平成18年度 第1種 機械

2022年1月26日更新

目次

  1. 風力発電用発電機
  2. 直流遮断器
  3. 製鋼用アーク炉設備
  4. 閉ループ制御系
  5. 永久磁石同期電動機の特徴
  6. 照度と光度を求める計算
  7. 遠隔監視制御装置

問1 風力発電用発電機

風力発電用発電機には,三相誘導発電機及び三相同期発電機が採用されているが,原動機となる風車は風速によって回転数が変化するので,風車のエネルギーを効率良く電気エネルギーに変換するためには,回転数変化に対する発電機側での制御が必要となる。

  1. 三相かご形誘導発電機は,外部の励磁装置を必要とせず構造が簡単で安価なため,増速歯車を有する風車発電設備に多く採用されている。通常,風速変化に伴う風車の定回転数制御は,風車のピッチ制御により行われる。この方式では,回転数の変化によって滑りが変化しエネルギー変換効率も変化するので,大幅な回転数変化に対しては,極数切換による同期速度の変更を行う。
  2. 三相巻線形誘導発電機を用いる場合は,風車羽根のピッチ制御を行うとともに,回転子の二次誘起起電圧に同期した適切な大きさ及び位相の電圧を外部から加える二次励磁方式が採用されている。この方式では,外部から印加する励磁周波数と電圧を制御することによって,滑りを適切な値に保ちながら風車の回転数変化に合わせて同期速度への対応を行うことができ,力率の制御もできる。
  3. 増速歯車を使用しない風力発電では同期発電機が使用されるが,風車の回転数に応じて,励磁電流の制御が行われる。基本的に非同期運転となるため,商用電力系統との並列運転と潮流制御はインバータで行われる。

参考文献

問2 直流遮断器

交流遮断器では,接点開極後に現れる商用周波電流の零点を利用して電流の遮断を行うが,直流遮断器では,電流の零点が期待できないので,電流遮断時から何れかの方法で電流の零点を作る必要がある。

直流遮断器における電流遮断には,一般に下記の方式が採用されている。

  1. 逆電圧発生方式:アークに磁界を加えたり,強制的に流体を吹き付けてアークを引き伸ばし,アーク電圧を高めて遮断電流を零値まで限流させて遮断する。
  2. 転流方式:遮断器を開極してアーク電圧を高くするとともに,遮断部と並列に設けた抵抗,コンデンサなどの回転素子に電流を転流させて,遮断部の電流を遮断する。
  3. 他励発振方式:あらかじめ充電されたコンデンサ,リアクトル及び開閉器の直列回路を遮断部と並列に接続する。遮断部の開極と同時にコンデンサ回路の開閉器を閉路することでリアクトルを通して放電させ,このとき発生した振動電流を遮断部の電流に重畳することで強制的に電流零値を作って遮断する。
  4. 自励発振方式:遮断部と並列に,無充電のコンデンサとリアクトルの直列回路を接続し,遮断部の開極に伴うアークの負性抵抗特性を利用して自励的に拡大する振動電流を発生させ,電流零値となった時点で遮断する。
  5. 自己消弧方式:自己消弧形半導体バルブデバイスを直流電流遮断の主要素として使用する。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「遮断器

問3 製鋼用アーク炉設備

製鋼用アーク炉はアーク加熱応用の代表的な例であり,商用周波の三相交流電力をそのまま用いる交流アーク炉と整流装置を用いた直流アーク炉がある。両者共に電圧は数百ボルト程度,電流は数千アンペアから数万アンペア以上のアークを黒鉛電極と被溶解物である鉄くずや還元鉄の間に発生させ,これにより溶解し鋼を作る炉である。

炉内でのアーク長を一定に保つように機械的な制御装置が設けられているが,炉内のアーク長の変化は急しゅんで,機械的な制御装置ではこの急しゅんな変動への十分な応答は困難である。

交流炉の単純化された電気的等価回路は,アーク抵抗と給電回路のリアクタンスが直列接続されたものと表現できる。この回路で,抵抗に相当するアークが炉内での短絡からアークの消滅までを変動すると考えると,基本的には有効-無効電力の変動軌跡は半円を描く。一方,直流炉における交流側での両電力の変動軌跡は,整流装置の電流制御機能により 1/4 円となる。このように電力動揺の範囲は直流炉では交流炉の 50 [%] となることから,同一電気定格容量の場合,弱小の電源系統への接続が比較的容易といわれている。

直流アーク炉では,直流母線に流れる電流が作る磁場により,アークに電磁力が作用し,アーク偏向が発生することで被溶解物の不均一溶解や炉内にホットスポットを生成する原因となる。これを抑制するために直流母線の配置には工夫が必要となる。

問4 閉ループ制御系

準備中

問5 永久磁石同期電動機の特徴

近年,永久磁石材料の進歩,半導体バルブデバイスの進歩に伴う電力変換器の高性能化,低価格化及び電動機制御理論の発達により,永久磁石同期機は高性能・高効率の可変速電動機として注目されている。希土類系磁石の登場により数百キロワットの電動機も製作されている。

永久磁石同期電動機は回転子における永久磁石の配置から,表面磁石構造と埋込磁石構造とに大別できる。前者は磁石飛散防止のため回転子外周に非磁性体の保護管を必要とするが,後者では不要なため,高速回転で有利であり,磁石の形状や配置の自由度が大きく,高効率である。

一般に,表面磁石構造では,永久磁石の透磁率が真空の透磁率に対してほぼ等しいため,回転子の位置によって磁気抵抗は変化しない。したがって,$d$ 軸インダクタンス $L_d$ と $q$ 軸インダクタンス $L_q$ とが等しい非突極性を示す。一方,埋込磁石構造では $d$ 軸方向の磁路には永久磁束が存在するが,$q$ 軸方向の磁路は鉄心のみとなるので,回転子の位置によって磁気抵抗が変化する。すなわち,$d$ 軸,$q$ 軸インダクタンスの関係は $L_d \lt L_q$ となり,一般の巻線界磁形同期電動機とは逆の突極性(逆突極性)を示すことになる。したがって,このタイプの電動機ではマグネットトルクに加えてリラクタンストルクも利用できる。このため,電機子電流を一定とした場合,両者の和で表される総合トルクは $q$ 軸からの電流位相(進み)に依存し,トルクが最大となる電流位相が存在する。一方,端子電圧は電流位相(進み)の増加に伴う電機子反作用により減少する。

この特性を利用した可変速運転では,低速領域で最大トルク制御が,高速領域で弱め磁束制御が可能であり,運転領域を拡大することができる。

参考文献

問6 照度と光度を求める計算

準備中

問7 遠隔監視制御装置

電力系統や産業プラントなどの大規模システムにおいて,遠方から伝送路を介して,多数の制御所を監視制御する遠隔監視制御装置が利用されている。このような装置の伝送符号方式には,伝送制御手順の種類によって,サイクリック手順と,HDLC (High level Data Link Control) 手順があり,専用の通信ネットワークプロトコルに基づくネットワーク形態が採用されている。

サイクリック手順は,フレーム単位の情報をサイクリックに伝送する方式であり,符号の誤り検定方式として2連送反転照合とパリティ検定により,伝送信頼度を確保している。

一方,HDLC 手順は,情報伝送フレーム単位に,情報要求のつど伝送し,伝送先からの受信確認応答を確認して伝送を完了する方式であり,そのフレームのうちフレームチェックシーケンスを誤り検定のフィールドとして用いて,CRC (Cyclic Redundancy Check:巡回冗長符号) 方式による誤り検出用のビット列が送られる。

これらの伝送制御手順は,基本的には,OSI (Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続) 参照モデルのデータリンク層で規約されているプロトコルに位置づけられる。

最近では,インターネットプロトコルに基づくネットワーク形態の導入が進められており,OSI 参照モデルのトランスポート層に対応する UDP (User Datagram Protocol),TCP (Transport Control Protocol) などのプロトコルを活用して,伝送の標準化・統一化を図る一方,オープンネットワークからの分離のために,ファイアウォールなどによりセキュリティの確保を図っている。

OSI 基本参照モデルの層は次のように規定されている。

  • 物理層(第1層)
  • データリンク層(第2層)
  • ネットワーク層(第3層)
  • トランスポート層(第4層)
  • セション層(第5層)
  • プレゼンテーション層(第6層)
  • アプリケーション層(第7層)
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