電気工事の施工方法

2008年6月作成,2023年11月5日更新

内容は,①「配線工事の方法」,②「電気機器及び配線器具の設置工事の方法」,③「コード及びキャブタイヤケーブルの取付方法」,④「接地工事の方法」である。

電気工事士が電気工事を実施する場合には,遵守すべき基準に基づき行わなければならない。電気工事の施工方法に関する様々な基準や手順について,定められた主旨・背景についても十分理解した上で,手順を遵守し,基準に適合した施工を行うことが求められる。

第二種電気工事士が携わる一般用電気工作物の施工において守るべき条件等を学習し,実際の電気工事で適切な施工ができる知識を身につけてほしい。

配線工事の方法

低圧屋内配線の施設場所による工事の種類

電気工事は,「施設する場所」によって可能な工事の種類が異なる。施設する場所は「展開した場所」「点検できる隠ぺい場所」「点検できない隠ぺい場所」がそれぞれ「乾燥した場所」「水気・湿気のある場所」に分けられている。

表 施工場所と工事の種類
工事の種類 露出場所
点検できる隠ぺい場所
点検できない隠ぺい場所
乾燥した場所 その他の場所 乾燥した場所 その他の場所
金属管工事
合成樹脂管工事
(CD管を除く)
ケーブル工事
二重金属製
可とう電線管工事
がいし引き工事
金属ダクト工事
金属線ぴ工事
ライディングダクト工事
平形保護層工事
○は300 V 以下に限る。

金属管工事合成樹脂管工事(CD 管を除く),二重金属製可とう電線管工事ケーブル工事は,電線の損傷のおそれが少ないため,どこでも施工可能である。

がいし引き工事は,むき出しの配線のため,点検できない場所は不可である。

金属ダクト工事金属線ぴ工事ライディングダクト工事は,感電や漏電のおそれがあるため,湿気場所・点検できない場所には施設できない。

屋内配線を施設する場所の区分

屋内配線を施設する場所の区分について,電気設備の技術基準の解釈における定義を整理する。

表 屋内配線を施設する場所の区分
場所 定義 説明
展開した場所 点検できない隠ぺい場所及び点検できる隠ぺい場所以外の場所 壁面や天井面など,配線が目視できる場所。
点検できる隠ぺい場所 点検口がある天井裏、戸棚又は押入れ等、容易に電気設備に接近し、又は電気設備を点検できる隠ぺい場所 天井裏,押入れ等,点検口から点検できる場所。
点検できない隠ぺい場所 天井ふところ、壁内又はコンクリート床内等、工作物を破壊しなければ電気設備に接近し、又は電気設備を点検できない場所 床下,壁内,天井懐など,一部を壊さないと近づけない場所。

過去問題

メタルラス張り等の木造造営物における施設

メタルラス張り,ワイヤラス張り又は金属板張りの木造の造営物に,合成樹脂管工事,金属管工事,金属可とう電線管工事,金属線ぴ工事,金属ダクト工事,バスダクト工事又はケーブル工事により,屋内配線,屋側配線又は屋外配線を施設する場合,又はライディングダクト工事により低圧屋内配線を施設する場合は,次の各号によること。

  1. メタルラス,ワイヤラス又は金属板と次に掲げるものとは,電気的に接続しないように施設すること。
  2. 金属管工事,金属可とう電線管工事,金属ダクト工事,バスダクト工事又はケーブル工事により施設する電線が,メタルラス張り,ワイヤラス張り又は金属板張りの造営材を貫通する場合は,その部分をメタルラス,ワイヤラス又は金属板を十分に切り開き,かつ,その部分の金属管,可とう電線管,金属ダクト,バスダクト,又はケーブルに,耐久性のある電線管をはめる,又は耐久性のある絶縁テープを巻くことにより,メタルラス,ワイヤラス又は金属板と電気的に接続しないように施設すること。
メタルラス
鉄板を加工して網状としたもので,壁面仕上げの下地として用いられる。
ワイヤラス
鉄線を加工して網状としたもので,壁面仕上げの下地として用いられる。
金属板
主として亜鉛めっき鉄板又はアルミ板等で,屋内の壁若しくは天井又は屋外の壁若しくは屋根仕上げ材として用いられる。
メタルラス
写真 メタルラス

過去問題

低圧配線と弱電流電線等又は管との接近又は交差

合成樹脂管工事,金属管工事,金属可とう電線管工事,金属線ぴ工事,金属ダクト工事,バスダクト工事,ケーブル工事,フロアダクト工事,セルラダクト工事,ライティングダクト工事又は平形保護層工事により施設する低圧配線が,弱電流電線又は水管等と接近し又は交差する場合は,低圧配線が弱電流電線又は水管等と接触しないように施設すること。

特殊な低圧屋内配線工事

フロアダクト工事による低圧屋内配線

フロアダクトとは,ビルなどのコンクリート建造物の床下から電源をとるために,コンクリートフロアに埋め込む金属製ダクトである。床は,壁や天井などと比較して,人が触れやすく,水気がたまりやすいことから,屋内の乾燥したコンクリート床の埋込配線のみが認められており,それ以外の場所では施設できない。また,接地工事を省略することはできない。

  • 電線は,絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)であること。
  • 電線は,より線又は直径 3.2 mm(アルミ線にあっては,4 mm)以下の単線であること。
  • フロアダクト内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,電線を分岐する場合において,その接続点が容易に点検できるときは,この限りでない。
  • フロアダクト工事に使用するフロアダクト及びボックスその他の附属品は,次により施設すること。
    1. ダクト相互並びにダクトとボックス及び引出口とは,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続すること。
    2. ダクト及びボックスその他の附属品は,水のたまるような低い部分を設けないように施設すること。
    3. ボックス及び引出口は,床面から突出しないように施設し,かつ,水が浸入しないように密封すること。
    4. ダクトの終端部は,閉そくすること。
    5. ダクトには,D 種接地工事を施すこと。

過去問題

セルラダクト工事

セルラダクト工事は点検できる隠ぺい場所の乾燥した場所で使用電圧 300 V 以下,または点検できない隠ぺい場所の乾燥した場所で使用電圧 300 V 以下の場合にのみ適用できる。

展開した場所では,セルラダクト工事により施設することはできない。

ライティングダクト工事 施設方法

ライディングダクト(一般的にはライディングレール)とは,店舗などの配線に使うダクトのことである。ダクト内のレールに沿わせて一組の線状導体が設けられており,レールに装着された照明器具が移動しても任意の位置で線状導体から照明器具のプラグ電極へ通電が可能になっている。これにより,レールに沿った任意の位置で照明を灯すことができる。照明器具には専用の取付プラグが必要になるが,器具の交換や追加などが容易にできるようになっている。

  • ダクトの支持点間の距離は,2 m 以下とすること。
  • ダクトの終端部は,閉そくすること。
  • ダクトの開口部は,下に向けて施設すること。ただし,次のいずれかに該当する場合は,横に向けて施設することができる。
    • 簡易接触防護措置を施し,かつ,ダクトの内部にじんあいが侵入し難いように施設する場合
    • 日本工業規格 JIS C 8366 (2006)「ライディングダクト」の「5 性能」,「6 構造」及び「8 材料」の固定 Ⅱ 形に適合するライティングダクトを使用する場合
  • ダクトは,造営材を貫通しないこと。
  • ダクトには,D 種接地工事を施すこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
    • 合成樹脂その他の絶縁物で金属製部分を被覆したダクトを使用する場合
    • 対地電圧が 150 V 以下で,かつ,ダクトの長さ(2 本以上のダクトを接続して使用する場合は,その全長をいう。)が 4 m 以下の場合
  • ダクトの導体に電気を供給する電路には,当該電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
ライティングダクト
写真 ライディングレール

過去問題

特殊な配線等の施設

ショウウィンドウ又はショウケース内の低圧屋内配線

電源から電気機器に電気を送るコードキャプタイヤケーブルは造営材に固定することは禁じられているが,ショウウィンドウやショウケース内では,美観上,差込接続器からの配線が条件付きで認められている。

ショウウィンドウ又はショウケース内の低圧屋内配線を,次の各号により施設する場合は,外部から見えやすい箇所に限り,コード又はキャプタイヤケーブルを造営材に接触して施設することができる。

  1. ショウウィンドウ又はショウケースは,乾燥した場所に施設し,内部を乾燥した状態で使用するものであること。
  2. 配線の使用電圧は,300 V 以下であること。
  3. 電線は,断面積 0.75 mm2 以上のコード又はキャブタイヤケーブルであること。
  4. 電線は,乾燥した木材,石材その他これに類する絶縁性のある造営材に,その被覆を損傷しないように適当な留め具により,1 m 以下の間隔で取り付けること。
  5. 電線には,電球又は器具の重量を支持させないこと。
  6. ショウウィンドウ又はショウケース内の配線又はこれに接続する移動電線と,他の低圧屋内配線との接続には,差込み接続器その他これに類する器具を用いること。

電気機器及び配線器具の設置工事の方法

合成樹脂管工事

合成樹脂管は,硬質塩化ビニル電線管VE 管)と可とう電線管PF 管CD 管)に大別される。金属管に比べて安価で,高絶縁性,化学薬品に対する高抵抗力,加工の容易性,接地工事が不要などの金属管にはない特徴があるが,熱によって溶融・変形したり,直射日光により割れたりするおそれがある。

  • 合成樹脂管内では,電線に接続点を設けないこと。
  • 管相互及び管とボックスとは,管の差込み深さを管の外径の 1.2 倍(接着剤を使用する場合は,0.8 倍)以上とし,差込み接続により堅ろうに接続すること。
  • 管の支持点間の距離は 1.5 m 以下とし,かつ,その支持点は,管端,管とボックスとの接続点及び管相互の接続点のそれぞれの近くの箇所に設けること。

硬質塩化ビニル電線管相互の接続手順

硬質塩化ビニル電線管を切断し,その切断箇所にTSカップリングを使用して管相互を接続する場合,工具及び材料の使用順序は,以下のとおり。

  1. 硬質塩化ビニル電線管を金切りのこで切断する。
  2. 面取器で硬質塩化ビニル電線管の切断面の面取りを行う。
  3. 面取り後,切断箇所をウエス(布)で清掃する。
  4. TS カップリングを使用する箇所に接着剤を塗布する。
  5. TS カップリングを使用して管相互を接続する。

PF 管と CD 管

PF 管(Plastic Flexible Conduit)は,耐燃性(自己消火性)を有する。

CD 管(Conbined Duct)は,非耐燃性(自己消火性なし)であり,オレンジ色で識別される。

PF 管と CD 管
写真 PF 管と CD 管

CD 管の施設

合成樹脂製可とう電線管(CD 管)は,次のいずれかにより施設する。

  • 直接コンクリートに埋め込んで施設すること。
  • 専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。

合成樹脂管工事に使用される 2 号コネクタの使用目的

合成樹脂管工事に使用される 2 号コネクタの使用目的は,硬質ポリ塩化ビニル電線管をアウトレットボックス等に接続するのに用いる。

過去問題

金属管工事

金属管工事は,金属製の電線管に電線を通して配線する工事である。造営材(構造材)にサドルで固定する露出配管か,コンクリートに埋め込む埋設配管がある。

金属管工事は,金属製の配管を使用しているため,衝撃などに強く,施設場所や,施設場所による工事の種類の制限を受けることなく適用できる。

  • 金属管内では,電線に接続点を設けないこと。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,管には,D 種接地工事を施すこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
    • 管の長さが 4 m 以下のものを乾燥した場所に施設する場合
    • 屋内配線の使用電圧が直流 300 V 又は交流対地電圧 150 V 以下の場合において,その電線を収める管の長さが 8 m 以下のものに簡易接触防護措置を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,管には,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置を施す場合は,D 種接地工事によることができる。

支持点間の距離

2 m 以下とすることが望ましい(内線規程)。

管の屈曲

  1. 内側の曲げ半径は管内径の 6 倍以上とする。
  2. アウトレットボックスやその他のボックス間の金属管には,3 ヵ所を超える直角の屈曲箇所を設けない。

電磁的不平衡

電磁的不平衡を生じないようにするには,1 回路の電線全てを同一の金属管に挿入する。三相用負荷では 3 本全ての電線を金属管に挿入し,単相用負荷では負荷に接続される 2 本の電線を金属管に挿入する。

電線を金属管に挿入する方法
図 電線を金属管に挿入する方法

金属管工事で金属管とアウトレットボックスとを電気的に接続する方法

金属管とアウトレットボックスとは,ねじ接続その他これと同等以上の効力のある方法により,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続する。

金属管工事で金属管とアウトレットボックスとを電気的に接続する方法
図 金属管工事で金属管とアウトレットボックスとを電気的に接続する方法

過去問題

金属製可とう電線管工事

金属可とう電線管は,可とう性(曲げてたわめることが可能)のある電線管に電線を通して配線する工事で,振動の発生する電動機などの配線でよく用いられる。金属可とう電線管には 1 種2 種があり,2 種プリカチューブ)による工事はすべての場所に施設可能である。

  • 電線管内では,電線に接続点を設けないこと。
  • 電線管は,2 種金属製可とう電線管であること。ただし,次に適合する場合は,1 種金属製可とう電線管を使用することができる。
    1. 展開した場所又は点検できる隠ぺい場所であって,乾燥した場所であること。
    2. 屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,電動機に接続する部分で可とう性を必要とする部分であること。
    3. 管の厚さは,0.8 mm 以上であること。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,電線管には,D 種接地工事を施すこと。ただし,管の長さが 4 m 以下のものを施設する場合は,この限りでない。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,電線管には,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置を施す場合は,D 種接地工事によることができる。

電技解釈【可とう電線管工事】により,2 種金属製可とう電線管工事で使用できる電線は,屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除いた絶縁電線である。

二重金属製可とう電線管の曲げ半径

  1. 原則として,管の内側曲げ半径は管内径の 6 倍以上とする。
  2. 露出場所又は点検できる隠ぺい場所で,管の取り外しができる場合は,管の内側曲げ半径は管内径の 3 倍以上とする。

過去問題

がいし引き工事

がいし引き工事とは,造営材に配線路に沿ってがいしを取り付け,電線をがいしに固定して配線する工事のことである。電線はバインド線を使って固定する。最近はほとんど見かけないが,田舎の旧家などではたまに見かけることがある。

表 がいし引き工事の施工方法
工事に使えるがいし 絶縁性,難燃性,耐水性のあるもの
施設できる場所 展開した場所,点検できる場所には施設可能
使用できる電線 絶縁電線(OW 線と DV 線を除く)

金属線ぴ工事

線ぴとは,電線を収めるとい状の収納材で幅が 5 cm 以下のものをいう。線ぴを壁や天井をはわせて電線を収めて配線工事を行うのが線ぴ工事である。

金属製の線ぴには,壁面露出で電線を配線するためのメタルモール1 種金属線ぴ)と,天井から吊り下げて使用するレースウェイ2 種金属線ぴ)がある。

メタルモール
写真 メタルモール(1 種金属線ぴ)
  • 線ぴ内では電線に接続点を設けないこと。ただし,次に適合する場合は,この限りでない。
    1. 電線を分岐する場合であること。
    2. 線ぴは,電気用品安全法の適用を受ける 2 種金属製線ぴであること。
    3. 接続点を容易に点検できるように施設すること。
    4. 線ぴには,D 種接地工事を施すこと。
    5. 線ぴ内の電線を外部に引き出す場合は,線ぴの貫通部分で電線が損傷するおそれがないように施設すること。
  • 線ぴには,D 種接地工事を施すこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
    1. 線ぴの長さが 4 m 以下のものを施設する場合
    2. 屋内配線の使用電圧が直流 300 V 又は交流対地電圧が 150 V 以下の場合において,その電線を収める線ぴの長さが 8 m 以下のものに簡易防護措置を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき

金属ダクト工事

金属ダクトは,工場やビルなどで太い電線をたくさん集中させて配線するときに用いる。ダクトは金属製であるが,密閉性や強度によいて金属管などよりも劣るため,点検できない場所,湿気のある場所には施設できない。

  • ダクト内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,電線を分岐する場合において,その接続点が容易に点検できるときは,この限りでない。
  • ダクトを造営材に取り付ける場合は,ダクトの支持点間の距離を 3 m (取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において,垂直に取り付ける場合は,6 m )以下とし,堅ろうに取り付けること。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,ダクトには,D 種接地工事を施すこと。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,ダクトには,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置を施す場合は,D 種接地工事によることができる。

過去問題

バスダクト工事

  • ダクトを造営材に取り付ける場合は,ダクトの支持点間の距離を 3 m (取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において,垂直に取り付ける場合は,6 m )以下とし,堅ろうに取り付けること。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,ダクトには,D 種接地工事を施すこと。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,ダクトには,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置を施す場合は,D 種接地工事によることができる。

過去問題

ケーブル工事

ケーブルは,絶縁電線を外装シース)と呼ばれる外装材で被覆して機械的強度,絶縁性能を向上させた電線である。ケーブルをサドルやステップルといった器具で造営材に取り付けて配線するのがケーブル工事である。

  • 電線を造営材の下面又は側面に取り付ける場合は,電線の支持点間の距離をケーブルにあっては 2 m (接触防護措置を施した場所において垂直に取り付ける場合は,6 m )以下,キャブタイヤケーブルにあっては 1 m 以下とし,かつ,その被覆を損傷しないように取り付けること。
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V 以下の場合は,管その他の電線を収める防護措置の金属製部分,金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体には,D 種接地工事を施すこと。ただし,次のいずれかに該当する場合は,管その他の電線を収める防護措置の金属部分については,この限りでない。
    • 防護措置の金属製部分の長さが 4 m 以下のものを乾燥した場所に施設する場合
    • 屋内配線の使用電圧が直流 300 V 又は交流対地電圧 150 V 以下の場合において,防護装置の金属製部分の長さが 8 m 以下のものに簡易接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき
  • 低圧屋内配線の使用電圧が 300 V を超える場合は,管その他の電線を収める防護措置の金属製部分,金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体には,C 種接地工事を施すこと。ただし,接触防護措置(金属製のものであって,防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は,D 種接地工事によることができる。

電線を直接コンクリートに埋め込んで施設する低圧屋内配線は,次の各号によること。

  1. 電線は,MI ケーブル,コンクリート直埋用ケーブル又は【地中電線路の施設】に性能する性能を満足するがい装を有するケーブルであること。
  2. コンクリート内では,電線に接続点を設けないこと。ただし,接続部において,ケーブルと同等以上の絶縁性能及び機械的保護機能を有するように施設する場合は,この限りでない。
  3. 工事に使用するボックスは,電気用品安全法の適用を受ける金属製若しくは合成樹脂製のもの又は黄銅若しくは銅で堅ろうに製作したものであること。
  4. 電線をボックス又はプルボックス内に引き込む場合は,水がボックス又はプルボックス内に浸入し難いように適当な構造のブッシングその他これに類するものを使用すること。
  5. 前項第四号及び第五号の規定に準じること。

特殊場所の施設

粉じんの多い場所,可燃性ガスや危険物などがある場所では,電気スパークによる引火・爆発事故のおそれがあるため,工事の種類が制限されている。

表 特殊な場所の工事
特殊場所の種類 工事の種類
爆燃性粉じんの存在する場所 金属管工事(薄鋼電線管以上の強度を有するもの)
ケーブル工事(キャブタイヤケーブルを除く)
可燃性ガスの存在する場所
(プロパンガス等)
可燃性粉じんの存在する場所 金属管工事(薄鋼電線管以上の強度を有するもの)
ケーブル工事
合成樹脂管工事(厚さ 2 mm 未満の合成樹脂管,CD 管を除く)
危険物等の存在する場所
(石油等)

粉じんの多い場所とは,マグネシウムやアルミニウムなどの爆発性粉じん,小麦粉,でん粉などの可燃性粉じんのある場所をいう。

可燃性ガスの存在する場所とは,プロパンガスなどを取り扱う施設をいう。

危険物などの存在する場所とは,ガソリン,石油などを取り扱う施設をいう。

小勢力回路の施設

小勢力回路とは,玄関のチャイムなどの電力をあまり必要としない回路のことで,小型変圧器 60 V 以下に下げた電源を使用する回路のことをいう。変圧器の 2 次側が小勢力回路となり,使用する電線は通常よりも細くできる。

使用電線

直径 0.8 mm 以上の軟銅線(ケーブルを除く)

地中電線路

使用電線

ケーブルを使用する。例えば,600 V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)を使用する。

埋設深さ(直接埋設式)

  1. 車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所では,1.2 m 以上
  2. その他の場所では,0.6 m 以上

過去問題

例題

店舗付き住宅に三相 200 V,定格消費電力 2.8 kW のルームエアコンを施設する屋内配線工事の方法として,不適切なものは

解答・解説

技術基準により,住宅の屋内電路の対地電圧は 150 V と制限されているが,いくつかの条件を満たして施工する場合には対地電圧 300 V 以下まで許容される。

この条件の一つは「電気機械器具は,屋内配線と直接接続して接続する。」と定められている。よって,選択肢ニ.は不適切である。

コード及びキャブタイヤケーブルの取付方法

電線の接続法

  1. 電線の電気抵抗を増加させない。
  2. 電線の引張強さを 20 % 以上減少させない。
  3. 接続部分には,接続管その他の器具を使用するか,ろう付けする。
  4. 接続部分を絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用する場合を除き,接続部分を絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆する。
  5. コード相互,キャブタイヤケーブル相互,コードとキャブタイヤケーブルを接続する場合は,コード接続器,接続箱等を使用する(8 mm² 以上のキャブタイヤケーブル相互を接続する場合は除く)。

差込形コネクタによって接続した場合は,接続部分をテープ巻きする必要はない。リングスリーブによって接続した場合は,接続部分を絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆しなければならない。内線規程では,絶縁テープによる低圧絶縁電線の被覆の方法の例を,下表のように示している。

表 絶縁テープによる低圧絶縁電線の被覆の方法の例
絶縁テープの種類 テープの巻き方
黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープを用いる場合 黒色粘着ポリエチレン絶縁テープを半幅以上重ねて 1 回以上巻く(2 層以上)
ビニルテープを用いる場合 ビニルテープを半幅以上重ねて 2 回以上巻く(4 層以上)
自己融着性絶縁テープを用いる場合 自己融着性絶縁テープを半幅以上重ねて 1 回以上巻き(2 層以上),かつ,その上に保護テープを半幅以上重ねて 1 回以上巻く

テープの巻回数は,上表を最低とし,電線の太さに応じて増加すること。

例題

単相 100 V の屋内配線工事における絶縁電線相互の接続で,不適切なものは

解答・解説

電気設備の技術基準を定める省令 第7条では,電線を接続する場合に「接続部分における電気抵抗の増加」「絶縁性能の低下」「通常使用における断線のおそれ」がないように接続することが求められる。よって,正解はニ.である。

省令の規定に適合する接続法は,電気設備の技術基準の解釈 第12条に示されており,絶縁電線相互を接続する場合においても,当然,電線の電気抵抗の増加は認められない。なお,引張強さの 15 % 減少は,解釈の規定の制限内である。

過去問題

リングスリーブによる圧着接続

リングスリーブの中に数本の電線を挿入し,圧着ペンチで圧着し,電線を接続する。

リングスリーブ
写真 リングスリーブ

接続する電線の太さ・本数,リングスリーブ,圧着ペンチの組み合わせは,次表の通り。

表 接続する電線の太さ・本数,リングスリーブ,圧着ペンチの組み合わせ
接続する電線の太さ・本数 リングスリーブ 圧着ペンチ
ダイス 刻印
1.6 mm 2 本 1.6×2,小
3~4 本
2.0 mm 2 本
2.0 mm×1本+1.6 mm×(1~2)本
2.0 mm×1本+1.6 mm×(3~4)本

過去問題

接地工事の方法

接地工事の種類及び施設方法

大地に電線で接続する(電線につながれた電極を土中に埋め込む)ことを接地という。大地は水分などを含んでいることもあり,電気的には導体としてふるまう。

接地の目的は,漏電による感電や火災を未然に防ぐことである。

電気設備に関する技術基準を定める省令 第10条 電気設備の接地

電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第五条第一項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。

表 接地工事の種類及び施設方法
接地工事の種類 接地抵抗値 接地線の規定(抜粋)
C 種接地工事 接地抵抗値は,10 Ω(低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500 Ω)以下であること。
  • 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
  • 引張強さ 0.39 kN 以上の容易に腐食し難い金属線又は直径 1.6 mm 以上の軟銅線であること。
D 種接地工事 接地抵抗値は,100 Ω(低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500 Ω)以下であること。

C 種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が 10 Ω 以下である場合は,C 種接地工事を施したものとみなす。

D 種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が 100 Ω 以下である場合は,D 種接地工事を施したものとみなす。

過去問題

機械器具の金属製外箱等の接地

電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱(以下,「金属製外箱等」という。)には,使用電圧の区分に応じ,接地工事を施すこと。ただし,外箱を充電して使用する機械器具に人が触れるおそれがないようにさくなどを設けて施設する場合又は絶縁台を設けて施設する場合は,この限りでない。

表 機械器具の接地工事
機械器具の使用電圧の区分 接地工事
低圧 300 V 以下 D 種接地工事
300 V 超過 C 種接地工事
高圧又は特別高圧 A 種接地工事

過去問題

接地工事を省略できる場合

  1. 交流の対地電圧が 150 V 以下又は直流の使用電圧が 300 V 以下の機械器具を,乾燥した場所に施設する場合
  2. 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床やその他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
  3. 電気用品安全法の適用を受ける 2 重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
  4. 水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に,電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流 15 mA 以下,動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合

過去問題

本稿の参考文献

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