科目Ⅲ:電気設備及び機器 平成24年度

問題9 電気機器

V-V結線

三相電源に2台の単相変圧器を接続して,三相電力を供給する結線をV-V結線という。この結線方法と単相変圧器3台をΔ-Δ結線に接続して三相電力を供給する場合との差異は次のようになる。

Δ-Δ結線では,各相共に漏れインピーダンスによる不足電圧が発生するのに対し,V-V結線では,一相分についてそれが発生しないので,二次側に平衡した負荷電流が流れた場合でも,二次側の端子の電位に不平衡が発生する。ただし,各端子の電位差である線間電圧は平衡となる。

1台の単相変圧器の,二次側電圧をV,二次側巻線を流れる電流をI,容量をVIとして,力率1.0の平衡三相負荷に電力を供給することを考える。V-V結線では,変圧器から負荷への電流と巻線の電流とが等しい。したがって,変圧器のバンクの三相出力はとなる。これに対し,Δ-Δ結線の変圧器バンクの三相出力は3VIとなるので,(V-V結線の出力)/(Δ-Δ結線の出力)はとなる。また,V-V結線の場合の変圧器の利用率はとなる。

かご形三相誘導電動機の速度制御

かご形三相誘導電動機の速度制御には,現在,汎用インバータによる一次周波数制御が広く用いられている。これは一次周波数に比例して電動機の同期速度が変化することを応用したものであり,通常,周波数に比例して電圧も変えて,電動機のエアギャップ磁束密度をほぼ一定に保つようにしている。

汎用インバータの基本回路は,商用周波数の交流入力を一度直流に変換した後,所望の周波数の交流に再変換して出力する構成である。この回路において,順変換回路はダイオードを用いた三相ブリッジ結線の整流回路,逆変換回路は,IGBTなどのオン機能及びオフ機能を有するバルブデバイスを用いた,電圧形インバータ回路が一般的である。出力(電圧及び周波数)の制御はいずれも逆変換回路でなされ,この出力を制御するための変調方式はパルス幅変調が一般的である。

かご形誘導電動機は,全電圧で開閉器を投入すると,始動電流が定格電流の数倍となるが,汎用インバータを用いれば,その電流を定格電流に近い値以下にまで抑えることができ,また,多頻度の始動停止ができる。間欠運転に対しても,電動機の無負荷運転をやめ,回転速度制御を適用して負荷に応じて始動停止を行うことが,省エネルギー上好ましい。ただし,負荷の要求する始動特性との整合には注意を要する。

単相変圧器の無負荷試験

定格一次電圧6600V,定格二次電圧210V,定格容量300kV·A,定格周波数50Hzの単相変圧器があり,一次巻線抵抗が0.3Ω,二次巻線抵抗が0.0012Ωである。この変圧器の二次側を開放して無負荷試験を行ったところ,一次側に1.1A,力率0.04(遅れ)の電流が流れた。この無負荷試験結果から,この変圧器の無負荷損は2.9×10²[W]となる。この無負荷損のうち,一次巻線抵抗による損失は0.363Wと計算されるので,計測された損失の大半が鉄損である。この変圧器に定格容量の負荷を接続したときの負荷損は3.07×10³[W]となるので,力率1.0で定格容量の負荷を接続したときの効率は98.9[%]となる。

この変圧器が最大効率となるのは30.8[%]負荷のときである。

変圧器の無負荷損Pi [W]

変圧器の一次銅損Pc1 [W]

変圧器の二次銅損Pc2 [W]

変圧器の負荷損(銅損)Pc [W]

力率1.0で定格容量の負荷を接続したときの効率[%]

変圧器が最大効率となる負荷率[%]

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