平成13年度 第二種 電気主任技術者二次試験 電力・管理

2022年10月23日更新

目次

  1. タービン発電機の励磁方式
  2. 安定巻線(内蔵 Δ )付の Y-Y 結線三相変圧器
  3. 送電線のスリートジャンプ及びギャロッピング
  4. 電力用 CV ケーブルの水トリー
  5. 特別高圧自家用需要家の受電方式
  6. 22 kV (33 kV )配電と400 V 直接供給

問1 タービン発電機の励磁方式

タービン発電機の次の励磁方式について,それぞれの構成とその特徴について説明せよ。

  1. 交流励磁方式
  2. ブラシレス励磁方式
  3. サイリスタ励磁方式

交流励磁方式

直流励磁方式の励磁機を交流発電機に,整流子を整流器に置き換えたものである。そのため,直流励磁方式に比べて,整流子がなく,回転部分や接触面が少ないので,保守・点検が容易である。

ブラシレス励磁方式

交流発電機とともに整流器も発電機の回転部に内蔵するものである。ブラシがないため,ブラシの点検,取替が不要,整流子の保守が不要,励磁機用の開閉装置が不要などのメリットがある。一方で,整流器が大きい遠心力を受けるため,これに対する対策が必要である。

サイリスタ励磁方式

主発電機の出力の一部をサイリスタを用いた整流器で整流して直流を得る,静止形励磁方式の一種である。回転機の慣性が入らないため速応性があり,可動部や接触部がないので信頼性が高く保守性もよい。

問2 安定巻線(内蔵 Δ)付の Y-Y 結線三相変圧器

準備中

問3 送電線のスリートジャンプ及びギャロッピング

送電線に発生するスリートジャンプ及びギャロッピングについて,次の項目を説明せよ。

  1. 現象のメカニズム
  2. その影響と防止対策

スリートジャンプ

着氷雪の脱落時の電線の跳躍現象をスリートジャンプといい,ギャロッピングのような自励(共振)振動とは異なり,減衰振動であり持続性はない。

跳躍が大きいと相間短絡を引き起こす。

対策としては,オフセットを設ける。

スリートジャンプ
図 スリートジャンプ

ギャロッピング

電線の表面に,電線の断面に対して非対称な形に氷雪が付着し,これが肥大化すると,微風振動の場合と同様に,電線の風下側に比較的規模の大きいカルマン渦が発生し,電線に対して鉛直方向に上下交互の周期的な交番力が加わる。このとき交番周波数と電線の固有振動数が一致すると,共振状態となり振動が発生する。これをギャロッピングという。

ギャロッピングが発生すると,径間で相間短絡を起こしやすく,一度再閉路が成功しても,再度相間短絡を起こしやすい。また,電線の過大張力による素線切れおよび断線の発生,スペーサの損傷およびがいし金具の疲労による機械的強度の低下などの障害が発生する。

防止対策としては,気象条件を考慮した送電ルートの選定,相間スペーサを挿入した振動の抑制,フリーセンタクランプなどの防振装置の採用がある。

問4 電力用 CV ケーブルの水トリー

電力用 CV ケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)の代表的な絶縁劣化である「水トリー」について説明せよ。

水トリー劣化はポリエチレンおよび架橋ポリエチレン(CV)ケーブルの絶縁体中に侵入した水と異物やボイド,突起などに加わる局部的な高電界と相乗作用によって,トリー状の欠陥が発生・進展し,ケーブルの絶縁寿命が著しく低下する。このトリーを電気的トリーと区別する意味で水トリーと呼んでいる。

水トリーは直径 0.1 ~ 1 [μm] の無数の水滴の集合体で,水トリーが発生したケーブルでは $\tan{\delta}$,直流漏れ電流が増大するので,これらが劣化状況を推定する有力な手がかりとなる。

問5 特別高圧自家用需要家の受電方式

準備中

問6 22 kV(33 kV)配電と 400 V 直接供給

20 [kV] 又は 30 [kV] 配電線路から降圧変圧器を介して三相 4 線式 230/400 [V] の電圧で需要者に電気を供給する場合の利点を,6 [kV] 配電線路から降圧して単相 3 線式 100/200 [V] の電圧で供給する場合と比較して,次の項目別に簡潔に述べよ。

  1. 電気の供給者側から見た利点
  2. 電気の需要者側から見た利点
  3. 総合的観点から見た利点

電気の供給者側から見た利点

設備・用地の縮小化ができる。また電圧降下・電力損失が小さくなり,設備量が減少するので事故も少なくなり,供給信頼度が向上する。

電気の需要者側から見た利点

  • 導体の所要量を少なくできる。
  • 電力損失・電圧降下を小さくできる。
  • 電灯と電力用の設備を共有できる。
  • 高圧設備を省略できる場合がある。

総合的観点から見た利点

電気の供給者,需要者ともに電力損失の軽減が図れるため,国全体としての省エネルギー化を推進できる。また設備の縮小,電力損失の軽減により,電気料金の低減が図れる。

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