科目Ⅳ:電力応用 平成20年度

問題14 電気化学-選択問題

電気化学システム

電気化学システムを用いると電気エネルギーと化学エネルギーの相互変換を行うことができる。電気化学システムは,基本要素として二つの電極とイオン伝導体である電解質で構成される。二つの電極のうち,酸化反応が起こる電極はアノードと呼ばれる。酸化反応で生じた電子は電解質中を移動できず,電極から外部回路を通じて対極へ移動することになる。自発的な反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムは電池と呼ばれる。

一般に,電気分解を利用して金属を高純度化する方法を電解精製と呼ぶ。この方法の一つに,銅鉱石を熱的に還元して得られる粗銅を原料にした電気銅の製造がある。粗銅は純度が低く,電気抵抗が大きく,そのままでは電線などの導電材料に利用できないので,電気分解を利用することで粗銅を高純度化し,電気銅とする。この電解において,原料の粗銅はアノードとして作用する。この電気銅を製造する際に銅1原子当たりの反応に関与する電子数をz,反応モル数をn,ファラデー定数をFとすると,この反応で必要とする理論電気量QznFで表される。

ファラデーの法則:電気化学反応において,流れる電気量は反応に関与する電子数と物質のモル数に比例する。

電池

一次電池を放電すると,正極活物質は還元され,負極活物質は酸化され,電解液中の負電荷イオンは正極側から負極側へ移動する。

二次電池を放電すると,正極活物質は還元され,負極活物質は酸化され,電解液中の負電荷イオンは正極側から負極側へ移動する。

二次電池として古くから活用されている鉛蓄電池がある。この鉛蓄電池を充電すると,充電前と比べて質量は次のように変化する。

正極の質量は減少する。

負極の質量は減少する。

電解液の質量は増加する。

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