平成30年度 第2種 電力

2021年12月7日更新

目次

合格基準は,90 点満点換算で 52 点以上,受験者は 5,072 人,合格者数は 3,040 人で,合格率は 59.9 % だった。

  1. 水車
  2. タービン発電機の励磁方式
  3. 送電線保護リレー
  4. 配電系統の絶縁協調
  5. 太陽光発電システムの構成
  6. 変圧器の並行運転
  7. 送電電圧と送電電力

問1 水車

ある有効落差,水口開度,吸出し高さにおいて (1) 運転させたとき,回転速度は無制限に上昇せずに一定の速度に落ち着く。この速度を (2) 速度という。水車の (2) 速度は,(3) 水車やフランシス水車では一般に最高落差時に最大となり,(3) 水車の場合,定格回転速度の概ね (4) 倍,フランシス水車の場合,定格回転速度の概ね 1.6 ~ 2.2 倍になる。

また,揚水発電所で用いるフランシス形ポンプ水車は,ランナ径が水車専用機よりも (5) ため,ポンプの (2) 速度は水車専用機よりも低くなる。

問1 解答と解説

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(1)

正解は(ト)無負荷である。

(2)

正解は(イ)無拘束である。

ある有効落差,水口開度,吸出し高さ*1(反動水車の場合で吸出管の高さ相当)において無負荷運転させたとき,回転速度は無制限に上昇せずに一定の速度,無拘束速度(runaway speed)に落ち着く。

(3)

正解は(ヨ)ペルトンである。

ペルトン水車(Pelton turbine)は,ノズルから流出する噴射水(ジェット)をバケットに作用させる構造をしている衝動水車。

(4)

正解は(ヌ)1.5 ~ 2.0である。

無拘束速度は水車の種類,同一タイプの水車でも比速度の大小によって異なり,定格回転速度に対してペルトン水車は 150 ~ 200 %,フランシス水車は 160 ~ 220 %,斜流水車は 180 ~ 230 %,プロペラ水車は 200 ~ 250 % である。同一タイプの水車でも比速度が大きいほど大きな値となる。

(5)

正解は(ニ)大きいである。

参考文献

問2 タービン発電機の励磁方式

交流励磁機方式は,発電機の界磁巻線へ直流電流を供給する励磁電源供給機器として,交流の励磁用同期発電機(交流励磁機)を使用するものである。交流励磁機の励磁電源には他励方式と分巻方式があるが,他励方式では,主発電機,交流励磁機と同一軸上に設置された (1) の出力を整流し,交流励磁機の励磁電源に使用する。

主発電機と同一軸上に回転電機子形発電機と回転整流器を取り付け,スリップリングを設けずに直流発電機の励磁電源に使用する方式を (2) 励磁方式という。

静止形励磁方式は,励磁用電源供給機器として (3) または励磁用変流器を使用するもので,サイリスタを用いた整流器で (4) を調整して直流出力電圧を変化させて,発電機の界磁電流を制御する。サイリスタ励磁方式には,サイリスタのみで構成される均一ブリッジ形と,サイリスタと (5) とを組み合わせて構成される混合ブリッジ形がある。

問2 解答と解説

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(1)

正解は(ト)副励磁機である。

(2)

正解は(ヘ)ブラシレスである。

(3)

正解は(ハ)励磁用変圧器である。

(4)

正解は(カ)点弧角である。

(5)

正解は(ヲ)ダイオードである。

参考文献

問3 送電線保護リレー

(1) は,平行 2 回線送電線路の保護リレー方式として,66 ~ 77 kV 級送電線路を主体に広く採用されている。この方式は,保護対象区間の範囲内の 1 回線事故の場合に,電源端では事故回線に流れる事故電流が健全回線に流れる電流と比べて (2) こと,及び,非電源端では両回線で事故電流の方向が反対になることを利用して事故回線を検出する。

送電線の短絡保護にこの保護リレー方式を適用した,両端が電源端である図の平行 2 回線送電線路において,A 端からの距離の比率が a の地点(A 端と B 端の間の保護範囲内に限る。)で短絡事故が発生し,A 端,B 端からの短絡電流 IAIB が流入した場合を想定する。また,A 端における各送電線の電流 IA1IA2 に対する変流器の 2 次電流を iA1iA2 とすると,A 端のリレーに流れる電流 iARiAR = iA1 - iA2 と表されるものとする。ここで,同じ変流比で IAIB を変換したものをiAiB と表すとき,A 端のリレーに流れる電流 iARiAiB を用いて (3) と表される。事故点が A 端近傍,B 端近傍,及び中間付近の場合で iARを比較すると,(4) の場合に iAR が最も小さくなり,これがある一定値を下回ると A 端のリレーは (5)

回線選択リレー方式
(ロ)$\displaystyle (1-\frac{a}{2})\times i_\text{A} + \frac{1-a}{2}\times i_\text{B}$
(ト)$\displaystyle (1-a)\times(i_\text{A} + i_\text{B})$
(ワ)$\displaystyle \frac{a}{2}\times i_\text{A} - \frac{1-a}{2}\times i_\text{B}$

問3 解答と解説

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(1)

正解は(ニ)回線選択リレー方式である。

(2)

正解は(ヘ)大きくなるである。

(3)

正解は(ト)$\displaystyle (1-a)\times(i_\text{A} + i_\text{B})$である。

(4)

正解は(イ)B 端近傍である。

(5)

正解は(ホ)動作しないである。

参考文献

問4 配電系統の絶縁協調

配電用機器は線路開閉時の内部異常電圧(内雷)には機器の (1) で十分に耐えられるように選定されているが,全ての雷に耐えるようにすることは経済的にも不可能に近い。すなわち,配電線や配電用機器の絶縁を外雷の (2) に耐える程度に高めることは経済的に困難なため,避雷器のような保護装置を設置して,(2) の波高値を各機器の (1) 以下に抑制するような方策がとられている。この避雷器の (3) に対し,線路及び各機器の (1) が適切な余裕を持つよう絶縁設計を行うことで配電系統の絶縁協調を図っている。

一方で,避雷器には保護範囲があるため,避雷器の有効設置及び (4) の架設が効果的となる。(4) に雷電圧が誘導されると,接地点で雷電圧と逆位相の (5) 波が発生し,この (5) 波が (4) との電気的結合により電線に誘導されて,電線に発生した雷電圧を低減することが可能となる。

問4 解答と解説

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(1)

正解は(ヲ)絶縁強度である。

(2)

正解は(イ)衝撃性過電圧である。

(3)

正解は(ヨ)制限電圧である。

(4)

正解は(ハ)架空地線である。

(5)

正解は(ル)反射である。

参考文献

問5 太陽光発電システムの構成

発電が可能な太陽電池の最小単位をセルといい,結晶系シリコン太陽電池では 1 枚の太陽電池セルの出力電圧は約 (1) である。数十枚のセルを直並列に接続した必要な出力を得るが,これを (2) といい,製品として流通する単位となる。(2) に直列に接続したものを (3) といい,これが並列に接続されてインバータへ直流電力を供給する。

一部のセルが木の葉などで日陰になると発電しなくなり高抵抗となる。ここに電流が流れると発熱し (2) を破損することがあるので,(4) を設けて防止する。パワーコンディショナ(PCS)は太陽光発電システムの運転と制御を行うが,異常発生時の保護リレーとして (5) などが備えられている。

問5 解答と解説

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(1)

正解は(イ)0.5 Vである。

(2)

正解は(ヌ)モジュールである。

(3)

正解は(リ)ストリングである。

(4)

正解は(ル)バイパス素子である。

(5)

正解は(ト)過電圧リレーである。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「太陽光発電

問6 変圧器の並行運転

変電所の負荷の増大などに対応するため,複数台の変圧器を並列運転することが必要となる。変圧器の並列運転に必要な条件は,各変圧器がその (1) に比例した電流を分担し(条件①),変圧器間の (2) が実用上問題ないレベルとなる(条件②)ことである。

条件①を満足するためには,各変圧器の自己容量ベースの (3) が等しくなければならない。各変圧器を流れる電流の分担率は (3) に反比例する。

条件②を満足するためには,(4) の差が小さいことが必要である。(4) はタップにより変化するため,定格タップ以外の値についても確認する必要がある。また,結線(星形結線,三角結線など)により二次側電圧に (5) の差が生じるため,これによる (2) が生じないような結線・接続とする必要がある。

問6 解答と解説

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変圧器 2 台を並行運転しているイメージを下図に示す。

変圧器の並行運転
図 変圧器の並行運転

(1)

正解は(ト)容量である。

(2)

正解は(チ)循環電流である。

(3)

正解は(イ)短絡インピーダンスである。

(4)

正解は(ヘ)変圧比である。

(5)

正解は(カ)位相である。

参考文献

問7 送電電圧と送電電力

三相 3 線式送電線路で,高い電圧が採用される理由を考察する。送電線は単導体一回線とし,送電端線間電圧を V,線路電流を I,送電端力率を cosφ,送電電力を PPに対する線路の電力損失の割合である送電損失率を λ,送電距離をL,電線 1 条の抵抗と断面積を RA,全電線合計の質量を G,その質量密度を σ,その体積抵抗率を ρ とする。また,線路は抵抗とリアクタンスのみで表現され,三相が平衡しており,表皮効果を無視すると次式が成立する。なお,単位系はすべて SI 単位系で表示されているものとする。

P = (1) ・・・・・①
λ = 3RI2/P・・・・・②
R = (2) ・・・・・③
G = (3) ・・・・・④

式①と④より,

P/G = VIcosφ/(√3σAL)・・・・・⑤

であるから,式⑤を二乗し,式②,③を代入すると,

P²/G² = V²λPcos²φ / (4) ・・・・・⑥

さらに,式⑥に式④を代入すると,式⑦が得られる。

P = V² (5)

よって,距離,質量及び電力損失率が同じ送電線を利用すると,送電電力は線間電圧の二乗に比例することになる。

(イ)$\displaystyle \frac{\cos\phi}{3\sigma \rho L}$
(ロ)$\displaystyle \sqrt{3}\sigma AL$
(ハ)$\displaystyle \frac{\rho L}{A}$
(ニ)$\displaystyle 3VI\cos{\phi}$
(ホ)$\displaystyle \sqrt{3}\sigma AL^2$
(ヘ)$\displaystyle \frac{\cos\phi}{3\sigma \rho L^{3/2}}$
(ト)$\displaystyle 3\sigma \rho AL^3$
(チ)$\displaystyle 3\sigma AL$
(リ)$\displaystyle 3\sigma \rho AL^2$
(ヌ)$\displaystyle \frac{\rho L^2}{A}$
(ル)$\displaystyle \rho AL$
(ヲ)$\displaystyle \sqrt{3}VI\cos{\phi}$
(ワ)$\displaystyle VI\cos{\phi}$
(カ)$\displaystyle \frac{cos^2{\phi}}{3\sigma \rho L^2}$
(ヨ)$\displaystyle 9\sigma^2 \rho AL^3$

問7 解答と解説

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(1)

正解は(ヲ)$\displaystyle \sqrt{3}VI\cos{\phi}$である。

(2)

正解は(ハ)$\displaystyle \frac{\rho L}{A}$である。

(3)

正解は(チ)$\displaystyle 3\sigma AL$である。

(4)

正解は(ヨ)$\displaystyle 9\sigma^2 \rho AL^3$である。

(5)

正解は(カ)$\displaystyle \frac{cos^2{\phi}}{3\sigma \rho L^2}$である。

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