平成27年度 第1種 機械

2021年12月31日作成,2022年1月2日更新

目次

  1. 誘導機
  2. 同期機の時定数
  3. 単相変圧器の並行運転
  4. 固体発光の原理
  5. 三相ブリッジ接続の電圧形自励インバータ
  6. 加工用レーザ
  7. IP ネットワーク

問1 誘導機

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問2 同期機の時定数

同期機の過渡現象計算に用いられる時定数は,以下で扱う電流の初期過渡,過渡及び直流の変化成分の初期値からの変化量が初期値から最終値までの量の 63.2 % となるのに要する時間である。

直軸開路初期過渡時定数 ${T_\text{d0}}''$ は電機子巻線回路時の直軸制動巻線回路時定数であり,直軸短絡初期過渡時定数 ${T_\text{d}}''$ は電機子巻線閉路時の直軸制動巻線回路時定数である。${T_\text{d}}''$ は三相突発短絡電流の交流分の最初の数サイクル(初期過渡)の急激な減衰を定める時定数であり,${T_\text{d}}'' = $ $\displaystyle \frac{{X_\text{d}}''}{{X_\text{d}}'}$ $\times {T_\text{d0}}''$ となる。

直軸開路時定数 ${T_\text{d0}}'$ は電機子巻線開路時の界磁開路時定数であり,直軸短絡過渡時定数 ${T_\text{d}}'$ は電機子巻線閉路時の界磁回路時定数である。${T_\text{d}}'$ は三相突発短絡電流の交流分から前述の初期過渡の急激な減衰電流を除外した電流の減衰を定める時定数であり,${T_\text{d}}'$ = $\displaystyle \frac{{X_\text{d}}'}{X_\text{d}}$ $\times {T_\text{d0}}'$ となる。

電機子時定数 $T_\text{a}$ は,電機子回路の直流分電流に対する時定数で,突発短絡電流の直流分の減衰を定める時定数であり,

\[ T_\text{a} = \frac{X_2}{2\pi f R_a} \]

となる。ただし,$f$ は周波数,$R_\text{a}$ は電機子巻線抵抗である。

なお,解答群において,${X_\text{d}}''$ は直軸初期過渡リアクタンス,${X_\text{d}}'$ は直軸過渡リアクタンス,$X_\text{d}$ は直軸同期リアクタンス,$X_1$ は正相リアクタンス,$X_2$ は逆相リアクタンス,$X_0$ は零相リアクタンスである。

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(1)

正解は(チ)63.2 である。

(2)

正解は(イ)制動巻線である。

(3)

正解は(ヌ)$\displaystyle \frac{{X_\text{d}}''}{{X_\text{d}}'}$ である。

(4)

正解は(ヘ)$\displaystyle \frac{{X_\text{d}}'}{X_\text{d}}$ である。

(5)

正解は(ヨ)$X_2$ である。

問3 単相変圧器の並行運転

負荷の増大に伴って変圧器を増設する場合,又は負荷変動に応じて変圧器の運転台数を変えて経済的な運転を図る場合に,変圧器の並行運転が行われる。単相変圧器の並行運転において,以下の配慮が必要である。

  1. 各変圧器の巻数比を等しく,一次及び二次の定格電圧をそれぞれ等しくすることが望ましい。等しくない場合は各変圧器間に循環電流が流れ,変圧器が過熱したり,負荷に十分な電力を供給できない。
  2. 結線にあたっては極性を合わせる。
  3. 各変圧器がそれぞれの定格容量に比例して負荷電流を分担するためには,自己容量をベースとする百分率インピーダンス降下が近いものを用いる。百分率インピーダンス降下が大きく異なる場合は,定格容量に比例した負荷分担が不可能になる。

いま,一次定格電圧が 22 kV,及び二次定格電圧が 3.3 kV である 2 台の単相変圧器 A 及び B があり,定格容量及び百分率インピーダンス降下はそれぞれ変圧器 A が 20 MV·A,5.5 %,変圧器 B が 16 MV·A,5.2 % である。また,各変圧器の巻線抵抗の漏れリアクタンスに対する比は等しいものとする。これら 2 台の変圧器を並行運転して定格容量以内で供給できる最大負荷は 34.9 MV·A であり,定格容量に達する変圧器は,B である。

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(1)

正解は(カ)巻数比である。

(2)

正解は(ト)循環である。

(3)

正解は(イ)極性である。

(4)

正解は(チ)34.9 である。

(5)

正解は(ホ)B である。

20 MV·A を基準した変圧器 A 及び B の百分率インピーダンス降下をそれぞれ $\%Z_\text{A}$,$\%Z_\text{B}$ とする。

\[ \%Z_\text{A}=5.5 \text{ [%]} \] \[ \%Z_\text{B}=5.2 \times \frac{20}{16} = 6.5 \text{ [%]} \]

これら 2 台の変圧器を並行運転して定格容量以内で供給できる最大負荷を $S$ とすると,以下の 2 式が成り立つ。

変圧器 A が定格容量以内で供給できる条件
\[ S\times\frac{\%Z_\text{B}}{\%Z_\text{A}+\%Z_\text{B}} \le 20 \] \[ S \le 20 \times \frac{5.5+6.5}{6.5} = 36.92 \]
変圧器 B が定格容量以内で供給できる条件
\[ S\times\frac{\%Z_\text{A}}{\%Z_\text{A}+\%Z_\text{B}} \le 16 \] \[ S \le 16 \times \frac{5.5+6.5}{5.5} = 34.90 \]

上式より,最大負荷 $S$ は 34.9 MV·A,定格容量に達する変圧器は,B である。

変圧器の並行運転
図 変圧器の並行運転

参考文献

問4 固体発光の原理

光の発光方法は,① 熱放射によるもの,② ルミネセンスによるものの二つに大別される。ルミネセンスは,熱放射以外の発光を総称したものであり,原子,分子,イオン又は電子が外部からのエネルギーを吸収して励起,イオン化又は加速するなどした後,それらが吸収したエネルギーを放射エネルギーとして再び放出する発光現象である。

近年,発光ダイオード(LED)の普及に伴って,ルミネセンスは固体発光を応用したものと放電現象を応用したものとに区分されるようになった。固体発光を応用した光源には,電界で発光する真性 EL(エレクトロルミネセンス)と電流で発光する注入形 EL とがある。

発光ダイオードは注入形 EL であり,その原理は以下のようになる。半導体の p 形に正電圧,n 形に負電圧を印加し,方向に電流を流すと,接合層に正孔と電子とが流れ込み再結合する。このとき,正孔と電子とのエネルギー差に相当する振動数の光が発生する。

有機 EL は,発光ダイオードと同様に,正孔と電子との再結合で発光する。OLED とも呼ばれ,注入電流が効率,寿命などの特性に大きく影響する。

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(1)

正解は(ヘ)電界である。

(2)

正解は(ワ)順である。

(3)

正解は(ニ)接合層である。

(4)

正解は(ヌ)振動数である。

(5)

正解は(チ)有機 EL である。

問5 三相ブリッジ接続の電圧形自励インバータ

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問6 加工用レーザ

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

レーザから発せられるビームは,レンズなどの光学系を用いて微小なスポットに集光できるため,非常に高いエネルギー密度を得ることができる。また,被加工物の必要な部分にだけ照射することが容易なため,被加工物に与えるひずみも少ない。代表的な加工用レーザには,エキシマレーザ,YAG レーザ,及び CO2 レーザがある。

エキシマレーザは,希ガスとハロゲンガスとの混合ガスを用いる気体レーザであり,紫外域のパルス光を発生する。エキシマレーザは半導体製造工程における露光装置の光源などに用いられる。

YAG レーザ及び CO2 レーザは,金属などの穴あけ,切断,溶接,微細な表面加工などに用いられている。YAG レーザは,赤外光を発生する固定レーザであり,発光する光の波長は CO2 レーザの波長よりも短く,集光スポット径をより小さくできる。このため,より微細な加工が可能である。しかし,非金属物質を対象とする場合には,多くの物質においてその波長における光エネルギーの吸収率が低いため,加工対象物の種類は限られる。

一方,CO2 レーザは,加工対象物の種類が多く,YAG レーザよりも出力の大きな連続した光を得ることができるため,厚板の切断や溶接により適している。

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(1)

正解は(カ)希ガスである。

(2)

正解は(ヌ)紫外域のパルス光である。

(3)

正解は(ル)赤外光を発生する固体レーザである。

(4)

正解は(タ)よりも短くである。

(5)

正解は(ヲ)吸収率である。

(6)

正解は(イ)出力の大きな連続したである。

問7 IP ネットワーク

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

電力用通信網では,従来の専用線通信網に加え,IP(Internet Protocol)によってデータの送受信を実現する IP ネットワークの導入が進んできている。IP は,ネットワーク機器の IP アドレスを基にして,複数のネットワークをつなぎ,相互に通信可能にするプロトコルである。また,IP が位置する階層の上位層であるトランスポート層で代表的なインターネット・プロトコル・スイートである TCP は,アプリケーション間の仮想的な通信路(コネクション)を確立し,送信側と受信側との確実なデータ通信を実現するプロトコルである。その反面,ブロードキャストやマルチキャスト通信などには対応できない。さらに,アプリケーション層において,インターネットや LAN などで使用される代表的なプロトコルとして,以下のようなものがある。

HTTP
Web サーバとブラウザ間で HTML などのコンテンツを受け渡すプロトコルである。
POP
メールサーバにアクセスし,電子メールを受信するプロトコルである。
SNMP
ネットワーク上で稼働する機器の稼働状態を監視し,制御するための情報の通信方法を定めるプロトコルで,管理する側のマネージャ及び管理される側のエージェントの二つによってフレームワークが構成される。
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(1)

正解は(ロ)トランスポートである。

(2)

正解は(ト)TCP である。

(3)

正解は(ヲ)HTML である。

(4)

正解は(ニ)受信である。

(5)

正解は(イ)SNMP である。

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