令和5年度 第2種 機械

2023年8月26日作成,2023年9月16日更新

令和5年度第二種電気主任技術者試験一次試験 機械科目の合格基準は,90 点満点換算で 54 点以上,受験者は 3,953 人,合格者数は 2,848 人で,合格率は 72.0 % だった。

目次

  1. 同期発電機の効率と損失
  2. 電気鉄道・電気自動車における電動機制御
  3. 単相変圧器の並行運転
  4. 直流電源を得る回路
  5. 光源の色温度
  6. 赤外加熱
  7. ニッケル-水素化物電池

問1 同期発電機の効率と損失

同期発電機の効率は発電機への機械入力に対する発電機の電気出力の比で表される。

発電機効率 [%] = 電気出力 / 機械入力 × 100 [%] = 電気出力 / (電気出力 + 全損失) × 100 [%]

発電機の効率を求める場合,工場で組み立てられる発電機では,規格によって規定された方法に従って諸量を測定して各種損失を算出し,これらから全損失を求めて,上式により発電機効率を求めることが一般的であり,このようにして求めた効率を規約効率という。また,発電機の各種損失とは以下のとおりである。

  1. 機械損:風損,軸受及びブラシ(ブラシがある場合)の摩擦損の合計
  2. 無負荷鉄損:変動磁界によって電機子鉄心と他の金属部分で発生する損失
  3. 電機子銅損(又は直流負荷損):電機子巻線の抵抗損
  4. 漂遊負荷損:電機子電流による,電機子銅損を除いた導体内の損失,及び,導体以外の金属部分と鉄心に生じる損失の合計
  5. 励磁回路損:界磁巻線の抵抗損,励磁装置の損失,及びブラシの電気損(ブラシがある場合)の合計

これらの損失の中で,負荷電流(電機子電流)に依存しない 1. と 2. を固定損と呼び,負荷電流に依存するものとして 3. と 4. を負荷損(又は短絡損)と呼ぶ。

問1 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(リ)全損失である。

(2)

正解は(ロ)規約効率である。

(3)

正解は(ル)漂遊負荷損である。

(4)

正解は(ニ)励磁回路損である。

(5)

正解は(ヨ)固定損である。

参考文献

問2 電気鉄道・電気自動車における電動機制御

電気鉄道や電気自動車は,搭載された電動機により車輪・タイヤに回転力を伝え,レールや路面と車輪・タイヤとの摩擦により駆動する。電気自動車では,永久磁石同期電動機が主流であるが,電気鉄道では,かご形の誘導電動機が現在広く使われており,1 インバータで複数台の誘導電動機を駆動する方式が主流である。また,制動する際に,駆動用の電動機を用いて,運動エネルギーを電気エネルギーに変換する方式がある。変換されたエネルギーは,電気鉄道では架線・レールを通じて他の列車により消費され,電気自動車ではバッテリーに蓄えられる。この制動方法のことを回生ブレーキと呼び,エネルギーの再利用が可能である。

しかし,電気自動車のバッテリーが満充電である場合には,回生ブレーキを利用する事は出来ないため,このようなときには,従来の摩擦によるブレーキに切り替える制御が用いられる。また,電気鉄道では,他の列車により電気エネルギーを消費できない場合には,制動する車両の電動機を用いて変換した電気エネルギーを車上の抵抗で消費する方法などが用いられている。

問2 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ロ)誘導電動機である。

(2)

正解は(ホ)制動である。

(3)

正解は(チ)電気エネルギーである。

(4)

正解は(ワ)バッテリーである。

(5)

正解は(ル)回生ブレーキである。

参考文献

問3 単相変圧器の並行運転

複数の変圧器の一次側が同一電源に接続され,二次側が同一負荷に接続されているとき,これらの変圧器は並行運転しているという。並行運転する場合,変圧器の容量は異なってもかまわないが,循環電流が生じないことが必要である。

循環電流を生じさせないためには,まず,変圧器の極性が一致していることが必要である。極性が一致しない場合,誘導起電力の位相が 180 ° ずれるため,非常に大きな循環電流が変圧器間に流れてしまう。

さらに,各変圧器の一次,二次の定格電圧と,その比,すなわち変圧比が等しいことも必要である。変圧比が等しくない場合,二次巻線の起電力の差に比例した循環電流が変圧器間を流れてしまう。

並行運転している変圧器の容量が異なる場合,各変圧器の容量に比例して電流を分担させることが望ましい。そのためには,各変圧器の % 短絡インピーダンスが等しくなくてはならない。さらに,並行運転している各変圧器の電流を同相とするためには,各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスの比率を等しくすればよい。

問3 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ホ)極性である。

(2)

正解は(ヨ)定格電圧である。

(3)

正解は(カ)起電力の差である。

(4)

正解は(ヌ)% 短絡インピーダンスである。

(5)

正解は(ロ)比率である。

参考文献

問4 直流電源を得る回路

図 1 には三相サイリスタ整流器を,図 2 には三相ダイオード整流器に降圧チョッパを接続した回路を示す。ともに直流電源を得る回路である。交流電源は線間電圧実効値を $V$ とする三相対称交流電源であり,電源のインピーダンス及びパワー半導体デバイスなどの回路要素のオン電圧,抵抗分は無視できるものとする。

三相サイリスタ整流器の出力直流電圧平均値 $V_\text{d1}$ は,サイリスタの制御遅れ角を $\alpha$ [rad] とすると,次式となる。

\[ V_\text{d1} = 1.35 V \cos{\alpha} \]
・・・・・①

正の電圧 $V_\text{d1}$ は,制御遅れ角 $\alpha$ を $0 \le \alpha \le \frac{\pi}{2}$ の範囲で制御することにより,変化させることができる。

一方,三相ダイオード整流器の出力直流電圧平均値 $V_\text{d2}$ は,サイリスタとダイオードとのターンオン動作の違いから,① 式において $\alpha =$ 0 [rad] としたときの電圧に等しい。交流電源の電圧に変動がなければ電圧 $V_\text{d2}$ は一定である。さらに,後段の降圧チョッパの通流率を制御することにより,降圧チョッパの出力直流電圧平均値 $V_\text{d3}$ を変化できる。通流率を $d$ とすると,電圧 $V_\text{d3}$ は次式となる。

\[ V_\text{d3} = d \cdot V_\text{d2} \]
・・・・・②

したがって,図 1,図 2 のいずれの回路でも電圧制御ループを組むことにより,たとえ交流電源の電圧が変動したときでも,負荷の電圧を一定にできる。

図 1 三相サイリスタ整流器
図 2 三相ダイオード整流器に降圧チョッパを接続した回路

問4 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ロ)$1.35 V \cos{\alpha}$ である。

(2)

正解は(ワ)$0 \le \alpha \le \frac{\pi}{2}$ である。

(3)

正解は(ヲ)0 である。

(4)

正解は(ル)一定であるである。

(5)

正解は(ニ)通流率である。

参考文献

問5 光源の色温度

点灯中の光源を見ると,赤味がかったものや青みがかったものがある。この光源の色を光色という。この光色を物理的,客観的な数値として表したものが色温度である。

色温度は,黒体を加熱したときに温度が高くなるにつれて,黒体の光色が深赤 → 橙 → 白 → 青白 → 青と変化する特性を利用した指標である。黒体の光色にその光源の光色が等しくなったときの黒体の温度をその光源の色温度とし,絶対温度で表示される。白熱電球の色温度は 3 000 K 程度である。また,照明用白色 LED では LED と蛍光体の組合せによって色温度を幅広く調整できる。

色温度の低い光源は暖かい光色感を与え,色温度の高い光源は涼しい光色感を与える。色温度の高い光源は高照度の照明に適している。

また,物の色の見え方は照明を行う光源によって異なる。この色の見え方を決める光源の特性は演色性と呼ばれている。この色の見え方は光源の分光特性によって決まる。光源の中に赤から青紫までの広い波長範囲の光が含まれているほど,色の見え方が自然光を照射した場合の見え方に近くなり,演色性が高くなる。

問5 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ル)白 → 青白 → 青である。

(2)

正解は(カ)3 000 K である。

(3)

正解は(ヨ)LED と蛍光体の組合せである。

(4)

正解は(ワ)高照度である。

(5)

正解は(ニ)演色性である。

参考文献

問6 赤外加熱

赤外加熱は赤外放射による伝熱を主体にした加熱方式である。赤外放射は可視放射との境界(波長 0.78 μm)を短波長端とし,電波との境界(波長 1 mm)を長波長端とする波長範囲の電磁波の総称である。ただし,実際の赤外加熱において考慮すべき赤外放射の長波長端はせいぜい 15 μm である。

赤外加熱に用いられる赤外放射源は,電熱線によって加熱されたセラミックスや,通電によって高温になったフィラメントなどである。放射源表面の単位面積から放射される分光放射パワーは,表面の分光放射率とプランクの放射則で規定される黒体の分光放射パワーとの積によって表すことができる。なお,黒体の分光放射パワーの特性は,例えば黒体表面の温度が 900 K の場合,以下のグラフのようになる。

黒体の分光放射パワーの特性

また,黒体の全放射パワーは絶対温度の 4 乗に比例する。これはステファン・ボルツマンの法則と呼ばれている。また,分光放射パワーが最大となる波長は黒体表面の絶対温度に反比例する。これはウィーンの変位則と呼ばれている。

赤外加熱の加熱対象には,プラスチックや塗料などの有機物質や食品などが多い。これらの物質は赤外放射の波長領域において多くの吸収帯をもつ。これらの表面に照射された赤外放射は,内部に浸透する過程で吸収されて熱に変わり,物質自体が発熱する。一般に,赤外加熱の加熱対象は赤外放射をよく吸収するがゆえに,赤外放射の浸透深さはせいぜい 10 ~ 100 μm のオーダーである。この領域で発生した熱は,その後,伝導や対流によって内部に伝わり,加熱が進む。

問6 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ハ)波長 0.78 μm である。

(2)

正解は(ワ)である。

黒体の分光放射パワーの特性

(3)

正解は(ヌ)ステファン・ボルツマンの法則である。

(4)

正解は(ヲ)に反比例である。

(5)

正解は(リ)10 ~ 100 μm である。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「電気加熱

問7 ニッケル-水素化物電池

問7 及び問8 は選択問題であり,問7 又は問8 のどちらかを選んで解答すること。両方解答すると採点されません。

充電して反復使用可能な電池を二次電池または蓄電池という。充電と放電の全く逆な過程を可逆的に進行させることができる電池である。二次電池の一つであるニッケル-水素化物電池は,水酸化ナトリウムなど強アルカリ濃厚水溶液を電解液とした二次電池であり,負極に金属水素化物,正極にオキシ水酸化ニッケルを用いるアルカリ蓄電池の一種である。金属水素化物に LaNi5H6 を使用したニッケル-水素化物電池の電極反応は以下のように書ける。

負極 1/6LaNi5H6 + OH- ↔ 1/6LaNi5 + H2O + e-
正極 NiOOH + H2O + e- ↔ Ni(OH)2 + OH-

ここで,この電極反応式の左向きに進む反応が充電である。電池の構成としては,正極負極間の距離を短くするとともに短絡を防止するためにセパレータが設けられる。電池の容量はファラデーの法則に従い活物質量に比例する。900 mA·h の容量に必要な理論的な活物質量は 5.54 g である。今,公称電圧 1.2 V,容量 900 mA·h のニッケル水素化物電池の全体質量が 13 g であるとき,重量あたりの電気エネルギー容量は 83.1 mW·h/g である。なお,原子量はそれぞれ H = 1.01,O = 16.0,Ni = 58.7,La = 139,ファラデー定数は 26.8 A·h/mol である。

問7 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(ハ)可逆的である。

(2)

正解は(リ)充電である。

(3)

正解は(ル)セパレータである。

(4)

正解は(ロ)5.54 である。

(5)

正解は(ヘ)83.1 mW·h/g である。

参考文献

問8 コンピュータの主記憶装置

問7 及び問8 は選択問題であり,問7 又は問8 のどちらかを選んで解答すること。両方解答すると採点されません。

データやプログラムを記憶するための主記憶装置には,半導体メモリが用いられている。この中には,電源切断により記憶内容が保持できない不揮発性メモリがある。

ダイナミック RAM は,トランジスタとコンデンサによりメモリセルが構成され,このコンデンサに蓄えられた電荷により 1 ビットを記憶する。ただし,この電荷は遮断状態のトランジスタを経由してわずかに漏れるため,電荷が失われて情報が消失してしまう前に一定時間間隔で再充電させる必要がある。この動作をリフレッシュと呼ぶ。ダイナミック RAM は,メモリセルの構造が簡単であるので,高密度に集積するのに有利である。

CPU の内部にあるレジスタ間のデータ転送時間と主記憶装置のアクセスタイムには大きな差があるため,主記憶装置よりもアクセスタイムが高速である小容量の記憶装置を CPU と主記憶装置との間に設ける場合がある。この装置をキャッシュメモリという。CPU がデータをアクセスする際は,特定のアドレス空間を反復的に参照することがあり,主記憶装置にあるプログラムやデータの一定量をキャッシュメモリへ転送しておくことにより,コンピュータ全体の平均的な処理速度が向上する。

問8 解答と解説

解答と解説を表示

(1)

正解は(リ)不揮発性である。

(2)

正解は(ロ)ダイナミックである。

(3)

正解は(カ)リフレッシュである。

(4)

正解は(ト)キャッシュメモリである。

(5)

正解は(ヲ)反復的にである。

参考文献

inserted by FC2 system