令和2年度 第2種 法規

2020年9月21日作成,2022年5月5日更新

はじめに

  1. 問題文中に「電気設備技術基準」とあるのは,「電気設備に関する技術基準を定める省令」の略である。
  2. 問題文中に「電気設備技術基準の解釈」とあるのは,「電気設備の技術基準の解釈における第1章~第6章及び第8章」をいう。なお,「第7章 国際規格の取り入れ」の各規定について問う出題にあっては,問題文中にその旨を明示する。
  3. 問題は,令和2年4月1日現在,効力のある法令(電気設備の技術基準の解釈を含む。)に基づいて作成している。

目次

  1. 保安規程に規定すべき事項
  2. 地中電線と他の地中電線等との接近又は交差
  3. 分散型電源の系統連系設備
  4. 電力系統の周波数の調整
  5. 電気用品による危険及び障害の発生を防止すること
  6. 電線
  7. 火薬庫及びトンネル等の電気設備の施設

問1 保安規程に規定すべき事項

次の文章は,「電気事業法施行規則」に基づく,自家用電気工作物以外の事業用電気工作物であって,発電事業の用に供するものを設置する者が,保安規程に規定すべき事項の一部である。

  1. 事業用電気工作物の工事,維持又は運用に関する保安のための関係法令及び保安規程の遵守のための体制に関すること。
  2. 主任技術者の職務の範囲及びその内容並びに主任技術者が保安の監督を行う上で必要となる権限及び組織上の位置付けに関すること。
  3. 事業用電気工作物の工事,維持又は運用を行う者に対する保安教育に関すること。
  4. 発電用の事業用電気工作物の工事,維持又は運用に関する保安を計画的に実施し,及び改善するための措置であって,保安についての方針及び体制,計画,実施,評価並びに改善に関すること。
  5. 発電用の事業用電気工作物の保安に係る外部からの物品又は役務の調達の内容及びその重要度に応じた管理に関すること。
  6. 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。

参考文献

問2 地中電線と他の地中電線等との接近又は交差

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく,地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述である。

特別高圧地中電線が,地中弱電流電線等(電力保安通信線を除く。)と接近又は交差して施設される場合は,次のいずれかによること。

  1. 地中電線と地中弱電流電線等との離隔距離は,0.6 m 以上であること。
  2. 地中電線と地中弱電流電線等との間に堅ろうな耐火性の隔壁を設けること。
  3. 地中電線を堅ろうな不燃性の管又は自消性のある難燃性の管に収め,当該管が地中弱電流電線等と直接接触しないように施設すること。
  4. 地中弱電流電線等が管理者の承諾を得た場合は,次のいずれかによること。
    1. 地中弱電流電線等が,有線電気通信設備令施行規則(昭和46年郵政省令第2号)に適合した難燃性の防護被覆を使用したものである場合は,地中電線が地中弱電流電線等と直接接触しないように施設すること。
    2. 地中弱電流電線等が,光ファイバケーブルである場合は,地中電線と地中弱電流電線等との離隔距離が,0 m 以上であること。
    3. 地中電線の使用電圧が 170 000 V 未満である場合は,地中電線と地中弱電流電線等との離隔距離が,0.1 m 以上であること。

参考文献

問3 分散型電源の系統連系設備

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述である。

  1. 単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。
  2. 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は,分散型電源を連系する配電用変電所の配電用変圧器において,逆向き潮流を生じさせないこと。ただし,当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は,この限りではない。
  3. 特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を除く。),一般送配電事業者が運用する電線路等の事故時等に,他の電線路等が過負荷になるおそれがあるときは,系統の変電所の電線路引出口等に過負荷検出装置を施設し,電線路等が過負荷になったときは,同装置からの情報に基づき,分散型電源の設置者において,分散型電源の出力を適切に抑制すること。

参考文献

問4 電力系統の周波数の調整

次の文章は,電力系統の周波数の調整に関する記述である。

a) 周波数の変動は,次のような問題が発生する恐れがあるため,周波数を一定の範囲内に調整する必要があり,電気事業法においても周波数の維持について一般送配電事業者の努力義務が規定されている。

1. 電気使用者側の問題の例
  • 工場の精密機械の誤動作
  • 高速度電動機を使用する紡績・製紙工場等での製品品質の低下
  • 周波数低下による電動機の効率の低下
  • 電気時計の誤差の増大
2. 電力系統管理側の問題の例
  • 火力発電設備のタービンの振動
  • 発電機補機の出力減退
  • 電力会社間連系線の潮流の制御の困難化

b) 電力系統の周波数は需給バランスの影響を受け,負荷が発電を上回る場合には周波数は低下する。

周波数変動に応じて出力調整を行う発電所を周波数制御用発電所という。我が国では,揚水発電所,貯水池式又は調整池式水力発電所と火力発電所の一部が周波数制御用発電所として利用されている。

参考文献

問5 電気用品による危険及び障害の発生を防止すること

次の文章は,電気用品安全法(以下「法」という。)及び関係法令に基づく,電気用品による危険及び障害の発生を防止することに関する記述である。

電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は,経済産業省令で定める電気用品の区分に従い,事業の開始の日から 30 日以内に,法に定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

電気用品の技術基準に対する適合性について,法の規定による義務を履行したときに,特定電気用品に付すことができる表示は 下図 である。

特定電気用品に付すことができる表示

電気用品には,安全上必要な情報及び使用上の注意を,見やすい箇所に容易に消えない方法で表示することが求められている。

また,産業用のものを除く電気冷房機や扇風機などの 5 品目については,製造年,設計上の標準使用期間,設計上の標準使用期間を超えて使用すると,経年劣化による発火,けが等の事故に至る恐れがある旨の表示も求められている。

参考文献

問6 電線

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく電線に関する記述である。

電線とは,強電流電気の伝送に使用する電気導体,絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう。

電線,支線,架空地線,弱電流電線等その他の電気設備の保安のために施設する線は,通常の使用状態において断線のおそれがないように施設しなければならない。

低圧の絶縁電線は電気用品安全法の適用を受けるものを使用すること。又は,小勢力回路に使用するものを除いて,次に適合する性能を有するものを使用すること。

  1. 通常の使用状態における温度に耐えること。
  2. 導体の断面積が 300 mm2 を超えるものは,完成品として清水中に 1 時間浸した後,導体と大地との間に交流 3 500 V を連続して 1 分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

参考文献

  • 目指せ!電気主任技術者~解説ノート~「電線

問7 火薬庫及びトンネル等の電気設備の施設

次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく火薬庫及びトンネル等の電気設備の施設に関する記述である。

a) 火薬庫内には,照明器具及びこれに電気を供給するための電気設備を除き,電気設備を施設してはならない。

火薬庫内の電路の対地電圧は,150 V 以下でなければならない。また,施設する電気機械器具は,全閉型のものでなければならない。

b) 人が常時通行するトンネル内における照明用配線の使用電圧は,低圧でなければならない。その電路には,専用の開閉器をトンネルの引込口に近い箇所に施設しなければならない。

参考文献

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