平成23年度 第2種 電力

2021年12月25日更新

目次

  1. 火力発電所の排煙処理システム
  2. 変圧器の結線と送電電力の関係
  3. ケーブルの絶縁診断
  4. 保護リレー
  5. 水車発電機の入口弁
  6. 風力発電の発電機
  7. 配電線の電圧調整

問1 火力発電所の排煙処理システム

微粉炭火力発電所及び石油火力発電所の排煙処理システムでは,NOX を取り除く脱硝装置,SOX を取り除く (1) ,帯電により粉じんを低減する (2) が用いられる。

脱硝装置の (3) では,現在では接触還元法が最も多く用いられている。この方式は還元剤である (4) を注入し触媒上で分解するものである。(1) では,水と混ぜた (5) を排ガスと反応させる方法や,(5) の代わりに水酸化マグネシウムを用いる方法がある。

問1 解答と解説

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(1)

正解は(リ)脱硫装置である。

(2)

正解は(ヲ)電気集じん装置である。

(3)

正解は(ヌ)乾式法である。

(4)

正解は(ワ)アンモニアである。

(5)

正解は(ロ)石灰石である。

参考文献

問2 変圧器の結線と送電電力の関係

図 1 のように単相変圧器 3 台を Δ 結線した場合と,図 2 のように単相変圧器 2 台を V 結線した場合とを考える。この変圧器が電圧 V [V] ,電流 I [A] ,力率 cosθ の三相平衡負荷に送電している場合を考える。図 1 の場合,それぞれの変圧器を流れる電流は (1) [A] ,変圧器 1 台当たりの必要となる容量は (2) [V·A] であり,変圧器 3 台の送電電力の合計は (3) [W] となる。また,図 2 の場合,変圧器 1 台当たり必要となる容量は (4) [V·A] であり,変圧器 2 台の送電電力の合計は (3) [W] となる。したがって,同じ電力を送電する場合に必要となる変圧器 1 台当たりの容量は,Δ 結線が V 結線の約 (5) [%] となる。

図1
図 1
図2
図 2
(イ)$\displaystyle \sqrt{3}VI\cos{\theta}$
(ロ)$\displaystyle \sqrt{3}I$
(ハ)$\displaystyle \frac{VI\cos{\theta}}{\sqrt{3}}$
(ニ)$\displaystyle \frac{VI}{\sqrt{3}}$
(ホ)$\displaystyle \frac{2VI}{\sqrt{3}}$
(ル)$\displaystyle 2VI\cos{\theta}$
(ヲ)$\displaystyle \frac{I}{\sqrt{3}}$
(ワ)$\displaystyle 3VI\cos{\theta}$
(カ)$\displaystyle VI\cos{\theta}$
(ヨ)$\displaystyle \sqrt{3}VI$

問2 解答と解説

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(1)

正解は(ヲ)$\displaystyle \frac{I}{\sqrt{3}}$ である。

(2)

正解は(ニ)$\displaystyle \frac{VI}{\sqrt{3}}$ である。

(3)

正解は(イ)$\displaystyle \sqrt{3}VI\cos{\theta}$ である。

(4)

正解は(ト)$VI$ である。

(5)

正解は(リ)58 である。

同じ電力を送電する場合に必要となる変圧器 1 台当たりの容量は,Δ 結線が V 結線の 1/√3 = 約 58 [%] となる。

問3 ケーブルの絶縁診断

油浸絶縁ケーブルの絶縁低下は,主にシースの腐食・外傷などによる絶縁体の吸湿,浸水やケーブルの熱伸縮などによる (1) の発生,長年月の使用による絶縁体の変質などの単独あるいは組み合わせにより発生する。また,CV ケーブルの絶縁低下は主に (2) の進展により発生する。

主な絶縁診断方法は次のとおりである。

a. 直流 (3) 測定

ケーブルの導体とシース間に一定の直流電圧を印加し,(3) の大きさ・変化・三相不平衡などを時間で整理し,その形状や値から絶縁状態を調べる。

b. (4) 測定

交流又は直流課電時の (4) を測定し,一定時間内に発生する一定量を超えるパルス数などを電圧や時間などで整理し,その特徴を調べる。この方法では (4) 発生位置も測定しうる利点もある。

c. 油浸絶縁ケーブルの (5) 調査

OF ケーブル,POF ケーブルの (5) を採取して,誘電特性,ガス含有量などの測定を行い,劣化の程度を調べる。

d. CV ケーブルの絶縁診断

CV ケーブルの (2) による劣化に対する絶縁診断手法の主なものは,絶縁体中への空間電荷の蓄積現象を利用した残留電荷法,電流-電圧特性の非線形性を利用した交流損失電流法などがあげられる。

問3 解答と解説

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(1)

正解は(カ)空げきである。

(2)

正解は(ヌ)水トリーである。

水トリーには外部半導電層を起点として発生する外導水トリー,内部半導電層を起点として発生する内導水トリー,絶縁体中のボイド・異物を起点として発生するボウタイトリーがある。

近年,CV ケーブルは絶縁層,内・外半導電層を三層同時押出法により製作されるので,内導体トリー,外導体トリーはほとんど発生しないようになった。

(3)

正解は(ト)漏れ電流である。

(4)

正解は(ホ)部分放電である。

(5)

正解は(ワ)絶縁油である。

参考文献

問4 保護リレー

準備中

問5 水車発電機の入口弁

入口弁はケーシングの入口に設ける弁で,その設置目的は以下のとおり。

  1. 水車停止時の漏水を少なくし,ガイドベーン又は (1) の磨耗を防ぐ。
  2. 水車の内部点検時に水車断水時間を短縮する。
  3. 水車停止時にガイドベーン又は (1) が閉鎖不能になったとき流水を遮断する。
  4. 水路を共有するほかの水車などがある場合に当該水車のみ断水する。

落差が大きい場合,入口弁は,一般に主弁と (2) 弁から構成され,通水の際は,まず,(2) 弁を開いて主弁の両側の水圧をほぼ均等にしたうえで主弁を開く。

現在多く使用されている入口弁の形式には,ロータリ弁,(3) 弁,複葉弁などがある。ロータリ弁は,流れ方向に直角に設けられた軸を中心として,(4) 状の弁体が回転する。開放したときにこの弁体内を流水が通過するので,弁部の (5) が最も少ない。(3) 弁は,流れ方向に直角に設けられた軸を中心に回転し,凸レンズ形の弁体が全開時に流路中心にあるので,(5) がこれら 3 形式の中では最も大きいとされている。

問5 解答と解説

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(1)

正解は(ヲ)ニードルである。

(2)

正解は(カ)バイパスである。

(3)

正解は(ニ)ちょう形である。

(4)

正解は(ル)管である。

(5)

正解は(チ)圧力損失である。

参考文献

問6 風力発電の発電機

風力発電の発電機は,風速の変動で (1) が変化し,端子電圧の周波数,電圧が変動するため,系統に連系するにはこれを解決する必要がある。このため,周波数に関係なく,電圧調整も容易な直流発電機が用いられたこともあったが,保守性と経済性の問題から,現在はあまり使われていない。現在主に使われているものは,(2) と (3) である。(2) は界磁により端子電圧を確立でき,力率の調整も可能である長所を持つが,構造が若干複雑で,(1) は直接系統と接続する場合,系統の周波数に依存する。このため,主に出力電圧を直流化したのち,交直変換器で系統の周波数と一致させる方法が採られる。(3) は構造が簡単で,(1) が系統の周波数に依存しないため,直接系統と接続可能であるが,端子電圧を単体で確立できないため (4) が困難であり,力率の調整能力も無い。なお,最近の大形風力発電機では両者の長所を併せ持ち,運転上 (5) に優れる二重給電誘導発電機が主に用いられる。

問6 解答と解説

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(1)

正解は(ヘ)軸の回転速度である。

(2)

正解は(ロ)同期発電機である。

(3)

正解は(ヲ)誘導発電機である。

(4)

正解は(ト)自立運転である。

(5)

正解は(ワ)可変速性能である。

参考文献

問7 配電線の電圧調整

低圧需要家への供給電圧を電気事業法で定められた範囲内に維持するためには,配電用変電所の (1) を合理的に調整し,配電系統各部の電圧降下を適切に配分することが必要である。ただし,近年普及してきた分散形電源が接続された系統では,需要家構内の消費電力より発電電力が大きい場合に,需要家から系統側へ電力が供給されるいわゆる (2) が生じ,部分的に系統の電圧上昇を発生することがあるので注意を要する。

また,こう長が長く電圧降下が大きい配電線のように,配電線の電圧を限度内に保持することが困難な場合には,配電線に (3) が使用される他,電力用コンデンサや静止形 (4) 補償装置( SVC 及び STATCOM )などを用いて,配電線に流れる (4) を調整することにより電圧調整を行うこともある。

その他に,配電線に直列コンデンサを挿入して,配電線のリアクタンスを補償することにより電圧改善を行うこともできるが,配電線事故時の事故電流により (5) が生じるなどの弊害もあるため,あまり採用されていないのが実状である。

問7 解答と解説

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(1)

正解は(チ)送出電圧である。

(2)

正解は(ハ)逆潮流である。

(3)

正解は(イ)線路電圧調整器である。

(4)

正解は(カ)無効電力である。

(5)

正解は(ヘ)過電圧である。

参考文献

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