電気主任技術者試験のオススメ参考書
はじめに
電気主任技術者試験の勉強に活用できるオススメ参考書を紹介する。全科目で使える参考書,理論,電力,機械,法規それぞれで使える参考書を分類して紹介する。さらに,第一種と第二種の二次試験対策に特化した参考書も紹介する。
目次
全科目共通
全科目で活用できる参考書を紹介する。全科目の参考書として使えるのは,過去の電気主任技術者試験の過去問題の模範回答集である。
第一種 電気主任技術者試験
電験1種10年間模範解答集 第4版
電験問題研究会がまとめた第一種 電気主任技術者試験 10 年間(2006~2015年)の模範解答集(電気書院)。一次試験・二次試験の全問題と解答・解説が収録されている。私は第1版(2011年4月13日発売)を使い,過去問題の研究を行った。(2020年5月25日発売,1020ページ)
電験は,学習の範囲がきわめて広い試験ですが,重要な学習テーマについて繰り返し出題されることが大きな特徴です。過去問題の研究は,学習を始めるときの指針となること,また学習の仕上げにも欠かせないことはご承知のとおりです。過去の問題をよく吟味分析し,類似の問題を確実に回答することが合格への早道となります。
「電験第1種[10年間]模範解答集」はじめに,2011年3月 電験問題研究会
電験1種 模範解答集 2022年版
電気書院がまとめた第一種 電気主任技術者試験 5 年間の全問題,模範解答,そして解説を掲載。問題の解き方はもちろん,もう一歩進んだ考え方も解説してあるので,応用力が身につく。(2022年2月5日発売,524ページ)
- 2017年から2021年の一次試験まで,最新5年間の全問題を年度順に掲載
- 標準的な解き方とともに,別解・問題の考え方をわかりやすく解説
- 最新年度から順に収録してあるので,出題傾向,出題範囲,出題レベルの推移がわかる
- 学習の第一歩を本書から始めれば,学習範囲が絞れ効果的に学習を進めることができる
第二種 電気主任技術者試験
電験2種 模範解答集 2022年版
電気書院がまとめた第二種 電気主任技術者試験 5 年間の全問題,模範解答,そして解説を掲載。問題の解き方はもちろん,もう一歩進んだ考え方も解説してあるので,応用力が身につく。(2021年12月23日発売,590ページ)
- 2017年から2021年の一次試験まで,最新5年間の全問題を年度順に掲載
- 標準的な解き方とともに,別解・問題の考え方をわかりやすく解説
- 最新年度から順に収録してあるので,出題傾向,出題範囲,出題レベルの推移がわかる
- 学習の第一歩を本書から始めれば,学習範囲が絞れ効果的に学習を進めることができる
総合
電気工学ハンドブック
電気工学を網羅的にまとめられたハンドブック。電気工学に携わる人の座右の書として有名。ハンドブックに記載されている内容を全て知っていれば,電気主任技術者試験に合格することは,容易いと思われる。(2013年9月26日発売,2706ページ)
電気データブック
電気科学全般に共通な基礎データ,各分野で重要なデータのすべてを結集。従来のハンドブック類より素早く学術データにたどり着け,広汎な電気技術の体系を的確に把握できる。
目次は,基礎分野/機器分野/電力分野/情報・通信分野/応用分野/共通分野となっている。(2011年11月25日発売,520ページ)
電力技術の実用理論
発電・送変電の基礎理論からパワーエレクトロニクス応用まで網羅されている実用的な理論を取りまとめた大型本。他の参考書では,一言で済まされてしまうことも理論的に解説されており,理解を深めることができる。(2015年1月24日発売,720ページ)
本書は電力会社,電機メーカー,エンジニアリング会社などで電力技術に携わる技術者の皆さんと,それを目指す学生の皆さんに読んでいただくことをも想定して “電力技術の実践的な基礎理論” についてまとめたものです。発電・流通・負荷の各部門を通じて,いわゆる “電力技術” は細かく枝分かれして個々の専門に分化していますが,技術者の皆さんが,自身の従事されている専門分野との関係にこだわることなく本書のカバーする電力技術理論を共通ベース知識として学んでいただければ個々の専門技術力をいっそう高めていただくうえでもお役に立つのではないかと考えています。
電力技術の実用理論 第2版 まえがき
一次試験科目 理論
科目の内容は「電気理論,電子理論,電気計測及び電子計測」である。
電気理論
電気学会大学講座 電気磁気学
電気学会大学講座シリーズの電気磁気学。電気磁気現象の諸法則を,工学に利用できる形で把握されることを目標にした定番の教科書。(2002年3月1日発売,410ページ)
目次は,緒論/電荷/真空中の静電界/真空中にある導体系/誘電体/電界の決定/電流/真空中の磁界/磁性体/インダクタンス/電磁誘導/電磁界 である。
電気学会大学講座 電気回路論
電気学会大学講座シリーズの電気回路論。第一種から第三種まで電気主任技術者に出てくるレベルの電気回路論が網羅されている。(2008年5月1日,340ページ)
目次は,電気回路の基礎/交流電圧・電流・電力/交流回路の複素計算法/交流回路/一般線形回路網/一端子対回路/二端子対回路/三相交流/回路の過渡現象と演算子法/分布定数回路/問題回答である。
電子理論
電気計測及び電子計測
よくわかる電気電子計測
長く読み継がれている電気電子計測の入門書。(1996年12月1日発売,159ページ)
電気計測基礎
大学の電気関係の学科で,初めて電気計測を学ぶ学生の教科書あるいは参考書として執筆された電気学会大学講座の「電気計測基礎」。(1983年6月30日発売,202ページ)
章立ては,測定の基礎,測定結果の処理,電気計器,測定一般,電気量の測定,磁気量の測定,物理化学量の電気計測である。
一次試験科目 電力
科目の内容は「発電所及び変電所の設計及び運転,送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料」である。
電気学会大学講座 送配電工学[改訂版]
現場第一線で活躍していた電力会社の技術者による架空送電と配電を主体に実務者向きに記述されたもの。電験受験者の便を考え,演習問題については最近(2003年2月当時)出題された電験1種,2種を中心に全面的に入れ替えた。(2003年2月1日,444ページ)
目次は,電力系統/送配電系統の電気的特性/架空送電/直流送電/地中送電/配電/電力系統の制御保護と情報通信である。
発電工学 改訂版
大規模集中型発電方式(水力,火力,原子力)と,小規模分散型発電方式(再生可能エネルギー,化学力発電)に分類し,それぞれの基礎知識の解説を基本にしながら,最新のエネルギー統計,原子力発電の安全対策,電力市場自由化や環境問題を中心に 2003 年発行の初版から大幅な内容改訂を行った。2011 年福島第一原発自己を契機に大きな変更が迫られている我が国の電力事業の動向理解に役立つだろう。(2015年9月18日,385 ページ)
目次は,序説/発電工学の基礎理論/水力発電/火力発電/原子力発電/再生エネルギー利用の発電方式/化学力発電である。
[改訂版]発電・変電
発変電に関する基本事項を中心とした基礎学習用として記述されたものである。(2000年6月30日発売,348ページ)
発変電の概要,水力発電,火力発電,原子力発電,新しい発電,変電と 6 つの編により構成されている。
電気学会大学講座 高電圧工学[3版改訂版]
初版以来半世紀にわたり専門基礎教科書として定評を得ていた高電圧工学のテキスト。(2003年3月1日発売,275ページ)
目次は,静電界/高電界における誘電体の性質/高電圧大電流の発生/高電圧大電流の測定/高電圧機器概説/電力系統における過電圧とその保護/高電圧絶縁試験/高電圧技術の応用
一次試験科目 機械
科目の内容は「電気機器,パワーエレクトロニクス,電動機応用,照明,電熱,電気化学,電気加工,自動制御,メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理」である。
電気機器
電気機器工学 Ⅰ 改訂版
本書は,1964 年の初版発行以来,数多くの大学,高専,企業研修などで幅広く学習されてきた教科書を目次構成や内容などを大幅に見直し改訂したものである。電気機器の基本原理はそもそも変わりようがないが,構造,大容量化,高性能化などで大きく変革した時代に即した学習ができるよう内容を改めている。(1987年12月1日発売,328ページ)
目次は,緒論/直流機/変圧器/誘導機/同期機である。
電気機器工学 Ⅱ――パワーエレクトロニクスと電動機駆動の基礎
電気機器,パワーエレクトロニクス,電動機応用まで幅広く取り扱う参考書。機械科目,機械・制御科目対策としては,まずこの一冊。(2008年11月1日発売,152ページ)
目次は,パワーエレクトロニクスの基礎,サイリスタによる整流と電力回生/インバータおよびサイクロコンバータ/同期電動機の駆動/誘導電動機の駆動/直流および単相交流の電力変換/発電・送電分野のパワーエレクトロニクスである。
パワーエレクトロニクス
電気機器・パワーエレクトロニクス通論
電気機器からパワーエレクトロニクスを網羅した参考書。(2012年7月1日発売,314ページ)
パワーエレクトロニクス
パワーエレクトロニクスの入門書。(2008年11月1日発売,161ページ)
電動機応用
照明
電熱
電気化学
電気加工
自動制御
はじめての制御工学
14 回の講義がある制御工学の入門書。制御工学を理解するための数式の読みとり方,意味などの説明に重点がおかれており,理解を深めることができる。(2018年11月19日,467ページ)
メカトロニクス
電力システムに関する情報伝送及び処理
一次試験科目 法規
科目の内容は「電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理」である。
電気法規
電気設備技術基準とその解釈 2021年版
電気設備技術基準とその解釈の最新版。インターネットでも,電気設備技術基準とその解釈は閲覧することはできるが,座右の書としておきたい一冊。(2020年12月24日,750ページ)
電気施設管理
電気法規と電気施設管理 令和3年度版
電気施設管理について,第二種,第三種 電気主任技術者試験を受験する人が習得しておかなければならない基本的な事項がまとめられている。(2021年2月22日,332ページ)
二次試験科目 電力・管理
科目の内容は「発電所及び変電所の設計及び運転,送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理」である。
電力系統技術計算の基礎,電力系統技術計算の応用
新田目 倖造 氏により,電力系統技術計算の実用書。この参考書をマスターすれば,第一種 電気主任技術者試験も簡単に合格できるだろう。
昭和34年 | 東京大学 工学部 電気工学科 卒業 |
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同年 | 東北電力株式会社 入社 給電部 給電課 配属 系統保護継電方式の計画,運用,開発,安定度解析など系統技術開発に従事 |
昭和63年 | 技術開発本部 技術開発部長 |
平成3年 | 取締役 技術部長 |
平成5年 | 常務取締役 |
平成11年 | 北日本電線株式会社 社長 |
平成17年 | 北日本電線株式会社 会長 |
平成20年 | 北日本電線株式会社 相談役 |
平成23年 | 北日本電線株式会社 相談役 退任 |
電力系統技術計算の基礎(1996年4月1日発売,450ページ)
章立ては,1. 電力系統の特質と系統技術,2. 交流ベクトル表示,3. 電力系統の単位法表示,4. 送電線の電圧,潮流特性,5. 変圧器の電圧,潮流特性,6. 潮流計算,7. 電力系統の電圧,無効電力特性,8. 対称成分,9. 送電線の正相,逆相リアクタンス,10. 送電線の零相インピーダンス,11. 送電線の静電容量である。
電力系統技術計算の応用(2015年12月1日,464ページ)
章立ては,1. 最近の電力系統の技術的問題,2. 同期発電機の原理,3. 同期発電機の特性,4. 同期発電機の三相短絡電流とリアクタンス,5. 故障計算,6. 中性点接地方式と故障現象,7. 定態安定度計算,8. 過渡安定度と周波数変動計算,9. 電圧変動と不平衡計算である。
二次試験科目 機械・制御
科目の内容は「電気機器,パワーエレクトロニクス,自動制御及びメカトロニクス」である。参考書は「一次試験科目 機械」と同じ。