科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成24年度

問題8 工場配電

力率の改善と負荷管理

力率の改善は,電気料金の低減,系統容量の増加,電圧の安定化,及び電力損失の低減などに大きく影響するため,力率管理を的確に行う必要がある。力率改善には主にコンデンサが利用され,その調整方法としては,時間制御,無効電力制御,力率制御などがあるが,無効電力制御や力率制御を採用する場合には,コンデンサの投入と遮断が繰り返されるハンチング現象に対する配慮が必要である。

負荷管理は,デマンド制御と電力量管理に分けることができる。デマンド制御とは,電気使用の便益を損なうことなく最大需要電力を一定値以下にとどめ,電力設備の効率的運転と省エネルギー化を推進する手法である。デマンド制御を行うことにより負荷率が高くなるので,受電設備や配電設備の効率的運用が可能となる。一方,電力量管理の目標は,工場や事業場の生産活動や業務活動を円滑に遂行し,経済的で合理的に電力を使用することで電力量の低減を図り,製品の電力原単位を下げることである。

図に示すように,1台の単相変圧器から,負荷R1,R2,及びR3に電力を供給する単相3線式配電線がある。R1,R2及びR3はいずれも抵抗負荷であり,R1に流れる電流は50A,R2を流れる電流は20A,R3を流れる電流は30Aである。変圧器は一次電圧6600V,二次電圧210V及び105Vの理想変圧器とし,損失はないものとする。

配電線の1線当たりの抵抗をu線,n線及びv線のいずれも0.02Ωとすると,負荷R1に加わる電圧V1は103[V]となり,負荷R2に加わる電圧V2は105[V]となる。

また配電線の損失は196[W]となり,変圧器の一次側を流れる電流は2.07[A]となる。

図 単相3線式配電線
負荷R1に加わる電圧V1は,
105-0.02×(80+30)=102.8(V)
負荷R2に加わる電圧V2は,
105-0.02×(50-30)=104.6(V)
配電線の損失は,
0.02×(80²+30²+50²)=196(W)
変圧器の一次側に流れる電流は,
(80+50)×105÷6600=2.068(A)
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