科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規 平成23年度

問題2 エネルギー情勢・政策,エネルギー概論

エネルギーを表す組立単位 ジュール[J]

国際単位系(SI)では,長さ(メートル[m]),質量(キログラム[kg]),時間(秒[s]),電流(アンペア[A]),熱力学温度(ケルビン[K]),光度(カンデラ[cd])及び物理量(モル[mol)の7個の量を基本単位としている。力やエネルギーなどは,これらの7個の基本単位を組み合わせた組立単位によって表される。エネルギーを表す組立単位であるジュール[J]は,基本単位を使えば[kg·m²/s²]と表される。1L(リットル)のガソリンに含まれる化学エネルギーが34MJである場合,これと等価な位置エネルギーへの換算を考えると,質量1000kgの物体を基準面より3.5×10³[m]持ち上げた場合の値に相当することが分かる。ただし,重力の加速度を9.8m/s²とする。また,34MJを質量1000kgの物体の運動エネルギーに換算すると,秒速2.6×10²[m/s]で運動していることに相当する。

位置エネルギーへの換算
34000000÷1000÷9.8=3469[m]
運動エネルギーへの換算
(34000000×2÷1000)½=260[m/s]

ヒートポンプ

外部から仕事を与えて低温熱源から高温熱源に熱エネルギーを移動させる機器を一般に冷凍機あるいはヒートポンプと呼ぶ。これらのうち後者は,高温熱源側の利用を目的とするものである。これらのサイクルを構成する四つの過程は,高温熱源あるいは低温熱源と系との間で熱を授受する二つの過程と,作動媒体の膨張圧縮の二つの過程とから成る。これらのサイクルの性能は成績係数と呼ばれる指標で評価される。高温熱源と低温熱源の温度が定められている場合,逆カルノーサイクルで作動するときに最高性能を引き出すことができ,両熱源の温度差が無限小に近づくと成績係数は無限大に近づく。

電気エネルギーの貯蔵とハイブリッド自動車

一般に電気エネルギーの貯蔵が難しいといわれてきたが,近年では放電と充電の双方向が可能な二次電池の性能が向上して,以前に比べて大容量の電池の応用範囲が拡大している。最近注目を集めているハイブリッド自動車の実用化は,このような進歩に負うところが大きい。エンジンに加えて電動機を走行の動力源とし,ブレーキを掛けるときには,電動機発電機として作動させることにより,力学エネルギーを電気エネルギーに変換した上で二次電池に充電することができ,ハイブリッド自動車の燃費の良さにつながる一因となっている。

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