令和3年度 第1種 法規

2021年8月29日作成,2023年9月16日更新

令和3年度 第一種電気主任技術者試験一次試験 法規科目の合格基準は,80 点満点換算で 48 点以上,受験者は 854 人,合格者数は 755 人で,合格率は 88.4 % だった。

  1. 問題文中に「電気設備技術基準」とあるのは,「電気設備に関する技術基準を定める省令」の略である。
  2. 問題文中に「電気設備技術基準の解釈」とあるのは,「電気設備の技術基準の解釈における第1章~第6章及び第8章」をいう。なお,「第7章 国際規格の取り入れ」の各規定について問う出題にあっては,問題文中にその旨を明示する。
  3. 問題は,令和3年4月1日現在,効力のある法令(電気設備の技術基準の解釈を含む。)に基づいて作成している。

問1 電気事故と事故の報告

次の文章は,電気関係報告規則に基づく,電気事故と事故の報告に関する記述である。

a) 「電気火災事故」とは (1) ,短絡,せん絡その他の電気的要因により構造物,車両その他の工作物(電気工作物を除く。),山林等に火災が発生することをいう。

b) 「供給支障事故」とは,破損事故又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより電気の使用者(当該電気工作物を管理する者を除く。)に対し,電気の供給が停止し,又は電気の使用を緊急に制限することをいう。ただし,電路が自動的に (2) されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。

c) 電気事業者又は自家用電気工作物を設置する者は,電気事業者にあっては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。)に関して,自家用電気工作物を設置する者にあっては自家用電気工作物に関して,電気関係報告規則の定める事故が発生したときは,電気関係報告規則の定めるところにより経済産業大臣又は電気工作物の設置の場所を管轄する (3) に報告しなければならない。この報告は,事故の発生を知った時から (4) 以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所,事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について,電話等の方法により行うとともに,事故の発生を知った日から起算して (5) 以内に所定の様式の報告書を提出して行わなければならない。

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(1)

正解は(ホ)漏電である。

(2)

正解は(イ)再閉路である。

(3)

正解は(ル)産業保安監督部長である。

(4)

正解は(ロ)24 時間である。

(5)

正解は(ヨ)30 日である。

問2 特別高圧の機械器具の施設

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,特別高圧の機械器具の施設に関する記述である。

a) 特別高圧の機械器具(これに附属する特別高圧電線であって,ケーブル以外のものを含む。以下同じ。)は,次の (a),(b) 又は (c) により施設することができる。ただし,発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する場合,又は電気集じん応用装置若しくはエックス線発生装置に関する規定により施設する場合はこの限りでない。

(a) (1) であって,(2) 以外のものが出入りできないように措置した場所に施設すること。

(b) 次により施設すること。

  1. 人が触れるおそれがないように,機械器具の周囲に適当なさくを設けること。
  2. 1. により施設するさくの高さと,当該さくから機械器具の充電部分までの距離との和を,別表に規定する値以上とすること。
  3. (3) である旨の表示をすること。

(c) 機械器具を地表上 5 m 以上の高さに施設し,充電部分の地表上の高さを別表に規定する値以上とし,かつ,人が触れるおそれがないように施設すること。

別表
使用電圧の区分 さくの高さとさくから充電部分までの距離との和又は地表上の高さ
35 000 V 以上 5 m
35 000 V を超え 160 000 V 以下 6 m
160 000 V 超過 (6 + $c$) m
(参考)$c$ は,使用電圧と 160 000 V の差を 10 000 V で除した値(小数点以下を切り上げる。)に 0.12 を乗じたもの。

b) a) の記述に基づき,図に示すように,特別高圧の機械器具の周囲に施設した高さ $d_1$ のさくと,さくから機械器具の充電部分までの距離との和 $d$ は,$d = d_1 +$ (4) で表される。また,使用電圧が 220 000 V の機械器具を周囲にさくを設けないで地表上 5.5 m の高さに施設する場合,充電部分の地表上の高さは (5) m 以上とし,かつ,人が触れるおそれがないように施設しなければならない。

図
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(1)

正解は(ト)屋内である。

(2)

正解は(ヲ)取扱者である。

(3)

正解は(ハ)危険である。

(4)

正解は(ワ)d3である。

(5)

正解は(カ)6.72である。

問3 電気保安通信設備

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく,電力保安通信設備に関する記述である。

a) 電力保安通信設備は,架空電線路からの (1) により (2) に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

b) 遠隔監視制御されない変電所とその運用を行う (3) との間には,電力保安通信用電話設備を施設すること。

c) こう長 (4) 以上の高圧架空電線路には,架空電線路の適当な箇所で通話できるように携帯用又は移動用の電力保安通信用電話設備を施設すること。

d) 電力保安通信線のうち,架空電線路の支持物に施設するものを (5) といい,原則として架空電線の下に施設すること。

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(1)

正解は(ニ)静電誘導作用又は電磁誘導作用である。

(2)

正解は(イ)人体である。

(3)

正解は(ヲ)給電所である。

(4)

正解は(ト)5 kmである。

(5)

正解は(ヌ)添架通信線である。

問4 電力系統の連系

a) 系統連系の主な特徴は,次のとおりである。

  • 連系した系統全体で経済的な電源運用ができる。
  • 設備事故や急激な需要の変化に対し,相互に電力を融通することができるので,(1) の節減を図ることができる。
  • (2) が増加するため,大容量遮断器を採用する必要がある。
  • 誘導障害が増加するため,対策が必要になる。
  • 系統の連系に伴い,系統の安定を維持するため,(3) の調整が複雑になる。

b) 系統の連系方法は,直流による連系と交流による連系があるが,直流による連系の主な特徴は,次のとおりである。

  • 連系送電線としてケーブルを使用する場合でも,ケーブルによる (4) がないため,長距離の送電が可能である。
  • 周波数の異なる交流系統間の連系が容易である。
  • 交流系統の (2) が増加しない。
  • 大規模な変換装置が必要になる。

c) 全国規模の系統連系の管理は,現在は (5) が行っている。

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(1)

正解は(カ)供給予備力である。

(2)

正解は(ヌ)短絡容量である。

(3)

正解は(ル)周波数である。

(4)

正解は(リ)充電電流である。

(5)

正解は(ワ)電力広域的運営推進機関である。

問5 特別高圧架空電線路を支持するがいし装置等

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,特別高圧架空電線路を支持するがいし装置等に関する記述である。

a) 特別高圧架空電線を支持するがいし装置は,次の荷重が電線の取り付け点に加わるものとして計算した場合に,安全率が (1) 以上となる強度を有するように施設すること。

① 電線を引き留める場合は,電線の (2) による荷重

② 電線をつり下げる場合は,次に掲げるものの (3) 荷重

  • 電線及びがいし装置に,電線路に (4) の方向に加わる風圧荷重
  • 電線及びがいし装置の重量並びに (5) 風圧荷重を適用する場合においては,(6) 荷重
  • 電線路に水平角度がある場合は,水平角度荷重
  • 電線路に著しい垂直角度がある場合は,垂直角度荷重

③ 電線を引き留める場合及び電線をつり下げる場合以外の場合は,次に掲げるものの (3) 荷重

  1. 電線及びがいし装置に,電線路に (4) の方向に加わる風圧荷重
  2. 電線路に水平角度がある場合は,水平角度荷重

b) 次に掲げるものには,(7) 接地工事を施すこと。

① 特別高圧架空電線を支持するがいし装置を取り付ける腕金類

② 特別高圧架空電線路の支持物として使用する (8) にラインポストがいしを直接取り付ける場合は,その取付け金具

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(1)

正解は(ヲ)2.5である。

(2)

正解は(タ)想定最大張力である。

(3)

正解は(ヌ)合成である。

(4)

正解は(カ)直角である。

(5)

正解は(ト)乙種である。

(6)

正解は(リ)被氷である。

(7)

正解は(ホ)D 種である。

(8)

正解は(ニ)木柱である。

問6 瞬時電圧低下

瞬時電圧低下は,電力系統に発生する事故等が原因で瞬間的に電圧が低下する現象を言い,略して「瞬低(しゅんてい)」と呼ばれることがある。事故は落雷や風雪害など自然現象によるものが多く,電圧低下の継続時間は (1) ミリ秒から数百ミリ秒が大半だが,最も長い場合では数秒程度に及ぶ場合がある。なお,電圧低下レベルは,事故点(落雷地点等)との接近度合いによって異なり,定格電圧に対する残存電圧の割合が 0 % ~ 20 % は短時間停電とみなす場合がある。

落雷による瞬低の例では,①「雷の発生」→②「送電線への落雷」→③「送電線に (2) が発生」,その結果,瞬低が生じ需要家負荷機器等に影響が発生するという過程をたどる。これに伴って,電力系統では,次の ④ 以降のような動作が自動的に行われる。

①→②→③→④「保護リレーが (2) を検出」→⑤「送電線両端の遮断器を開放し事故箇所を除去」→⑥「(2) 解消後に送電線を (3) 」。

したがって,③ から (4) の間が瞬低の継続時間となる。

瞬低による負荷機器への影響については,誤動作や停止などの影響を受ける例としてコンピュータが知られており,(5) などのバックアップ電源の必要性が指摘されている。また,パワーエレクトロニクス装置の停止による工場生産設備の停止等も影響の大きい事例である。

送電設備における雷対策の代表例は,架空地線の設置である。電力線よりも上部に架空地線を張って (6) することで,電力線への雷の直撃を防いでいる。通常,架空地線に落ちた雷撃電流は,鉄塔の塔脚接地抵抗を経て大地に流出し電力線へ影響を与えることはほとんどないが,まれに大きな雷撃電流が流れた場合は,架空地線や鉄塔の電位が上昇し,そこから電力線に向けて (7) が起きることがある。ひとたび通電経路が形成されると,雷撃終了後も (8) から故障電流が流れ続ける場合があるので,送電線の両端の遮断器を開放する必要がある。

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(1)

正解は(リ)数十である。

(2)

正解は(カ)地絡である。

(3)

正解は(ネ)再閉路である。

(4)

正解は(ソ)⑤である。

(5)

正解は(ワ)UPS(無停電電源装置)である。

(6)

正解は(ハ)遮へいである。

(7)

正解は(イ)逆フラッシオーバである。

(8)

正解は(ヲ)電源である。

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