平成30年度 第二種電気工事士 下期 筆記試験 解答と解説
本問題の計算で $\sqrt{2}$,$\sqrt{3}$ 及び円周率 $\pi$ を使用する場合の数値は次によること。$\sqrt{2}=1.41$,$\sqrt{3}=1.73$,$\pi=3.14$
No. 1 合成抵抗

図のような回路で,端子 a - b 間の合成抵抗 [Ω] は。
- 1
- 2
- 3
- 4
2 Ω と 2 Ω の並列回路の合成抵抗は 2×2 / (2+2) = 1 Ω。3 Ω と 6 Ω の並列回路の合成抵抗は 3×6/(3+6) = 2 Ω。a - b 間の合成抵抗は,6×(1+2)/{6+(1+2)} = 2 Ω。
No. 2 RL 直列回路

図のような交流回路において,抵抗 12 Ω の両端の電圧 V [V] は。
- 86
- 114
- 120
- 160
抵抗 12 Ω の両端の電圧 V [V] は次式で求められる。
\[ 200 \times \frac{12}{\sqrt{12^2+16^2}}=200 \times \frac{12}{20} = 120 \]No. 3 銅導線の抵抗値
直径 2.6 mm,長さ 10 m の銅導線と抵抗値が最も近い同材質の銅材質の銅導線は。
- 直径 1.6 mm,長さ 20 m
- 断面積 8 mm²,長さ 10 m
- 直径 3.2 mm,長さ 5 m
- 断面積 5.5 mm²,長さ 10 m
No. 4 水の温度上昇に必要な電力量
電熱器により,60 kg の水の温度を 20 K 上昇させるのに必要な電力量 [kW·h] は。
ただし,水の比熱は 4.2 kJ/(kg·K)とし,熱効率は 100 % とする。
- 1.0
- 1.2
- 1.4
- 1.6
60 kg の水の温度を 20 K 上昇させるのに必要な熱量 [kJ] は,4.2 [kJ/(kg·K)] × 60 [kg] × 20 [K] = 5 040 [kJ]。1 [kW·h] = 3 600 [kJ]であるので,60 kg の水の温度を 20 K 上昇させるのに必要な電力量は,5 040 /3 600 = 1.4 [kW·h]。
No. 5 三相 3 線式回路(Y 結線)に流れる電流

図のような三相 3 線式回路に流れる電流 I [A] は。
- 8.3
- 11.6
- 14.3
- 20.0
Y結線(星形結線)の相電流 $I_\text{p}$ は次式で求められる。
\[ I_\text{p} = \frac{200/\sqrt{3}}{\sqrt{8^2+6^2}}=20/\sqrt{3}= 11.54 \]No. 6 単相 2 線式回路の電圧降下

図のように,電線のこう長 8 m の配線により,消費電力 2 000 W の抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は 100 V であった。配線における電圧降下 [V] は。
ただし,電線の電気抵抗は長さ 1 000 m 当たり 3.2 Ω とする。
- 1
- 2
- 3
- 4
配線に流れる電流は,2 000 W / 100 V = 20 A。よって,配線における電圧降下は,次式で求められる。
\[ 2\times\frac{3.2}{1000}\times8\times20=1.024 \]No. 7 単相 3 線式回路の電圧降下

図のような単相 3 線式回路において,電線 1 線当たりの抵抗が 0.1 Ω のとき,a - b 間の電圧 [V] は。
- 102
- 103
- 104
- 105
中性線には電流は流れていないので,a - b 間の電圧は,105 V - 0.1 Ω × 10 A = 104 V である。
No. 8 ケーブルの許容電流
低圧屋内配線工事に使用する 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(銅導体),導体の直径 2.0 mm,3 心の許容電流 [A] は。
ただし,周囲温度は 30 °C 以下,電流減少係数は 0.70 とする。
- 19
- 24
- 33
- 35
導体の直径が 2.0 mm の単線の許容電流は,35 A であり,これに電流減少係数を乗じると,35 A × 0.70 = 24.5 A となる。。
No. 9 過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐回路

図のように定格電流 125 A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10 m の位置に過電流遮断器を施設するとき,a - b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は。
- 44
- 57
- 69
- 89
電線の許容電流が,その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の 55 % 以上である場合,10 m の位置に過電流遮断器を施設することができる。よって,125 A × 55 % = 68.75 A。よって,a - b 間の電線の許容電流の最小値は,69 [A] である。
No. 10 低圧屋内配線の分岐回路の設計
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器の定格電流とコンセントの組み合わせとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは 3 m,配線用遮断器からコンセントまでは 8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

No. 11 漏電遮断器
漏電遮断機に関する記述として,誤っているものは。
- 高速形漏電遮断器は,定格感度電流における動作時間が 0.1 秒以下である。
- 漏電遮断器は,零相変流器によって地絡電流を検出する。
- 高感度形漏電遮断器は,定格感度電流が 1 000 mA 以下である。
- 漏電遮断器には,漏電電流を模擬したテスト装置がある。
高感度形漏電遮断器は,定格感度電流が 30 mA 以下の漏電遮断器をいう。
No. 12 直接埋設式による地中配線の施設
低圧の地中配線を直接埋設式により施設する場合に使用できるものは。
- 600 V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)
- 600 V ビニル絶縁電線(IV)
- 引込用ビニル絶縁電線(DV)
- 屋外用ビニル絶縁電線(OW)
地中電線路には,ケーブルを使用しなければならない。
No. 13 三相かご形誘導電動機の回転速度
極数 6 の三相かご形誘導電動機を周波数 50 Hz で使用するとき,最も近い回転速度 [min-1] は。
- 500
- 1 000
- 1 500
- 3 000
極数 $p$ の三相かご形誘導電動機を周波数 $f$ [Hz] で使用するとき,回転速度 $N$ [min-1] は,次式で求められる。
\[ N=\frac{120f}{p}=\frac{120\times50}{6}=1000 \]No. 14 電気工事の種類と工具
電気工事の種類と,その工事で使用する工具の組合せとして,適切なものは。
- バスダクト工事 と ガストーチランプ
- 合成樹脂管工事 と パイプベンダ
- 金属線ぴ工事 と ボルトクリッパ
- 金属管工事 と リーマ
No. 15 太陽電池発電設備において使用される機器
系統連系型の太陽電池発電設備において使用される機器は。
- 低圧進相コンデンサ
- パワーコンディショナ
- 調光器
- 自動点滅器
パワーコンディショナは,直流の電気を交流に変換する装置。系統連系のため,太陽電池で発電される直流の電気を,交流の電気に変換する必要がある。
No. 16 材料の名称

写真に示す材料の名称は。
なお,材料の表面には「タイシガイセン EM600V EEF/F11.6mm JIS JET<PS>E○○社タイネン 2017」が記されている。
- 無機絶縁ケーブル
- 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形
- 600V ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形
- 600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
EM-EEF は,「600V ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形」の記号である。
No. 17 器具の用途

写真に示す器具の用途は。
- リモコンリレー操作用のセレクタスイッチとして用いる。
- リモコン配線の操作電源変圧器として用いる。
- リモコン配線のリレーとして用いる。
- リモコン用調光スイッチとして用いる。
器具の名称はリモコンリレーで,リモコン配線のリレーとして用いる。
No. 18 工具の用途

写真に示す工具の用途は。
- VFF コード(ビニル平形コード)の絶縁被覆をはぎ取るのに用いる。
- CV ケーブル(低圧用)の外装や絶縁被覆をはぎ取るのに用いる。
- VVR ケーブルの外装や絶縁被覆をはぎ取るのに用いる。
- VVF ケーブルの外装や絶縁被覆をはぎ取るのに用いる。
工具の名称は,ケーブルストリッパで,VVF ケーブルの外装や心線の絶縁被覆のはぎ取りに用いる。
No. 19 絶縁電線相互の接続
単相 100 V の屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは。
- 絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した。
- 電線の電気抵抗が 10 % 増加した。
- 終端部を圧着接続するのにリングスリーブ(E 形)を使用した。
- 電線の引張強さが 15 % 減少した。
電線を接続する場合,電気抵抗を増加させてはならない。
No. 20 低圧屋内配線工事
木造住宅の金属板張り(金属系サイディング)の壁を貫通する部分の低圧屋内配線工事として,適切なものは。
ただし,金属管工事,金属可とう電線管工事に使用する電線は,600 V ビニル絶縁電線とする。
- ケーブル工事とし,壁の金属板張りを十分に切り開き,600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブルを合成樹脂管に収めて電気的に絶縁し,貫通施工した。
- 金属管工事とし,壁に小径の穴を開け,金属板張りと金属管とを接触させ金属管を貫通施工した。
- 金属可とう電線管工事とし,壁の金属板張りを十分に切り開き,金属製可とう電線管を壁と電気的に接続し,貫通施工した。
- 金属管工事とし,壁の金属板張りと電気的に完全に接続された金属管に D 種接地工事を施し,貫通施工した。
金属板と金属管等は,電気的に接続しないように施設しなければならない。
No. 21 屋内配線工事
木造住宅の単相 3 線式 100/200 V 屋内配線工事で,不適切な工事方法は。
ただし,使用する電線は 600 V ビニル絶縁電線,直径 1.6 mm(軟銅線)とする。
- 同じ径の硬質塩化ビニル電線管(VE)2 本を TS カップリングで接続した。
- 合成樹脂製可とう電線管(CD 管)を木造の床下や壁の内部及び天井裏に配管した。
- 金属管を点検できない隠ぺい場所で使用した。
- 合成樹脂製可とう電線管(PF 管)内に通線し,支持点間の距離を 1.0 m で造営材に固定した。
CD 管を木造の床下や壁の内部及び天井裏に配管してはならない。
No. 22 D 種接地工事の省略
機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で,不適切なものは。
- 三相 200 V 電動機外箱の接地線に直径 1.6 mm の IV 電線を使用した。
- 単相 100 V 移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線として多心コードの断面積 0.75 mm² の 1 心を使用した。
- 単相 100 V の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流 15 mA,動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断機を取り付けたので,接地工事を省略した。
- 一次側 200 V,二次側 100 V,3 kV·A の絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。
水気のある場所に施設する電動機には,接地工事が必要である。
No. 23 電流減少係数
低圧屋内配線工事で,600 V ビニル絶縁電線を金属管に収めて使用する場合,その電線の許容電流を求めるための電流減少係数に関して,同一管内の電線数と電線の電流減少係数との組合せで,誤っているものは。
ただし,周囲温度は 30 °C 以下とする。
- 2 本 0.80
- 4 本 0.63
- 5 本 0.56
- 6 本 0.56
3 本以下の電流減少係数は,0.70 である。
No. 24 アナログ式回路計
アナログ式回路計(電池内蔵)の回路抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。
- 回路計の電池容量が正常であることを確認する。
- 抵抗測定レンジに切り換える。被測定物の概略値が想定される場合は,測定レンジの倍率を適正なものにする。
- 赤と黒の測定端子(テストリード)を短絡し,指針が 0 Ω になるよう調整する。
- 被測定物に,赤と黒の測定端子(テストリード)を接続し,その時の指示値を読む。なお,測定レンジに倍率表示がある場合は,読んだ指示値を倍率で割って測定値とする。
測定レンジに倍率表示がある場合は,読んだ指示値を倍率で乗じて測定値としなければならない。
No. 25 単相 3 線式 100/200 V 屋内配線
単相 3 線式 100/200 V 屋内配線で,絶縁被覆の色が赤色,白色,黒色の 3 種類の電線が使用されていた。この屋内配線で電線相互間及び電線と大地間の電圧を測定した。その結果としての電圧の組合せで,適切なものは。
ただし,中性線は白色とする。
- 赤色線と大地間 200 V,白色線と大地間 100 V,黒色線と大地間 0 V
- 白色線と黒色線間 100 V,赤色線と大地間 0 V,黒色線と大地間 200 V
- 赤色線と白色線間 200 V,赤色線と大地間 0 V,黒色線と大地間 100 V
- 赤色線と黒色線間 200 V,白色線と大地間 0 V,赤色線と大地間 100 V
単相 3 線式 100/200 V 屋内配線の線間電圧は次の図のとおりである。

No. 26 接地抵抗計
直読式接地抵抗計を用いて,接地抵抗を測定する場合,被測定接地極 E に対する,2 つの補助接地極 P (電圧用)及び C (電流用)の配置として,最も適切なものは。

接地極 E より 10 m 離れた場所に補助接地極(電圧極) P を打ち込み,さらに 10 m 離れた場所に補助接地極(電流極) C を打ち込む。
No. 27 単相 3 線式回路における断線

図のような単相 3 線式回路で,開閉器を閉じて機器 A の両端の電圧を測定したところ 120 V を示した。この原因として,考えられるものは。
- a 線が断線している。
- 中性線が断線している。
- b 線が断線している。
- 機器 A の内部で断線している。
a 線が断線していたり,機器 A の内部で断線していれば,機器 A の両端の電圧は 0 V となる。b 線が断線していても,機器 A の両端の電圧は 100 V より大きくなることはない。
No. 28 電気工事士の義務又は制限
電気工事士の義務又は制限に関する記述として,誤っているものは。
- 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業に従事するときは,電気工事士免状を携帯していなければならない。
- 電気工事士は,氏名を変更したときは,免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書換えをしてもらわなければならない。
- 第二種電気工事士のみの免状で,需要設備の最大電力が 500 kW 未満の自家用電気工作物の低圧部分の電気工事のすべての作業に従事することができる。
- 電気工事士は,電気工事士法で定められた電気工事の作業を行うときは,電気設備に関する技術基準を定める省令に適合するよう作業を行わなければならない。
自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める特殊なもの(以下「特殊電気工事」という。)については,当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者(以下「特種電気工事資格者」という。)でなければ,その作業に従事してはならない。
No. 29 電気用品安全法における特定電気用品
電気用品安全法において,特定電気用品の適用を受けるものは。
- 消費電力 40 W の蛍光ランプ
- 外径 19 mm の金属製電線管
- 消費電力 30 W の換気扇
- 定格電流 20 A の配線用遮断器
No. 30 電圧の低圧区分
「電気設備に関する技術基準を定める省令」における電圧の低圧区分の組合せで,正しいものは。
- 直流にあっては 600 V 以下,交流にあっては 600 V 以下のもの
- 直流にあっては 750 V 以下,交流にあっては 600 V 以下のもの
- 直流にあっては 600 V 以下,交流にあっては 750 V 以下のもの
- 直流にあっては 750 V 以下,交流にあっては 750 V 以下のもの
低圧は,「直流にあっては 750 V 以下,交流にあっては 600 V 以下」である。