平成18年度 第1種 電力

2022年8月14日更新

目次

  1. 汽力発電設備の電気集じん器
  2. 原子力発電所の原子炉の核分裂
  3. 交流回路における電力ケーブルの施設
  4. 直流送電
  5. ガス絶縁変圧器の冷却方式,適用の効果
  6. 配電のスポットネットワーク方式の保護

問1 汽力発電設備の電気集じん器

電気集じん器は,放電極,集じん極及び槌打装置などにより構成され,コロナ放電が発生している電極間に浮遊微粒子を含んだガスを通過させ,微粒子をに荷電し,荷電粒子をクーロン力によって集じん極へ集めるものである。

集じん効率はダストの量,見掛け抵抗,粒径分布,粘着性に基づくはく離性などにより著しい影響を受ける。ダストの見掛け抵抗率が高すぎると逆電離現象,低すぎると異常再飛散により集じん効率が大きく低下する。

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問2 原子力発電所の原子炉の核分裂

核分裂の連鎖反応は,ウラン 235 に中性子が当たって核分裂反応が起こり,その結果発生した中性子が他のウラン 235 に当たって再び核分裂を起こすという現象を繰り返すことであるが,その 1 サイクル前後での中性子の増加率を増倍率という。仮想的に原子炉が無限に大きく,中性子の漏れがない場合の値を無限増倍率という。実際は吸収や外部への漏れを考慮する必要がある。これを考慮した値を実効増倍率といい,臨界の場合は 1 となる。

一方,臨界からのずれの程度を表すのが反応度である。軽水炉は,ドップラー係数(燃料温度係数),原子炉冷却材(中性子減速材)の温度係数とボイド係数を総合した反応度係数がとなっており,出力の上昇に伴い反応度が減り,核分裂反応が減少して出力上昇が自動的に抑えられる。この特性を軽水炉の固有の安全性又は自己制御性という。

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問3 交流回路における電力ケーブルの施設

電力ケーブルを施設する場合,金属シースは安全対策から接地しているが,接地の方式にはいくつかあり,それぞれ特徴がある。

単心ケーブルを施設する場合,シースを片端接地するとシース回路損は生じないが,他端には接地点からの距離に応じてシースと大地の間に電位差が生じる。この大きさは基本的には主回路電流と導体・シース間の相互インダクタンスから算出できる。この対策として,必要により避雷器等を設置することになる。

シースを複数箇所で接地する方式では,シース電位はほとんどないが,シース回路損が発生し,送電容量は低下することになるので注意が必要である。

長距離送電線では,単心ケーブルを何本もつなぎ合わせて必要こう長になるように施設する場合が多い。この場合,シース電位がほとんどなくシース回路損が低減できるように,ケーブル接続箱で,ある相のシースを他相のシースに接続するクロスボンド方式が採用されている。

シース電位低減策としては,接地方式のほか,三相単心ケーブルの配列を工夫したりねん架する方式もある。

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問4 直流送電

  1. 直流送電は,交直変換装置が高価なので長距離の送電線でなければ,交流送電に比べてコストが高くなる。
  2. 架空送電線で送電する場合,交流では長距離になると線路のリアクタンスのため安定度の面から送電電力が制限されるが,直流では安定度による送電電力の制限はない。
  3. 電力ケーブルで送電する場合には,交流では線路の静電容量や誘電体損失によって送電電力,送電距離が制限されるが,直流ではそれらによる制限がない。
  4. 直流送電や周波数変換所などの大容量の交直変換装置では,現在,わが国では,パワー半導体デバイスとしてサイリスタが用いられている。
  5. 最近,わが国では 60 [Hz] 同一周波数系統内に系統安定化や潮流制御などを目的として BTB(Back to Back)といわれる直流送電距離 0 [km] の直流設備が建設された。

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問5 ガス絶縁変圧器の冷却方式,適用の効果

現在のガス絶縁変圧器では,巻線や鉄心を冷却する媒体として SF6 ガスを用いている。SF6 ガスは絶縁油と比べて熱容量が小さいことから,容量が大きな変圧器では,冷却性能を向上させるために SF6 ガスの圧力(封入圧力)を高めたもの,ポーフロロカーボン(PFC)液を冷媒として用いるものが実用化されている。

ガス絶縁変圧器の適用効果の主なものとして,次のようなものがある。

  1. 絶縁,冷媒媒体が不燃性であり,消火設備や防火設備が簡素化できる。
  2. 集油槽,放圧管が不要となるとともに,温度変化による内圧変化が小さいためコンサベータが不要となり,建物階高の低減が図れる。
  3. ガス絶縁開閉装置と直結することにより,建物面積の縮小化が図れる。

このほか,SF6ガス,PFC 液は酸化劣化の心配がないこと,吸湿呼吸器がなく,シリカゲルの交換が不要であること,負荷時タップ切換装置にはアークによるガスの分解を防止するために真空スイッチを用いたものが適用され,活線浄油機が不要となるなどの特徴があり,保守性の向上も期待できる。

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問6 配電のスポットネットワーク方式の保護

準備中

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