平成27年度 第1種 法規

2021年12月27日更新

問1 「電気工事士法」及び「電気工事業の業務の適正化に関する法律」

  1. 自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊電気工事については,特殊電気工事資格者でなければその作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって,特殊電気工事資格者が従事する特殊電気工事の作業を補助する作業を除く。)に従事してはならない。特殊電気工事として,ネオン工事及び非常用予備発電装置工事が定められている。
  2. 自家用電気工事物に係る電気工事のうち簡易電気工事については,第一種電気工事士でなくとも,認定電気工事従事者であれば,その作業に従事することができる。
  3. 建設業法に規定する建設業者であって自家用電気工事のみに係る電気工事業を営むものについては,通知電気工事業者とみなして電気工事業の業務の適正化に関する法律が適用される。

問2 「電気設備技術基準」における感電,火災等の防止

  1. 変成器内の巻線と当該変成器内の他の巻線との間の絶縁性能は,事故時に想定される異常電圧を考慮し,絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
  2. 電路に施設する電気機械器具は,通常の使用状態においてその電気機械器具に発熱する熱に耐えるものでなければならない。
  3. 高圧又は特別高圧の電気機械器具は,取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。ただし,接触による危険のおそれがない場合は,この限りでない。
  4. 低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は,使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の 2 000 分の 1 を超えないようにしなければならない。
  5. 特別高圧の架空電線路は,通常の使用状態において,静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう,地表上 1 メートルにおける電界強度が 3 kV/m 以下になるように施設しなければならない。ただし,田畑,山林その他の人の往来が少ない場所において,人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は,この限りでない。

問3 「電気設備技術基準の解釈」に基づく,国際規格の取り入れ

  1. 需要場所に施設する低圧で使用する電気設備は,国際規格の IEC60364 規格を適用することができる。なお,交流の場合,同規格は 1 000 V 以下と規定されているものの,国内で適用する場合は 600 V 以下の範囲に限定されている。
  2. また,同規格では大きく 3 種類の接地方式が規定されているが,国内の現状の低圧配電設備はこのうち TT 接地方式に相当するため,これとの整合性に留意する必要がある。
  3. 同規格では,感電保護のうち故障保護(間接接触保護)について,人又は家畜が露出導電性部分に触れることによって発生する可能性のある危険に対して,保護を行わなければならないと規定されている。

第一文字は電力系統と大地との関係を表す。T は「一点を大地に直接接続する」,I は「全充電部を大地から絶縁するか,又は高インピーダンスを介して一点を大地に直接接続する」という意味である。

第二文字は設備の露出導電性部分と大地との関係を表す。T は「電力系統の接地とは無関係に,露出導電性部分を大地に直接接地する」,N は「露出導電性部分を電力系統の接地点へ直接接続する」という意味である。

問4 我が国の事業用電気工作物及びその電気保安の状況

  1. 資源エネルギー庁が発表する電力調査統計によれば,平成26年3月末における電気事業用発電設備と自家用発電設備( 1 000 kW 未満の発電所の発電設備を除く。)との認可及び届出出力合計は,約 2.9 億 kW である。このうち,水力発電設備(揚水式を含む。)の出力の割合は,約 17 % である。
  2. 経済産業省が発表する電力保安統計によれば,平成22年度から平成24年度において全国で発生した電気事故の年平均件数は,約 14 000 件である。このうち,最も件数が多いのは,高圧架空配電線路での事故であり,そのほとんどが供給支障事故となっている。また,自家用電気工作物で発生した電気事故の年平均件数は,約 600 件であり,このうち事故発生件数が最も多い場所は,需要設備である。

問5 特別高圧架空電線路の施設の制限

  1. 電線路の電線又は電車線等は,他の工作物又は植物との接近,又は交さする場合には,他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく,かつ,接触,断線当によって生じる感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
  2. 上記 a. に関する「電気設備技術基準の解釈」の規定で,使用電圧が 66 000 V と 33 000 V の特別高圧架空電線を比較した場合,以下のように規定されている。

特別高圧架空電線が建造物の上部造営材の上方に接近して施設される場合の離隔距離は,表 1 に規定する値以上であること。

表 1
架空電線の種類 使用電圧 66 000 V 使用電圧 33 000 V
ケーブル 1.8 m 1.2 m
特別高圧絶縁電線 3.1 m 2.5 m

建造物と接近状態に施設される場所の特別高圧架空電線路の保安工事は,表 2 のとおりであること。

表 2
建造物との接近状態 使用電圧 66 000 V 使用電圧 33 000 V
第 1 次接近状態 第 3 種特別高圧保安工事 第 3 種特別高圧保安工事
第 2 次接近状態 第 1 種特別高圧保安工事 第 2 種特別高圧保安工事

また,使用電圧が 66 000 V の特別高圧架空電線が,建造物と 2 次接近状態に施設される場合,電線にアーマロッドを取り付け,かつ,がいしにアークホーンを取り付けなければならないが,特別高圧架空電線路に架空地線を施設する場合は,いずれかの取り付けを省略することができる。

問6 低圧配電方式

  1. 単相 3 線式は,配電用変圧器二次中性点を接地して,そこから中性点を引き出し,両方の外側電圧線とともに 3 線で負荷に供給する方式である。線路電圧と 1 線当たりの線路抵抗が等しい場合,負荷が平衡していれば,電圧降下率と電力損失は単相 2 線式の 1/4 に減少し,負荷密度が特に低くない限り経済的である。しかし,負荷の不平衡などにより,大きな電圧不平衡を生じる恐れがあり,この対策として,線路の末端にバランサと呼ばれる単巻変圧器を設置する。
  2. 異容量三相 4 線式は,電灯需要と動力需要が混在する地域で一般的に用いられる方式である。我が国では,単相と三相負荷の電圧比が 1:2 であるため,V 結線の三相 3 線式 200 V 線路と,単相 3 線式 100/200 V 線路とを組み合わせた形となっている。V 結線を Δ 結線に置き換えたものは,電圧不平衡と変圧器利用率が改善される。
  3. Y 結線三相 4 線式は,中小容量の単相と三相負荷が混在する地域や需要家における供給に適した方式である。この方式では,単相と三相負荷の電圧比が 1 : $\sqrt{3}$ であり,対照的な系統を構成する。400 V 級レギュラーネットワークなどに適用されている。
  4. 上記のどの方式においても,混触時の低圧側電圧上昇を抑制するという保安上の理由から,一般には中性点又は電路の一端子が接地されている。
inserted by FC2 system