災害の予防

2022年12月11日更新

予防規程の作成

下表のような施設においては,施設の個々の実状に合わせた予防規程を作成する必要がある。作成した予防規程は,市町村長等に提出して許可を受けなければならない。なお,予防規程に定める事項については,危険物の規制に関する規則 第六十条の二を参照されたい。

予防規程が必要な施設
製造所等 危険物の量
製造所 指定数量の 10 倍以上
屋外貯蔵所 指定数量の 100 倍以上
屋内貯蔵所 指定数量の 150 倍以上
屋外タンク貯蔵所 指定数量の 200 倍以上
給油取扱所 すべて
移送取扱所 すべて
一般取扱所 指定数量の 10 倍以上

予防規定に定めなければならない事項

危険物の規制に関する規則において,予防規程に定めなければならない事項が定められている。

危険物の規制に関する規則 第60条の2 予防規程に定めなければならない事項

法第十四条の二第一項 に規定する総務省令で定める事項は,次項,第四項又は第六項に定める場合を除き,次のとおりとする。

  1. 危険物の保安に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
  2. 危険物保安監督者が,旅行,疾病その他の事故によつてその職務を行うことができない場合にその職務を代行する者に関すること。
  3. 化学消防自動車の設置その他自衛の消防組織に関すること。
  4. 危険物の保安に係る作業に従事する者に対する保安教育に関すること。
  5. 危険物の保安のための巡視,点検及び検査に関すること(第十号に掲げるものを除く。)。
  6. 危険物施設の運転又は操作に関すること。
  7. 危険物の取扱い作業の基準に関すること。
  8. 補修等の方法に関すること。
    施設の工事における火気の使用若しくは取扱いの管理又は危険物等の管理等安全管理に関すること。
    製造所及び一般取扱所にあつては,危険物の取扱工程又は設備等の変更に伴う危険要因の把握及び当該危険要因に対する対策に関すること。
    顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所にあつては,顧客に対する監視その他保安のための措置に関すること。
  9. 移送取扱所にあつては,配管の工事現場の責任者の条件その他配管の工事現場における保安監督体制に関すること。
  10. 移送取扱所にあつては,配管の周囲において移送取扱所の施設の工事以外の工事を行う場合における当該配管の保安に関すること。
  11. 災害その他の非常の場合に取るべき措置に関すること。
    地震発生時における施設及び設備に対する点検,応急措置等に関すること。
  12. 危険物の保安に関する記録に関すること。
  13. 製造所等の位置,構造及び設備を明示した書類及び図面の整備に関すること。
  14. 前各号に掲げるもののほか,危険物の保安に関し必要な事項

(以下省略)

演習

法令上,予防規程に関する説明として,最も適切なものは,次のうちどれか。

  1. 製造所等における危険物保安監督者及び危険物取扱者の責務を定めた規程をいう。
  2. 製造所等の点検について定めた規程をいう。
  3. 製造所等の火災を予防するため,危険物の保安に関し必要な事項を定めた規程をいう。
  4. 製造所等における危険物保安統括管理者の責務を定めた規程をいう。
  5. 危険物の危険性をまとめた規程をいう。

正解は,3. である。具体的には,危険物の保安に係る作業に従事する者に対する保安教育に関すること,危険物の保安のための巡視,点検及び検査に関すること等が定められている。

予防規定の認可の申請

予防規程の認可を受けようとする者は,申請書に予防規定を添えて,市町村長等に提出しなければならない。

危険物の規制に関する規則 第62条 予防規程の認可の申請

法第十四条の二第一項 の規定による予防規程の認可を受けようとする者は,別記様式第二十六の申請書に当該認可を受けようとする予防規程を添えて市町村長等に提出しなければならない。

(以下省略)

予防規程 制定/変更 認可申請書
予防規程 制定/変更 認可申請書

定期点検

製造所等の所有者,管理者または占有者,製造所等の位置,構造及び設備が技術上の基準に適合するように維持する義務があり,下表のような製造所等では,施設を定期的に点検することが法令で定められている。定期点検の実施は,危険物取扱者または危険物施設保安員が実施する(危険物取扱者の立会いがあれば,それ以外の人でも実施できる)。定期点検は 1 年に 1 回以上実施し,定期点検は 3 年間保存することが義務付けられている。

消防法 第十四条の三の二

政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、これらの製造所、貯蔵所又は取扱所について、総務省令で定めるところにより、定期に点検し、その点検記録を作成し、これを保存しなければならない。

定期点検を行わなければならない時期等

危険物の規制に関する規則において,定期点検は一年に一回以上行うよう,定められている。

危険物の規制に関する規則 第62条の4 定期点検を行わなければならない時期等

法第十四条の三の二 の規定による定期点検は,一年(告示で定める構造又は設備にあつては告示で定める期間)に一回以上行わなければならない。

法第十四条の三の二 の規定による定期点検は,法第十条第四項 の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。

定期に点検をしなければならない製造所等の指定

危険物の規制に関する政令において,定期に点検をしなければならない製造所等の指定が定められている。

危険物の規制に関する政令 第8条の5 定期に点検をしなければならない製造所等の指定

法第十四条の三の二 の政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所は、第七条の三に規定する製造所等(第八条の三に規定する移送取扱所を除く。)及び次に掲げる製造所等のうち、総務省令で定めるもの以外のものとする。

  1. 危険物を取り扱うタンクで地下にあるもの(以下この条において「地下タンク」という。)を有する製造所
  2. 地下タンク貯蔵所
  3. 移動タンク貯蔵所
  4. 地下タンクを有する給油取扱所
  5. 地下タンクを有する一般取扱所
定期点検が必要な施設
製造所等 危険物の量
製造所 指定数量の 10 倍以上のもの,地下タンクを有するもの
屋外貯蔵所 指定数量の 100 倍以上のもの
屋内貯蔵所 指定数量の 150 倍以上のもの
屋外タンク貯蔵所 指定数量の 200 倍以上のもの
給油取扱所 地下タンクを有するもの
移送取扱所 すべて(特定移送取扱所を除く)
一般取扱所 指定数量の 10 倍以上のもの,地下タンクを有するもの
地下タンク貯蔵所 すべて
移動タンク貯蔵所 すべて

点検記録の記載事項

危険物の規制に関する規則において,点検記録の記載事項が定められている。

危険物の規制に関する規則 第六十二条の七

法第十四条の三の二の規定による点検記録には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

  1. 点検をした製造所等の名称
  2. 点検の方法及び結果
  3. 点検年月日
  4. 点検を行つた危険物取扱者若しくは危険物施設保安員又は点検に立会つた危険物取扱者の氏名
演習問題

法令に定める定期点検の点検記録に記載しなければならない事項として,規則に定められていないものは,次のうちどれか。

  1. 点検をした製造者等の名称
  2. 点検の方法及び結果
  3. 点検年月日
  4. 点検を行った危険物取扱者若しくは危険物施設保安員又は点検に立ち会った危険物取扱者の氏名
  5. 点検を実施した日を市町村長等へ報告した年月日

正解は,5. である。危険物の規制に関する規則における点検記録の記載事項には,点検を実施した日を市町村長等へ報告した年月日は含まれていない。

保安検査

容量 10,000 kl 以上の屋外タンク貯蔵所と特定移送取扱所(配管の長さが 15 km を超える移送取扱所,または配管の長さが 7 km 以上 15 km 以下で,最大常用圧力が 0.95 MPa 以上)は,事故が起こったときの影響が大きいことから,自主的な点検のほかに,市町村長等による保安検査を受ける必要がある。

表 定期保安検査
検査対象 検査時期 検査事項
容量 10,000 kL の屋外タンク貯蔵所 原則として 8 年に 1 回
岩盤タンク[1]は原則として 10 年に 1 回
タンク底部の厚さと溶接部
岩盤タンクの構造及び設備
特定移送取扱所[2] 原則として 1 年に 1 回 移送取扱所の構造及び設備
表 臨時保安検査
検査対象 検査事由 検査事項
容量 1,000 kL の屋外タンク貯蔵所 1/100 以上の不等沈下[3]の発生
岩盤タンクおよび地中タンクでは漏えいのおそれがあること。
タンク底部の厚さと溶接部
岩盤タンクの構造及び設備

  1. 地下の岩盤を掘削して作るタンク。
  2. 配管の長さが 15 km を超える移送取扱所,または配管の長さが 7 km 以上 15 km 以下で,最大常用圧力が 0.95 MPa 以上。
  3. 地盤が不均等に沈下すること。

自衛消防組織

下表のような製造所等では,火災等の事故が発生した場合に備えて,自衛消防組織を編成することが義務付けられている。自衛消防組織については,危険物の規制に関する規則 第十章を参照されたい。

自衛消防組織が必要な製造所等
製造所等 取扱う第4類危険物の量
製造所 指定数量の3,000倍以上
一般取扱所 指定数量の3,000倍以上
移送取扱所 指定数量以上

※危険物保安統括管理者の選任が必要な製造所等と同じ

消防法 第十四条の四

同一事業所において政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所を所有し、管理し、又は占有する者で政令で定める数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものは、政令で定めるところにより、当該事業所に自衛消防組織を置かなければならない。

危険物の規制に関する規則 第64条 移送取扱所を有する事業所の自衛消防組織の編成

令第三十八条の二第一項に規定する総務省令で定める人員数及び化学消防自動車の台数は、次のとおりとする。

  1. 指定施設である移送取扱所を有する事業所のうち移送取扱所以外の指定施設を有する事業所については、別表第五及び第六の人員数及び化学消防自動車の台数を合計した数。ただし、第六十五条第五号に規定する化学消防ポンプ自動車を置く事業所については、人員数五名及び化学消防自動車一台を減じた数とすることができる。
  2. 指定施設である移送取扱所のみを有する事業所については、別表第六の人員数及び化学消防自動車の台数。
危険物の規制に関する規則 第65条 自衛消防組織の編成の特例

令第三十八条の二第一項ただし書の総務省令で定める編成は、火災その他の災害のための相互応援に関する協定を締結しているすべての事業所を一の事業所と、当該すべての事業所の指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量を一の事業所の指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量とみなして同項本文の規定を適用した場合における人員及び化学消防自動車の台数とすることができる。ただし、相互応援に関する協定を締結している各事業所の自衛消防組織は、少くとも当該事業所の指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量に応じ、令第三十八条の二第一項の表に掲げる化学消防自動車の台数の二分の一以上の台数の化学消防自動車及び化学消防自動車一台につき五人以上の人員をもつて編成しなければならない。

自衛消防組織の編成規模

自衛消防組織の編成規模は,事業所で取扱う危険物の指定数量の倍数に応じて,人員数,化学消防自動車の台数が定められている。

危険物の規制に関する政令 第38条の2 自衛消防組織の編成

法第十四条の四の規定による自衛消防組織(以下「自衛消防組織」という。)は,次の表の上欄に掲げる事業所の区分に応じそれぞれ同表の中欄及び下欄に掲げる数以上の人員及び化学消防自動車(指定施設である移送取扱所を有する事業所にあつては,総務省令で定める数以上の人員及び化学消防自動車)をもつて編成しなければならない。ただし,火災その他の災害のための相互応援に関する協定を締結している事業所については,総務省令で定めるところにより編成することをもつて足りるものとする。

自衛消防組織の編成
事業所の区分 人員数 化学消防車の台数
指定施設において取り扱う第 4 類の危険物の最大数量が指定数量の 12 万倍未満である事業所 5 人 1 台
指定施設において取り扱う第 4 類の危険物の最大数量が指定数量の 12 万倍以上 24 万倍未満である事業所 10 人 2 台
指定施設において取り扱う第 4 類の危険物の最大数量が指定数量の 24 万倍以上 48 万倍未満である事業所 15 人 3 台
指定施設において取り扱う第 4 類の危険物の最大数量が指定数量の 48 万倍以上である事業所 20 人 4 台
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