問題7 工場配電
負荷設備の特性を表す諸係数
負荷設備の特性を表す諸係数は,一般に以下の式で示される。
特に負荷率は,省エネルギーや電力設備の有効活用の観点から重要であり,深夜時間帯への操業のシフト,デマンド制御,負荷移行,蓄電・蓄熱などにより改善することができる。
ある工場の日負荷曲線が図の太線で示されている。この工場の負荷率は50[%]である。
この工場では,夜間に冷水(又は温水)を製造し,昼間に冷房用(又は暖房用)として使用する蓄熱システムを空気調和設備に採用し,8:00から12:00と,13:00から17:00までの時間帯のPの部分の負荷を22:00から翌日の8:00までの時間帯のQの部分に移行することを計画した。システム導入前後で総消費電力量が変わらないものとするとき,1日の負荷率を60%に改善するために移行しなければならない電力量は800[kW·h]である。ここで,蓄熱損失はないものとする。

配電設備の電圧管理と力率管理
配電設備の維持管理に必要な事項としては保全管理や安全管理のほか,電圧管理や力率管理が重要である。電圧管理の具体的な事項としては,変圧器タップ電圧の適正選定や電圧変動抑制対策の実施などが挙げられる。変圧器タップ電圧は,一次側の電圧変動に応じて選定すると同時に,二次側の全電圧変動幅についても考慮し,二次側の無負荷電圧が最高開路電圧を超過せず,また,全負荷時の電圧が負荷設備の許容電圧変動幅内にあるように選定する。
力率の管理は,電流及び無効電力の低減,これらに伴う電力損失の減少,系統容量の増加や電圧の改善,更には電気料金の低減などに大きく寄与するため,的確に行うことが重要である。一般に,工場では力率低下を防止するための進相用のコンデンサが設置されている。負荷の変動に応じて力率を管理するために,このコンデンサの投入・遮断を自動で効果的に行うことができる方法として,力率調整装置を用いることが挙げられる。力率調整装置には様々な制御方法がある。例えば,無効電力制御によるタイプは,回路の無効電力を測定し,これと設定した値とを比較して,投入・遮断の制御を行うもので,あらかじめ投入・遮断すべき設備の容量を決めることができる。このほかに,回路の力率を測定し,あらかじめ設定した力率に対して遅れ側か,進み側かを判別して力率制御を行うタイプや,最も簡便な時間制御によるタイプがある。