電気主任技術者試験の難易度と勉強時間

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本稿では,第一種および第二種 電気主任技術者の難易度と合格するために必要な勉強時間について考察する。難易度については,1997年(平成9年)以降の受験者数に対する合格者数の割合,すなわち合格率で評価する。また,勉強時間については,過去 10 年分の過去問題により実力を身に付けることを前提として算出する。

要旨~電気主任技術者試験の難易度と勉強時間~

  • 第一種・第二種電気主任技術者試験の合格率は,たったの 5 %
  • 10 年分の過去問題で勉強する想定での勉強時間は,172 時間
  • 1 年かけて勉強取り組むとすれば,1 日の勉強時間は,0.5 時間

電気主任技術者試験の難易度

第一種および第二種 電気主任技術者の難易度について評価する。

第一種 電気主任技術者

1997年度(平成9年度)以降における第一種電気主任技術者試験の受験申込者と合格者の推移を示す。

なお,受験申込者は一次試験申込者と一次試験免除者の合計である。

第一種 電気主任技術者試験の受験申込者,合格者の推移

第一種 電気主任技術者試験の受験申込者は約 2,100 名合格者は約 110 名程度(至近 5 か年)である。

図 第一種 電気主任技術者試験の受験申込者と合格者の推移

  • 受験申込者は,一次試験申込者と一次試験免除者の合計。
  • 合格者は,二次試験の合格者。

第一種 電気主任技術者 二次試験の受験者・合格者・合格率

第一種 電気主任技術者 二次試験の受験者・合格者の推移を示す。

図 第一種 電気主任技術者 二次試験 受験者・合格者の推移
図 第一種 電気主任技術者 二次試験 合格率の推移
表 第一種 電気主任技術者 二次試験 受験者・合格者・合格率の推移
受験者数(A) 合格者数(B) 合格率(B/A)
平成29年度 569 人 89 人 15.1 %
平成30年度 615 人 84 人 13.7 %
令和元年度 598 人 103 人 17.2 %
令和2年度 933 人 134 人 14.4 %
令和3年度 899 人 72 人 8.0 %
令和4年度 685 人 143 人 20.9 %
令和5年度 719 人 129 人 17.9 %

第二種 電気主任技術者

1997年度(平成9年度)以降における第二種電気主任技術者試験の受験申込者と合格者の推移を示す。

なお,受験申込者は一次試験申込者と一次試験免除者の合計である。

第二種 電気主任技術者試験の受験申込者,合格者

第二種 電気主任技術者試験の受験申込者は約 9,200 名合格者は約 550 名程度(至近 5 か年)である。

図 第二種 電気主任技術者試験の受験申込者と合格者の推移

  • 受験申込者は,一次試験申込者と一次試験免除者の合計。
  • 合格者は,二次試験の合格者。

第二種 電気主任技術者 二次試験の受験者・合格者・合格率

第二種 電気主任技術者 二次試験の受験者・合格者・合格率の推移を次表に示す。

図 第二種 電気主任技術者 二次試験 受験者・合格者の推移
図 第二種 電気主任技術者 二次試験 合格率の推移
表 第二種 電気主任技術者 二次試験 受験者・合格者・合格率の推移
受験者数(A) 合格者数(B) 合格率(B/A)
平成29年度 2,435 人 329 人 13.5 %
平成30年度 2,624 人 381 人 14.5 %
令和元年度 2,513 人 574 人 22.8 %
令和2年度 2,512 人 701 人 27.9 %
令和3年度 2,407 人 413 人 17.2 %
令和4年度 2,904 人 698 人 24.0 %
令和5年度 2,682 人 474 人 17.7 %

合格率の推移

1997年度(平成9年度)以降における第一種電気主任技術者試験と第二種電気主任技術者試験それぞれの合格率の推移を示す。第一種電気主任技術者試験,第二種電気主任技術者試験の,至近 5 か年の合格率は約 4.6 ~ 5.2 % である。

合格率がたったの 4 % であることから,電気主任技術者試験の難易度は相当に高いようだ。ただし,一般財団法人 電気技術者試験センターの情報によると,合格基準は 100 点満点換算で 60 点以上(※)であり,試験問題の 6 割ができていればよい。つまり,地力をつけて電気主任技術者試験に臨めば,合格することは容易いともいえる。

※:平均点により調整される場合あり
図 第一種および第二種電気主任技術者試験の合格率の推移

  • 合格率は,合格者/受験申込者。

電気主任技術者試験の勉強時間

電気主任技術者試験に合格する地力を身につけるための勉強時間を想定する。

筆者の経験より,過去 10 年分の過去問題を解き,答え合わせにおいて理解を深めれば,十分合格できる実力がつく,という想定で勉強時間を算出する。

電験は,学習の範囲がきわめて広い試験ですが,重要な学習テーマについて繰り返し出題されることが大きな特徴です。過去問題の研究は,学習を始めるときの指針となること,また学習の仕上げにも欠かせないことはご承知のとおりです。過去の問題をよく吟味分析し,類似の問題を確実に解答することが合格への早道となります。

電験問題研究会著,「電験第1種[10年間]模範解答集(第1版第1刷)」,2011年4月13日,電気書院

各科目の試験時間で過去問題を解き,試験時間と同じ時間で答え合わせ等を行う想定で勉強時間を算出する。各科目の試験時間は,下表となり,全科目の合計は 515 分 となる。これと同時間を答え合わせ等に費やす場合,過去 10 年分の試験問題に取り組むのに必要な時間は,次式で求められる。

515 分 × 2 × 10 = 10,300 [分] = 172 [時間]

上記の想定では,電気主任技術者試験の勉強時間は 172 時間と見積もることができる。1 年かけて,電気主任技術者試験の勉強に取り組む場合,1 日あたりの勉強時間は,次式で求められる。

172 時間 ÷ 365 日 = 0.5 時間/日

つまり,1 日たったの 0.5 時間勉強すれば,電気主任技術者試験に合格できる。そう考えれば,電気主任技術者試験のハードルは,それほど高くないのではないか。

表 電気主任技術者試験の試験時間
科目 試験時間 [分]
一次試験 理論 90
電力 90
機械 90
法規 65
二次試験 電力・管理 120
機械・制御 60
合計 515
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