科目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規 平成24年度

問題1 エネルギーの使用の合理化に関する法律及び命令

以下の問題文では,

  • エネルギーの使用の合理化に関する法律を「法」
  • エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令を「令」
  • エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則を「則」
  • エネルギーの使用の合理化に関する基本方針を「基本方針」
と略記する。

「法」第1条(目的)の条文

この法律は,内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため,工場等,輸送,建築物及び機械器具についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし,もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

「法」第5条(事業者の判断の基準となるべき事項)の条文の一部

前項に規定する判断の基準となるべき事項は,エネルギー需給の長期見通し,エネルギーの使用の合理化に関する技術水準,業種別のエネルギーの使用の合理化の状況その他の事情を勘案して定めるものとし,これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

「法」第14条(中長期的な計画の作成),「則」第15条(中長期的な計画の提出)関連の文章

特定事業者は,毎年度,その設置している工場等について第5条第1項に規定する判断の基準となるべき事項において定められたエネルギーの使用の合理化の目標に関し,その達成のための中長期的な計画を作成し,主務大臣に提出しなければならない。

中長期的な計画の提出は,毎年度7月末までに行わなければならない。

「法」第2条(定義),「法」第7条(特定事業者の指定),「法」第7条の4(第一種エネルギー管理指定工場等の指定),「法」第17条(第二種エネルギー管理指定工場等の指定),「令」第1条(定義),「令」第2条(特定事業者の指定に係るエネルギーの使用量),「令」第2条の2(第一種エネルギー管理指定工場等の指定に係るエネルギーの使用量),「令」第6条(第二種エネルギー管理指定工場等の指定に係るエネルギーの使用量),「則」第4条(換算の方法)関連の文章

ある事業者の機械加工工場の前年度の燃料などの使用量は,以下のa~eのとおりであった。また,この事業者には,前述の機械加工工場のほかに,別の場所に本社事務所があり,そこでの前年度の電気の使用量は以下のfであった。なお,本社事務所では,電気以外のエネルギーは使用していなかった。これらがこの事業者の設置している施設のすべてであった。

  1. 加熱炉,ボイラ及びその他の設備で使用したA重油の量を発熱量に換算した量が4万ギガジュール
  2. aで述べたA重油の一部を使用し,コージェネレーション設備によって発電して使用した電気の量を熱量に換算した量が1万ギガジュール
  3. bで述べたコージェネレーション設備によって生成して使用した蒸気の熱量を燃料の発熱量に換算した量が7千ギガジュール
  4. 一般電気事業者から購入した電気の量を熱量に換算した量が1万5千ギガジュール
  5. ボイラで消費した木材チップの発熱量が3千ギガジュール
  6. 本社事務所では,一般電気事業者から購入した電気を使用しており,その電気の量を熱量に換算した量が4千ギガジュール

この事業者の機械加工工場が前年度に使用した「法」で定めるエネルギー使用量を算出するには,前述のa~eのうちのaとdを合算することになる。その合算量は,原油換算エネルギー使用量で1419キロリットルとなる。さらに,fを加えると,事業者全体での原油換算エネルギー使用量は1522キロリットルとなるので,この事業者は,前年度に使用した「法」で定めるすべてのエネルギー量から判断して,特定事業者に該当するが,第一種特定事業者,第二種特定事業者のいずれにも該当しない

aとdを合算し,原油換算すると,
(40000+15000)×0.0258=1419[kl]
さらにfを加え,原油換算すると,
(40000+15000+4000)×0.0258=1522.2[kl]
となる。

「法」第16条(合理化計画に係る指示及び命令)関連の文章

「法」第16条第1項には,主務大臣は,特定事業者が設置している工場等におけるエネルギーの使用の合理化の状況が第5条第1項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは,当該特定事業者に対し,その判断の根拠を示して,エネルギーの使用の合理化に関する計画を作成し,これを提出すべき旨の指示をすることができる,と規定されている。

「法」第8条(エネルギー管理者),「令」第3条(エネルギー管理者の選任基準)関連の文章

第一種エネルギー管理指定工場等に該当する石油化学工場において,今年4月に前年度使用した「法」で定めるエネルギー使用量を集計した結果,原油換算で65000キロリットルであった。この工場が選任すべきエネルギー管理者の数は3人である。

「法」第11条(エネルギー管理者の職務),「法」第19条の3(エネルギー管理者等の義務)関連の文章

「法」第11条において,エネルギー管理者は,第一種エネルギー管理指定工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関し,エネルギーを消費する設備の維持,エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理するものとされている。

また,「法」第19条の3において,エネルギー管理者は,その職務を誠実に行わなければならないこと,エネルギー管理統括者は,エネルギー管理者のその職務を行う工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する意見を尊重しなければならないこと,及びエネルギー管理者が選任された工場等の従業員は,エネルギー管理者がその職務を行う上で必要であると認めてする指示に従わなければならないこと,が規定されている。

「法」第15条(定期の報告),「則」第18条(定期の報告)関連の文章

「法」第15条に基づいて行われる定期の報告に記載すべき数値には,「則」第18条の規定によれば,次のような項目が含まれている。

  1. エネルギーの種類別の使用量及び販売した副生エネルギーの量並びにそれらの合計量
  2. 生産数量(これに相当する金額を含む。)又は建物延床面積その他のエネルギーの使用量と密接な関係をもつ値
  3. エネルギーの使用の効率
  4. 判断基準に定めるベンチマーク指標
  5. エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素の排出量
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