平成26年度 第二種電気工事士 上期 筆記試験 解答と解説
本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No. 1 正弦波交流電圧の実効値
最大値が 148 [V] の正弦波交流電圧の実効値 [V] は。
- 85
- 105
- 148
- 209
実効値は148 / 1.41 = 104.96 [V]。よって答えはロ.である。
No. 2 合成抵抗とオームの法則

図のような回路で,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω] は。
- 1
- 2
- 3
- 4
2 Ω と 2 Ω の並列回路の合成抵抗は 1 Ω。3 Ω と 6 Ω の並列回路の合成抵抗は 2 Ω。よって端子 a-b 間の合成抵抗は,6 Ω と (1+2) Ω の並列回路の合成抵抗となり,2 Ω。よって答えはロ.である。
No. 3 単相交流回路

図のような交流回路で,電源電圧 102 [V],抵抗の両端の電圧が 90 [V],リアクタンスの両端の電圧が 48 [V]であるとき,負荷の力率 [%]は。
- 47
- 69
- 88
- 96
負荷の力率は,90 [V] / 102 [V] = 0.88。よって答えはハ.である。
No. 4 電線の抵抗
電気抵抗 R [Ω],直径 D [mm],長さ L [m]の導線の抵抗率 [Ω · m] を表す式は。
- $\frac{\pi D^2 R}{4L \times 10^6}$
- $\frac{\pi D^2 R}{L^2 \times 10^6}$
- $\frac{\pi D R}{4L \times 10^6}$
- $\frac{\pi D R}{4L^2 \times 10^6}$
抵抗率は直径の二乗に比例し,長さに反比例する。また直径の単位は [mm] であることに着目すると,分母に 106 が必要である。よって答えはイ.である。
No. 5 三相交流回路デルタ結線

図のような三相3線式回路の全消費電力 [kW] は。
- 2.4
- 4.8
- 7.2
- 9.6
一相当たりに流れる電流は,$200/\sqrt{6^2+8^2}=20$ [A]。全消費電力は,$3\times6\times20^2\times10^{-3}=7.2$ [kW]。よって答えはハ.である。
No. 6 三相3線式回路の電圧降下

図のような三相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が 0.15 [Ω],線電流が 10 [A] のとき,電圧降下 ( Vs - Vr ) [V] は。
- 1.5
- 2.6
- 3.0
- 4.5
電圧降下は,$\sqrt{3}$ × 10 [A] × 0.15 [Ω] = 2.595 [V]。よって答えはロ.である。(2020年9月22日誤植訂正)
No. 7 絶縁電線の許容電流
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に断面積 5.5 [mm²] の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線) 3 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。
ただし,周囲温度は 30 [°C]以下,電流減少係数は 0.70 とする。
- 19
- 24
- 34
- 49
断面積 5.5 [mm²] の 600 V ビニル絶縁電線の許容電流 49 [A] に電流減少係数 0.7 を乗じると,49 [A] × 0.7 = 34.3 [A]。よって答えはハ.である。
No. 8 屋内幹線の施設

図のように,三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値 [A] は。
ただし,需要率は 100 [%] とする。
- 75
- 81
- 90
- 195
電動機の定格電流の合計は 60 [A]。その他の負荷の定格電流は 15 [A]。電動機の定格電流の合計がその他の負荷の定格電流よりも大きく,電動機の定格電流の合計が 50 [A]を超えるので,幹線の許容電流は,1.1 × 60 [A] + 15 [A] = 81 [A]。よって答えはロ.である。
No. 9 分岐回路の施設

図のように定格電流 60 [A] の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して, 5 [m]の位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は。
- 15
- 21
- 27
- 33
分岐回路から 5 [m] の位置に過電流遮断器を施設するので,60 [A] × 0.35 = 21 [A]。よって答えはロ.である。
No. 10 分岐回路の施設
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用の遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐回路から配線用遮断器までは 3 [m],配線用遮断器からコンセントまでは 8 [m]とし,配線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

ロ.は電線の太さが 2.6 mm 以上のところ 2.0 mm のため不適。ハ.は 20 A配線用遮断器にコンセント 20 A 以下のところ 30 A のため不適。ニ.は分岐回路の種類が 30 A ではコンセント 20 A 以上 30 A 以下のところ 15 A のため不適。
よって答えはイ.である。
No. 11 電気機器と配線器具
組み合わせて使用する機器で,その組合せが明らかに誤っているものは。
- ネオン変圧器と高圧水銀灯
- 零相変流器と漏電警報器
- 光電式自動点滅器と庭園灯
- スターデルタ始動器と一般用低圧三相かご形誘導電動機
ネオン変圧器と高圧水銀灯の組合せは不適。よって答えはイ.である。
No. 12 金属管工事
金属管工事において,絶縁ブッシングを使用する主な目的は。
- 金属管を造営材に固定するため。
- 金属管相互を接続するため。
- 電線の被覆を損傷させないため。
- 電線の接続を容易にするため。
絶縁ブッシングは電線の被覆を損傷させないために用いる。よって答えはハ.である。
No. 13 地中電線路の施設
低圧の地中配線を直接埋設式により施設する場合に使用できるものは。
- 屋外用ビニル絶縁電線(OW)
- 600Vビニル絶縁電線(IV)
- 引込用ビニル絶縁電線(DV)
- 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)
電気設備の技術基準の解釈【地中電線路の施設】によると,地中電線路は,電線にケーブルを使用することになっている。よって,答えはニ.である。
No. 14 電気工事用工具
金属管(鋼製電線管)の切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして,適切なものは。
- やすり,金切りのこ,パイプベンダ
- リーマ,金切りのこ,トーチランプ
- リーマ,パイプレンチ,トーチランプ
- やすり,パイプレンチ,パイプベンダ
金属管の切断には金切りのこを用いて,やすりでバリをとる。また,曲げ作業にはパイプベンダを用いる。よって答えはイ.である。
No. 15 コンセントの種類
住宅で使用する電気食器洗い機用のコンセントとして,最も適しているものは。
- 接地端子付コンセント
- 抜け止め形コンセント
- 接地極付接地端子付コンセント
- 引掛形コンセント
電気食器洗い機用のコンセントには接地極付接地端子付コンセントが最適である。よって答えはハ.である。
No. 16 電気工事用材料の識別

写真に示す材料の用途は。
- 硬質塩化ビニル電線管相互を接続するのに用いる。
- 鋼製電線管と合成樹脂製可とう電線管とを接続するのに用いる。
- 合成樹脂製可とう電線管相互を接続するのに用いる。
- 合成樹脂製可とう電線管と硬質塩化ビニル電線管とを接続するのに用いる。
写真に示す材料の名称は,PF管(合成樹脂製可とう電線管)カップリングである。
答えはハ.である。
No. 17 電気工事用工具の識別

写真に示す工具の用途は。
- ホルソと組み合わせて,コンクリートに穴を開けるのに用いる。
- リーマと組み合わせて,金属管の面取りに用いる。
- 羽根ぎりと組み合わせて,鉄板に穴を開けるのに用いる。
- 面取器と組み合わせて,ダクトのバリを取るのに用いる。
写真に示す工具の名称はクリックボールである。リーマを取り付けて金属管の面取りをしたり,羽根きりを取り付けて木板に穴をあける。
答えはロ.である。
No. 18 電気工事用器具の識別

写真に示す器具の用途は。
- リモコン配線のリレーとして用いる。
- リモコン配線の操作電源変圧器として用いる。
- リモコンリレー操作用のセレクタスイッチとして用いる。
- リモコン用調光スイッチとして用いる。
写真に示す器具の名称は,リモコンリレーである。リモコン配線のリレーとして使用する。リモコンスイッチによって,入切を操作する。
答えはイ.である。
No. 19 リングスリーブによる圧着接続
低圧屋内配線工事で,600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)をリングスリーブ用圧着工具とリングスリーブ E 形を用いて終端接続を行った。接続する電線に適合するリングスリーブの種類と圧着マーク(刻印)の組合せで,不適切なものは。
- 直径 1.6 [mm] 2 本の接続に,小スリーブを使用して圧着マークを○にした。
- 直径 1.6 [mm] 1 本と直径 2.0 [mm] 1 本の接続に,小スリーブを使用して圧着マークを○にした。
- 直径 1.6 [mm] 4 本の接続に,小スリーブを使用して圧着マークを小にした。
- 直径 1.6 [mm] 1 本と直径 2.0 [mm] 2 本の接続に,中スリーブを使用して圧着マークを中にした。
接続する電線の太さ・本数 | リングスリーブ | 圧着ペンチ | ||
---|---|---|---|---|
ダイス | 刻印 | |||
1.6 mm | 2 本 | 小 | 1.6×2,小 | ○ |
3~4 本 | 小 | 小 | ||
2.0 mm | 2 本 | |||
2.0 mm×1本+1.6 mm×(1~2)本 | ||||
2.0 mm×1本+1.6 mm×(3~4)本 | 中 | 中 | 中 |
答えはロ.である。
No. 20 機械器具の金属製外箱等の接地
機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で,不適切なものは。
- 三相 200 [V] 電動機外箱の接地線に直径 1.6 [mm] の IV 電線(軟銅線)を使用した。
- 単相 100 [V] 移動式の電気ドリルの接地線として多心コードの断面積 0.75 [mm²] の 1 心を使用した。
- 一次側 200 [V] ,二次側 100 [V] ,3 [kV·A] の絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。
- 単相 100 [V] の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流 30 [mA],動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
単相 100 [V] の電動機を水気のある場所に設置する場合,定格感度電流 15 [mA] ,動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を設置する。よって答えはニ.である。
No. 21 電線の接続法
単相 100 [V] の屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは。
- 絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した。
- 電線の引張強さが 15 [%] 減少した。
- 差込形コネクタによる終端接続で,ビニルテープによる絶縁は行わなかった。
- 電線の電気抵抗が 5 [%] 増加した。
電線の接続では,電線の電気抵抗を増加させない。よって答えはニ.である。
No. 22 住宅の屋内電線路の対地電圧の制限
店舗付き住宅の屋内に三相 3 線式 200 [V],定格消費電力 2.5 [kW] のルームエアコンを施設した。このルームエアコンに電気を供給する電路の工事方法として,適切なものは。
ただし,配線は接触防護措置を施し,ルームエアコン外箱等の人がおそれのある部分は絶縁性のある材料で堅ろうに作られているものとする。
- 専用の過電流遮断器を施設し,合成樹脂管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
- 専用の電磁接触器を施設し,金属管工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。
- 専用の配線用遮断器を施設し,金属管工事で配線し,コンセントを使用してルームエアコンと接続した。
- 専用の漏電遮断器(過負荷保護付)を施設し,ケーブル工事で配線し,ルームエアコンと直接接続した。
電気設備の技術基準の解釈 電路の対地電圧の制限 によれば,住宅の対地電圧は 150 V 以下が原則であるが,定格消費電力が 2 kW 以上の電気機械器具及びこれのみに電気を供給する屋内配線を,次によって施設する場合は 300 V 以下にすることができる。
- 屋内配線には,簡易接触防護措置を施す
- 電気機械器具には,簡易接触防護措置を施す
- 電気機械器具は,屋内配線と直接接続する
- 専用の開閉器及び過電流遮断器を施設する
- 漏電遮断器を施設する
答えはニ.である。
No. 23 低圧屋内配線の施設場所による工事の種類
使用電圧 100 [V] の屋内配線の施設場所による工事の種類として,適切なものは。
- 展開した場所であって,乾燥した場所のライディングダクト工事
- 展開した場所であって,湿気の多い場所の金属ダクト工事
- 点検できない隠ぺい場所であって,乾燥した場所の金属線ぴ工事
- 点検できない隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の平形保護層工事
工事の種類 | 露出場所 点検できる隠ぺい場所 |
点検できない隠ぺい場所 | ||
---|---|---|---|---|
乾燥した場所 | その他の場所 | 乾燥した場所 | その他の場所 | |
金属管工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
合成樹脂管工事 (CD管を除く) |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ケーブル工事 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
二重金属製 可とう電線管工事 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
がいし引き工事 | ◎ | ◎ | ||
金属ダクト工事 | ◎ | |||
金属線ぴ工事 | ○ | |||
ライディングダクト工事 | ○ |
答えはイ.である。
No. 24 単相3線式回路

図のような単相 3 線式回路で,開閉器を閉じて機器 A の両端の電圧を測定したところ 150 [V] を示した。この原因として,考えられるものは。
- 機器Aの内部で断線している。
- a線が断線している。
- 中性線が断線している。
- b線が断線している。
機器 A の内部で断線していれば 100 V の電圧となる。a 線が断線していれば 0 V の電圧となる。中性線が断線していれば,機器 A と機器 B の負担に応じた電圧値となる。b 線が断線していれば 100 V の電圧となる。よって答えはハ.である。
No. 25 回路計(テスタ)
一般に使用される回路計(テスタ)によって測定できないものは。
- 絶縁抵抗
- 回路抵抗
- 交流電圧
- 直流電圧
絶縁抵抗は回路計(テスタ)ではなく絶縁抵抗計で測定する。よって答えはイ.である。
No. 26 接地抵抗値と絶縁抵抗値
使用電圧 100 [V] の低圧電路に,地絡が生じた場合 0.1 秒で自動的に電路を遮断する装置が施してある。この電路の屋外に D 種接地工事が必要な自動販売機がある。その接地抵抗値 a [Ω] と電路の絶縁抵抗値 b [MΩ] の組合せとして,「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に適合していないものは。
- a=100,b=0.1
- a=200,b=0.3
- a=500,b=0.5
- a=600,b=1.0
接地抵抗値は 500 [Ω] 以下,絶縁抵抗値は 0.1 [MΩ] 以上でなければならない。よって答えはニ.である。
No. 27 絶縁抵抗計(電池内蔵)
絶縁抵抗計(電池内蔵)に関する記述として,誤っているものは。
- 絶縁抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
- 絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は,交流電圧である。
- 絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は,直流電圧である。よって答えはロ.である。
No. 28 電気工事士法
電気工事士法において,一般用電気工作物の工事又は作業で a , b ともに電気工事士でなければ従事できないものは。
-
a : 接地極を地面に埋設する。
b : 電圧 100 [V] で使用する蓄電池の端子に電線をねじ止めする。 -
a : 地中電線用の暗きょを設置する。
b : 電圧 200 [V] で使用する電力量計を取り付ける。 -
a : 電線を支持する柱を設置する。
b : 電線管に電線を収める。 -
a : 配電盤を造営材に取り付ける。
b : 電線管を曲げる。
「配電盤を造営材に取り付ける」,「電線管を曲げる」は,電気工事士でなければできない作業である。
答えはニ.である。
No. 29 電気用品安全法
電気用品安全法により,電気工事に使用する特定電気用品に付すことが要求されていない表示事項は。
又は<PS>Eの記号
- 届出事業者名
- 登録検査機関名
- 製造年月
製造年月は表示事項に要求されていない。よって答えはニ.である。
No. 30 電圧の種別
「電気設備に関する技術基準を定める省令」における電圧の低圧区分の組合せで,正しいものは。
- 直流にあっては 600 [V] 以下,交流にあっては 600 [V] 以下のもの
- 直流にあっては 600 [V] 以下,交流にあっては 750 [V] 以下のもの
- 直流にあっては 750 [V] 以下,交流にあっては 600 [V] 以下のもの
- 直流にあっては 750 [V] 以下,交流にあっては 750 [V] 以下のもの
答えはハ.である。