平成27年度 第二種電気工事士 上期 筆記試験 解答と解説
本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No.1 合成抵抗

図のような回路で,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω]は。
- 1.5
- 1.8
- 2.4
- 3.0
4 Ωと4 Ωの合成抵抗は ( 4 × 4 ) / ( 4 + 4 ) = 2 Ω
4 Ωと ( 2 + 4 ) Ωの合成抵抗は ( 4 × 6 ) / ( 4 + 6 ) = 2.4 Ω
よって答えはハ.である。
No.2 回路の力率

図のような回路で,電源電圧が 24 V,抵抗 R = 4 Ω に流れる電流が 6 A,リアクタンス XL = 3 Ω に流れる電流が 8 A であるとき,回路の力率 [%]は。
- 43
- 60
- 75
- 80
6 [A] / 10 [A] × 100 = 60 [%]で,答えはロ.である。
No.3 電線の抵抗
A,B 2 本の同材質の銅線がある。A は直径 1.6 mm,長さ 20 m,B は直径 3.2 mm,長さ 40 mである。 A の抵抗は B の抵抗の何倍か。
- 2
- 3
- 4
- 5
A の電線の抵抗は,$\displaystyle \frac{\rho}{\pi}\times\frac{4\times20}{1.6^2}=31.25\frac{\rho}{\pi}$
B の電線の抵抗は,$\displaystyle \frac{\rho}{\pi}\times\frac{4\times40}{3.2^2}=15.65\frac{\rho}{\pi}$
A の抵抗は B の抵抗の 1.9968 倍(約 2 倍)である。よって答えはイ.である。
No.4 コンデンサ設置

図のような交流回路で,負荷に対してコンデンサCを設置して,力率を 100 % に改善した。このときの電流計の指示値は。
- 零になる。
- コンデンサ設置前と比べて変化しない。
- コンデンサ設置前と比べて増加する。
- コンデンサ設置前と比べて減少する。
有効電流は変わらず,無効電流が 0 [A]となる。電流計の指示値は有効電流と無効電流の合成値であり,無効電流が減少したため,電流計の指示値は減少する。よって答えはニ.である。
No.5 三相交流回路デルタ結線

図のような電源電圧 E [V]の三相 3 線式回路で,図中の × 印点で断線した場合,断線後の a-c 間の抵抗 R [Ω]に流れる電流 I [A]を示す式は。
- $\frac{E}{2R}$
- $\frac{E}{\sqrt{3}R}$
- $\frac{E}{R}$
- $\frac{3E}{2R}$
a-c 間の電圧は E [V]であり,I = E / R [A]となる。よって答えはハ.である。
No.6 三相3線式回路の電力損失

図のような三相 3 線式回路で,電線 1 線当たりの抵抗が 0.15 Ω,線電流が 10 A のとき,この電線路の電力損失 [W]は。
- 15
- 26
- 30
- 45
電力損失は,3 × 0.15 × 10² = 45 [W]である。よって答えはニ.である。
No.7 絶縁電線の許容電流
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 1.6 mmの 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線) 3 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A]は。
ただし,周囲温度は 30 [°C]以下,電流減少係数は 0.70 とする。
- 19
- 24
- 27
- 34
直径 1.6 mm の 600 V ビニル絶縁電線の許容電流 27 [A]に電流減少係数 0.7 を乗じると,27 [A] × 0.7 = 18.9 [A]となる。よって答えはイ.である。
No.8 屋内幹線の施設
定格電流 12 A の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値 [A]は。
ただし,需要率は 80 [%]とする。
- 48
- 60
- 66
- 75
電動機の定格電流の合計は 60 [A]。よって答えはロ.である。
No.9 分岐回路の施設

図のように定格電流 100 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,6 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A]は。
- 25
- 35
- 45
- 55
分岐回路から 6 m の位置に過電流遮断器を施設するので,a-b 間の電線の許容電流の最小値は,100 [A] × 0.35 = 35 [A] である。よって答えはロ.である。
No.10 分岐回路の施設
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用の遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐回路から配線用遮断器までは 3 m,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

イ.は定格電流 30 A のコンセント 1 個なので,電線太さ 2.0 mm は不適。
ロ.は定格電流 30 A のコンセント 2 個なので,電線太さ 1.6 mm は不適。
ハ.は定格電流 15 A のコンセント 2 個なので,分岐回路の配線用遮断器 30 A は不適。
よって答えは二.である。
No.11 電気機器と配線器具
プルボックスの主な使用目的は。
- 多数の金属管が集合する場所等で,電線の引き入れを容易にするために用いる。
- 多数の開閉器類を集合して設置するために用いる。
- 埋込みの金属管工事で,スイッチやコンセントを取り付けるために用いる。
- 天井に比較的思い照明器具を取り付けるために用いる。
プルボックスは,多数の金属管が集合する箇所で使用し,電線の引き入れを容易にする。
答えはイ.である。
No.12 零相変流器
漏電遮断器に内蔵されている零相変流器の役割は。
- 地絡電流の検出
- 短絡電流の検出
- 過電圧の検出
- 不足電圧の検出
零相変流器(ZCT:Zero-phase-sequence Current Transformer)は,地絡故障時に流れる零相電流を検出する変流器である。
答えはイ.である。
No.13 電熱器具
許容電流から判断して,公称断面積 1.25 mm² のゴムコード(絶縁物が天然ゴムの混合物)を使用できる最も消費電力の大きな電熱器具は。
ただし,電熱器具の定格電圧は 100 V で,周囲温度は 30 °C 以下とする。
- 600 Wの電気炊飯器
- 1 000 Wのオーブントースター
- 1 500 Wの電気湯沸器
- 2 000 Wの電気乾燥器
公称断面積1.25mm² のゴムコード(絶縁物が天然ゴムの混合物)の許容電流は 12 A である。消費電力 1 200 W 未満の電熱器具にしか使用できない。
答えはロ.である。
No.14 高周波点灯専用形の蛍光灯
点灯管を用いる蛍光灯と比較して,高周波点灯専用形の蛍光灯の特徴として,誤っているものは。
- ちらつきが少ない。
- 発光効率が高い。
- インバータが使用されている。
- 点灯に要する時間が長い。
高周波点灯はインバータ形と呼ばれる。電子回路で構成され,ラピッドスタート形より効率が良く,軽量で,即時点灯ができる。また,高周波で動作するのでちらつきもなく,発光効率が高い。
答えは二.である。
No.15 金属管作業で使用する工具
金属管(鋼製電線管)の切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして,適切なものは。
- やすり,パイプレンチ,パイプベンダ
- リーマ,パイプレンチ,トーチランプ
- リーマ,金切りのこ,トーチランプ
- 金切りのこ,やすり,パイプベンダ
金切りのこは,金属管の切断に用いる。やすりは,金属管のバリ等を取り除いたり,切断面の仕上げに用いる。パイプベンダは,金属管を曲げるのに用いる。
答えはニ.である。
No.16 電気工事用機器の識別

写真に示す機器の名称は。
- 低圧進相コンデンサ
- 変流器
- ネオン変圧器
- 水銀灯用安定器
写真に示す機器は,力率を改善するのに使用する。写真は,口出線のあるもので,50 μF の容量表示がある。
答えはイ.である。
No.17 電気工事用器具の識別

写真に示す器具の用途は。
- 三相回路の相順を調べるのに用いる。
- 三相回路の電圧の測定に用いる。
- 三相電動機の回転速度の測定に用いる。
- 三相電動機の軸受けの温度の測定に用いる。
写真に示す器具の名称は検相器で,答えはイ.である。
No.18 電気工事用材料の識別

写真に示す材料の名称は。
- ベンダ
- ユニバーサル
- ノーマルベンド
- カップリング
写真に示す材料は,金属管が直角に曲がる箇所に使用する。
答えはハ.である。
No.19 リングスリーブによる圧着接続
低圧屋内配線工事で,600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)をリングスリーブ用圧着工具とリングスリーブE形を用いて終端接続を行った。接続する電線に適合するリングスリーブの種類と圧着マーク(刻印)の組合せで,不適切なものは。
- 直径 1. 6[mm] 2 本の接続に,小スリーブを使用して圧着マークを○にした。
- 直径 1.6 [mm] 1 本と直径 2.0 [mm] 1 本の接続に,小スリーブを使用して圧着マークを小にした。
- 直径 1.6 [mm] 4 本の接続に,中スリーブを使用して圧着マークを中にした。
- 直径 1.6 [mm] 1 本と直径 2.0 [mm] 2 本の接続に,中スリーブを使用して圧着マークを中にした。
接続する電線の太さ・本数 | リングスリーブ | 圧着ペンチ | ||
---|---|---|---|---|
ダイス | 刻印 | |||
1.6 mm | 2 本 | 小 | 1.6 × 2,小 | ○ |
3~4 本 | 小 | 小 | ||
2.0 mm | 2 本 | |||
2.0 mm × 1 本 + 1.6 mm × (1~2) 本 | ||||
2.0 mm × 1 本 + 1.6 mm × (3~4) 本 | 中 | 中 | 中 |
直径 1.6 [mm] 4 本の接続は,小スリーブを使用して,圧着マークを小にしなければならない。
答えはハ.である。
No.20 低圧進相コンデンサの接続
三相誘導電動機回路の力率を改善するために,低圧進相コンデンサを接続する場合,その接続場所及び接続方法として,最も適切なものは。
- 主開閉器の電源側に各台数分をまとめて電動機と並列に接続する。
- 手元開閉器の負荷側に電動機と並列に接続する。
- 手元開閉器の負荷側に電動機と直列に接続する。
- 手元開閉器の電源側に電動機と並列に接続する。
低圧進相コンデンサは,手元開閉器の負荷側に電動機と並列に接続する。
答えはロ.である。
No.21 ネオン放電灯工事
屋内の管灯回路の使用電圧が 1 000 V を超えるネオン放電灯工事として,不適切なものは。
ただし,簡易接触防護措置が施してあるものとする。
- ネオン変圧器への 100 V 電源回路は,専用回路とし,20 A 配線用遮断器を設置した。
- ネオン変圧器の二次側(管灯回路)の配線をがいし引き工事により施設し,弱電流電線との離隔距離を 5 cm とした。ただし,隔壁や絶縁管は設けなかった。
- ネオン変圧器の金属製外箱にD種接地工事を施した。
- ネオン変圧器の二次側(管灯回路)の配線を,ネオン電線を使用し,がいし引き工事により施設し,電線の支持点間の距離を 1 m とした。
ネオン変圧器の二次側の配線をがいし引き工事により施設した場合,弱電流線との離隔距離は,10 cm 以上としなければならない。
答えはロ.である。
No.22 屋内配線の施設場所
使用電圧 100 V の屋内配線の施設場所における工事の種類で,不適切なものは。
- 点検できない隠ぺい場所であって,乾燥した場所の金属管工事
- 点検できない隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の合成樹脂管工事(CD管を除く)
- 展開した場所であって,水気のある場所のケーブル工事
- 展開した場所であって,水気のある場所のライティングダクト工事
ライディングダクト工事は,露出場所または点検できる隠ぺい場所で,乾燥した場所に限られる。
答えはニ.である。
No.23 低圧屋内配線の施設場所による工事の種類

図に示す一般的な低圧屋内配線の工事で,スイッチボックス部分の回路は。ただし,○aは電源からの非接地側電線(黒色),○bは電源からの接地側電線(白色)を示し,負荷には電源からの接地側電線が直接に結線されているものとする。なお,パイロットランプは 100 V 用を使用する。

パイロットランプは,確認表示灯であり,常時点灯である。そのため,パイロットランプは電源と並列となる。
答えは二.である。
No.24 単相3線式回路
単相 3線式 100 / 200 V の屋内配線で,絶縁被覆の色が赤色,白色,黒色の 3 種類の電線が使用されていた。この屋内配線で電線相互間及び電線と大地間の電圧を測定した。その結果として電圧の組合せで,適切なものは。
ただし,中性線は白色とする。
- 黒色と大地間 100 V,白色線と大地間 200 V,赤色線と大地間 0 V
- 黒色線と白色線間 100 V,黒色線と大地間 0 V,赤色線と大地間 200 V
- 赤色線と黒色線間 200 V,白色線と大地間 0 V,黒色線と大地間 100 V
- 黒色線と白色線間 200 V,黒色線と大地間 100 V,赤色線と大地間 0 V
赤 | 白 | 黒 | |
---|---|---|---|
赤 | - | 100 V | 200 V |
白 | 100 V | - | 100 V |
黒 | 200 V | 100 V | - |
大地 | 100 V | 0 V | 100 V |
答えはハ.である。
No.25 クランプ形漏れ電流計
単相 3 線式回路の漏れ電流を,クランプ形漏れ電流計を用いて測定する場合の測定方法として,正しいものは。
ただし,斜線は中性線を示す。

単相 3 線式回路の漏れ電流を測定するときは,3 本の電線をまとめてクランプではさむ。
答えはイ.である。
No.26 接地抵抗計
接地抵抗計(電池式)に関する記述として,誤っているものは。
- 接地抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
- 接地抵抗計の出力端子における電圧は,直流電圧である。
- 接地抵抗測定の前には,接地抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,地電圧が許容値以下であることを確認する。
接地抵抗計の出力端子における電圧は,交流電圧である。
答えはロ.である。
No.27 低圧回路の試験
低圧回路を試験する場合の試験項目と測定器に関する記述として,誤っているものは。
- 導通試験に回路計(テスタ)を使用する。
- 絶縁抵抗測定に絶縁抵抗計を使用する。
- 電動機の回転速度の測定に検相器を使用する。
- 負荷電流の測定にクランプ形電流計を使用する。
検相器は相順を測定するものであり,答えはハ.である。
No.28 電気の保安に関する法令
電気の保安に関する法令についての記述として,誤っているものは。
- 「電気工事士法」は,電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定めた法律である。
- 「電気設備に関する技術基準を定める省令」は,電気事業法の規定に基づき定められた経済産業省令である。
- 「電気用品安全法」は,電気用品の製造,販売等を規制し,電気用品の安全性を確保するために定められた法律で電気用品による危険及び傷害の発生を防止することを目的とする。
- 「電気用品安全法」において,電気工作物は,一般用電気工作物,電気事業の用に供する電気工作物,自家用電気工作物の3つに分類されている。
電気工作物は,一般用電気工作物,電気事業の用に供する電気工作物,自家用電気工作物の3つに分類するのは,「電気事業法」である。
答えはニ.である。
No.29 電気工事士法
電気工事士法において,一般用電気工作物の工事又は作業でa,bともに電気工事士でなければ従事できないものは。
-
a : 電線が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付ける。
b : 電圧 200 V で使用する電力量計を取り外す。 -
a : 電線管相互を接続する。
b : 接地極を地面に埋設する。 -
a : 地中電線用の管を設置する。
b : 配電盤を造営材に取り付ける。 -
a : 電線を支持する柱を設置する。
b : 電圧 100 V で使用する蓄電池の端子に電線をねじ止めする。
「電線管相互を接続」および「接地極を地面に埋設」は,電気工事士でなければできない作業である。
答えはロ.である。
No.30 特定電気用品
低圧の屋内電路に使用する次のもののうち,特定電気用品の組合せとして,正しいものは。
A : 定格電圧 100 V ,定格電流 20 A の漏電遮断器
B : 定格電圧 100 V ,定格消費電力 25 W の換気扇
C : 定格電圧 600 V ,導体の太さ(直径) 2.0 mm の 3 心ビニル絶縁ビニルシースケーブル
D : 内径 16 mm の合成樹脂製可とう電線管(PF管)
- A・B
- B・D
- A・C
- C・D
「定格電圧 100 V ,定格電流 20 A の漏電遮断器」と「定格電圧 600 V ,導体の太さ(直径) 2.0 mm の 3 心ビニル絶縁ビニルシースケーブル」は,特定電気用品である。
答えはハ.である。