科目Ⅳ:電力応用 平成24年度

問題13 電気加熱-選択問題

各電気加熱方式の特徴及びその特徴を生かした応用例

表 各電気加熱方式の特徴及びその特徴を生かした応用例
特徴 電気加熱方式 応用例
波長,位相がそろった集光性の高い電磁波で加熱するので,微小部分にエネルギーを集中することができる。 レーザ加熱 文字マーキング
放電によって電離された高温ガスと,電磁作用と,吹き付けた冷風によって起きる熱ピンチ効果によって収縮し,5000~30000Kの高温となるので,高温加熱(溶解)に適している プラズマ加熱 セラミックの溶射
発熱体に発生するジュール熱を利用し,被加熱材の材質,形状を問わずに加熱可能であり,炉内の雰囲気を制御するのに最適な加熱方式である。 間接抵抗加熱 窒化炉
導電性の被加熱材を非接触で内部加熱するので急速加熱が可能であり,電源の周波数を高くすることによって,容易に表面加熱をすることができる。 誘導加熱 高周波焼入れ
導電性の被加熱材に電極から通電し,被加熱材内部にジュール熱を発生させて加熱するので,急速,高温加熱ができる。 直接抵抗加熱 スポット溶接

鉄の加熱,溶解するために必要な熱量

質量1000kgの鉄を,25°Cから融点まで加熱,溶解するために必要な熱量は,929×10³[kJ],すなわち,258[kW·h]である。ここで,鉄の融点は1535°C,比熱は435J/(kg·K),融解潜熱は272kJ/kgとする。

必要な熱量を単位kJで表すと,

[kJ]

必要な熱量を単位kW·hで表すと,

[kW·h]

電気加熱設備の電力原単位

単位質量を1200K昇温するために必要な正味熱量が0.2kW·h/kgの被加熱材がある。この被加熱材900kgを,熱損失が20kW,電気効率が98%の電気加熱設備を用いて,30分間で1200K昇温するために必要な加熱設備入力は388[kW]となる。このとき,この設備の入力端における電力原単位は0.215[kW·h/kg]となる。

必要な加熱設備入力は,

[kW]

入力端における電力原単位は,

[kW·h/kg]

単相アーク炉設備

図は,単相アーク炉設備の等価回路を表し,R,Xはそれぞれ,電路(配線)部分も含めた,負荷の抵抗R[Ω]とリアクタンスの大きさX[Ω]を示している。

電源入力端電圧の大きさをV[V]としたとき,回路の電流の大きさI[A]は[A]となるから,負荷で消費される有効電力P[W]は[W]となる。

ここで,Vの値を一定とし,Xの値を固定してRの値を変化させたとき,Pの値はR=Xのとき最大となる。

図 単相アーク炉設備の等価回路
inserted by FC2 system