単純支持はり・片持ちはりのたわみ計算
2022年7月21日更新
はじめに
はり(beam)は最も基本的な構造部材の一つであり,その断面には外力としてせん断力(shearing force)と曲げモーメント(bending moment)が同時に作用し,これによってはりの内部にはせん断応力(shearing stress)と曲げ応力(bending stress)が生じる。したがって,はりの応力を求めるには,はりに作用するせん断力と曲げモーメントの分布を知ることが必要である。
本サイトでは,等分布荷重,集中荷重,三角形状分布荷重(線形分布荷重)を受ける単純支持はり(simply supported beam)や片持ちはり(cantilever)のせん断力,曲げモーメントおよびたわみ(deflection)をわかりやすく,詳細に計算する。
合わせて,せん断力図(SFD : Shearing Force Diagram),曲げモーメント図(BMD : Bending Moment Diagram),たわみ曲線(deflection curve)を,MATLAB や Octave により,グラフ化する方法についても概説する。
(参考)弾性曲線方程式の仮定と誘導
弾性曲線方程式の誘導には,はりの変形に対して,次のような状態を仮定する。
- はりの変形後も,部材軸に直角な断面は直角のままである(ベルヌーイ・オイラーの仮定,もしくは,平面角直角保持の仮定,あるいは,ベルヌーイ・ナビエの仮定)。
- はりの変形後も,断面形状は変化しない(断面形状不変の仮定)。
- はりの変形は微小である。
用語の説明
- 曲げ荷重(bending load)
- 支持されたはりを曲げるように作用する荷重。
- 分布荷重(distributed load)
- ある領域に分布して作用する荷重。単位は,N/m
航空機の主翼にかかる空力荷重や水圧や気圧のような圧力,接触面積の大きな構造の接触などがこの分布荷重とみなされる。 - 等分布荷重
- 部材に均等に分布して作用する荷重。単位は,N/m
- 等変分布荷重
- 大きさが一定の割合で変化する荷重。単位は,N/m
- 集中荷重(concentrated load)
- 部材の 1 点に集中して作用する荷重。単位は,N
ピンやボルトで付加されている状態や鋭いエッジで接触している場合などを表す。また,接触面自体は広くても,はり全体の長さから見ると十分に小さい接触領域の場合も近似的に集中荷重とみなす。 - 単純支持はり(simply supported beam)
- または回転支持はり(pinned support beam)。実際には回転することを許容している支持方法で,ピンで支持されている構造である。
- 片持ちはり(cantilever)
- 片側が固定支持(fixed support)のはり。ロボットアーム,センサーなどに使われており,機械構造によく適用される。
- たわみ(deflection)
- 部材が外力などの作用によってわん曲したとき,荷重を受ける前の材軸線と直角方向の変位量。

