平成25年度 第1種 法規

2021年12月27日更新

問1 大規模地震対策特別措置法に規定する地震対策強化地域内に電気事業用電気工作物を設置する場合

次の文章は,大規模地震対策特別法に規定する地震防災対策強化地域内に電気事業用電気工作物を設置する場合において,電気事業法施行規則に基づき,保安規程に必要とされる追加事項に関する記述である。

  1. 大規模地震対策特別法に規定する地震予知情報及び警戒宣言の伝達に関すること。
  2. 警戒宣言が発せられた場合における,以下に関すること。
    1. 防災に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
    2. 保安要員の確保に関すること。
    3. 電気工作物の巡視,点検及び検査に関すること。
    4. 防災に関する設備及び資材の確保,点検及び整備に関すること。
    5. 地震防災に関し採るべき措置に係る教育,訓練及び広報に関すること。
  3. その他地震災害の発生の防止又は軽減を図るための措置に関すること。

問2 電気工作物の保安

  1. 事業用電気工作物を設置する者は,主任技術者を選任しなければならない。
  2. 上記 a. の規定にかかわらず,自家用電気工作物であって,電圧 7 000 [V] 以下で受電する需要設備のみに係る事業場等のうち,保安管理業務の委託契約を締結しているものであって,経済産業大臣の承認を受けたものは,電気主任技術者を選任しないことができる。
  3. 一般用電気工作物において使用する電気を供給する者は,経済産業省令で定めるところにより,その電気を使用する一般用電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。
  4. 上記 c. の調査は,一般用電気工作物が設置された時及び変更の工事が完成した時に行うほか,原則として,4 年に 1 回以上の頻度とする。

問3 分散型電源の系統連系設備

  1. 分散型電源とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等であって,一般電気事業者が運用する電力系統に連系するものをいう。
  2. 単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。
  3. 受動的方式の単独運転検出装置とは,単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。
  4. 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合,一般電気事業者が運用する電力系統の短絡容量が,当該分散型電源設置者以外の者が設置する遮断器の遮断容量又は電線の瞬時許容電流等を上回るおそれがあるときは,分散型電源設置者において,限流リアクトルその他の短絡電流を制限する装置を施設すること。
  5. 上記 d. において,分散型電源の出力が極めて小さく,逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合はこの限りでない。

問4 電力の広域的運営

電気事業法では,電気事業者相互の協調について次のように規定している。

「電気事業者は,電源開発の実施,電気の供給,電気工作物の運用等その事業の遂行に当たり,広域的運営による電気事業の総合的かつ合理的な発達に資するように,卸供給事業者の能力を適切に活用しつつ,相互に協調しなければならない。」

このように,広域運営促進のための電気事業者相互の協調が義務化され,また,毎年度特定電気事業者及び特定規模電気事業者を除く電気事業者に対し,電気の供給や電気工作物の設置及び運用についての供給計画の届出義務なども規定し,広域的運営の促進が図られている。

電力系統を連系することにより,系統全体にわたって総合した電力需要の負荷率が改善し,発電所の効率が改善される。また,広域的に運営することによって,各電気事業者に必要とされる供給予備力の保有量を各事業者が単独で確保する場合に比べて,小さくすることができる。

問5 特別高圧架空電線路の支持物に施設する低圧の機械器具等の施設

  1. 特別高圧架空電線路の支持物において,特別高圧架空電線の上方に低圧の機械器具(航空障害灯等)を施設する場合は,特別高圧架空電線がケーブルである場合を除き,次によること。
    1. 低圧の機械器具に接続する電路には,他の負荷を接続しないこと。
    2. 低圧の機械器具を接続した電路と他の低圧の電路とを変圧器により結合する場合は,絶縁変圧器を使用すること。この絶縁変圧器の負荷側の 1 端子又は中性点には A 種接地工事を施すこと。
    3. 低圧の機械器具を接続した電路と他の高圧の電路とを専用の変圧器により結合する場合は,変圧器の低圧側の 1 端子又は中性点などには B 種接地工事を施すこと。
    4. 低圧の機械器具の金属製外箱には D 種接地工事を施すこと。
  2. 特別高圧架空電線と特別高圧架空電線路の支持物に施設する低圧の機械器具に接続する低圧架空電線とを同一支持物に施設する場合,低圧架空電線は,次のいずれかのものであること。
    1. ケーブル
    2. 直径 3.5 [mm] 以上の銅覆鋼線
    3. 架空電線路の径間が 50 [m] 以下の場合は,引張強さ 5.26 [kN] 以上のもの又は直径 4 [mm] 以上の硬銅線
    4. 架空電線路の径間が 50 [m] を超える場合は,引張強さ 8.01 [kN] 以上のもの又は直径 5 [mm] 以上の硬銅線

問6 我が国の電力系統の周波数調整

図は系統の負荷変動の大きさと,周波数を維持するための周波数制御の分担を表した概念図である。この図中で (1) 経済負荷配分制御(ELD : Electric Load Dispatcher)は長周期の負荷変動分に対応し,日負荷曲線からある程度予測できるので,ベース調整分として予測値に対応する発電機出力をあらかじめ自動で指令しておく。

(1) 経済負荷配分制御(ELD)よりも短周期の変動分については,系統の周波数と基準周波数の偏差を検出して,図中 (2) 負荷周波数制御(LFC : Load Frequency Control)による調整を (3) 中央制御で実施する。この (2) 負荷周波数制御(LFC)は時々刻々変動する需要と供給力との差を周波数変化としてとらえ,発電機の出力の増減を短時間で実施し,これを許容範囲に収める制御である。

(2) 負荷周波数制御(LFC)よりも短周期の微小変動分には発電機のガバナフリーにより吸収する。火力発電所のタービンや水力発電所の水車の速度制御を行う。この発電機の出力変化量と周波数変化量との関係は発電機周波数特性定数で表され,通常 1.0 [% MW/0.1Hz] 程度である。

さらに微小な調整は図中にもある,系統の (5) 自己制御で吸収される。これは負荷は周波数が上がると消費電力が (6) 増加し,周波数が下がると逆になるという特性を持っているためである。

図における横軸は時間を示しており,単位は (7) 分である。

系統の負荷変動の大きさと周波数を維持するための周波数制御の分担を表した概念図
系統の負荷変動の大きさと周波数を維持するための周波数制御の分担を表した概念図
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