貯蔵・取扱い・運搬の基準

2022年12月11日更新

貯蔵の基準

危険物の規制に関する政令 第二十四条(通則)

  1. 製造所等において,法第十一条第一項の規定による許可若しくは法第十一条の四第一項の規定による届出に係る品名以外の危険物又はこれらの許可若しくは届出に係る数量若しくは指定数量の倍数を超える危険物を貯蔵し,又は取り扱わないこと。
  2. 製造所等においては,みだりに火気を使用しないこと。
  3. 製造所等には,係員以外の者をみだりに出入させないこと。
  4. 製造所等においては,常に整理及び清掃を行うとともに,みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。
    -2 貯留設備又は油分離装置にたまった危険物は,あふれないように随時くみ上げること。
  5. 危険物のくず,かす等は,一日に一回以上当該危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
  6. 危険物を貯蔵し,又は取り扱う建築物その他の工作物又は設備は,当該危険物の性質に応じ,遮光又は換気を行うこと。
  7. 危険物は,温度計,湿度計,圧力計その他の計器を監視して,当該危険物の性質に応じた適正な温度,湿度又は圧力を保つように貯蔵し,又は取り扱うこと。
  8. 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場合においては,当該危険物が漏れ,あふれ,又は飛散しないように必要な措置を講ずること。
  9. 危険物を貯蔵し,又は取り扱う場合においては,危険物の変質,異物の混入等により,当該危険物の危険性が増大しないように必要な措置を講ずること。
  10. 危険物が残存し,又は残存しているおそれがある設備,機械器具,容器等を修理する場合は,安全な場所において,危険物を完全に除去した後に行うこと。
  11. 危険物を容器に収納して貯蔵し,又は取り扱うときは,その容器は,当該危険物の性質に適応し,かつ,破損,腐食,さけめ等がないものであること。
  12. 危険物を収納した容器を貯蔵し,又は取り扱う場合は,みだりに転倒させ,落下させ,衝撃を加え,又は引きずる等粗暴な行為をしないこと。
  13. 可燃性の液体,可燃性の蒸気若しくは可燃性のガスがもれ,若しくは滞留するおそれのある場所又は可燃性の微粉が著しく浮遊するおそれのある場所では,電線と電気器具とを完全に接続し,かつ,火花を発する機械器具,工具,履物等を使用しないこと。
  14. 危険物を保護液中に保存する場合は,当該危険物が保護液から露出しないようにすること。

危険物の規制に関する政令 第二十五条

  1. 第一類の危険物は,可燃物との接触若しくは混合,分解を促す物品との接近又は過熱,衝撃若しくは摩擦を避けるとともに,アルカリ金属の過酸化物及びこれを含有するものにあつては,水との接触を避けること。
  2. 第二類の危険物は,酸化剤との接触若しくは混合,炎,火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに,鉄粉,金属粉及びマグネシウム並びにこれらのいずれかを含有するものにあつては水又は酸との接触を避け,引火性固体にあつてはみだりに蒸気を発生させないこと。
  3. 自然発火性物品(第三類の危険物のうち第一条の五第二項の自然発火性試験において同条第三項に定める性状を示すもの並びにアルキルアルミニウム,アルキルリチウム及び黄りんをいう。)にあつては炎,火花若しくは高温体との接近,過熱又は空気との接触を避け,禁水性物品にあつては水との接触を避けること。
  4. 第四類の危険物は,炎,火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに,みだりに蒸気を発生させないこと。
  5. 第五類の危険物は,炎,火花若しくは高温体との接近,過熱,衝撃又は摩擦を避けること。
  6. 第六類の危険物は,可燃物との接触若しくは混合,分解を促す物品との接近又は過熱を避けること。

危険物の規制に関する政令 第二十六条(貯蔵の基準)

  1. 貯蔵所においては,危険物以外の物品を貯蔵しないこと。ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない。
    -2 法別表第一に掲げる類を異にする危険物は,同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が二以上ある貯蔵所においては,同一の室。次号において同じ。)において貯蔵しないこと。ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない。
    -3 第三類の危険物のうち黄りんその他水中に貯蔵する物品と禁水性物品とは,同一の貯蔵所において貯蔵しないこと。
  2. 屋内貯蔵所においては,危険物は,総務省令で定めるところにより容器に収納して貯蔵すること。ただし,総務省令で定める危険物については,この限りでない。
  3. 屋内貯蔵所において,同一品名の自然発火するおそれのある危険物又は災害が著しく増大するおそれのある危険物を多量貯蔵するときは,指定数量の十倍以下ごとに区分し,かつ,〇・三メートル以上の間隔を置いて貯蔵すること。ただし,総務省令で定める危険物については,この限りでない。
    -2 屋内貯蔵所で危険物を貯蔵する場合においては,総務省令で定める高さを超えて容器を積み重ねないこと。
    -3 屋内貯蔵所においては,容器に収納して貯蔵する危険物の温度が五十五度を超えないように必要な措置を講ずること。
  4. 屋外貯蔵タンク,屋内貯蔵タンク,地下貯蔵タンク又は簡易貯蔵タンクの計量口は,計量するとき以外は閉鎖しておくこと。
  5. 屋外貯蔵タンク,屋内貯蔵タンク又は地下貯蔵タンクの元弁(液体の危険物を移送するための配管に設けられた弁のうちタンクの直近にあるものをいう。)及び注入口の弁又はふたは,危険物を入れ,又は出すとき以外は,閉鎖しておくこと。
  6. 屋外貯蔵タンクの周囲に防油堤がある場合は,その水抜口を通常は閉鎖しておくとともに,当該防油堤の内部に滞油し,又は滞水した場合は,遅滞なくこれを排出すること。
    -2 移動貯蔵タンクには,当該タンクが貯蔵し,又は取り扱う危険物の類,品名及び最大数量を表示すること。
  7. 移動貯蔵タンク及びその安全装置並びにその他の附属の配管は,さけめ,結合不良,極端な変形,注入ホースの切損等による漏れが起こらないようにするとともに,当該タンクの底弁は,使用時以外は完全に閉鎖しておくこと。
  8. 被けん引自動車に固定された移動貯蔵タンクに危険物を貯蔵するときは,当該被けん引自動車にけん引自動車を結合しておくこと。ただし,総務省令で定める場合は,この限りでない。
    -2 積載式移動タンク貯蔵所以外の移動タンク貯蔵所にあつては,危険物を貯蔵した状態で移動貯蔵タンクの積替えを行わないこと。
  9. 移動タンク貯蔵所には,第八条第三項の完成検査済証,法第十四条の三の二 の規定による点検記録その他総務省令で定める書類を備え付けること。
  10. アルキルアルミニウム,アルキルリチウムその他の総務省令で定める危険物を貯蔵し,又は取り扱う移動タンク貯蔵所には,緊急時における連絡先その他応急措置に関し必要な事項を記載した書類及び総務省令で定める用具を備え付けておくこと。
  11. 屋外貯蔵所においては,第十二号に定める場合を除き,危険物は,総務省令で定めるところにより容器に収納して貯蔵すること。
    -2 屋外貯蔵所で危険物を貯蔵する場合においては,総務省令で定める高さを超えて容器を積み重ねないこと。
    -3屋外貯蔵所において危険物を収納した容器を架台で貯蔵する場合には,総務省令で定める高さを超えて容器を貯蔵しないこと。
  12. 第十六条第二項に規定する屋外貯蔵所においては,硫黄等を囲いの高さ以下に貯蔵するとともに,硫黄等があふれ,又は飛散しないように囲い全体を難燃性又は不燃性のシートで覆い,当該シートを囲いに固着しておくこと。

取扱いの基準

危険物の規制に関する政令 第二十七条(取扱いの基準)

法第十条第三項の危険物の取扱いの技術上の基準は、第二十四条及び第二十五条に定めるもののほか、この条の定めるところによる。

2 危険物の取扱のうち製造の技術上の基準は、次のとおりとする。

  1. 蒸留工程においては、危険物を取り扱う設備の内部圧力の変動等により、液体、蒸気又はガスが漏れないようにすること。
  2. 抽出工程においては、抽出罐の内圧が異常に上昇しないようにすること。
  3. 乾燥工程においては、危険物の温度が局部的に上昇しない方法で加熱し、又は乾燥すること。
  4. 粉砕工程においては、危険物の粉末が著しく浮遊し、又は危険物の粉末が著しく機械器具等に附着している状態で当該機械器具等を取り扱わないこと。

(以下,略)

演習問題

法令上,給油取扱所において自動車等に給油するときの危険物の取扱い基準について,誤っているものはどれか。

  1. 固定給油設備を用いて,直接給油しなければならない。
  2. 自動車等のエンジンはかけたままとし,非常時に直ちに発進できるようにさせておかなければならない。
  3. 自動車の一部又は全部が,給油空地からはみ出たまま給油してはならない。
  4. 懸垂式の固定給油設備から 4 メートル以内の部分に,他の自動車等を駐車させてはならない。
  5. 移動貯蔵タンクから専用タンクに危険物を注入しているときは,当該専用タンクと接続する固定給油設備を使用して給油してはならない。

正解は,2. である。自動車等に給油するときは,原動機(エンジン)を停止させる。

運搬の基準

危険物の規制に関する政令 第二十八条(運搬容器)

  1. 運搬容器の材質は,鋼板,アルミニウム板,ブリキ板,ガラスその他総務省令で定めるものであること。
  2. 運搬容器の構造及び最大容積は,総務省令で定めるものであること。

危険物の規制に関する政令 第二十九条(積載方法)

  1. 危険物は,前条の運搬容器に総務省令で定めるところにより収納して積載すること。ただし,塊状の硫黄等を運搬するため積載する場合又は危険物を一の製造所等から当該製造所等の存する敷地と同一の敷地内に存する他の製造所等へ運搬するため積載する場合は,この限りでない。
  2. 危険物は,運搬容器の外部に,総務省令で定めるところにより,危険物の品名,数量等を表示して積載すること。
  3. 危険物は,当該危険物が転落し,又は危険物を収納した運搬容器が落下し,転倒し,若しくは破損しないように積載すること。
  4. 運搬容器は,収納口を上方に向けて積載すること。
  5. 総務省令で定める危険物は,日光の直射又は雨水の浸透を防ぐため有効に被覆する等当該危険物の性質に応じて総務省令で定める措置を講じて積載すること。
  6. 危険物は,総務省令で定めるところにより,類を異にするその他の危険物又は災害を発生させるおそれのある物品と混載しないこと。
  7. 危険物を収納した運搬容器を積み重ねる場合においては,総務省令で定める高さ以下で,総務省令で定めるところにより積載すること。

危険物の規制に関する政令 第三十条(運搬方法)

  1. 危険物又は危険物を収納した運搬容器が著しく摩擦又は動揺を起さないように運搬すること。
  2. 指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合には,総務省令で定めるところにより,当該車両に標識を掲げること。
  3. 指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合において,積替,休憩,故障等のため車両を一時停止させるときは,安全な場所を選び,かつ,運搬する危険物の保安に注意すること。
  4. 指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合には,第二十条に規定する消火設備のうち当該危険物に適応するものを備えること。
  5. 危険物の運搬中危険物が著しくもれる等災害が発生するおそれのある場合は,災害を防止するため応急の措置を講ずるとともに,もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
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