平成15年度 第2種 機械
目次
問1 同期発電機の出力波形
同期発電機の電機子巻線に誘導される起電力の波形は,ギャップの磁束密度の分布と相似であり,ギャップの磁束密度分布がなるべく正弦波形になるように構造上の工夫をしている。実際には磁束密度の分布はほぼ台形になり,起電力の波形もひずみ波になる。そこで電機子巻線を分布巻の短節巻にすることによって,誘導起電力を正弦波形に近づけている。
毎極毎相のスロットの数が1の集中巻・全節巻では,毎極毎相の起電力は,スロット中の各コイル導体の起電力の代数和となる。
分布巻の場合は,いくつかのスロットにコイルが分布して巻かれているため,隣りあったスロットのコイルの起電力は位相を異にするので,毎極毎相の起電力は,それらのコイルの起電力のベクトル和となる。分布巻・短節巻での合成起電力は,集中巻・全節巻で得られる誘導起電力の値よりも,巻線係数を乗じただけ減少したものとなるが,起電力の高調波が少なくなる利点がある。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「同期電動機の始動法と運転特性」
問2 スコット結線変圧器
準備中
問3 インバータの出力電圧制御
電圧形インバータでは,出力電圧を可変にしたり,また,負荷変動に対して出力波形を一定に保つために電圧制御が行われる。
一般に,出力である方形形のパルス幅を変えることによって電圧制御している。この制御には,パルスの繰返し周波数を一定とし,そのパルス幅を変えて出力を制御するパルス幅制御と,1周期のパルス列中の各パルスの幅と繰返し周波数の一方又は両方を変調させて行う PWM(Pulse Width Modulation) 制御とがある。後者の制御において一般によく用いられる方法は,三角波形の搬送波と正弦波の信号波との振幅比較を行い,信号波の方が大きい期間だけ半導体バルブデバイスをオンして出力パルス列を作る方法である。これにより,正側半周期の出力パルス列を例に取れば,中央部分のパルス幅は広く,両端のパルス幅は狭くなって,等価的に正弦波の出力が得られる。
出力の基本波周波数は搬送波の周波数に影響されず,かつ,出力の波形は信号波との間に位相差がなく,信号波に忠実な波形となる。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「インバータの出力電圧制御」
問4 システムのブロック線図の変換
準備中
問5 三相誘導電動機の特性
三相誘導電動機の一次端子から見たインピーダンスは,二次抵抗 $r_\text{s}$ と滑り $s$ の比 $r_\text{s}/s$ の関数になる。したがって,一次電流,力率,トルクなども $r_\text{s}/s$ の関数となる。このことは電動機の回転速度が変わっても, $r_\text{s}/s$ が一定ならばトルクは同じ値になることを示している。このような特性をトルクの比例推移という。なお,最大トルクは,二次抵抗値にかかわらず一定であり,これを生じる滑りは,二次抵抗が大きいほど大きくなる。
この特性を利用して,巻線形誘導電動機では,二次側にスリップリングを介して抵抗値を変えることができる外部抵抗を接続し,始動時にはこの値を大きくしてトルクを大きくし,定常運転時にはスリップリングを短絡する。このための二次挿入抵抗には,金属抵抗器あるいは液体抵抗器が用いられる。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「三相誘導電動機」
問6 直流直巻電動機
直巻電動機は,界磁巻線と電機子巻線とが直列に接続された変速度電動機である。界磁磁束の未飽和領域では,発生トルクは負荷電流の 2 乗に比例し,また,回転速度は誘導起電力に比例し,負荷電流に反比例する。界磁磁束の飽和領域では,トルクは負荷電流に比例し,回転速度は負荷電流の増加とともに緩やかに下降する直線に近づく。
直巻電動機は始動トルクが極めて大きい。運転時は,負荷トルクの変動に応じて自動的に回転速度が変化するので,負荷変動が大きいときでも電動機への供給電力はほぼ一定となる。しかし,無負荷に近づくと界磁磁束が極めて少なくなって著しく高速となるので,安全速度範囲内での運転となるよう,必ず最小限の負荷を直結又は歯車で連結して使用しなければならない。
直巻電動機はこのような特性をもっているので,電気車,クレーン,巻上機など輸送機器用の電動機として適している。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「直流電動機の解説ノート」
問7 送風機の風量制御
準備中
問8 通信ネットワークの形態
通信機能を有する分散制御機器やプロセス制御コンピュータが,生産設備制御に多用され,これら機器間の情報を伝送する通信ネットワークが重要となってくる。これら通信ネットワークの物理的な形態は,基本的に以下の五つに大別される。
- スター形:制御の中心となる大型コンピュータや制御局を中央に配置し,そのまわりにコンピュータや端末を接続する方法である。処理が中央に集中するので,中央部に設置される装置の信頼性が重要となる。
- リング形:隣接する各ノードを接続し,環状の共通な単方向伝送の通信路を構成するシステムである。高速伝送を目的とした光ファイバーケーブルを用いた LAN(Local Area Network) にはこの形態が多い。
- バス形:各ノードがバスと呼ばれる同一の伝送路に接続されたシステムである。これはパソコンやワークステーション用の伝送ネットワークとしてよく使用されているトポロジーであり,従来よりイーサネットに代表される同軸ケーブルを用いた LAN に採用されている。
- ツリー形:各ノードを樹枝状に配置し,階層構成とするもので,各階層毎にその役割に応じた処理を分担することで,システム全体の効率的な運用を行う方式である。この形態は垂直形の分散処理システムとしてよく用いられている。
- メッシュ形:一つのノードから,結合を必要とするすべてのノードに対して直接接続する方式で,広域網の代表的な形態である。通常,通信が必要となる二つのノードを最短経路で行うので伝送速度や待ち時間の点では有利となり,他の形態に比べネットワークの信頼性は高い。ただし,線路の総延長が長くなる欠点がある。
参考文献
- 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「通信ネットワークの形態」