 100 [V] ルームエアコンの屋外機を水気のある場所に施設し,その金属製外箱の接地抵抗が 100 [Ω] であった。
- 100 [V] の電気洗濯機を水気のある場所に設置し,その金属製外箱の接地抵抗値が 80 [Ω] であった。
- 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を屋外に施設した。
- 工場で 200 [V] の三相誘導電動機を湿気のある場所に施設し,その鉄台の接地抵抗値が 10 [Ω] であった。
定格電圧 150 V 以上の電気機器など「接地(アース)を施すことが可能な機構としなければならない」と定められた電気機器において,二重絶縁構造とした電気機器であれば,接地を施す必要がないと規定されている。
No. 10 分岐回路の電線の太さと,接続できるコンセントの組合せ
定格電流 30 [A] の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと,接続できるコンセントの図記号の組合せとして,適切なものは。ただし,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
イ. | 断面積 5.5 [mm²] |
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ロ. | 断面積 3.5 [mm²] |
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ハ. | 断面積 5.5 [mm²] |
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ニ. | 直径 2.0 [mm] |
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分岐回路が 30 A のとき,電線の太さは 2.6 mm 以上(断面積 5.5 mm² 以上),コンセントは 20 A 以上 30 A 以下である。
No. 11 電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せ
電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せとして,適切なものは。
- 金属管工事とリーマ
- 合成樹脂管工事とパイプベンダ
- 金属線ぴ工事とボルトクリッパ
- バスダクト工事と圧着ペンチ
リーマは金属管の端の内側の突起を取り除いて滑らかにする。
No. 12 絶縁物の最高許容温度
低圧屋内配線として使用する 600 V ビニル絶縁電線(IV)の絶縁物の最高許容温度 [°C] は。
- 30
- 45
- 60
- 75
低圧屋内配線として使用する 600 V ビニル絶縁電線(IV)の絶縁物の最高許容温度は 60 °C である。
No. 13 一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する記述
一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する記述で,誤っているものは。
- じか入れ(全電圧)始動での始動電流は全負荷電流の 4 ~ 8 倍程度である。
- 電源の周波数が 60 [Hz] から 50 [Hz] に変わると回転速度が増加する。
- 負荷が増加すると回転速度がやや低下する。
- 3 本の結線のうちいずれか 2 本を入れ替えると逆回転する。
三相かご形誘導電動機の回転速度は,電源の周波数に比例する。よって,電源の周波数が 60 [Hz] から 50 [Hz] に変わると,回転速度は減少する。
No. 14 高周波点灯専用形の蛍光灯の特徴
点灯管を用いる蛍光灯と比較して,高周波点灯専用形の蛍光灯の特徴として,誤っているものは。
- ちらつきが少ない。
- 発光効率が高い。
- インバータが使用されている。
- 点灯に要する時間が長い。
高周波点灯専用形の蛍光灯は,点灯管を用いる蛍光灯と比較して,点灯に要する時間が短い。
No. 15 器具の名称
写真に示す器具の○で囲まれた部分の名称は。

- 電磁接触器
- 漏電遮断器
- 熱動継電器
- 漏電警報器
写真に示す器具の名称はサーマルリレーであり,○で囲まれた部分の名称は電磁接触器である。
No. 16 測定器の名称
写真に示す測定器の名称は。

- 回路計
- 周波数計
- 接地抵抗計
- 照度計
写真に示す測定器の名称は照度計である。写真をよく見ると,照度を示す単位 [lx] が確認できる。
No. 17 器具の用途
写真に示す器具の用途は。

- 床下等湿気の多い場所の配線器具として用いる。
- 店舗などで照明器具等を任意の位置で使用する場合に用いる。
- フロアダクトと分電盤の接続器具に用いる。
- 容量の大きな幹線用配線材料として用いる。
No. 18 器具の用途
写真に示す器具の用途は。

- 白熱電灯の明るさを調節するのに用いる。
- 人の接近による自動点滅に用いる。
- 蛍光灯の力率改善に用いる。
- 周囲の明るさに応じて屋外灯などを自動点滅させるのに用いる。
No. 19 使用電圧 100 [V] の低圧屋内配線工事
使用電圧100[V]の低圧屋内配線工事で,不適切なものは。
- ケーブル工事で,ビニル外装ケーブルとガス管が接触しないように施設した。
- フロアダクト工事で,ダクトの長さが短いので D 種接地工事を省略した。
- 金属管工事で,ワイヤラス張りの貫通箇所のワイヤラスを十分に切り開き,貫通部分の金属管を合成樹脂管に収めた。
- 合成樹脂管工事で,その管の支持点間の距離を 1.5 [m] とした。
No. 20 屋内の管灯回路の使用電圧が 1000 [V] を超えるネオン放電灯の工事
屋内の管灯回路の使用電圧が 1000 [V] を超えるネオン放電灯の工事として,不適切なものは。ただし,簡易接触防護措置が施してあるもの(人が容易に触れるおそれがないもの)とする。
- ネオン変圧器への 100 [V] 電源回路は,専用回路とし,20 [A] 配線用遮断器を設置した。
- ネオン変圧器の二次側(管灯回路)の配線を,点検できない隠ぺい場所に施設した。
- ネオン変圧器の金属製外箱に D 種接地工事を施した。
- ネオン変圧器の二次側(管灯回路)の配線を,ネオン電線を使用し,がいし引き工事により施設し,電線の支持点間の距離を 1 [m] とした。
ネオン変圧器の二次側の配線を点検できない隠ぺい場所に施設するこはできない。
No. 21 低圧屋内配線の図記号と施工方法の組合せ
低圧屋内配線の図記号と,それに対する施工方法の組合せとして,正しいものは。
イ. |
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外径 19 [mm] の薄鋼電線管で露出配線として工事した。 |
ロ. |
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内径 16 [mm] の合成樹脂製可とう電線管で天井隠ぺい配線として工事した。 |
ハ. |
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内径 16 [mm] の硬質塩化ビニル電線管で露出配線として工事した。 |
ニ. |
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外径 19 [mm] の鋼製電線管(ねじなし電線管)で天井隠ぺい配線として工事した。 |
E19 は「ねじなし電線管」,VE16 は「硬質塩化ビニル管」,19 は「薄鋼電線管」である。
No. 22 湿気の多い場所における工事の種類
使用電圧100[V]の屋内配線で,湿気の多い場所における工事の種類として,不適切なものは。
- 点検できない隠ぺい場所で,防湿装置を施した金属管工事
- 点検できない隠ぺい場所で,防湿装置を施した合成樹脂管工事(CD管を除く)
- 展開した場所で,ケーブル工事
- 展開した場所で,金属線ぴ工事
展開した場所での金属線ぴ工事は不適切である。
No. 23 三相電動機回路の施工方法
使用電圧200[V]の三相電動機回路の施工方法で,不適切なものは。
- 金属管工事に屋外用ビニル絶縁電線を使用した。
- 造営材に沿って取り付けた 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブルの支持点間の距離を 2 [m] 以下とした。
- 乾燥した場所の金属管工事で,管の長さが 3 [m] なので金属管の D 種接地工事を省略した。
- 2 種金属製可とう電線管を用いた工事に 600 V ビニル絶縁電線を使用した。
金属管工事に屋外用ビニル絶縁電線を使用するのは不適切である。
No. 24 低圧電路で使用する測定器とその用途の組合せ
低圧電路で使用する測定器とその用途の組合せとして,正しいものは。
- 検電器と電路の充電の有無の確認
- 検相器と電動機の回転速度の測定
- 回路計と絶縁抵抗の測定
- 回転計と三相回路の相順(相回転)の確認
検電器にて電路の充電の有無を確認する。
No. 25 接地抵抗計の被測定接地極と補助接地極の配置
直読式接地抵抗計を用いて,接地抵抗を測定する場合,被測定接地極 E に対する,2 つの補助接地極 P (電圧用)及び C (電流用)の配置として,最も適切なものは。

接地極 E より 10 m 離れた場所に補助接地極(電圧極) P を打ち込み,さらに 10 m 離れた場所に補助接地極(電流極) C を打ち込む。
No. 26 電路ごとの絶縁抵抗の最小値
単相 3 線式 100 / 200 V の屋内配線において,開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの絶縁抵抗の最小値として,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に規定されている値 [MΩ] の組合せで,正しいものは。
- 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.4
- 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.2
- 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.2
- 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.1
電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
---|---|---|
300 V 以下 | 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150 V 以下の場合 | 0.1 MΩ |
その他の場合 | 0.2 MΩ | |
300 Vを超えるもの | 0.4 MΩ |
No. 27 漏えい電流による絶縁性能の確認
使用電圧が低圧の電路において,絶縁抵抗測定が困難であったため,使用電圧が加わった状態で漏えい電流により絶縁性能を確認した。「電気設備の技術基準の解釈」に定める絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値 [mA] は。
- 0.1
- 0.2
- 1
- 2
電気設備の技術基準の解釈 第 14 条【電路の絶縁抵抗及び絶縁耐力】による。
No. 28 電気工事士の義務又は制限に関する記述
電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは。
- 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業に従事するときは,電気工事士免状を携帯していなければならない。
- 第二種電気工事士のみの免状で,需要設備の最大電力が 500 [kW] 未満の自家用電気工作物の低圧部分の電気工事のすべての作業に従事することができる。
- 電気工事士は,氏名を変更したときは,免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書換えをしてもらわなければならない。
- 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業を行うときは,電気設備に関する技術基準を定める省令に適合するよう作業を行わなければならない。
第二種電気工事士は一般用電気工作物の作業に従事することはできるが,自家用工作物(最大電力 500 kW 未満の自家用電気工作物)の作業に従事するためには,第一種電気工事士の資格が必要である。
No. 29 特定電気用品の適用
電気用品安全法において,特定電気用品の適用を受けるものは。
- 外径 25 [mm] の金属製電線管
- 公称断面積 150 [mm²] の合成樹脂絶縁電線
- ケーブル配線用スイッチボックス
- 定格電流 60 [A] の配線用遮断器
開閉器(定格電流が 100 A 以下のもの)は特定電気用品に該当する。
No. 30 一般用電気工作物の適用
一般用電気工作物の適用を受けるものは。ただし,発電設備は低圧 600 [V] 以下で,1 構内に設置するものとする。
- 低圧受電で,受電電力 30 [kW],出力 15 [kW] の太陽電池発電設備を備えた幼稚園
- 低圧受電で,受電電力 30 [kW],出力 20 [kW] の非常用内燃力発電設備を備えた映画館
- 低圧受電で,受電電力 30 [kW],出力 40 [kW] の太陽電池発電設備と電気的に接続した出力 15 [kW] の風力発電設備を備えた農園
- 高圧受電で,受電電力 50 [kW] の機械工場
一般用電気工作物の条件に低圧受電があるため,ニ.は不適である。また,小出力発電設備の条件に「50 kW 未満の太陽光発電設備」,「20 kW 未満の風力発電設備」,「10 kW 未満の内燃力発電設備」あるいは「これらの発電設備であって,同一構内に 2 設備以上が電気的に接続され,それらの出力の合計が 50 kW 未満の設備」があるため,答はイ.となる。