目指せ!エネルギー管理士 電気分野

2013年6月16日作成,2019年7月26日更新

平成22年度 問題6 電気計測

(1) 計測と測定

電圧・電流に代表される電気量や一般的な物理量など,変量の値を確定することを目的に行う一連の操作を計測という。JIS Z 8103:2000(計測用語)では,ある量を,基準として用いる量と比較して数値又は符号をもって表すことを測定と定義している。一般には計測の方が広義に用いられる。また,基準の量との比較から,目盛を振り当て表示数値を規定する行為ないしは作業を校正という。

計測器の指示が,公正な商業取引や生産活動における品質維持などにおいて相互に食い違うことを防ぐためには,一定の基準によって目盛又は表す量が校正されていなければならない。その校正に用いる標準器又は計測器の示す値が,国家標準や国際標準にたどりつく経路が明らかで,かつ,不確かさがすべて表示された切れ目のない連鎖によって国家標準や国際標準の値を反映していることを「トレーサビリティが確立されている」という。

(2) 温度測定

温度測定にはセンサとして,温度差による起電力を利用した熱電対のほかに,温度により素子の抵抗が変化する性質を利用した測温抵抗体やサーミスタが多く使用される。測温抵抗体は温度が上昇したときにその抵抗値は大きくなる。また,工業的に広く使用される NTC サーミスタは,温度が上昇したときにその抵抗値は小さくなる

図 1 は,センサの道の抵抗値 $R_x$ 及びケーブルの未知の抵抗値$r_1$,$r_2$,$r_3$,$r_4$ があり,その中で抵抗値 $R_x$ を測定し,その値を AD 変換器を介して計算機に取り込む概念を示している。

この図において,ケーブルの抵抗値の影響を極力小さくして,抵抗値 $R_x$ を精度よく測定するには電源を定電流源とし,入力増幅器の入力インピーダンスは無限大であることが望ましい。また,$r_1$,$r_2$,$r_3$,$r_4$ の大きさの相互関係としては,特に制約はない

この検出された抵抗値は一般に非線形特性を示すので,要求される精度に応じて,計算機に取り込まれた後,温度-抵抗特性を用いて測定対象の温度を求める。

図1 抵抗値の測定

(3) Q メータ

図 2 に未知の,インダクタンスLと実効抵抗Rで表される被測定物のインピーダンスを Q メータで測定する場合の原理を示す。値が既知のコンデンサ $C$ があり,発振器の角周波数 $\omega$ を変化させると,$\displaystyle \omega=\frac{1}{\sqrt{LC}}$ のときにコンデンサの両端の電圧は最大となり,このとき共振現象が観測される。

そのときの $\omega$ の値を $\omega_0$として,$\displaystyle \frac{\omega_0 L}{R}$ で表される Q 値を用いるとコンデンサの両端の電圧は,電源電圧の位相を基準として $-jQE$ と表され,Q が測定できる。以上の結果により,インダクタンス $L$ は $\displaystyle \frac{1}{\omega_{0}^{2}C}$,実効抵抗 $R$は $\displaystyle \frac{1}{\omega_0 CQ}$ と表される。

図2 Qメータ
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