科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成19年度

問題10 電気機器

三相誘導電動機

三相誘導電動機の回転速度n[min-1]は,同期速度をn0[min-1],一次周波数をf[Hz],極数を2p,滑りをsとすれば,次式で表される。

n

この式から,電動機の速度制御は

  1. 一次周波数を変える
  2. 滑りを変える
  3. 極数を変える
ことにより行えることが分かる。このうち,1.と2.の方法は制御が連続的であり,3.の方法は制御が段階的となる。

電動機としては,1.の方法には構造の簡単なかご形三相誘導電動機を用いることができる。2.の方法には回転子の構造が複雑な巻線形三相誘導電動機を用いなければならず,また,3.の方法にはかご形でも固定子の構造が複雑な極数切換形三相誘導電動機を用いる必要がある。

かご形三相誘導電動機の速度制御には,現在,汎用インバータによる一次周波数制御が広く用いられている。これは一次周波数に比例して電動機の同期速度が変わることを応用したものであり,通常,周波数に比例して電圧も変え,電動機のエアギャップ磁束密度をほぼ一定に保つようにしている。

巻線形三相誘導電動機の速度制御では,電動機の二次回路に抵抗を挿入し,電動機の比例推移特性により滑りを変化させて速度制御を行うことができるが,速度変化の比率とほぼ同じ比率で効率が低下する欠点がある。しかし,二次励磁制御を適用すれば,二次側電源との間で電力の授受を行いながら効率よく速度制御を行うことができる。

同期発電機

同期発電機が無負荷,定格回転速度で運転しているときの界磁電流と誘導起電力との関係を示す曲線を無負荷飽和曲線という。また,同期発電機の三相全端子を短絡し,定格回転速度で運転しているときに界磁電流を流し,界磁電流と電機子電流との関係を求めた曲線を三相短絡曲線という。三相短絡曲線は直線となる。

無負荷飽和曲線上で定格電圧を発生するのに要する界磁電流をIf1,短絡曲線上で定格電流を発生するのに要する界磁電流をIf2とすれば,短絡比Ksは次式で表される。

Ks

Ksの大きな機械を鉄機械,小さな機械を銅機械という。機械はリアクタンスが小さくて電圧変動率が小さく,安定度が良好で,線路充電容量が大きい。また,同期電動機の場合では大きな脱出トルクを得ることができる。反面,機械の形状が大きく,鉄損及び機械損が大きくて効率が低い。Ksの逆数が単位法で表した同期インピーダンスとなる。

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