平成19年度 第一種 電気主任技術者二次試験 電力・管理

2022年11月6日更新

目次

  1. 水力発電所のオイルレス化
  2. 二重母線 4 ブスタイ方式と 1 1/2 CB 方式
  3. 送電線の T 型等価回路
  4. 配電系統に分散型電源を連系する場合の保護装置
  5. 電力供給計画の策定
  6. 電力系統全体にわたる停電事故の復旧

問1 水力発電所のオイルレス化

水力発電所では,操作油や潤滑油のオイルレス化が図られている。オイルレス化を図る目的を二つ挙げよ。また,水車及び発電機のどのような部位にどのようなオイルレス化が図られているかについて,水車又は発電機の部位を三つ挙げ,オイルレス化対策を各々一つずつ述べよ。

オイルレス化を図る目的

  • 水力発電設備の経年による劣化で漏油が発生し,河川への油の流出を防ぐため。
  • 油脂類の補給は短い周期でメンテナンスが必要となる。オイルレス化により,保守の合理化・効率化を図ることができる。

オイルレス化の部位と対策

水車・発電機軸受(潤滑油装置など)のオイルレス化

軸受の潤滑油を省略するために,主軸の周囲に複数の電磁石を配して,その磁気吸引力を電気的に制御することによって回転軸を中空に保つ磁気軸受や,カプラン水車では,水車軸受に水を使用する水潤滑軸受が採用される例がある。

水車操作機構のオイルレス化

ガイドベーン,ニードル,入口弁の弁類などのしゅう動部の潤滑は,グリス給油装置により一定時間間隔で給油している。最近では,金属ベースに黒鉛系またはふっ素樹枝系の固体潤滑剤を埋め込んだ無給油軸受が採用され,グリス給油装置は省略されている。

水車操作方式関連のオイルレス化

電動サーボモータの回転運動をボールネジあるいはボルトナットにより直線運動に変換し,水車の操作機構を直接駆動し,圧油装置を不要とすることで,オイルレス化を図っている。

問2 二重母線4ブスタイ方式と1 1/2CB方式

準備中

問3 送電線の T 型等価回路

準備中

問4 配電系統に分散型電源を連系する場合の保護装置

配電系統に分散型電源を連系する場合,系統電圧,周波数等の電力品質の確保や公衆及び作業員の安全確保等のために,保護装置の設置が必要となる。

一般の負荷へ電力を供給している 6.6 [kV] 高圧配電系統に,分散型電源として逆潮流を行う同期発電機をインバータを介さず直接連系する場合,次の三つの事象に対応するため,それぞれに必要な保護装置と,その保護装置が必要な理由,設置に当たり留意する点をそれぞれ簡潔に説明せよ。

  • 連系された配電系統の短絡事故
  • 連係された配電系統の地絡事故
  • 発電設備の単独運転

連系された配電系統の短絡事故

必要な保護装置

短絡方向継電器(DSR)を用いて地絡事故を検出する。

保護装置が必要な理由

系統短絡事故時に,発電設備側から電力系統へ短絡電流が流出するが,同期発電機の短絡電流が比較的小さいため過電流継電器(OCR)の整定感度では検出できない場合がある。逆に OCR の感度を高くすると負荷電流等により誤動作の原因となることから,DSR により短絡事故を検出する。

設置に当たり留意する点

他系統事故との区別が困難なため,系統側変電所のリレーと時限強調を図る必要がある。

至近端短絡事故でDSRの電圧要素が無くなる場合には,短絡の方向判別ができるよう,DSRに電圧メモリ機能を持たせる。

力率改善用コンデンサによる進み電流等により高感度整定のDSRは不要動作するおそれがあるため,電圧低下の検出を条件として加えることにより不要動作による誤遮断を避ける。

連系された配電系統の地絡事故

必要な保護装置

地絡過電圧継電器(OVGR)を用いて地絡事故を検出する。

保護装置が必要な理由

系統地絡事故時,自家用発電設備設置需要家側から流出する地絡電流は小さく,地絡過電流継電器(OCGR)では不動作となる場合があるため,OVGR により事故を検出する。

設置に当たり留意する点

OVGR は他系統地絡事故との区別が困難であるため,時限をもたせて,変電所の地絡保護リレーと協調を図る必要がある。

発電設備の単独運転

必要な保護装置

周波数上昇継電器(OFR),周波数低下継電器(UFR)および転送遮断装置または単独運転検出機能を設置して保護を行う。

保護装置が必要な理由

上位系統事故時,連系配電線の事故で配電線送り出し遮断器開放後に事故点が消滅した場合等の特異事故時,作業等により線路用開閉器等を開放した場合等には系統事故検出用の継電器では検出することができないことから単独運転を継続するおそれがある。

開閉器等を開放した場合に,切り離された部分において発電出力と負荷が平衡している場合には,周波数の変化が少なく,OFR,UFR での検出が困難となるため,これらに加え,転送遮断装置または単独運転検出機能を有する装置が必要となる。

設置に当たり留意する点

単独運転検出機能の設置に当たっては,外乱信号が系統に影響を与えず,かつ,通常起こり得る系統の変動で不要に解列せず,確実に単独運転を検出できるように整定する必要がある。

問5 電力供給計画の策定

準備中

問6 電力系統全体にわたる停電事故の復旧

次の表及び文章は,ある一般電気事業者の電力系統全体にわたる停電事故(全停事故)が発生した場合の復旧手順と留意事項について,その概要を記述したものである。

電力系統全体にわたる停電事故の復旧
復旧ステップ 手順 留意事故
初期電源の確保 一般的には,健全な隣接系統からの受電により順次再送電して復旧していくが,これが不可能な場合には,通常,短絡比が大きい大容量の水力発電所から試送電により初期電源を確保する。 フェランチ効果による電圧上昇や発電機の自己励磁が発生しないようにする必要がある。
基幹送電線の復旧 基幹系統の線路の全遮断器を開放した後,1 区間又は一定区間ごとに充電することにより,基幹送電線の復旧を行う。 線路充電容量による電圧上昇に注意する必要があり,分路リアクトル等の投入量を調整して適性電圧に保ちつつ充電を行う。
負荷への供給 各発電所の起動,立上げを図った後,給電指令に基づき,負荷への送電を行う。 系統融通量と自社供給力の増加に応じて負荷系統に順次送電する必要がある。

なお,全停事故の場合においても火力発電所の中には,系統からの解列により送電不能となった場合でも,所内負荷をもって所内単独運転を行うことにより,系統の復旧時に系統並列,系統連系し,電力供給を数時間でできる機能のあるものもある。

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