平成29年度 第二種電気工事士 上期 筆記試験 解答と解説
本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No.1 合成抵抗

図のような回路で,端子 a-b 間の合成抵抗 [Ω] は。
- 2.5
- 5
- 7.5
- 15
a-b 間の合成抵抗は,5 Ω と 5 Ω の並列回路の合成抵抗となる。よって,答えはイ.2.5 Ω である。
No.2 抵抗と誘導性リアクタンスの直列回路

図のような交流回路で,電源電圧 204 V ,抵抗の両端の電圧が 180 V ,リアクタンスの両端の電圧が 96 V であるとき,負荷の力率 [%] は。
- 35
- 47
- 65
- 88
負荷の力率は,抵抗の両端の電圧を,電源電圧で除したもので,180 V / 204 V = 0.88 となる。よって,答えはニ.88 [%] である。
No.3 電線の抵抗
A,B 2 本の同材質の銅線がある。A は直径 1.6 mm ,長さ 20 m ,B は直径 3.2 mm ,長さ 40 m である。A の抵抗は B の抵抗の何倍か。
- 2
- 3
- 4
- 5
電線の抵抗は,電線の直径の二乗に反比例し,長さに比例する。よって,(3.2 / 1.6 )² × (20 / 40) = 2 となり,答えはイ.2 倍である。
No.4 電流計の指示値

図のような交流回路で,負荷に対してコンデンサ C を設置して,力率を 100 % に改善した。このときの電流計の指示値は。
- 零になる。
- コンデンサ設置前と比べて変化しない。
- コンデンサ設置前と比べて増加する。
- コンデンサ設置前と比べて減少する。
力率が 100 % に改善されるので,電流計の指示値は ニ.コンデンサ設置前と比べて減少する。
No.5 三相 3 線式 200 V 回路

図のような三相 3 線式 200 V の回路で,c-o 間の抵抗が断線した。断線前と断線後の a-o 間の電圧 V の値 [V] の組合せとして,正しいものは。
- 断線前 116 ,断線後 100
- 断線前 116 ,断線後 116
- 断線前 100 ,断線後 116
- 断線前 100 ,断線後 100
断線前の a-o 間の電圧は,200 / 1.73 = 116 [V] となる。断線後は,a-b 間に 200 V が印加され,a-o 間,b-o 間,それぞれに 抵抗 R があるので,a-o 間の電圧は,200 / 2 = 100 [V] となる。よって,答えはイ.断線前 116 [V] ,断線後 100 [V] である。
No.6 配線における電圧降下

図のように,電線のこう長 10 m の配線により,消費電力 1 500 W の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 V であった。配線における電圧降下 [V] は。
ただし,電線の電気抵抗の長さ 1 000 m 当たり 5.0 Ω とする。
- 0.15
- 0.75
- 1.5
- 3.0
電線に流れる電流は, 1 500 W / 100 V = 15 [A] である。電線 20 m の抵抗は, 5.0 Ω / 1 000 m × 20 m = 0.1 Ω である。よって,電圧降下は,15 [A] × 0.1 Ω = ハ.1.5 Ω となる。
No.7 金属管による低圧屋内配線工事
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)2 本を収めて施設した場合,電線 1 本当たりの許容電流 [A] は。
ただし,周囲温度は 30 °C 以下,電流減少係数は 0.7 とする。
- 19
- 24
- 27
- 35
直径 2.0 mm の 600 V ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は 35 [A] である。それに電流減少係数 0.7を乗じて,35 [A] × 0.7 = 24.5 [A] となる。よって,答えはロ.24 [A] である。
No.8 低圧屋内幹線

図のように,三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値 [A] は。
ただし,需要率は 100 % とする。
- 70
- 74
- 80
- 150
幹線の許容電流を IW ,電動機の定格電流の合計を IM ,その他負荷の定格電流の合計を IH とする。IM > IH の場合で,IM ≤ 50 のときは,IW ≥ 1.25 IM + IH = 1.25 × 40 + 30 = 80 [A] となる。よって,幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値は,ハ.80 [A] である。
No.9 低圧屋内配線の分岐回路の設計
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,不適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは 3 m ,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

分岐回路に 30 A 配線用遮断器を用いる場合,電線の太さは直径 2.6 mm 以上でなければならない。よって,不適切なものは,ロ.である。
No.10 低圧屋内幹線の分岐

図のように定格電流 50 A の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線から VVR ケーブル太さ 8 mm² (許容電流 42 A )で低圧屋内電路を分岐する場合,a-b 間の長さの最大値 [m] は。
ただし,低圧屋内幹線に接続される負荷は,電灯負荷とする。
- 3
- 5
- 8
- 制限なし
電線の許容電流 42 A が,その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 55 % 以上(50 A × 0.55 = 27.5 A )であるので,a-b 間の長さは,ニ.制限なしである。
No.11 絶縁ブッシング
金属管工事において,絶縁ブッシングを使用する主な目的は。
- 電線の被覆を損傷させないため。
- 金属管相互を接続するため。
- 金属管を造営材に固定するため。
- 電線の接続を容易にするため。
絶縁ブッシングは,金属管やボックスコネクタの端に取り付けて,電線の被覆を保護する。よって,絶縁ブッシングを使用する主な目的は,イ.電線の被覆を損傷させないためである。
No.12 電球形 LED ランプの特徴
白熱電球と比較して,電球形 LED ランプ(制御装置内蔵形)の特徴として,誤っているものは。
- 寿命が短い。
- 発光効率が高い(同じ明るさでは消費電力が少ない)。
- 価格が高い。
- 力率が低い。
電球形 LED ランプは,白熱電球と比較して寿命が長い。よって,電球形 LED ランプの特徴として,誤っているものは,イ.寿命が短いである。
No.13 一般用低圧三相かご形誘導電動機
一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する記述で,誤っているものは。
- じか入れ(全電圧)始動での始動電流は全負荷電流の 4 ~ 8 倍程度である。
- 負荷が増加すると回転速度がやや低下する。
- 電源の周波数が 60 Hz から 50 Hz に変わると回転速度が増加する。
- 3 本の結線のうちいずれか 2 本を入れ替えると逆回転する。
一般用低圧三相かご形誘導電動機の回転速度は,電源の周波数に比例する。よって,ハ.電源の周波数が 60 Hz から 50 Hz に変わると回転速度が増加するは誤っている。
No.14 金属管工事
コンクリート壁に金属管を取り付けるときに用いる材料及び工具の組合せとして,適切なものは。
- ホルソ,カールプラグ,ハンマ,ステープル
- 振動ドリル,カールプラグ,サドル,木ねじ
- ハンマ,たがね,ステープル,コンクリート釘
- 振動ドリル,ホルソ,サドル,ボルト
振動ドリルでコンクリート壁に穴をあける。金属管を固定するためのサドルをコンクリート面にカールプラグと木ねじで取り付ける。
No.15 系統連系型の太陽電池発電設備
系統連系型の太陽電池発電設備において使用される機器は。
- パワーコンディショナ
- 低圧進相コンデンサ
- 調光器
- 自動点滅器
系統連系型の太陽電池発電設備には,イ.パワーコンディショナが使用される。パワーコンディショナは,太陽電池で発電された電気を系統に連系できるように直流から交流へ変換する機器である。
No.16 工具の識別

写真に示す工具の用途は。
- 金属管の切断に使用する。
- ライティングダクトの切断に使用する。
- 硬質塩化ビニル電線管の切断に使用する。
- 金属線ぴの切断に使用する。
工具の名称は,合成樹脂管用カッタで,ハ.硬質塩化ビニル電線管の切断に使用する。塩ビカッタともいう。
No.17 器具の識別

写真に示す器具の名称は。
- 漏電警報機
- 電磁開閉器
- 漏電遮断器
- 配線用遮断器(電動機保護兼用)
写真に示す器具の名称は,ニ.配線用遮断器(電動機保護兼用)である。モータブレーカとも呼ばれ,電動機の過負荷保護に用いる配線用遮断器で,適合する電動機の容量が表示してある。
No.18 測定器の識別

写真に示す測定器の名称は。
- 検相器
- 周波数形
- クランプ形電流計
- 照度計
写真に示す測定器の名称はニ.照度計である。白い部分が受光部で,目盛盤には lx の記号がついている。
No.19 特殊場所の低圧屋内配線工事
特殊場所とその場所に施工する低圧屋内配線工事の組合せで,不適切なものは。
- プロパンガスを他の小さな容器に小分けする可燃性ガスのある場所
MI ケーブルを使用したケーブル工事 - 石油を貯蔵する危険物の存在する場所
600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブルを防護装置に収めないで使用したケーブル工事 - 小麦粉をふるい分けする可燃性粉じんのある場所
硬質塩化ビニル電線管 VE28 を使用した合成樹脂管工事 - 自動車修理工場の吹き付け塗装作業を行う可燃性ガスのある場所
厚鋼電線管を使用した金属管工事
特殊な場所の工事の種類は下表のとおり。
特殊場所の種類 | 工事の種類 |
---|---|
爆燃性粉じんの存在する場所 | 金属管工事(薄鋼電線管以上の強度を有するもの) ケーブル工事(キャブタイヤケーブルを除く) |
可燃性ガスの存在する場所 (プロパンガス等) |
|
可燃性粉じんの存在する場所 | 金属管工事(薄鋼電線管以上の強度を有するもの) ケーブル工事 合成樹脂管工事(厚さ2mm未満の合成樹脂管,CD管を除く) |
危険物等の存在する場所 (石油等) |
答えはロ.である。
No.20 単相 3 線式 100/200 V 屋内配線の住宅用分電盤
単相 3 線式 100/200 V 屋内配線の住宅用分電盤の工事を施工した。不適切なものは。
- ルームエアコン(単相 200 V)の分岐回路に 2 極 2 素子の配線用遮断器を取り付けた。
- 電熱器(単相 100 V)の分岐回路に 2 極 2 素子の配線用遮断器を取り付けた。
- 主開閉器の中性極に銅バーを取り付けた。
- 電灯専用(単相 100 V)の分岐回路に 2 極 1 素子の配線用遮断器を取り付け,素子のある極に中性線を結線した。
No.21 屋内配線の施設場所
使用電圧 100 V の屋内配線の施設場所における工事の種類で,不適切なものは。
- 点検できない隠ぺい場所であって,乾燥した場所の金属管工事
- 点検できない隠ぺい場所であって,湿気の多い場所の合成樹脂管工事(CD 管を除く)
- 展開した場所であって,湿気の多い場所のケーブル工事
- 展開した場所であって,湿気の多い場所のライティングダクト工事
ライディングダクト工事は,展開できる場所であって,乾燥した場所のにおいて,使用電圧 300 V 以下の場合にのみ施設できる。
No.22 低圧屋内配線
同一敷地内の車庫へ使用電圧 100 V の電気を供給するための低圧屋側配線部分の工事として,不適切なものは。
- 600 V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)によるケーブル工事
- 硬質塩化ビニル電線管(VE)による合成樹脂管工事
- 1 種金属製線ぴによる金属線ぴ工事
- 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(VVR)によるケーブル工事
No.23 D 種接地工事の施工方法
D 種接地工事の施工方法として,不適切なものは。
- ルームエアコンの接地線として,直径 1.6 mm の軟銅線を使用した。
- 単相 100 V の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流 30 mA ,動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
- 低圧電路に地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に自動的に電路を遮断する装置を設置し,接地抵抗値が 300 Ω であった。
- 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱の接地線として,多心キャプタイヤケーブルの断面積 0.75 mm² の 1 心を使用した。
No.24 低圧電路で使用する測定器
低圧電路で使用する測定器とその用途の組合せとして,誤っているものは。
- クランプ形電流計と負荷電流の測定
- 回路計(テスタ)と導通の確認
- 検相器と電動機の回転速度の測定
- 検電器と電路の充電の有無の確認
検相器は,三相回路の相順を調べるのに用いる。電動機の回転速度の測定には,回転計を用いる。
No.25 漏えい電流による絶縁性能の確認
低圧屋内配線の絶縁抵抗測定を行いたいが,その電路を停電して測定することが困難なため,漏えい電流により絶縁性能を確認した。
「電気設備の技術基準の解釈」に定める絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値 [mA] は。
- 0.1
- 0.2
- 1.0
- 2.0
電気設備の技術基準の解釈【低圧電路の絶縁性能】において,絶縁抵抗測定が困難な場合においては,当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が,1 mA 以下であること,が定められている。よって,絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値は ハ.1.0 [mA] である。
No.26 接地抵抗計(電池式)
接地抵抗計(電池式)に関する記述として,誤っているものは。
- 接地抵抗測定の前には,接地抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,端子間を開放して測定し,指示計の零点の調整をする。
- 接地抵抗測定の前には,接地極の地電圧が許容値以下であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,補助極を適正な位置に配置することが必要である。
端子間を開放して測定すると,指示計は零点にはならない。端子間を短絡して測定し,指示計の零点を調整する。よって,答えはロ.である。
No.27 電圧,電流,電力の測定

図の交流回路は,負荷の電圧,電流,電力を測定する回路である。図中に a , b , c で示す計器の組合せとして,正しいものは。
- a 電流計,b 電圧計,c 電力計
- a 電力計,b 電流計,c 電圧計
- a 電圧計,b 電流計,c 電力計
- a 電圧計,b 電力計,c 電流計
測定する負荷に対して,電圧計は並列に,電流計は直列に接続する。よって,a は電圧計,b は電流計となり,答えはハ.である。
No.28 電気工事士法
電気工事士法に違反しているものは。
- 電気工事士試験に合格したが,電気工事の作業に従事しないので都道府県知事に免状の交付申請をしなかった。
- 電気工事士が電気工事士免状を紛失しないよう,これを営業所に保管したまま電気工事の作業に従事した。
- 電気工事士が住所を変更したが,30 日以内に都道府県知事にこれを届け出なかった。
- 電気工事士が経済産業大臣に届け出をしないで,複数の都道府県で電気工事の作業に従事した。
電気工事士は,電気工事の作業に従事するときは,電気工事士免状を携帯することが義務として定められている。電気工事士法に違反しているものは,ロ.電気工事士が電気工事士免状を紛失しないよう,これを営業所に保管したまま電気工事の作業に従事したである。
No.29 電気工事士法
電気工事士法において,一般用電気工作物に係る工事の作業で a , b ともに電気工事士でなければ従事できないものは。
-
a : 配電盤に造営材を取り付ける。
b : 電線管を曲げる。 -
a : 地中電線用の管を設置する。
b : 定格電圧 240 V の電力量計を取り付ける。 -
a : 電線を支持する柱を設置する。
b : 電線管を電線に収める。 -
a : 接地極を地面に埋設する。
b : 定格電圧 125 V の差込み接続器にコードを接続する。
No.30 特定電気用品
低圧の屋内電路に使用する次の配線器具のうち,特定電気用品の適用を受けるものは。
ただし,定格電圧,定格電流,使用箇所,構造等すべて「電気用品安全法」に定める電気用品に該当するものとする。
- カバー付ナイフスイッチ
- 電磁開閉器
- ライティングダクト
- タイムスイッチ