平成24年度 第2種 電力
目次
問1 ガスタービンに使用される部品
コンバインドサイクル発電プラントを構成する設備のうち,ガスタービンは (1) 条件で使用されるため,材料の選定,保守には様々な配慮が必要となる。
ガスタービン部品のうちタービン翼など (1) にさらされ,かつ高い強度が求められる部分には,鉄(Fe),ニッケル(Ni),コバルト(Co)をベースとした (2) が用いられる。
ガスタービンの部品の劣化・損傷の形態としては,一定の温度,応力条件下において組織材料が時間とともに変化して材料固有の破断時間に達すると生じる (3) 破断や,起動停止が繰り返し行われることで材料に熱的な負荷の増加減少が加わり,熱 (4) が生じることによる材料表面の (5) の発生がある。
問1 解答と解説
(1)
正解は(チ)高温である。
(2)
正解は(ヌ)超合金である。
(3)
正解は(ル)クリープである。
(4)
正解は(ロ)疲労である。
(5)
正解は(ニ)亀裂である。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「ガスタービンに使用される部品」
問2 地熱発電の発電方式
地熱発電の方式は地熱流体の (1) によっていくつかの方式に分けられる。
地熱流体が加熱蒸気あるいはわずかに熱水を含む場合には,(2) 器で蒸気のみを取り出し,タービンを回して発電を行う。タービン出口側に関しては,出力を大きくとるためにタービンの出口側に凝縮器を設置して背圧を低くする方式が一般的である。
地熱流体中の熱水割合が高い場合は,(2) 後の熱水から再度蒸気を (3) し,タービンの中段に送り発電を行うフラッシュ発電方式が採用される。
熱水の温度は低いが熱水量が十分な場合,熱水の熱エネルギーによって (4) の熱媒体を加熱沸騰させ,その蒸気でタービンを回して発電を行う (5) 方式が採用されることがある。
問2 解答と解説
(1)
正解は(ル)汽水比である。
(2)
正解は(ヘ)汽水分離である。
(3)
正解は(ヌ)抽出である。
(4)
正解は(ヲ)低沸点である。
(5)
正解は(ロ)バイナリーである。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「地熱発電」
問3 直流送電の主回路構成
直流送電線の主回路構成としては電流を流す 2 路の一方に大地(又は海水)を用いる大地(又は海水)帰路方式と双方に送電線を用いる導体帰路方式が存在する。また,回路の極数から単極構成と双極構成があり,組み合わせで 4 とおりの構成が存在する。
単極構成の大地(又は海水)帰路方式では,(1) を少なくすることができ経済的ではあるが,大地帰路電流によりパイプラインなど地下埋設金属の (2) や鉄道の軌道信号への影響が考えられる場合,また,大地(又は海水)帰路電流によって発生する磁界による (3) の影響が考えられる場合には使用できない。この問題は双極構成とすることで回避できるが,片極運用時や事故時など電流がアンバランスとなったときには同様に問題となる。
一方,導体を介して帰路電流を戻す方式が導体帰路方式である。この方式では,帰路導体を片側の変換所の中性点の接地網に接続し,もう一方の変換所では常時は (4) などを介して変換所の接地網から開放しておく。帰路導体は低絶縁設計となっており,架空送電線区間では (5) としての機能ももたせることもできる。
現在わが国で用いられている直流送電では,双極導体帰路方式が採用されている。
問3 解答と解説
(1)
正解は(ロ)線路条数である。
(2)
正解は(ヲ)電食である。
(3)
正解は(ワ)磁気偏差である。
(4)
正解は(イ)避雷器である。
(5)
正解は(ヌ)架空地線である。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「直流送電方式の利点と課題」
問4 複合がい管・碍子の特性と適用
送電線や変電機器のがい管,がいしには,従来から磁器製のものが広く採用されているが,近年,これに加えて (1) 製の筒に (2) を被覆した複合がい管・がいしが採用されてきている。
複合がい管・がいしの長所は,軽量であること,(3) があるため耐汚損性能が良好であることなどである。一方,複合がい管・がいしは上記のような長所をもつ反面,寿命特性を十分確認することが必要である。
複合がい管・がいしは,軽量であることから, 66 [kV] , 77 [kV] 送電線では (4) に多く適用されている。変電所ではガス遮断器のブッシングや (5) にも一部適用されている。
問4 解答と解説
(1)
正解は(ヌ)FRPである。
(2)
正解は(チ)シリコーンゴムである。
(3)
正解は(ヨ)はっ水性である。
(4)
正解は(ヘ)相間スペーサである。
(5)
正解は(ホ)避雷器である。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「複合がい管・碍子の特性と適用」
問5 調整池式水力発電所の運用
調整池をもつ発電所では,河川流量が発電所の (1) より少ない場合,発電機は定格出力での連続運転ができず,一定の時間帯は発電機を (2) するか,出力を抑制して,定格出力で運転開始するまでに調整池水位を (3) とするなど,必要な貯水量を確保する必要がある。
いま,河川の全流量を発電に利用し,毎日 0 時時点での貯水量を同じにする条件で,図のような 1 日の発電パターンで調整池式水力発電所を運転するものとする。また,発電機出力 P0 [MW] , PP [MW] に対応する各使用水量を Q0 [m3/m] , QP [m3/m] , PP [MW] での運転連続時間を T [h] とし,河川流量が Q [m3/m] で一定(ただし,Q0 < Q < QP)とすると,最低限必要な調整池の貯水容量 V [m3] は,V = (4) で表される。このとき,Q0 [m3/m] は,Q0 = (5) で表される。

問5 解答と解説
(1)
正解は(ワ)最大使用水量である。
(2)
正解は(ヲ)停止である。
(3)
正解は(ト)満水位である。
(4)
正解は(チ)$\displaystyle (Q_\text{P}-Q)T\times3600$である。
(5)
正解は(カ)$\displaystyle Q-\frac{V}{(24-T) \times 3600}$である。
問6 送電線の振動
毎秒数メートルの微風が,電線と直角に当たると電線の背後にカルマン渦ができて電線に (1) に周期的な力が働き,これが電線の (2) と一致すると微風振動が発生する。全振幅は 3 [cm] 程度以下と小さいが,電線が長い間繰り返し応力を受けて電線を構成する素線が切れたり断線のおそれが生じる。微風振動は径間が案外場合や,直径が大きい割に重量の軽い電線の場合,電線の張力が大きい場合に発生しやすい。
雨で電線の下面に水滴が付き,しずくが落ちる状態では,コロナ放電が最も激しくなる。電線から帯電した水の粒子が射出するためその反作用で電線の振動を誘発する。これをコロナ振動といい (3) の場合に発生しやすい。
電線に氷雪が付着して強風が当たると,氷雪の付き方が非対称であるため (4) が発生し,自励振動を生じて電線が上下に大きく震動する。これをギャロッピングという。
多導体に特有の振動で,風上にある素導体によって乱された気流により風下の素導体が振動を起こす。素導体の間隔を数十メートル毎に保持している金具を支点とした振動である。この振動を (5) 振動という。
問6 解答と解説
(1)
正解は(ヘ)鉛直方向である。
(2)
正解は(ヲ)固有振動数である。
(3)
正解は(ロ)無風である。
(4)
正解は(ニ)揚力である。
(5)
正解は(ヌ)サブスパンである。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「送電線の振動」
問7 配電自動化システム
配電自動化システムにより配電線事故発生箇所を含む区間を自動的に区分する方式として,事故発生時に配電線停止によりいったん (1) 開放された自動開閉器を,変電所の配電線用遮断器の再閉路と協調して,一定の時間間隔で順次投入する (2) が一般的に採用されている。
事故の一定時間後,配電線用遮断器が再閉路すると自動開閉器の制御装置に電圧が印加されて,自動開閉器を一定時限で順次投入していき,故障区間の電源側自動開閉器が投入されると,故障区間へ通電され,再び配電線用遮断器が遮断動作し,故障区間が検出される。
その後の 2 回の再閉路時には,この自動開閉器は (3) 状態のままロックされて故障区間を分離し,この自動開閉器までの (4) を確保する。
また,配電線用遮断器の投入から再遮断までの (5) を計測することで,効率的に故障区間を配電用変電所側で把握することができる。
問7 解答と解説
(1)
正解は(ヲ)無電圧である。
(2)
正解は(ハ)時限順送方式である。
(3)
正解は(リ)開放である。
(4)
正解は(チ)送電である。
(5)
正解は(ヌ)時間である。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「配電自動化システム」