科目Ⅳ:電力応用 平成21年度

問題13 電気加熱-選択問題

電気加熱について

  1. 熱の移動と電気の伝導との間には相似性があり,熱系の温度は電気系の電位に,熱系の熱量は電気系の電荷に,また,熱系の熱抵抗は電気系の電気抵抗に対応する。
  2. 直接抵抗加熱方式と間接抵抗加熱方式を比較すると,直接抵抗加熱方式は,被加熱材に直接熱を発生させる内部加熱であるため急速加熱ができる。
  3. 誘電加熱は,誘電体に静電界を作用させると生じる電気分極を利用しており,軟質塩化ビニルシートを接着する高周波ウェルダなどに採用されている。
  4. マイクロ波加熱の加熱原理は誘電加熱と同じであるが,アプリケータと呼ばれる加熱室内で被加熱材に電磁波を照射する加熱方式であり,この応用例には電子レンジがある。
  5. 酸化雰囲気で使用できる合金発熱体にはニッケルクロム系があり,また,中性雰囲気か真空中でなければ使用できない単体金属発熱体にはタンタルがある。

抵抗炉設備

図の等価回路で表される抵抗炉設備で,発熱体の抵抗値Rは0.8Ω,電源出力端から炉入力端までのケーブルの抵抗値R1は0.05Ωでいずれも一定であり,ケーブルのリアクタンスX1は未知とする。また,炉は熱的に定常状態にあり,炉入力端電力が変化しても炉壁からの熱損失は一定とする。

この抵抗炉で,電源出力端電圧を200V,炉電流を210Aとし,比熱520J/(kg·K)の被加熱材120kgを20°Cから620°Cまで20分加熱する。この状態で運転しているとき,発熱体の電力は35.3[kW],電源出力電力は37.5[kW]であり,電源出力端から見た電気効率は94.1[%],力率は89.3[%]となる。また,電源出力端における電力原単位は0.104[kW·h/kg]となる。

さらに,被加熱材の加熱に必要な正味電力量は10.4[kW·h],正味電力は31.2[kW]となるので,炉壁の熱損失は4.08[kW]となる。

ここで,加熱時間20分を短縮して15分にするためには,発熱体の電力を45.7[kW]に上げる必要があり,そのための電源出力端電圧は228[V]となる。

発熱体の電力は,

電源出力電力は,

電気効率は,

力率は,

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