平成29年度 第1種 機械

2021年12月31日作成,2022年1月2日更新

目次

  1. 突極形同期電動機の出力トルク
  2. 三相電圧形 PWM インバータ
  3. リニアモータ
  4. 全光束の測定方法
  5. かご形三相誘導電動機の電気的制動法
  6. 赤外加熱
  7. メカトロニクスでの位置検出に用いる光応用センサ

問1 突極形同期電動機の出力トルク

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問2 三相電圧形 PWM インバータ

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問3 リニアモータ

リニアモータとは,可動体に直線的な運動をさせる力を与える駆動装置で,回転形モータを半径方向に切り開いて展開したものとみなすことができる。近年は工場内搬送装置,鉄道の駆動システムなどの移動体のドライブに実用化されている。

リニア誘導モータ(LIM)は,一次側は積層鉄心に電機子巻線が施され,二次側は磁路を形成するための鉄心の上にアルミニウム,銅等の非磁性導体板をかぶせた構造で,リアクションプレートと呼ばれている。その動作原理は,一次側巻線の三相交流電流が作る移動磁界に対して二次導体に磁束の変化を妨げる向きに渦電流を生じ,これと移動磁界との相互作用によって推力が発生することにある。電機子は有限長であることから電機子の端部において,端効果と呼ばれる磁束分布の不均一が生じ,高速になるほど推力特性が低下する。

一方,リニア同期モータ(LSM)は,一次側巻線の三相交流電流が作る移動磁界の速度に同期して界磁磁極のある可動体側が同期速度で移動する。LSM は三相交流周波数を上げて高速とした場合でも推力特性は良好である。

国内の鉄道では,LIM は常電導磁気浮上式鉄道及び小断面地下鉄で,LSM は超電動磁気浮上式鉄道に適用されている。

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(1)

正解は(ヌ)積層鉄心である。

(2)

正解は(チ)リアクションである。

(3)

正解は(ト)渦電流である。

(4)

正解は(リ)磁束である。

(5)

正解は(ニ)界磁磁極である。

問4 全光束の測定方法

ある光源が放出するすべての光束を全光束という。全光束の測定には,配光測定法と球形光束法がある。

配光測定法は,光源の光度の空間分布から全光束を算出する方法である。ある方向の光度 $I$ は,その方向の単位立体角当たりの光束であるので,光源の全光束 $\Phi$ は,全ての方向についてこれを積分した ① 式から求まる。

\[ \Phi=\int I \cdot \text{d}\omega \]
・・・・・①

一方,球形光束法では積分球が用いられる。この内面は均等拡散面となるように塗装処理されている。この方法は,内表面積を $S$,反射率を $\rho$,内部光源の全光束を $\Phi$ としたとき,球内の間接照度 $E_\text{i}$ が球内面の相互反射によってその位置とは無関係に ② 式で求まることを応用したものである。

\[ E_\text{i}=\frac{\Phi}{S}\cdot\frac{\rho}{1-\rho} \]
・・・・・②

積分球の測光は,光束未知の光源と光束既知の光源とを直接比較する置換測定法が用いられる。具体的には,標準光源と呼ばれる全光束 $\Phi_\text{s}$ が既知の光源を点灯したときの受光器の応答を $R_\text{s}$,測定対象の試験光源を点灯したときの応答を $R_\text{t}$ とすると,試験光源の全光束 $\Phi_\text{t}$ は,③ 式の関係から求まる。

\[ \Phi_\text{t}=\Phi_\text{s}\cdot\frac{R_\text{t}}{R_\text{s}} \]
・・・・・③

なお,この二つの全光束測定法による測光量は,人間の明るさ感覚を加味した量すなわち心理物理量であるため,受光器の分光応答特性が標準比視感度に一致している必要がある。しかし,これを完全に一致させることは困難であるので,試験光源の分光分布に応じた標準光源を乗じて全光束を求める。

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(1)

正解は(ロ)配光である。

(2)

正解は(ニ)均等拡散面である。

(3)

正解は(リ)置換測定法である。

(4)

正解は(ル)標準光源である。

(5)

正解は(カ)色補正係数である。

参考文献

問5 かご形三相誘導電動機の電気的制動法

かご形三相誘導機の逆相制動は,運転中に一次巻線の三端子のうち二端子の接続を電源に対して入れ替えて,回転磁界の方向を逆にして制動する方法である。この場合,滑り $s$ の動作領域は $s \gt 1$ である。この方法はプラッギングともいい,低速時にも大きな制動トルクが発生し,急速に停止ができる。逆相制動時,正方向に同期速度付近で運転している状態から停止に至るまでの間に回転子に生じるエネルギー損失は,負荷トルク及び機械損を無視し回転子と負荷の合成慣性モーメントだけを考えた場合,始動の過程で回転子に生じるエネルギー損失の約 3 倍となる。すなわち,始動時の約 3 倍の熱量を発生するので,回転子の温度上昇が大きい。

回生制動は,電車などの運動体を駆動している場合,電源周波数を下げて電動機を発電状態にし,その発生電力を電源に送り返しながら制動する方法である。この場合,滑り $s$ の動作領域は $s \lt 0$ である。回転子の回転速度が同期速度以上の場合,二次入力が負となり,電力は二次側から一次側に与えられ,電動機は発電機として動作する。この場合,回転子及び負荷の運動エネルギーを吸収して交流電源に電力を送り返すので,損失の少ない制動が行われる。

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(1)

正解は(カ)回転磁界である。

(2)

正解は(ヘ)$s \gt 1$ である。

(3)

正解は(ル)3 である。

(4)

正解は(ニ)$s \lt 0$ である。

(5)

正解は(ハ)同期速度である。

(6)

正解は(ト)運動エネルギーである。

問6 赤外加熱

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

赤外加熱は,塗装や印刷の乾燥のほか,食品,電子部品,半導体などの製造工程においても用いられている。赤外加熱に用いられる赤外放射源は,電熱線によって加熱されたセラミックスや,通電によって高温になったフィラメントなどである。放射源であるこれらの物質表面の単位面積から放射される分光放射パワー(波長成分ごとの放射パワー)は,分光放射率とプランクの放射則とで決まる。

分光放射率が波長及び温度に関係なく一定とすれば,物質表面から放射される全放射パワーは絶対温度で表した表面温度の 4 乗に比例する。また,放射パワーがピークとなる波長は絶対温度で表した表面温度に反比例する

一方,被加熱物の表面に照射された赤外放射の一部は表面で反射されるが,残りは非加熱物内部に浸透し,浸透する過程で被加熱物に吸収され,被加熱物自体が発熱して加熱される。被加熱物の吸収係数が大きいほど赤外放射は被加熱物の表層で吸収される。

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(1)

正解は(チ)分光放射率である。

(2)

正解は(ル)絶対温度である。

(3)

正解は(カ)4 乗である。

(4)

正解は(ヌ)反比例するである。

(5)

正解は(イ)表層である。

参考文献

問7 メカトロニクスでの位置検出に用いる光応用センサ

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

自動搬送ラインにおいて,搬送物の位置検出精度を一定に維持することは,品質管理上の重要な要素となっている。その位置検出方法には,機械式や電気式など種々あるが,光学技術を応用したセンサの例として以下のものがある。

光電スイッチは投光器及び受光器をもち,搬送物を直接的に検出することができる。光電スイッチには,搬送物が光を遮ることによって動作する透過式と,透過式よりも透明体の検出に有利な反射式とがある。一般に透過式の方が,搬送物までの検出距離を大きくすることができる。

ロータリエンコーダは,回転量を検出するセンサである。コンベアなどの回転軸に設置し,その回転量から間接的に搬送物の位置を検出することができる。光学式ロータリエンコーダでは,回転ディスク上に設けられたスリットを検出するデバイスとしてフォトインタラプタを適用したものがある。また,ロータリエンコーダには機能面からインクリメンタル式とアブソリュート式とがある。インクリメンタル式は,出力パルスである A 相と B 相との位相が 90 ° ずれており,これを利用して回転方向も検出することができる。アブソリュート式のものには,回転ディスク上のパターンをグレイ符号として,ビット遷移時の検出動作を安定化させたものがある。

カメラによって搬送物を撮像し,画像処理で位置検出を行う方法も応用されている。背景として,固体撮像デバイスの普及に伴い,小形,軽量かつ安価な高解像度カメラが利用可能となったことが挙げられる。CCD イメージセンサの場合は,撮像用照明の反射光などで,スミアを生じないように留意する必要がある。

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(1)

正解は(ヲ)透過である。

(2)

正解は(ニ)反射である。

(3)

正解は(ヨ)フォトインタラプタである。

(4)

正解は(レ)インクリメンタルである。

(5)

正解は(ヘ)アブソリュートである。

(6)

正解は(ル)90 ° である。

(7)

正解は(タ)グレイである。

(8)

正解は(ト)CCD である。

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