科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規 平成21年度

問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

国際単位系(SI)には質量(キログラム[kg]),長さ(メートル[m]),時間(秒[s]),熱力学温度(ケルビン[K]),電流(アンペア[A]),物理量(モル[mol])及び光度(カンデラ[cd])の七つの基本単位があり,これらの基本単位以外の単位については,基本単位を組み合わせた組立単位を用いる。組立単位には固有の名称を持つものがある。例えば,力の単位の固有の名称にニュートン[N]があるが,これを基本単位を用いて表せば[kg·m/s²]となる。同様に基本単位を用いると,ジュールは[kg·m²/s²]と表され,ボルトは[kg·m²/(s³·A)]と表される。

エネルギーを仕事,あるいは他の形態のエネルギーに変換する場合,変換前のエネルギーに対して変換後の仕事あるいはエネルギーがどれだけの割合になったかを表す数値をエネルギー変換効率という。力学(機械)エネルギー及び電気エネルギーから仕事への変換では,理論上は100%まで可能である。しかし,熱エネルギーからの変換では,その上限はカルノー・サイクル効率で抑えられる。

地球の大気圏の外側で,太陽光線に垂直な単位面積が単位時間に受ける太陽からの放射の総量は,太陽定数と呼ばれることが多いが,その値は約1.37kW/m²である。現在普及促進が図られている太陽電池は,太陽からのエネルギーを直接電気に変換するものであり,その素材として最も多く用いられているものはシリコンである。

燃料電池は,例えば燃料の水素と酸素とを燃焼反応を伴わずに,電気化学的に結合させ,燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変えることを基本原理とする装置である。各種燃料電池のうち,現在,実用化が進められている固体高分子形燃料電池では,燃料としては水素を基本とするが,炭化水素系燃料に水蒸気を加え高温状態で化学反応をさせて水素を作る改質反応装置を設置して,燃料供給体制が整っている都市ガスや灯油などを用いる方向でも開発が進んでいる。

人為起源の温室効果ガスのうち,二酸化炭素は温室効果への影響が最も大きいガスである。二酸化炭素の大気中濃度は,産業革命以前(1750~1800年)の約280ppmから,2005年には約380ppmまで増加した。ここで,[ppm]は微小な割合を表すのに広く用いられる単位であり,380ppmを百分率で表せば0.0380[%]となる。

ppmはparts per millionの頭文字をとったもので,1ppm=0.0001%である。

石炭,石油,天然ガスは化石燃料と呼ばれているが,これらを燃焼させた場合,同一の発生熱量に対する二酸化炭素発生量の大小を比較すると,その関係は石炭>石油>天然ガスとなる。

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