平成21年度 第2種 電力

2022年1月2日更新

目次

  1. 大容量火力発電所の主変圧器
  2. GIS 変電所の絶縁協調
  3. 電力系統の安定度
  4. 受電設備の保護協調
  5. 軽水形原子炉
  6. 分散型電源の保護装置
  7. 通信線路の電磁誘導障害

問1 大容量火力発電所の主変圧器

低圧側電圧を発電機端子電圧にほぼ等しくすることから,低圧部には大電流が流れる。そのため,巻線漏れ磁束や巻線リードの磁界による構造部材の (1) への配慮が必要である。また,発電機端子電圧から系統電圧へ直接昇圧するため,(2) が大きい。

巻線の結線方法は,(3) を循環させることが可能であること,低圧の中性点が発電機で接地できることから,(4) が適用される。

わが国の大容量火力発電所は,海上輸送が可能な沿岸地域に立地することが多く,重量や寸法などの輸送制約が少ないこと,また,高圧側引き出しにエレファント形接続方式を採用することが多く,絶縁距離による配置制約がないことから,(5) として製作されることが多い。

問1 解答と解説

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(1)

正解は(ヌ)局部過熱である。

(2)

正解は(リ)変圧比である。

(3)

正解は(ト)第 3 次高調波である。

(4)

正解は(チ)低圧側 Δ 形-高圧側 Y 形である。

(5)

正解は(ニ)三相器である。

選択できるのは,(ロ)特別三相器,(ニ)三相器,(ヘ)単相器である。輸送制約がある場合,特別三相器や単相器として製作されるが,わが国の大容量火力発電所は輸送制約が少ないことから三相器として製作されることが多い。

参考文献

問2 GIS 変電所の絶縁協調

絶縁協調に関して,GIS 変電所を気中絶縁変電所と比較した場合の相違点として,主に以下の点が挙げられる。

  • ガス絶縁機器の V-t 特性は気中絶縁機器よりも平たんであり,急しゅん波領域で協調がとりにくい。
  • ガス絶縁母線の (1) は架空線の約 1/5 であり,電力ケーブルの 2 ~ 3 倍である。また,GIS 変電所の母線のこう長は気中絶縁変電所に比べて短い。
  • 気中絶縁変電所の雷サージに対する絶縁協調は (2) の保護を中心に考えてきたが,GIS は内部に (3) で作られた (4) などがあるので GIS を (2) と同等の保護対象とする必要がある。

以上のことから,特に高電圧の大規模変電所を除き,一般的に GIS 変電所では避雷器を (5) に設置し,変電所全体としての保護が図られることが多い。

問2 解答と解説

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(1)

正解は(ル)サージインピーダンス(surge impedance)である。

発変電所及び地中送電線の耐雷設計ガイド(2011年改訂版)によれば,気中母線のサージインピーダンスは 350 Ω,相分離 GIS 母線のサージインピーダンスは 70 Ω である。

(2)

正解は(カ)変圧器である。

(3)

正解は(ハ)有機絶縁物である。

(4)

正解は(ロ)スペーサである。

(5)

正解は(ニ)線路引込口である。

参考文献

問3 電力系統の安定度

準備中

問4 受電設備の保護協調

保護協調とは,系統又は電力設備に故障が発生した際,故障発生源を早期に検出し,迅速に除去し,故障の波及・拡大を防ぎ,(1) の不要遮断を避けることである。保護装置がそれぞれ協調せずに動作すると故障した部位が正確に選択できず,不必要に広範囲の (2) を引き起こす場合が生じる。このため,各保護装置相互間の適正な協調を図ることが必要である。

地絡保護協調については,配電用変電所の保護方式に対して需要家側で (3) 協調と感度(地絡電流)協調を図る必要がある。

一般に需要家用地絡継電器は (4) によって動作する非方向性のものが用いられるが,需要家構内のケーブル系統の対地静電容量が大きい場合,配電系統の故障によって不必要動作する場合があるため,(5) 継電器を使用して協調を図る必要がある。

問4 解答と解説

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保護協調(protection coordination)は,電気学会専門用語集によると,次のように定義される。

複数個のリレー相互間もしくは保護装置相互間などで保護の協調を保ち,所定の目的を達成させる行為。保護対象の特性と整合した保護を行う行為。

(1)

正解は(ニ)健全回路である。

(2)

正解は(ハ)停電である。

(3)

正解は(リ)時限である。

(4)

正解は(チ)零相電流である。

(5)

正解は(ヘ)地絡方向である。

参考文献

問5 軽水形原子炉

わが国の発電用原子炉は,燃料として (1) を用い,軽水と冷却材が (2) を兼ねる軽水炉が主流であり,加圧水形と沸騰水形の 2 種類が採用されている。

両者の構造や制御機能などに相違点があり,以下にその例を挙げる。

加圧水形は,水が沸騰しないように炉内を加圧している。この圧力は,沸騰水形のおよそ (3) 倍程度である。

出力制御は,制御棒の出し入れによるほか,沸騰水形では冷却水の再循環流量を調節するが,加圧水形では (4) を行う。

制御棒駆動装置の位置も異なり,加圧水形では (5) に設置される。

問5 解答と解説

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(1)

正解は(ハ)低濃縮ウランである。

(2)

正解は(イ)減速材である。

原子燃料の核分裂によって生じた高速中性子を熱中性子にするために使用するのが減速材であり,質量の小さい原子核を多く含む物質の方が中性子のエネルギー損失が大きく,減速材として有効である。

(3)

正解は(ト)2 である。

(4)

正解は(ル)ほう素濃度の調節である。

(5)

正解は(ヲ)炉心上部である。

参考文献

問6 分散型電源の保護装置

分散形電源など発電設備が連系する系統において,系統事故が発生して連系する系統が系統電圧と切り離された状態(例えば,配電用変電所の遮断器を開放した状態)において,当該系統に連系している発電設備が運転を継続し,当該系統の負荷へ電気を供給している状態のことを (1) という。これに対し,発電設備が系統から解列された状態で,当該発電設備設置者の構内負荷にのみ電力を供給することを (2) といい区別される。(1) になった場合,人身及び設備の安全に対し影響を与えるおそれがあると共に,事故点の被害拡大や復旧遅れなどにより供給信頼度の低下を招くおそれがあることから,保護リレーなどを用いて当該発電設備を当該系統から解列できるような対策を施す必要がある。

逆潮流がない連系の場合には,(1) 時に発電設備側から系統側へ電力が流出するため,発電設備設置者の受電点に (3) 等を設置することにより,逆潮流を検出して自動的に系統から解列することが可能である。

一方,逆潮流がある連系の場合には,系統事故時の解列の確実化を図るため,系統の引出口遮断器開放の情報を通信設備を利用して発電設備へ送り,設備解列を行う (4) を設置するか,(5) を有する装置を設置する方策を採ることとしている。

問6 解答と解説

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(1)

正解は(ニ)単独運転である。

電気設備の技術基準の解釈 第220条 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義によると,単独運転とは「分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態」である。

(2)

正解は(リ)自立運転である。

電気設備の技術基準の解釈 第220条 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義によると,自立運転とは「分散型電源が,連携している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態」である。

(3)

正解は(ホ)逆電力リレーである。

(4)

正解は(ワ)転送遮断装置である。

電気設備の技術基準の解釈 第220条 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義によると,転送遮断装置とは「遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し,別の構内に設置された遮断器を動作させる装置」である。

(5)

正解は(ハ)単独運転検出機能である。

電気設備の技術基準の解釈 第220条 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義によると,受動的方式の単独運転検出装置とは「単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」,能動的方式の単独運転検出装置とは「分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」である。

参考文献

問7 通信線路の電磁誘導障害

送電線に隣接する通信線路への電磁誘導による異常時誘導電圧は,送電線に (1) 事故が発生した場合に事故電流が (2) 電流となって流れることにより誘起される。

誘起電圧低減対策のうち,送電線の対策としては,架空地線の低抵抗化や条数を増やす方法などが実施されている。また,通信ケーブルの対策としては,通信線ルート変更による (3) の確保,(4) 効果の高いケーブルへの張替え,(5) の設置による誘導電圧の低減などが実施されている。

問7 解答と解説

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(1)

正解は(ヌ)1 線地絡である。

(2)

正解は(ヲ)大地帰路である。

(3)

正解は(チ)離隔である。

(4)

正解は(ホ)遮へいである。

(5)

正解は(ニ)避雷器である。

参考文献

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