消火設備

2022年12月11日更新

消火設備の種類と設置基準

すべての製造所等には,消火設備の設置が義務付けられている。消火設備は,消火能力の大きさによって下表のように分かれている。

消火設備
区分 品名
第 1 種消火設備 屋内消火栓設備,屋外消火栓設備
第 2 種消火設備 スプリンクラー設備
第 3 種消火設備 水蒸気消火設備,水噴霧消火設備,泡消火設備,二酸化炭素消火設備,ハロゲン消火設備,粉末消火設備
第 4 種消火設備 大型消火器
第 5 種消火設備 小型消火器,乾燥砂,膨張ひる石,膨張真珠岩,水バケツ,水そう
危険物の規制に関する政令(消火設備の基準)

第二十条 消火設備の技術上の基準は,次のとおりとする。

  1. 製造所,屋内貯蔵所,屋外タンク貯蔵所,屋内タンク貯蔵所,屋外貯蔵所,給油取扱所及び一般取扱所のうち,その規模,貯蔵し,又は取り扱う危険物の品名及び最大数量等により,火災が発生したとき著しく消火が困難と認められるもので総務省令で定めるもの並びに移送取扱所は,総務省令で定めるところにより,別表第五に掲げる対象物について同表においてその消火に適応するものとされる消火設備のうち,第一種,第二種又は第三種の消火設備並びに第四種及び第五種の消火設備を設置すること。
  2. 製造所,屋内貯蔵所,屋外タンク貯蔵所,屋内タンク貯蔵所,屋外貯蔵所,給油取扱所,第二種販売取扱所及び一般取扱所のうち,その規模,貯蔵し,又は取り扱う危険物の品名及び最大数量等により,火災が発生したとき消火が困難と認められるもので総務省令で定めるものは,総務省令で定めるところにより,別表第五に掲げる対象物について同表においてその消火に適応するものとされる消火設備のうち,第四種及び第五種の消火設備を設置すること。
  3. 前二号の総務省令で定める製造所等以外の製造所等にあつては,総務省令で定めるところにより,別表第五に掲げる対象物について同表においてその消火に適応するものとされる消火設備のうち,第五種の消火設備を設置すること。

2 前項に掲げるもののほか,消火設備の技術上の基準については,総務省令で定める。

演習問題

第5種の消火設備の基準について,次の文の【 】内に当てはまる法令に定められている数値はどれか。

「第5種の消火設備は,製造所にあっては防護対象物の各部分から一の消火設備に至る歩行距離が【 】 m 以下となるように設けなければならない。ただし,第1種から第4種までの消火設備と併置する場合にあっては,この限りでない。」

  1. 1
  2. 3
  3. 5
  4. 10
  5. 20

正解は,5. である。危険物の規制に関する規則によると,第五種の消火設備の設置基準は,「第五種の消火設備は、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、給油取扱所、第一種販売取扱所又は第二種販売取扱所にあつては有効に消火することができる位置に設け、その他の製造所等にあつては防護対象物の各部分から一の消火設備に至る歩行距離が 20 m 以下となるように設けなければならない。ただし、第一種から第四種までの消火設備と併置する場合にあつては、この限りでない。」である。

所要単位と能力単位

所要単位

製造所等の規模や取扱う危険物に応じて,消火設備がどの程度必要か算出するために,所要単位という基準が定められている。所要単位は建築物の構造や面積,危険物の数量によって,下表のように算出される。

表 所要単位の計算方法
建築物・危険物 1 所要単位当たりの数値
製造所・取扱所 耐火構造 述べ面積 100 m²
不燃材料 述べ面積 50 m²
貯蔵所 耐火構造 述べ面積 150 m²
不燃材料 述べ面積 75 m²
屋外の製造所等 外壁を耐火構造とし,水平最大面積を建坪とみなして算定。
危険物の数量 指定数量の 10 倍

能力単位

消火設備の消火能力を算出するための基準を能力単位という。

危険物の規制に関する規則 第29条 所要単位及び能力単位

所要単位は、消火設備の設置の対象となる建築物その他の工作物の規模又は危険物の量の基準の単位をいう。

2 能力単位は、前項の所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位をいう。

危険物の規制に関する規則 第30条 所要単位の計算方法

建築物その他の工作物又は危険物の所要単位の計算方法は、次の各号のとおりとする。

  1. 製造所又は取扱所の建築物は、外壁が耐火構造のものにあつては延べ面積(製造所等の用に供する部分以外の部分を有する建築物に設ける製造所等にあつては当該建築物の製造所等の用に供する部分の床面積の合計、その他の製造所等にあつては当該製造所等の建築物の床面積の合計をいう。以下同じ。)100 m2、外壁が耐火構造でないものにあつては延べ面積 50 m2を 1 所要単位とすること。
  2. 貯蔵所の建築物は、外壁が耐火構造であるものにあつては延べ面積 150 m2、外壁が耐火構造でないものにあつては延べ面積 75 m2 を 1 所要単位とすること。
  3. 製造所等の屋外にある工作物は、外壁を耐火構造とし、かつ、工作物の水平最大面積を建坪とする建築物とみなして前二号の規定により所要単位を算出すること。
  4. 危険物は、指定数量の 10 倍を 1 所要単位とすること。

警報設備・避難設備

警報設備

火災などの事故を迅速に従業員等に知らせるため,指定数量の 10 倍以上の危険物を貯蔵・取扱う製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)には,警報設備の設置が義務付けられている。

危険物の規制に関する政令(警報設備の基準)

第二十一条 指定数量の倍数が十以上の製造所等で総務省令で定めるものは,総務省令で定めるところにより,火災が発生した場合自動的に作動する火災報知設備その他の警報設備を設置しなければならない。

警報設備は,次のとおり区分されている。

危険物の規制に関する規則 第37条 製造所等の警報設備

令第二十一条の規定により、警報設備は、次のとおり区分する。

  1. 自動火災報知設備
  2. 消防機関に報知ができる電話
  3. 非常ベル装置
  4. 拡声装置
  5. 警鐘

避難設備

特定の給油取扱所等には,火災の発生時に避難する方向を示すため,避難設備(誘導灯)の設置が義務付けられている。

危険物の規制に関する政令(避難設備の基準)

第二十一条の二 製造所等のうち,その規模,貯蔵し,又は取り扱う危険物の品名及び最大数量等により,火災が発生したとき避難が容易でないと認められるもので総務省令で定めるものは,総務省令で定めるところにより,避難設備を設置しなければならない。

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