科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成19年度

問題9 電気機器

変圧器

変圧器は,鉄心と二つ又はそれ以上の巻線を持つ静止誘導機器である。電磁誘導作用により,ある交流電圧及び電流の系統から,電圧及び電流が異なる他の系統に,同一周波数で電力を伝達することを目的として変圧するものと定義されている。

交流電力系統では,発電から負荷に至るまでの各段階において最適の電圧が選定されている。これら異なる電圧の変換に用いられるのが変圧器である。

変圧器は磁気回路を構成する鉄心にギャップがないので,電圧を確立するために必要な励磁電流が比較的小さく,損失も少ない。

単相二巻線変圧器

準備中

変圧器の結線

複数台の単相変圧器を用いて平衡三相負荷に電力を供給するとき,2台の単相変圧器をV-V結線として用いる場合と,3台の単相変圧器をΔ-Δ結線として用いる場合の全損失を比較すると,軽負荷ではV-V結線の方がΔ-Δ結線より少ないが,負荷がある程度大きくなるとΔ-Δ結線の方がV-V結線より少なくなる。

定格容量100kV·A,定格二次電圧210Vの単相変圧器があり,定格運転時の二次電流は476.2Aである。また,無負荷損は165W,定格負荷時の負荷損は1320Wである。

この変圧器3台をΔ-Δ結線して120kW,力率1の平衡三相負荷に接続した場合,1台の変圧器の二次電流は190[A]であり,三相の全損失は1.13[kW]となる。また,前述の変圧器2台をV-V結線して同じ三相負荷に接続した場合,変圧器の二次電流は330[A],三相の全損失は1.60[kW]であり,効率は98.7[%]となる。ただし,変圧器の二次電圧は負荷の大きさにかかわらず常に定格値に保たれるものとする。

変圧器二次側の線路に流れる電流は,
I2=329.92[A]
であるから,変圧器3台をΔ-Δ結線した場合,変圧器の二次電流は,
IΔ=190.48
であり,三相の全損失は,
PΔ=1125.4[W]
となる。一方,変圧器2台をV-V結線した場合,変圧器二次電流は,先に求めた変圧器の線路に流れる電流に等しい。よって,三相の全損失(V結線であるので変圧器2台分)は,
Pv=1598[W]
であり,効率は,
η=98.7[%]
となる。
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