平成8年度 第1種 電力

2022年8月14日更新

目次

  1. 発電機の励磁装置
  2. 変電機器の耐震設計
  3. 交流電力系統内に直流送電系統を設置すること
  4. スポットネットワーク方式
  5. 水車の振動
  6. ケーブルの損失低減

問1 発電機の励磁装置

励磁装置の応答時間を速くするとともに,励磁系頂上電圧を高くすることにより,励磁装置の超速応化が図れ,これによって過渡領域の安定度を向上させることができるが,かえって中間領域の安定度が悪化する場合がある。このため,発電機出力偏差や回転速度偏差などを検出し,これを減衰させるための補助信号を励磁制御装置に与える系統安定化装置(Power System Stabilizer : PSS)を設置することが多い。

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(1)

正解は(ワ)励磁系頂上電圧である。

(2)

正解は(リ)超速応化である。

(3)

正解は(ニ)過渡領域である。

(4)

正解は(ヘ)発電機出力である。

(5)

正解は(ハ)系統安定化である。

参考文献

問2 変電機器の耐震設計

がいし形の機器及び変圧器ブッシングの固有振動数は,10 [Hz] 以下であり,電圧階級の高いものほど低くなる傾向になる。一方,実際の地震波の卓越振動数は数ヘルツのところにあるので,これらの機器は地震動に対し共振を起こす可能性があり,また,応答も大きい場合が多いので,適切な耐震設計をするための手段として共振時のふるまいを正確に把握し,動的耐震設計を採用する必要がある。

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(1)

正解は(ヘ)がいし形である。

(2)

正解は(ヲ)固有である。

(3)

正解は(ハ)高いである。

(4)

正解は(リ)共振である。

(5)

正解は(ヌ)動的である。

参考文献

問3 交流電力系統内に直流送電系統を設置すること

交流電力系統内に直流系統を設置すれば,長距離交流送電線路において問題になる安定度問題を解決したり,多くの電源が接続される外輪連系系統における短絡容量増大問題を緩和したり,また,海底ケーブルや地中ケーブルによる交流送電における過大な充電容量問題を回避したり,送電信頼度を高める上で必要になる多ルート送電における潮流調整を容易にすることができる。しかし,交直変換装置を安定的に運転するためには十分な無効電力の供給が必要であり,また,直流用の実用的な遮断器の開発が困難なため,直流系統では柔軟な多端子系統構成は困難である。

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(1)

正解は(ロ)安定度である。

(2)

正解は(ニ)短絡容量である。

(3)

正解は(イ)充電容量である。

(4)

正解は(ハ)潮流調整である。

(5)

正解は(ル)遮断器である。

参考文献

問4 スポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式は,複数の配電線から,分岐線をいずれも T 引込みし,それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続される。各低圧側はネットワークプロテクタを経て並列に接続し,ネットワーク母線を構成する。一般に高圧又は特別高圧側は多回線で供給するため,供給線路のうち 1 回線が停電しても無停電供給が可能であり信頼度が高い。負荷に大きな回生電力を発生する回転機があるとネットワークプロテクタが不必要な動作をするおそれがある。このような場合は,受電設備に逆電力継電器を設置する必要がある。

受電設備の変圧器の一次側の遮断器は,一般的に省略されるので,設備の簡素化が図れる。

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(1)

正解は(ト)T である。

(2)

正解は(ニ)無停電である。

(3)

正解は(チ)回生である。

(4)

正解は(ヨ)逆電力継電器である。

(5)

正解は(ワ)遮断器である。

参考文献

問5 水車の振動

水車の振動は,水力的要因によるものと,機械的要因によるものとに大別される。

水力的要因によるものには,吸出管内の旋回流やキャビテーションによる振動,ランナとガイドベーンの干渉による振動,ランナ出口のカルマン渦による振動などがあげられる。

吸出管内の旋回流やキャビテーションによる振動は,吸出管内に給気することなどによりある程度軽減することができる。

ランナとガイドベーンの干渉による振動は,上カバー等の静止構造物に観測され,その周波数はランナ羽根数と回転数の積の整数倍に関係している。この振動に対しては,各構造物の剛性を設計・製作段階において十分考慮する必要がある。

ランナ出口のカルマン渦による振動は,それがランナの固有振動数と共振した場合に異常振動となる。

機械的要因による振動としては,据え付け調整不良による振動,回転体のアンバランスによる振動,軸系・軸受支持体の剛性不足による振動などが考えられる。これらの振動は,主軸の振動となって現れることが多い。

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(1)

正解は旋回流(渦心の回転)である。

(2)

正解は干渉(相互干渉)である。

(3)

正解はカルマン渦である。

(4)

正解はランナ羽根数(ランナベーン数)である。

(5)

正解は固有振動数(固有周波数)である。

参考文献

問6 ケーブルの損失低減

  1. ケーブルの導体損失の主要な低減方策としては,導体の大サイズ化による交流導体抵抗の低減があげられる。しかし,導体の大サイズ化に伴い表皮効果によって,この効果は小さくなるため,これを抑えるために大サイズ導体では分割圧縮導体が採用されている。また,最近では,素線絶縁導体も開発されている。
  2. ケーブルの誘電損失は,誘電率と誘電正接に比例し,電圧の 2 乗に比例して増大するため,特に超高圧線路では問題となってくる。このため,最近では超高圧地中送電線路においては,誘電率と誘電正接が小さい CV ケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)及び低損失 OF ケーブル等が採用されてきている。
  3. ケーブルのシース損失には,シース回路損失とシース渦電流損失があり,前者の対策としては,単心ケーブルのクロスボンド接地があげられる。また,後者の対策としては,適正なケーブル配置等により対処している。
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(1)

正解は表皮効果である。

(2)

正解は分割である。

(3)

正解は 2 乗である。

(4)

正解は CV ケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)である。

(5)

正解はクロスボンド接地である。

参考文献

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