平成22年度 問題14 電気化学

2021年6月5日更新

水の電気分解

水素は水を電気分解することにより作ることができる。この方法は古くから工業的に行われてきた実績があるが,近年では,環境に優しい水素エネルギーを作り出す方法として注目されている。

水の電気分解においては,イオン伝導体である電解質としての水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液,あるいは酸性電解質であるふっ素樹脂系の固体高分子電解質が用いられる。ここでの反応は次式で示される。

2H2O → 2H2 + O2

ここで水素は,水を還元して作られたことになる。この水の電気分解において水素はカソードに生成し,水素 1 分子当たりに必要な電子数は 2 個である。さらに,水素と同時に酸素も作られ,酸素 1 分子当たりに必要な電子数は 4 個であり,この酸素の生成する量は体積に換算すると,理論的には水素の 1/2 倍となる。

この電気分解において水素 1 kg を作るのに理論的には 9.00 [kg] の水が必要である。

鉛蓄電池

ある市販の鉛蓄電池は,定格電圧が 12 V,定格容量が 5 A·h,質量が 2 kg である。

この鉛蓄電池は 6 個の単電池を直列にしたもので,満充電状態から取り出せる電気量は 18 [kC],電気エネルギーは 60 [W·h] である。また,単位質量当たりのエネルギー密度は 30 [kW·h/kg] で,10 時間率での充電電流は 0.5 [A] である。常時,満充電状態に保っておくと,停電時に消費電力 360 W の負荷を 10 分間バックアップできる。

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