令和2年度 第1種 機械

2021年12月29日作成,2022年1月2日更新

目次

  1. 同期機の制動巻線
  2. 直流遮断器
  3. 変換器の多重接続
  4. 円形テーブルの平均照度と照明率の算出の手順
  5. 三相誘導電動機
  6. 燃料電池
  7. プログラム開発のプロジェクト管理

問1 同期機の制動巻線

同期機の運転において,負荷が急変すると,同期機の入出力に過渡的なアンバランスが生じて,回転速度が同期速度を中心に動揺する。この現象を乱調という。条件によっては,乱調が激しくなって,回転速度が同期速度から外れて継続的な運転ができなくなることがあり,この現象を脱調という。

回転速度の動揺が起こると,回転磁界に対して回転子の相対速度が生じるため,回転子の鉄心が塊状構造であれば回転子表面に誘導電流が流れて回転子の動揺を制動するように働く。

回転子の鉄心が積層構造の場合は,鉄心が軸方向に絶縁されているため,回転子表面の軸方向に沿って複数本の導体を接地して誘導電流の経路を形成すると,有効な制動効果が得られる。この導体を制動巻線という。

大型のタービン発電機などでは,回転子の鉄心は塊状構造が一般的であるが,制動効果を強めるため,鉄心により導電率の高い材質の制動巻線を設置している場合が多い。

同期機が突発短絡したときにも制動巻線に電流が流れる。そのような状態における制動巻線に流れる電流も考慮した同期機のリアクタンスを初期過渡リアクタンスという。

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(1)

正解は(ヨ)乱調である。

(2)

正解は(ル)脱調である。

(3)

正解は(チ)積層である。

(4)

正解は(ヘ)導電率である。

(5)

正解は(ヌ)初期過渡である。

問2 直流遮断器

交流遮断器では交流の周期的な電流の零点を利用して遮断するが,直流電流は零点を持たないので,直流を遮断する場合には意図的に電流の零点を作る必要がある。直流電気鉄道で一般的に用いられている定格電圧が 3 kV 以下の気中直流遮断器は,電圧が低いので逆電圧発生方式を採用している。本方式では,電流遮断時の電極間の直流アークをアークシュート内で伸ばし,この直流アーク電圧を電源電圧以上とすることにより電流を零まで限流して遮断する。ただし,直流短絡故障等の大電流を遮断する場合に短絡電流が数十 ms 継続するため,電極接点部やアークシュートの損耗が激しく大電流遮断後の点検・保守を必要とする。

1990 年代末ごろからは交流遮断器で実績のある真空バルブを遮断部に用いて他励発振と組み合わせた直流遮断器が実用化されている。この場合の遮断は,あらかじめ充電しておいたコンデンサ電荷をリアクトルを通じて放電させ,これにより発生する振動電流を重畳することで,強制的に電流零点を作って遮断部のアークを消弧して遮断する。本方式の遮断器は,動作後の点検・保守が大きく軽減される特徴を持っている。

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(1)

正解は(ハ)逆電圧発生方式である。

(2)

正解は(ヲ)電源電圧である。

(3)

正解は(ワ)電極接点部である。

(4)

正解は(ロ)真空である。

(5)

正解は(ニ)振動電流である。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「遮断器

問3 変換器の多重接続

準備中

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準備中

(1)

正解は(ワ)$\sqrt{3}$ である。

(2)

正解は(イ)$1.35 E \cos{\alpha}$ である。

(3)

正解は(ヌ)30° である。

(4)

正解は(リ)(a) である。

(5)

正解は(ヘ)11 次,13 次,・・・である。

問4 円形テーブルの平均照度と照明率の算出の手順

照明の省エネルギーを図るために,光源から放射された光を有効に利用すること,すなわち照明率を高めることも重要な要件の必要である。

今,すべての方向に $I$ = 80 cd の光度を有する点光源があり,直径 1.2 m の円形テーブルの中心直上,高さ 80 cm の位置に設置してある。テーブルの平均照度と照明率を以下の手順で求める。ただし,平面角 $\theta$ を回転してできる錐体の立体角 $\omega$ は,$\omega=2\pi(1-\cos{\theta})$ により求まる。

この点光源の全光束 $\Phi_0$ は,すべての方向の光度が $I$ = 80 cd であるので,1005 lm である。また,この点光源からテーブル面に入射する光束 $\Phi_\text{T}$ は,点光源からテーブル面を見込む立体角が $\omega_\text{T}$ が 0.4π であるので,101 lm となる。これよりテーブルの平均照度 $E$ は 89 となる。

この点光源の円形テーブルに対する照明率 $U$ は,0.1 となる。

円形テーブルへの照明率を高めるには,光源の上部に反射笠などを設置し,周囲に逃げる光束をテーブル面方向に反射させるようにする。

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(1)

正解は(ヨ)1005 である。

(2)

正解は(ホ)0.4π である。

(3)

正解は(ル)101 である。

(4)

正解は(リ)89 である。

(5)

正解は(イ)0.1 である。

問5 三相誘導電動機

準備中

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準備中

(1)

正解は(ネ)$4.44 f_1 k_\text{w1}N_1 \Phi$ である。

(2)

正解は(チ)約 90° 遅れているである。

(3)

正解は(ニ)$\omega_2 \neq \omega_1$である。

(4)

正解は(ト)$4.44 f_1 k_\text{w2}N_2 \Phi$ である。

(5)

正解は(レ)$sf_1$ である。

(6)

正解は(ヲ)$r_2 + \text{j}sx_2$ である。

(7)

正解は(ワ)$\displaystyle \frac{sE_2}{\sqrt{{r_2}^2+(sx_2)^2}}$ である。

問6 燃料電池

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

燃料電池は水素やアルコールなどの燃料をアノードで電気化学的に酸化し,取り出した電子を,外部回路を通じてカソードに供給し,カソードでの反応に用いる。反応の過程で化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため熱機関のようなカルノー効率の制約を受けない。

電解質にイオン交換膜を用いる燃料電池を固体高分子形燃料電池といい,燃料自動車や家庭用コジェネレーションシステムで実用化されている。家庭用コジェネレーションシステムの発電効率が 40 % であるとすると,発熱量 45 MJ/Nm3 の燃料の体積 1 Nm3 から 5 kW·h の電力が得られる。電力と熱として利用できる全エネルギーの,燃料の持つ化学エネルギーに対する割合である総合効率が 97 % で,燃料電池から得られる熱を用いて 20 °C の水を加熱する場合,153 L の 60 °C の温水が得られる。

ただし,水の比熱容量は 4.18×103 J·kg-1·K-1,比重は 1000 kg·m-3 とする。

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(1)

正解は(ヨ)酸化である。

(2)

正解は(カ)カルノー効率である。

(3)

正解は(ニ)イオン交換膜である。

(4)

正解は(リ)5 である。

(5)

正解は(ヲ)153 である。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「燃料電池

問7 プログラム開発のプロジェクト管理

問6及び問7は選択問題であり,問6又は問7のどちらかを選んで解答すること。

両方解答すると採点されません。

プログラム開発のプロジェクト管理手法として,作業展開構造(WBS)を利用する方法がある。これはプロジェクトを構成する作業を分解し,構造化したもので,その作業単位をワークパッケージという。作業展開構造を詳細なレベルとすることで,リスク要因が明らかとなり,コストやスケジュールの予測が可能となる。

作業相互単位の関連性やプロダクトの流れ,リソースの有効性や外部要因の制約などを考慮した上で,全体のスケジュールを決定する。

図は,アローダイアグラムと呼ばれるもので,作業と所要日数をグラフ状に表現したものである。破線はダミー作業で,作業 B 及び作業 C が完了した後,作業 E の着手可能であることを示している。ダミー作業の所要日数は 0 である。

図では,作業 A と作業 C に対して作業 B が並行作業であり,同様に作業 D と作業 F に対して,作業 E も並行作業である。

この図では,全体の作業を完了するのに必要な最小限の日数を求めることができ,この経路をクリティカルパスという。この図の場合,最小日数は 13 日間である。クリティカルパスにおいて遅延が生じると作業全体が遅れることになる。

完了までの日数の予測は,開発の初期段階であるほど,未知数の要因が多く,難しくなる。

アローダイアグラム
図 アローダイアグラム
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(1)

正解は(タ)アローダイアグラムである。

(2)

正解は(カ)作業 F である。

(3)

正解は(ロ)作業 E である。

(4)

正解は(リ)クリティカルパス(critical path)である。

(5)

正解は(イ)13 である。

クリティカルパスは,1 → 3 → 4 → 6 → 7 であり,所要日数は 5 + 0 + 6 + 2 = 13 日 である。

(6)

正解は(ホ)初期である。

参考文献

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