平成の大横綱は誰か?~データ集~

2019年10月21日作成,2023年1月9日更新

はじめに

昭和の大横綱,平成の大横綱の記録を比較する。以下の記録はすべて昭和以降のものとし,年間最多勝については,年 6 場所制以降のものとした。

平成の大横綱(候補)である貴乃花,朝青龍,白鵬は赤色太字,昭和の大横綱である大鵬,北の湖,千代の富士は黒色太字で記した。

幕内全勝優勝

幕内優勝を全勝で果たした回数を下表に示す。幕内全勝優勝の回数は,2 位以下を大きく引き離した白鵬がトップとなっている。朝青龍の幕内全勝優勝は 5 回,貴乃花は 4 回と,昭和の大横綱と比べるとやや見劣りするが,貴乃花については,曙,武蔵丸といった強力なライバル力士もいる中で全勝優勝を 4 回も成し遂げているという見方もできる。

表 幕内全勝優勝
順位 四股名 回数
1 白鵬 16 回
2 双葉山,大鵬 8 回
4 北の湖千代の富士 7 回
6 朝青龍 5 回
7 羽黒山,貴乃花 4 回
9 北の富士,輪島,日馬富士 3 回

連続優勝記録

大相撲 幕内における連続優勝記録を下表に示す。連続優勝は朝青龍と白鵬の 7 場所連続がトップの記録であり,大鵬の 6 場所連続,双葉山,北の湖,千代の富士の 5 場所連続が続いている。7 場所連続優勝の評価についても,「ライバル不在のため,なし得た数字」との見方もあるが,非常に高いレベルで安定した成績を残しているのは間違いなく,偉大な記録である。

表 大相撲 幕内における連続優勝記録
順位 四股名 回数
1 朝青龍白鵬 7 場所連続
3 大鵬 6 場所連続
4 双葉山,北の湖千代の富士 5 場所連続
7 羽黒山,貴乃花 4 場所連続
9 常ノ花,玉錦,曙 3 場所連続

連続優勝年数

大相撲 幕内における連続優勝年数を下表に示す。昭和の大横綱平成の大横綱が,上位 6 傑に名を連ねている。

表 大相撲 幕内における連続優勝年数
順位 四股名 優勝連続年数 期間
1 白鵬 16 年 2006 年 - 2021 年
2 大鵬 12 年 1960 年 - 1971 年
3 千代の富士 10 年 1981 年 - 1990 年
4 北の湖 9 年 1974 年 - 1982 年
朝青龍 2002 年 - 2010 年
6 貴乃花 7 年 1992 年 - 1998 年

連勝記録

大相撲 幕内における連勝記録を下表に示す。連勝記録は双葉山の 69 連勝が最高で,それに続くのは白鵬の 63 連勝である。30 連勝以上の記録を示したが,双葉山,大鵬,白鵬は 2 回以上 30連勝超を記録している。連勝記録は,勝ち続けられる安定感を示す指標と捉えることもできる。

表 大相撲 幕内における連勝記録
順位 四股名 連勝
1 双葉山 69
2 白鵬 63
3 千代の富士 53
4 大鵬 45
5 白鵬 43
6 双葉山,白鵬 36
8 朝青龍 35
9 大鵬大鵬 34
11 白鵬白鵬 33
13 羽黒山,北の湖,日馬富士 32
16 大鵬貴乃花白鵬 30

横綱昇進時の記録

横綱審議委員会では,「2 場所連続優勝またはそれに準ずる好成績」と横綱推薦の内規を定めている。平成以降,横綱に昇進した力士の直前 3 場所の成績を下表に示す。平成以降の横綱の直前 3 場所の成績が最も良いのは,貴乃花であり,成績は 41 勝 4 敗である。

表 平成以降の横綱の直前 3 場所の成績
四股名 昇進 直前 2 場所前 3 場所前 合計
旭富士 1990年名古屋場所後 14-1 14-1 8-7 36-9
1993年初場所後 13-2 14-1 9-6 36-9
貴乃花 1994年九州場所後 15-0 15-0 11-4 41-4
若乃花 1998年夏場所後 12-3 14-1 10-5 36-9
武蔵丸 1999年夏場所後 13-2 13-2 8-7 34-11
朝青龍 2003年初場所後 14-1 14-1 10-5 38-7
白鵬 2007年夏場所後 15-0 13-2 10-5 38-7
日馬富士 2012年秋場所後 15-0 15-0 8-7 38-7
鶴竜 2014年春場所後 14-1 14-1 9-6 37-8
稀勢の里 2017年初場所後 14-1 12-3 10-5 36-9
照ノ富士 2021年名古屋場所後 14-1 12-3 12-3 38-7

次に,関脇から横綱昇進までの大関通過場所を下表に示す。昭和の大横綱である双葉山は 2 場所,大鵬は 5 場所,北の湖千代の富士は 3 場所で大関を通過している。平成の大横綱である貴乃花は 11 場所,朝青龍は 3 場所,白鵬は 7 場所で大関を通過している。

表 関脇から横綱昇進までの大関通過場所数
2 場所 双葉山,照国,照ノ富士
3 場所 北の湖千代の富士朝青龍
4 場所 男女ノ川,羽黒山,安芸ノ海,輪島,双羽黒,曙
5 場所 大鵬,北勝海
6 場所 東富士,千代ノ山,鏡里
7 場所 柏戸,白鵬

新横綱場所の成績

平成以降に昇進した新横綱場所の成績を下表に示す。平成の大横綱である貴乃花,朝青龍,白鵬のうち,新横綱の場所で優勝しているのは,貴乃花ただ一人である。

表 平成以降の新横綱場所の成績
横綱 場所 成績 優勝
旭富士 1990年秋 13勝2敗
1993年春 10勝5敗
貴乃花 1995年初 13勝2敗 優勝
若乃花 1998年名 10勝5敗
武蔵丸 1999年名 12勝3敗
朝青龍 2003年春 10勝5敗
白鵬 2007年名 11勝4敗
日馬富士 2012年九 9勝6敗
鶴竜 2014年夏 9勝6敗
稀勢の里 2017年春 13勝2敗 優勝
照ノ富士 2021年秋 13勝2敗 優勝

新横綱場所の優勝

過去,新横綱場所で優勝を遂げた事例を下表に示す。大正時代の大横綱である太刀山,栃木山,昭和の大横綱である双葉山大鵬,そして平成の大横綱である貴乃花が,新横綱場所で優勝を果たしている。

表 新横綱場所の優勝
No. 場所 横綱 成績
1 1911年夏 太刀山 10 戦全勝
2 1918年夏 栃木山 9勝1敗
3 1938年春 双葉山 13戦全勝
4 1949年春 東富士 10勝2敗1分
5 1961年九州 大鵬 13勝2敗
6 1983年秋 隆の里 15 戦全勝
7 1995年初 貴乃花 13勝2敗
8 2017年春 稀勢の里 13勝2敗
9 2021年秋 照ノ富士 13勝2敗

年間最多勝

大相撲 幕内における年間最多勝の記録を下表に示す。年間 80 勝以上で年間最多勝となったのは,昭和の大横綱である大鵬,北の湖,千代の富士と平成の大横綱(候補)である貴乃花,朝青龍,白鵬である。その中でも,白鵬は 4 回の年間 80 勝以上を経験しており,他の横綱を圧倒している。年間 80 勝以上を果たした回数は,全盛期の長さを捉える指標と考えることもでき,白鵬の全盛期が他の横綱に比べて長いということもできる。

表 大相撲 幕内における年間最多勝
順位 四股名 連勝
1 白鵬(2009),白鵬(2010) 86
3 朝青龍(2005) 84
4 北の湖(1978),白鵬(2013) 82
6 大鵬(1963),白鵬(2014) 81
8 北の湖(1977),千代の富士(1985),貴乃花(1994),貴乃花(1995) 80

(参考)平成以降の幕内年間最多勝

大相撲本場所において,その 1 年間に最も多く勝ち星を挙げた力士に対して贈られる賞である「最多勝力士賞」を獲得した力士の一覧を示す。

平成の大横綱候補である貴乃花は 5 回,朝青龍は 5 回,そして白鵬は 10 回(史上最多)の年間最多勝を獲得している。

表 平成以降の幕内年間最多勝
力士名
1989 年 北勝海 信芳 72 18 0
1990 年 旭富士 正也 70 20 0
1991 年 霧島 一博 62 28 0
1992 年 貴花田 光司 60 30 0
1993 年 曙 太郎 76 14 0
1994 年 貴乃花 光司 80 10 0
1995 年 貴乃花 光司 80 10 0
1996 年 貴乃花 光司 70 5 15
1997 年 貴乃花 光司 78 12 0
1998 年 若乃花 勝 67 23 0
1999 年 武蔵丸 光洋 70 20 0
2000 年 曙 太郎 76 14 0
2001 年 武蔵丸 光洋 73 17 0
2002 年 朝青龍 明徳 66 24 0
2003 年 朝青龍 明徳 67 18 5
2004 年 朝青龍 明徳 78 12 0
2005 年 朝青龍 明徳 84 6 0
2006 年 朝青龍 明徳 67 11 12
2007 年 白鵬 翔 74 16 0
2008 年 白鵬 翔 79 11 0
2009 年 白鵬 翔 86 4 0
2010 年 白鵬 翔 86 4 0
2011 年 白鵬 翔 66 9 0
2012 年 白鵬 翔 76 14 0
2013 年 白鵬 翔 82 8 0
2014 年 白鵬 翔 81 9 0
2015 年 白鵬 翔 66 12 12
2016 年 稀勢の里 寛 69 21 0
2017 年 白鵬 翔 56 9 25
2018 年 栃ノ心 剛史 59 23 8
2019 年 朝乃山 英樹 55 35 0
2020 年 貴景勝 光信 51 21 3
2021 年 照ノ富士 春雄 77 13 0
2022 年 若隆景 渥 57 33 0
平成以降の幕内年間最多勝
図 平成以降の幕内年間最多勝

大横綱の直接対決

昭和の大横綱である大鵬,北の湖,千代の富士,そして,平成の大横綱である貴乃花,朝青龍,白鵬の大相撲 幕内における直接対決の記録を下表に示す。

幕内における直接対決の記録
大鵬 北の湖 千代の富士 貴乃花 朝青龍 白鵬
大鵬
北の湖 12 - 6
千代の富士 6 - 12 0 - 1
貴乃花 1 - 0 2 - 0
朝青龍 0 - 2 12 - 13
白鵬 13 - 12

昭和の大横綱と平成の大横綱の直接対決は,1991 年 5 月場所における千代の富士と貴乃花の一戦のみである。当時の貴乃花の地位は,西前頭筆頭であったが,千代の富士に勝利している。

平成の大横綱の対決は,貴乃花は朝青龍に 2 勝しているが,いずれも朝青龍が横綱になる以前の対決である。

朝青龍と白鵬は,横綱になる前の記録を合わせ 25 回対戦し,白鵬が 13 勝と勝ち越している。

1991 年 5月 場所 貴花田と千代の富士の対戦

1991 年 5 月場所の初日,小さな大横綱として十年間君臨してきた千代の富士と貴花田(のちの貴乃花)の対決が実現した。

取組前夜,千代の富士は「出てきた芽に対して,鍛え直してこいという務めもある」と自信をのぞかせていた。一方,貴花田に対して,師匠の藤島親方(のちの二子山親方,元大関 貴ノ花)は「きちんと横綱に向かっていくような,すがすがしい相撲を取ってほしい。千代の富士は頭をつけてでも勝とうとする責任感のある相撲を取る人だということを念頭にいれておきなさい」とアドバイス。

勝負は一方的だった。千代の富士は左からの張り手を見せたが,貴花田は鋭い突っ込みで右を差し,頭をつけて千代の富士に得意の左上手まわしを与えず,左からも強くおっつけて,千代の富士の右手も封じ,堂々と寄り切った。18 歳 9 ヶ月の史上最年少給金の瞬間である。

敗れた大横綱が「五重丸をやってもいい」と褒めた一番。貴花田が世代交代の扉を自らこじ開け,大相撲史に新しい 1 ページを記録するとともに,一時代の終焉を確認させた大一番として長く記憶されることになる。

なお,千代の富士は翌々日の貴闘力戦に敗れ,引退。

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